Zooey's Diary

何処に行っても何をしても人生は楽しんだもの勝ち。Zooeyの部屋にようこそ!

「汝、星のごとく」

2024年03月10日 | 


父親を不倫相手に奪われ、少しずつ心を壊していく母と暮らす高校生の暁海(あきみ)と、自由奔放な母の恋愛に振り回され、暁海の通う高校に転校してきた櫂(かい)。
風光明媚な瀬戸内の島を舞台に、ともに孤独と欠落を抱えた二人は惹かれ合う。しかし、大人になり互いに自分の人生を進むうちに、二人の間には大きな溝ができていく。


毒親に人生をことごとく邪魔されながら放り出すこともできない、二人の若者が痛々しい。
傍から見れば、そんなどうしようもない母親、さっさと捨てればいいのにと思うのですが、当事者にはそうもできないのでしょう。
自分の人生を思うように生きるということが、こんなにも難しいことなのか。


終章近く、深刻な病を宣告された櫂の独白。
”あれから母親には連絡していないし向うからもない。嫌なこととは向き合いたくないという相変わらずなスタンスだ。親というよりでかい荷物でしかないが、そんなのでも親だから、しょうがねえなあと許す俺も相変わらずだ。
 生まれるとき、人にはそれぞれ与えられるものがある。それは輝く宝石であったり、足首に嵌められた鉛の球だったりする。なんであろうと投げ出せず、それはおそらく魂に組み込まれたものなのだろう。生まれて死ぬまで、誰もがあえぎながら己の魂を引きずる。”


2023年の本屋大賞作品、図書館に予約して1年程かかってようやく廻って来ました。
この著者の文章は平易で展開はドラマチック、一気に読める面白さがあります。
しかし本屋で買ったらちょっと口惜しかったかも。
前作の「流浪の月」と同様、これはすぐに映画化されるでしょうから、その配役を勝手に思い浮かべるという楽しみはありますが…

コメント (2)
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