Zooey's Diary

何処に行っても何をしても人生は楽しんだもの勝ち。Zooeyの部屋にようこそ!

今でも別に

2019年03月06日 | 
ひょんなことから、友人と山椒魚の話になりました。
「山椒魚は悲しんだ」で始まる、井伏鱒二の短編です。
あれ、結末変わったんだよね。
そうだっけ?なんか騒ぎがあったねえ。
確か、ラストを切り取ったんじゃなかったっけ。
ラストって、蛙が、実は怒ってないんだっていう部分?

あれ取っちゃったら、まるで味わいが変わっちゃうんじゃないの?
そんな騒ぎがあったことを、すっかり忘れていました。
Wikiで見てみたら、1985年『井伏鱒二自選全集』の刊行にあたり著者自身によって様々な改定がなされ、
「山椒魚」はその結末部分が10数行に渡ってカットされており、以下の文章で終わるかたちとなったのだそうです。

「更に一年の月日が過ぎた。
二個の鉱物は、再び二個の生物に変化した。
けれど彼等は、今年の夏はお互い黙り込んで、
そしてお互いに自分の嘆息が相手に聞こえないように注意してゐたのである。」



ええ?
うっかり岩屋から出られなくなってしまった山椒魚が己の不運を嘆き悲しんで
そこに紛れ込んできた、罪のない蛙をも出られなくしてしまう。
お互いに反目し合って口も利かず、1年が過ぎ2年が過ぎ、蛙は思わず嘆息を漏らす。
それを聞き留めた山椒魚が話しかけるが、蛙は空腹で動けず、もう死ぬばかりになっていた。
お前は今何を考えているようなのだろうか、と聞く山椒魚に対して蛙は、
今でも別にお前のことを怒ってはいないんだ、と答える。

そのラストを削っちゃうなんて。
銀座に出たついでに、教文館書店で確認してみました。
新潮文庫「山椒魚」、ラストには「今でも別にお前のことをおこつてはゐないんだ」
という文がちゃんとありました。
このラスト、変わったのじゃなかったのですかと訊いてみたら
ご主人、いや、変わってないですよ、これは平成23年発行の改訂版ですと。
してみると、自選全集の分だけ変えたのかしら?
よく分かりませんが、とりあえず書店の本の中にはラストの文があることを確認して
ちょっとホッとしました。

「山椒魚」 http://tinyurl.com/y2cvvw5x
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代々木公園の河津桜

2019年03月03日 | お出かけ


代々木公園にタロウを連れて行って来ました。
昨日はお天気も良く、3月下旬の気温だったのですって。
広い公園の一角に河津桜が10本ほど咲いていて、大勢の人が群がっていました。
満開の濃いピンクの河津桜は、やはりゴージャス。
伊豆まで行かなくても、都心で観られるとは。



魚ジャパン・フェスティバルという催しもやっていました。
日本各地の魚介料理とご当地メニューを集めたという食のお祭り。
そりゃあいい匂いで溢れていましたが、物凄い人混み。
こちらが食べたいような食品の屋台の前は、長蛇の列で
蟹ミソ汁、焼きホタテ、焼き牡蠣、魚介パエリアなど何品かどうにかゲットしましたが
かなりの時間がかかって、もうヘトヘト。
もっと食べたかったのですが、短気な夫には限界でした。



代々木公園には広いドッグランがあるので、大勢の犬が来ています。
タロウも何度か試してみましたが
私の膝の上で震えているだけで、まったく遊べませんでした。
大勢の犬がリードなしで走り回っているドッグランは、
犬嫌いのタロウにとっては地獄のようなものなのでしょう。



この犬、変わっていると思ったら、エジプト原産のサルーキというのだそうです。
古代エジプト王室で珍重された犬種なのですって。
そういえば、カイロ博物館にアヌビス犬という彫刻がありました。
ほっそりして気品があって、ちょっと似ているような…


(カイロ博物館で)
コメント (10)
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新北斎展

2019年03月01日 | お出かけ


六本木ヒルズ52階の美術館で「新北斎展」を観て来ました。
平日のしかも冷たい雨だった昨日の昼間、 それでも15分待ちくらい。
20歳のデビュー作から90歳の絶筆までの480件の作品が展示されるという
大規模な北斎展なのだそうです。



北斎の作品が年代順に並べられ、とても分かりやすい。
無知な私は、北斎と言えばあの雄大な「赤富士」や「神奈川県沖浪裏」のイメージが強烈で
その大きな作品が並べられているのかと思っていましたが
実際には片手に乗るような、小さな作品が多いのですね。
狂歌絵本の挿絵や、読本の挿絵を多く描いていたというのだから
当然なのかもしれませんが。
晩年に描かれたという「弘法大師修法図」は150㎝×240㎝の大きな肉筆画で
もう文句なしの迫力です。


「弘法大師修法図」

あの時代に90歳まで生き、最晩年まで描き続け、最後の画号は「画狂老人卍」。
以前、日記で取り上げたことがありますが、米国ライフ誌の企画「この1000年間の世界の人物100人」に
日本人でただ一人、北斎が選ばれたのだそうです。
1位がエジソン、あとはルターだのガリレオだのダ・ヴィンチだのニュートンなど
歴史の教科書に出て来るような人ばかり。

ちなみに北斎は86位。
”At the age of 74, Hokusai, one of the greatest artists of the millennium,
bemoaned his lack of talent. "Of all I drew prior to the age of 70 there
is truly nothing of any great note," he wrote,
predicting that at 100 I shall have become truly marvelous.(後略)”
と紹介されています。
「74歳のとき、偉大な芸術家の北斎は
70歳以前に描いた自分の絵はカスばかりだと嘆いた。
100歳まで生きれば素晴らしい画家になっているだろう、と。」

北斎は掃除というものをしたことがなく、今でいうゴミ屋敷に住み、
90年の生涯のうち、93回引越ししたのだそうです。
汚すだけ汚していよいよ住めなくなると、次の所に移動したのだとか。
周りの人はさぞ大変だったでしょうが…
何しろ、日本が誇る天才だ!



六本木ヒルズの「柿安」でランチ。
ステーキ丼、美味しく頂きました。

新北斎展 https://hokusai2019.jp/
Top 100 People of the Millenium http://www.tostepharmd.net/hissoc/top100people.html
コメント (4)
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