Zooey's Diary

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実にタイムリーなウクライナ映画「ドンバス」

2022年06月10日 | 映画

ドンバスとは、ロシアと国境を接するウクライナ東部地域のことであり、もともとロシア系住民が多く住む地域なのだそうです。
2014年からこの地方で起きている「分離派」(ロシアの支援を受けている勢力)とウクライナ軍の軍事衝突を背景に、ウクライナ兵士たちや市民の日常を描いた映画です。
13のエピソードは、実際起きたことを基にしたフィクションだといいます。
2018年に作られた映画であるが、ロシアの軍事侵攻が起きている今、なんとタイムリーであることか。
カンヌ国際映画祭「ある視点部門」で監督賞を受賞。
ウクライナ人セルゲイ・ロズニツァ監督。

只でさえ毎日、ウクライナでの戦争のニュースで心が塞ぐ今日この頃ですが、なんとなく観なくてはいけないような気がして、勇気を振り絞って観て来ました。
ウクライナの状況が少しでも理解できるのではないかと思って。
ところが…



実に不親切な映画です。
何の説明も断りもなく、13のエピソードは不意に始まり、不意に終わる。
そこに出てくるのは、人間の悪意、底知れない残虐さ、惨めな地下室生活、雪の中でいきなり男たちを裸にする検問、市民の車を横柄に搾取する警察、突然爆破される家々。
社会状況や複雑な政治的対立が分からない人間には、まったく理解できないシーンが次々と現れる。

例えば、その中の一つのエピソード。
ウクライナ軍の捕虜の一人が、見せしめに街頭に立たされる。
水色と黄色のウクライナの国旗を背中に巻き付けられ、胸には「懲罰隊への志願兵」と書かれている。
何のことかさっぱり分からないが、とにかくその初老の男は見せしめに立たされているのであり、街を行き交う人々は彼を好きに虐めてよいらしい。
殴り、蹴り、唾を吐きかけ、老若男女がどれだけの暴力を無抵抗のその男に加えたことか。
自分の息子はおまえらに殺されたんだなどと叫びながら。
一体この哀れな男は、何をしてこんな立場に立たされているのか?
何も分からないまま、そして何の救いもなく、男は血だらけとなり、そのエピソードは唐突に終わる。



全編、そんな調子なのです。
分かったことはただ一つ、ウクライナで今、こうしたことが起きているということ。
ウクライナへの侵略戦争は、今年の2月24日に始まったことではないということ、それだけです。

「ドンバス」 


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6 コメント

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Unknown (mac68615)
2022-06-10 11:34:39
本当に一体何がどうなってこうなっているのかの真実を教えて欲しいですね。あっ解説して欲しいんだった。背景も歴史もやっぱりよく分かっていないことをこの頃実感しています。
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Unknown (zooey)
2022-06-10 22:35:19
ソ連については、十代の時にソルジェニーツィンの「収容所群島」を読んだのが始まりでした。
何処まで理解していたのか今思えば疑問ですが…
今の状況についても日本人には理解しにくい。
何しろ恐ろしい国ですね。
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Unknown (tona)
2022-06-11 16:01:00
今、この映画が上映されているのですか。
知りませんでした。
驚きの内容ですね。
似たようなことを毎日ニュースで見て、ずっと心は痛い。もうすぐ4ヶ月になりますね。
ソ連時代のスターリンにちょっと関係する澤地久枝の『ボルガいのちの旅』を読んでいますが、酷い話が出てきて重なります。
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tonaさま (zooey)
2022-06-11 22:49:26
2018年製作だそうですが、日本では今月公開となりました。
4年前に公開しても誰も観なかったでしょうが…
あまりにも今のウクライナの状況と似ているようで驚きました。
今、この瞬間にも、ウクライナでは戦争が続いているのですものね。
澤地久枝の本も辛そうですね。
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Unknown (クリン)
2022-06-12 08:05:24
zooeyさま、おつかれさまでした🐻🍀🍀
さすがzooeyさま、そんけいがさらに強まりました✨
ドンバスがこのころからこういうかんじだったなんて・・ニュースできいても(そうなのか・・)としか思いませんが映ぞうの力はうむを言わせませんね⚠
はあ・・⤵⤵
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クリンさま (zooey)
2022-06-12 21:28:51
これを観た後、思わずフラフラと日比谷公園に行ったのでした。
花が咲き乱れ、小鳥がさえずり、会社員がベンチでお弁当を食べ…
日本は平和でありがたいです。
でもウクライナでは…
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