極東極楽 ごくとうごくらく

豊饒なセカンドライフを求め大還暦までの旅日記

花札屋、賭場に乗り込む Ⅲ

2010年08月01日 | 政策論



熱中に なるほどの塵 集めては 座布団屋根に 干し麦酒美味し






【嗚呼、不法投棄





町内を犬上川という一級河川が横断する。
その川筋に沿って一斉に掃除する。朝か
ら草刈り機を持ち出し家の周辺の草を刈
り、みんなが集まってきたので県が前日
までに刈り込んあって、負荷が例年より
軽くなったので短時間で作業を終えるが、
指定の回収点に指定ビニールに入れ廃棄
する。ところが袋に分別種の記入欄に記
入し忘れ(□燃える塵、☑その他の塵)
再び記入に赴く。刈り取った草木はその
場に打ち棄てて大地に還元する。





その後、役員世話役らで自治会館と氏社
を掃除、植木の刈り取り、虫干しを行う。
屋根に並べた座布団はさながら煎餅を並
べ焼いているようだと一同笑うが、笑え
ない作業に。軽トラに乗り込み不法投棄
の回収処理に走る。いつものことだと役
員の方は嘆く。布団やドラム缶を回収し、
一旦昼食を取り、再び会館に戻り後片付
けに続いて定例会を終え炎天下を帰宅。



熱中は「熱中症」と「夢中」の双方の意
味を含み「麦酒美味し」の強調に架けて
「不法投棄」をテーマとして歌を詠む。お陰様
で腰痛をぶり返す。




【“カンノミクス”の波紋】

菅政権の看板は「第3の道」-増税によ
る経済成長という。公共事業による「第
1の道」、小泉構造改革の「第2の道」
とは何が違うか。政府主導の「新成長戦
略」をどう評価するのか日本の識者の見
識が問われている。民主党政府は元気な
日本を復活させるためには予算の構造改
革のための「組替え基準」を定めた(10/
07/22「閣議決定」)。

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1.元気な日本復活特別枠
(1)「元気な日本復活特別枠」の設定
規模は1 兆円超とし、歳出の約71兆円の
枠内で、できる限りこの特別枠の規模を
大きくする前提とし、ムダづかいの根絶
や総予算の組替えにより捻出。

(2)各省の「要望」
A.「要望」額
原則「総予算組替え対象経費」の平成22
年度当初予算額と概算要求枠との差額を
「要望」基礎枠とし、積極的な予算の見
直しを行い、概算要求枠を下回る要求を
行った大臣に有利となる仕組みを導入す
る。

B.「要望」内容
○マニフェストの実現
○デフレ脱却・経済成長に資する事業
○雇用拡大に特に資する事業
○人材育成、国民生活の安定・安全に資
する事業各大臣は「要望」にあたって個
々の施策の経済成長への寄与度、雇用増
の見込みなどを可能な限り明らかにする
とともに、優先順位を明確にする。
(3)配分(「政策コンテスト」の実施
と「努力評価制度」の導入)特別枠の配
分については、各省庁が、国民に開かれ
た形で「要望」政策の必要性や効果など
を説明した上、外部の意見など踏まえて
政策の優先順位づけを行う「政策コンテ
スト」を実施し、その優先順位に基づき
最終的に総理大臣が予算の配分を決める。

2.ムダづかい根絶・総予算の組替え
各大臣は「要求大臣」である前に「査定
大臣」として、ムダづかい根絶と総予算
の組替えに全力で取り組む。
○事業仕分け、行政事業レビュー等の結
果の適切な反映
○「行政事業レビューシート」による全
事務事業の検証
○20年以上経過した事務事業の廃止を前
提とする検証
○独立行政法人・公益法人への交付金等
の削減
○庁費・委託費・施設費の削減
○「
地域主権戦略大綱」(平成22年06月
22日閣議決定)に則った一括交付金化・
出先機関改革の推進。
人件費も、各大臣
において抑制・削減に取り組むと同時に
政府全体でも抑制・削減に全力で取り組


3.財政健全化への取組
「財政運営戦略」(平成22年06月22日閣
議決定)に基づき「歳出の大枠」(約71
兆円)を堅持し、国債発行額も平成22年
度当初予算の発行額約44兆円を上回らな
い。

4.予算編成の透明性強化の推進
国民に開かれた予算編成の実現に、予算
編成の透明性を強化する。
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 小野善康

この新政権の経済政策のブレートと目さ
れる内閣府参与を務める大阪大学社会経
済研究所所長の小野善康教授の「増税に
よる経済成長」政策(「SankeiBiz」)をみ
てみよう。

 増税が経済成長をもたらすわけでは
 ない。増税分を雇用創出に使って
 所得として還元すれば、国民の手に
 渡るお金は同じで経済は拡大する
 日本の経済資源である労働力を十分
 に活用することこそが、経済政策の
 最終目的だ。何の価値も生まない公
 共事業をさせて給与を払うのは、失
 業手当と変わらない。新しい価値を
 生む分野にお金を投入し、人を生か
 さなければ意味がない

とのインタビューの答弁に「新しい価値
を生む分野」とはなにかとインタビュア
の問いかけに答えている。

 これまであまり育っていなかった分
 野では、例えば環境や観光インフラ、
 医療、健康が考えられる。食料品な
 どの必需品を支給したり、子ども手
 当のようにお金を配ったりすると、
 それまでの出費を代替してしまい、
 新たな雇用や需要は生まれない。

ここでは、子ども手当は新たな雇用や需
要は生まれないと(不要に?)主張して
いるが、国内の消費性向を押し上げ→格
差拡大で落ち込んだ‘マス・ゾーン’の
生計を下支え(流動性の健全化)→消費
特徴が変化→間接的に新規・既存需要の
拡大に繋がるからこの見識はやや偏狭過
ぎる。さらに「増税には財政再建という
狙いと危機的財政の立て直しはどうする
のか」との質問に次のように答えている。

 増税して国債発行を抑制するだけで
 は、所得も雇用も増えない。しかし、
 そのお金で新たな雇用を作れば雇用
 不安が低下し、デフレが解消されて
 消費を刺激する(中略)。政府が発
 行する手形として金融資産の側面も
 ある。その資産価値が暴落すれば、
 保有している金融機関の融資が縮小
 して、消費や投資の落ち込みにつな
 がる。基礎的財政収支も、
国債価値
 の維持という観点から考えるべきだ


これは常識的なのことだから問題ない。
「社会保障関連費の増大とそれに似合う
増税政策はどうするのか」との質問に次
のように答えている。

 社会保障には現金支給と現物給付の
 2種類があるが、私は現物給付を充
 実させるべきだと思う。年金など現
 金支給の額を減らしてその分を介護
 サービスの充実や、介護事業者の待
 遇改善などに回せば、高齢者はお金
 の代わりにサービスを受けられるし、
 若者の雇用や所得が増える。増税は
 消費税よりも累進性のある所得税の
 方がいい。低所得層の方が消費に回
 す割合が高いからだ。ただ、税制は
 副次的な問題で、不況時に税収で政
 府が雇用をつくるということが最も
 重要だ。ただ、景気が回復したら政
 府事業を減らし、減税すればいい。
 例えば、完全失業率が3%を切った
 ら、政府事業を減らすということを
 あらかじめ法律に明記すべきだ。

この見識に関しては概ね問題ないと考え
るが「社会保障の充実は現金より現物支
給が良い」というのは理解ができるが、
反面、事例研究で判断すれば良いとも思
っている。




 池尾和人

さて、この小野善康に対し「第3の道、
ない カンノミクスを経済学で斬る
」で
の論客、池尾和人・大竹文雄・星岳雄・
小峰隆夫・冨山和彦らは集中砲火(?)
を浴びせている
。実は‘カンミクス’に
もうひとりブレーンである神野直彦東京
大学名誉教授の社会保障強化論も無視で
きないがここは小野理論批判から。

 神野直彦

その1つが「失業者対策をどのような手
法、分野で行うのか」という問題点だが
1990年代にインフラ・ハコモノの公共事
業を拡大した第1の道は有効な不況対策
になりえなかったとするが、第3の道で
は、税配分で建設した施設を民間企業に
運営させるというが、公共投資の対象が、
道路から福祉施設に変わるだけで、収入
と支出を同額増やせば、GDPは増える
が、それがコンクリートに向かうのであ
れ、福祉に向かうのであれ、どちらも雇
用を生み出す点で効果は等しい。つまり
、第1の道と第3の道の差異は認められ
ないとの批判だがこれは「対費用効果」
を埒外には議論できない。

GDP PPP Per Capita IMF 2008.png

「政府支出により、それまで遊んでいた
資源だけが使われるのではなく、民間で
使われた資源が政府に回ってしまうこと
クラウディングアウト)が起こり、実
証分析によってはじき出された乗数(政
府支出増→所得増)の経験値は、期待効
果(理論値)を下回るとの批判も事例研
究次第
で全否定されるものでない。
 
 大竹文雄

富裕層に増税し、貧困層を雇用して増税
分を再配分すると消費が増えると
考える
のは間違いだという批判。つまり『リカ
ードの等価定理』(政府の
景気対策の国
債発行→償還時の増税→家計が予測し貯
蓄増→景気対策効果が殺がれる)は成り
立たないかどうかは実証命題だ。

また、潜在的需要が高い、介護や医療の
分野で需要を創出するというが、需給ギ
ャップが正常化すれば、供給サイドの生
産性の上昇はする。小野理論は不況下の
時限的な経済政策だ。デフレをストップ
させ、雇用を増やす財政政策が必要だと
される一方で、市場の競争による調整は
常に必要だとするという考え方は、不況
を脱したら「第3の道」は自ずと消滅と
いう批判と、イノベーションは政府には
誘発できなという批判は、前者は後で述
べているように、過剰な金融資本原理主
義(=市場万能主義)の切除と少子高齢
環境リスク社会への構造改革が容易なら
ざる現実の壁とし立ち塞がっている以上、
単純な増税だけでは「需要不足の解消」
できず衆知を結集する以外に道はない。
また、後者は「イノベーション」のとら
え方が偏狭でドラッカーの言葉を咀嚼す
れば、営利・非営利を超えてイノベーシ
ョンは存在することになる(『花札屋、
賭場に乗り込む Ⅱ
』)。

 冨山和彦

さらに、日本は、少子高齢化による潜在
成長率の低下と社会保障費の猛烈な自然
増、グローバル化による賃金押し下げ圧
力、巨大な政府債務という四重苦にこの
20年近くあえいでいて、構造改革路線で
も北欧モデル路線でもだめだから共同体
への復帰こそセーフティネットで、労働
市場の流動化による生産性の向上に重点
配置せよとの批判も前述と同様に「共同
体主義」にしろ「労働市場の流動化」に
しろ深い洞察なしには超えては行けない。



いずれにしろ、現実はもっと深刻な様相
を見せている。辺見庸の『忍びよる破局』
が現実のものになりつつある。迅速な対
応を実現するのが「政治」ではないだろ
うか。



コメント
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