夫の趣味には大抵、機嫌よく付き合う私ですが、5時間のオペラは長い!
これだけの時間とお金をかけるのだったら、近場の海外に行けちゃうと思ってしまう。
ストーリーを説明するのも難しい。
10世紀のアントウェルペン、ローエングリンというのは白鳥と共に現れた騎士の名前で、
ブラバント公の娘エルザと恋に落ちるが、自分の正体を決して尋ねてはいけないと言う。
二人は結婚するが、エルザは愛する人のすべてを知りたいと禁じられた問いを口にしてしまう。
ローエングリンは聖杯王パルツィファルの子、聖杯に仕える騎士であり、
正体を知られた以上、もうここにはいられないと立ち去る。
そこにドイツ国王ハインリヒ、ブラバント公の跡取りゴットフリート王子、
追放されたテルラムント伯と彼の妻である魔女オルトルートなどが複雑に絡まる。
滅茶苦茶簡単に言えば、こんな粗筋です。
一貫して、暗い舞台です。
第三幕の初めの結婚するシーンで、あの有名な「結婚行進曲」が流れて
ちょっと明るくなったと思ったら、すぐにまた暗くなる。
プログラムを読んだら、演出のマティアス・フォン・シュテークマンが
「これは真の悲劇である。本作の結末には、いかなる希望も未来も存在しない。
プラバントの民衆を含めた登場人物全員がすべてを失い、絶望の中に取り残される」と。
そこまで言いますか…
大体ローエングリーンという男、隠し事をするなら徹底的に隠すべきで
自分には秘密があるけれど尋ねないでほしいなどと女に言うべきではない。
と、俗な感想を私はつい持ってしまうのです。
中世の聖杯騎士伝説というものが、どうにも日本人には分かりにくい。
大合唱のシーンの人々の服装は、どこぞのカルト団体か、中国の兵馬俑のようだし…
等々と、私には疑問符だらけの5時間だったのですが
主演のクラウス・フロリアン・フォークトの評判はかなりよく、
ワーグナーが好きな夫は満足だったようです。
私は、オペラ「ローエングリン」に魅せられて、ルートヴィヒⅡ世が国家財政を
破綻させてまで建てたというノイシュヴァンシュタイン城に思いを馳せたのでした。
「ローエングリン」 http://www.nntt.jac.go.jp/opera/performance/150109_006154.html