2018年、アフガニスタンで、タリバンの秘密基地を探すアメリカ軍のジョン・キンリ―軍曹(ジェイク・ギレンホール)。アフガン人通訳アーメッドを雇い、苦労の末タリバンの爆発物製造工場を突き止めるが、大勢のタリバン兵に囲まれ、ジョンとアーメッド以外、部隊は全滅。ジョンも銃撃されて瀕死の身となるが、アーメッドにからくも救い出される。アーメッドはタリバンに狙われながら、手押し車に乗せたキンリ―を100Km離れた米軍基地まで必死の思いで連れて行く。無事本国に帰ったジョンは、アーメッドが米軍から何の保証も受けずタリバンにつけ狙われていることを知って、再びアフガンに向かう。

2021年、タリバンが首都カブールを掌握した直後、カブールから飛び立った米空軍の大型輸送機の機内にギッシリと乗り込んだ人々の写真を、ニュースで見ました。その数600人。飛行機の車輪付近や機体の側面にしがみついている、大勢のアフガン市民の写真も。
そのまま飛行機は飛び立ち、何人もの人が落ちて死んだらしい。
あの情景が忘れられず、この映画のことを知った時に観なくては、と思ったのでした。

導入部ではジョンとアーメッドが出会って、危険な任務を遂行して行くのですが、最初はお互いに疑心暗鬼の状態です。
ジョンが撃たれて倒れた後、アーメッドがどうしてあそこまで危険を冒し、何日もかけてジョンを助けたのか、やや説得力不足のような気がします。
アメリカ映画らしく、タリバンが皆どうしようもない悪党でしかないのも、やや残念。
それでも、アメリカ軍に協力した通訳が、アフガンでどんな立場にあるかということがよく分かる作品です。
エンドロールに「米軍のアフガニスタン撤退後、タリバンによって300人の通訳が殺された」というテロップが。
ガイ・リッチー監督が、アフガニスタン問題とアフガン人通訳についてのドキュメンタリーに着想を得て撮りあげた社会派ドラマということです。
原題は「Guy Ritchie's the Covenant」。

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