長蛇の 車を横に 迎え盆 香に火をつけ 髪刈りて待つ


【鮭児より美味い信州サーモン】

長野県水産試験場(安曇野市明科)が、約
10年かけ開発したマス類の新しい養殖品種
「信州サーモン」。この品種は”ニジマス”
と”ブラウントラウト(ヨーロッパ原産の
マス)”をバイオテクノロジー技術を用い
て交配した一代限りの品種というのでその
特徴と工学(企業技術)をネット検索。

農林水産統計によると2006年の全国のマス
類養殖生産量は 10,994t で、内水面養殖生
産41,229tの26.7%、海面を含めた国内の
養殖生産30万tの3.7%を占め 長野県のマ
ス類養殖生産は1970年前後には4,000tを超
える生産があったが、その後は減少傾向が
続き、2006年は、1,831t。産業規模とする
と小さなものであるが、地域の食材が見直
される中で地場産業として重要な役割を果
たしているという。

次ののターゲットは「マスノスケ」
“Come back King Salmon !”


(水産庁研究指導課資料)
信州サーモンの開発は1994年にはじまる。
1980年からシナノユキマス(コレゴヌス)、
1987年からニジマス全雌三倍体の種苗供給
を開始。シナノユキマスはニジマスとは異
なる飼育技術が必要で、一部地域で特産魚
として定着するにとどまりニジマスからの
魚種転換は進まなかった。一方、ニジマス
全雌三倍体は、県内生産量が年間200t前後
と定着した。全国的に生産されたため地域
の特産魚としての販売が難しく、他産地の
大型ニジマスや、輸入サケマス類などとの
価格競争にさらされる。 信州サーモンとサケマス類の成分比較
また、ニジマスの大型魚でIHN(伝染性造
血器壊死症)レンサ球菌症OMVD(マス類
のヘルペスウイルス病)による被害が深刻
となり、有効な治療法がないウイルス病に
強い種苗の開発が強く望まれた。初期段階
では、魚種について交雑を試みて、作出さ
れた異質三倍体の特性を調べた。これをも
とに、ベースとなった魚種の魚病に対する
感受性、生まれた異質三倍体の生残率、斑
紋等の外観から、最終的にニジマスとブラ
ウントラウトの交雑種に絞って特性評価を
進める。
表 ニジマスとカワマス、ブラウントラウト、
イワナ及びヤマメの交雑試験結果
信州サーモン(ニジニジブラ)は、ニジマ
ス三倍体とほぼ同等。概ね2年で主要な商
品サイズの2kgとなる。ニジマス全雌三倍
体と同様に雌のニジニジブラは成熟しない。
ウイルス病の抗病性は、死亡率がニジマス
より低い。ニジマスを生産してきた人であ
れば新たな施設投資・技術習得の必要がない
という。食味は、淡水魚特有の臭みがほと
んどなく、きめが細かく舌触りがよく、適
度な脂の乗りがあるなど、刺身や昆布〆な
どの特に生食用に向いている。エネルギー、
たんぱく質、脂質の成分分析結果を他のサ
ケマス類と比較したところ、養殖魚として
は、高たんぱくで低脂質、低カロリーであ
り天然のサクラマス(『桜鱒とペイバック
タイム』)に近いという。
(1)普通のニジマスの受精卵(2n=二倍
体)に高い水圧をかけて染色体を2倍(
4n)に増やす。
(2)成長した四倍体(4n)の雌から採っ
た卵子にブラウントラウトの精子を受精さ
せ、三倍体を作る。三倍体は、雄も雌も子
どもを生まないが、雌は卵をもたないため、
その栄養が成長にまわり通常よりも大きく
なり肉質もよくなる。
(3)ブラウントラウトの雌を雄性ホルモン
で性転換させ、将来雌になるX 精子しか作
らないようにして四倍体ニジマスの卵子と
受精させる。 四倍体のニジマス
こうして、すべて雌の三倍体(信州サーモ
ン)が生まれ、長野県水産試験場が開発し
たこの技術(四倍体を使ってすべて雌の雑
種三倍体を作り出す)は、全国初の手法。
水圧処理で四倍体を作り出すのは難しいく、
三倍体を効率よく作り出す技術は「世界的
成果」だと高い評価されている。
尚、加圧処理法は倍加率が高く、安定した
作出方法であるが、大量処理が難しい。魚
種により処理条件が異なり、ニジマスは、
媒精5~20分後に650~700kg/cm2 で 6~7
分処理することによって倍数体魚が得られ
ている。
水産試験場の環境といえばのんびりとした
雰囲気が漂っていて、民間企業(営利組織)
の職場と大いに異なるという実感をもった
ものだが、養殖の最大ターゲットは「キン
グーサーモン」だ。世界に先駆け、海面養
殖などでけきればトップ・ニュースになる
だろうし水産立国のリーダたる日本の組織
力をもってすれば可能だ。
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【安全性は?】
信州サーモンは、養殖専用の品種として作
り出されたが、水産試験場から養殖業者へ
信州サーモンの稚魚を出荷する際には「絶
対に自然界へ出さないこと」としていると
いう。万が一養殖場から逃げ出した場合の
影響として、(ア)野生の魚と餌の取りあい
になること、(イ)信州サーモンは成長が早
く大型になるので小さな魚を食べてしまう
こと、が考えられるが、信州サーモンは卵
を持つことができない。川などの自然界で
子孫を残せない。万が一逃げ出してもその
影響は小さく、しかも一代限りという。
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【Intermission】
【海底電磁学】 後藤忠徳
海底の形状や資源を電気抵抗の三次元的測
定で探索しようというのが海底電磁学だ。
簡単にいうとGPSの海底版と考えて差し支
えないが、測定するにも地上とことなり桁
違いの投資が必要だ。だから集中的に南西
諸島で思考するというわけだ。そのために
は大変大きな「政治力」を必要としている
(『株式投資性行は未来の挑戦』)。
海底で電磁場を測定して、海底下の比抵抗
情報や比抵抗構造を得る電磁探査「海底電
磁探査」には(1)海洋MT(Magnetotelluric)
探査法(2)海洋CSEM探査( Controlled
Source Electromagnetic sounding)法(3)遠
隔操作型探査機(ROV)を用いた海底電気
探査法などがある。いずれにしても、当面
は安全・環境・融資面で政府系民営組織が
主体として進めることとなる。
この約50万km2 の調査ビジネスモデルが完
成すれば、国際連合機関を通して全球展開
させれば、36,106万km²÷50万km2 ≒720倍
一区画の調査を5年として、3,610年の仕事
量となり、国際展開すれば、百プロジェク
トの同時展開で、36年で終了することに机
上ではなる。“宇宙は米・ロ・中に任せて
“地球の核は日本が開発を!”はこのブロ
グで主張してきたことだが。