極東極楽 ごくとうごくらく

豊饒なセカンドライフを求め大還暦までの旅日記

海藻の美しき世界

2010年08月14日 | EMF安全保障


盆帰り 赤い実を摘む 幼子ら 駆け寄る犬に 夏のご褒美 



 盆帰り

夏休みと盆帰り。道ばたから聞こえてく
る子供の声が増える季節。庭に赤々と鈴
なりプチトマトが実り、それを摘み取る
童達。夏にはめっぽう苦手な牧羊犬のシ
ェルも味をしめ駆け寄る。つかの間のひ
ととき。抱きしめたい程の全球的1日の
1/1,000秒を凝縮し輝いている。そう
詠ってみた。





ディーゼル車規制総合情報サイト

【カヤックの座礁】

 月尾嘉男

月尾嘉男がニースステーションに出演し
ていた。話題はお盆の渋滞と高速道路無
料化で、無料化は民主党の人気取り政策
で環境に配慮していない交通政策だとお
決まりの批判を展開していた。総合的な
交通政策との位置付けが不充分でないこ
とそうの通りだが、この政策変更は「規
制緩和」であり環境政策でない。環境政
策だとするのであれば(1)ディーゼル
車の即時、環境配慮ディーゼルに切り替
える(2)ガソリン車はハイブリッド化
電化に段階的に切り替える(3)公共交
通機関との競合による不均衡の発生に対
しては「被害額の補償」(手順の明確化)
で対応するというのわたし(たち)の考
え方だ。その意味で政府による“プレゼ
ン”で月尾嘉男らの疑問に答えるべきだ
ね ^^;。

 地球の生物の歴史は40億年程度であ
 るが、これまで何回もの絶滅や発生
 を経験しながら、現在5000万種とも
 1億種とも推定される多種多様な動
 物や植物が棲息している。それらの
 生物を食料や材料として利用するこ
 とにより、人間の生活は成立してい
 るが、そのような人間本位の視点で
 はなく、地球環境自体が多種多様な
 生物の複雑な関係により成立してい
 るという意味で、多様ということが
 重要である。

   『多様であることが激変する
       環境で生存する条件』






【微細藻類のバイオ燃料化】

 「藻類の多様性と系統」

昨日の続き。藻類と一口に言うがその実
体は複雑多岐に渡る。
「藻類とは、酸素
を発生する光合成を行う生物の中からコ
ケ植物、シダ植物、種子植物を除いた残
りの全て」と定義されてもいる。なぜこ
のように消極的にしか定義できないのか、
そこに、藻類が持つ多様性とおもしろさ
が表れているとする。リンネの時代には
藻類はひどく大ざっぱに「水中や水気の
多いところに生育する体制の簡単な植物」
と認識されていたが、1950年代以降の電
子顕微鏡技術の発達などにより、微細構
造の詳細な観察が可能となり、1980年代
以降の分子生物学の分子系統解析技術の
進展で藻類の概念は大きく進歩する。

 
Carl von Linné

陸上生態系の一次生産(光合成による有
機物生産)は海洋生態系のそれの約2倍
とされているが、近年の衛星からのクロ
ロフィル観測により、陸上と海洋はほぼ
同じ一次生産力を有することが明らかに
なった。この海洋の一次生産はほとんど
が沿岸域の植物プランクトンに起因する。
尚、藻類バイオマスは、3つの主要コン
ポーネント:炭水化物、タンパク質およ
び天然オイル脂質を含んでいる。

 open ponds


実際の光合成能力(CO2 固定能力)は、
(太陽光利用の(=屋外培養の)フォト
バイオリアクターを用いるとリアクター
設置面積1平米当たり、
1日あたり 50 g
CO2 が微細藻類の藻体
に変換されるデ
ータが示された。冬、春、夏のいずれの
季節でもこの速度を上回ったので、通年
でこの能力が発揮できると考えられる。
温帯域の森林の通年のCO2 固定能力は
5g-
CO2 m-2d -1
なので、微細藻類は森林の
10
倍の能力
を示し、高等植物と微細藻類の
成長速度の違いに原因があるという。


 tricylglycerol分子

微細藻類を大量培養してエネルギ生産す
るアイデアは40年以上前にカリフォルニ
ア大学オズワルド教授が提案し、1970年
代終わりには太陽エネルギー研究所(現
在のNREL:NationalRenweable Energy labora-
tory
)に引き継がれエネルギー省(DOE
が資金を出したプロジェクトAquaicSpecies
Program-Biodeisel from Algae(APS
)で大々
的な脂質蓄積候補株の探索や、屋外のrac-
ewaypond
での培養なども実施されたが、
当時の原油価格の低さが原因でR&Dは一
時中断していた。日本においては同時期
に前述のRITE プロジェクトが走っていた
が、10年継続の後やはり経済的な理由か
R&Dは下火となる。

 Enclosed photobioreactors

事情が変化したのは2007年初頭のことで
ある。当時のジョージ・W・ブッシュ大統領
が年頭教書演説で「2017 年までに、年間
350億ガロンの再生可能燃料・代替燃料の
使用の義務化」をうたって以来、現在で
は、DOE だけではなくバイオ燃料企業、
石油元売, ベンチャーキャピタルなどが
藻類燃料ベンチャーに数百億円規模の投
資を行っている。



Schematic tubular photobioreactor

【なぜ高等植物ではなく微細藻類か?】



なぜ、高等植物ではなく微細藻類を利用
した燃料生産なのかの理由を挙げると次
のようになる。

①増殖速度が速い
②脂質のみならず炭化水素を生産する株
 もある
③食料と競合しない
④単位面積あたりのバイオ燃料生産性が
 高等植物の数倍になる
⑤高等植物の栽培に適さない土地も利用
 できる
CO2固定への寄与が高い
⑦農業生産というよりは工業生産に近い
⑧蒸散が無い

「蒸散」とは、高等植物が生命を維持に
植物体の隅々まで水を供給する機構をさ
す。根で吸収した水を地上部に送る力は
は、気孔からの蒸散に依存する。つまり、
淡水を空中に放出することで光合成及び
生命活動を可能になる。気孔の機構の制
御の自由度を上げることができれば高等
植物でも可能になることはブログしてき
たので(『アジアンタムと究極の成長戦
』)、西村いくこらの研究開発に注目
している。これに対し、微細藻類の場合、
開放系の培養なら培養池の表面からの蒸
発はあるものの積極的な蒸散を行う必要
は無い。つまり、今後不足が懸念される
淡水資源の有効利用という点からも高等
植物以上に微細藻類に期待がかかる。

海洋微細藻類の高層化培養によるバイオディーゼル生産海洋微細藻類の高層化培養によるバイオディーゼル生産 

CO2 固定と燃料生産が良いのか、垂直パネ
ル型とチューブ型を選んで
raceway 型と比べ
た。
Table 2 にその比較を示す。フォトバイオ
リアクタとしては
racewayと比較した。まず、
バイオマス生産量は垂直パネル型が最も良
い。獲得できるバイオマスエネルギー量も垂
直パネル型が最も良い。

















ところが、装置運転に要する動力(エネ
ルエネルギー損失)は垂直パネル型の消
費が最も多い。このリアクタの場合細胞
の沈降を通気撹拌で防いでいるので撹拌
動力を多く要するのが特徴である。また、
撹拌以外の要因でもエネルギー損失が多
く、ネットのエネルギー獲得量は垂直パ
ネル型が一番低い。チューブ型とraceway
型ではエネルギー獲得量はチューブ型が
上なのでチューブ型の選択が視野に入る
が、実は屋外大量培養を考えるとメンテ
ナンス性、即ち一つの培養から次の培養
までに要する手間、簡単に言えば洗浄の
手間が重要であり、チューブ型は洗浄が
難しい。

【課題と突破力】

現状では1kgの藻体の生産コスト285円、
油分が30%含まれるとすると油分のコス
トは950円/kg になる。高コストの主な
原因は低い生産性、培養施設の償却費、
油分抽出に係る電力消費、細胞の回収費
用など。培養工学的最適化や代謝解析と
遺伝的改変による生産性の向上、安価な
培養施設の構築、低消費電力型油分抽出
法の開発、新規固液分離法の開発で、一
定のコスト削減は達成できる。油分抽出
残渣の高度利用(バイオリファイナリー)
も課題だという。さらに、掘り下げてみ
ることに


コメント
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