極東極楽 ごくとうごくらく

豊饒なセカンドライフを求め大還暦までの旅日記

白木と清酒と量子ドット(2)

2013年11月10日 | デジタル革命渦論

 

 

独立行政法人産業技術総合研究所から標記の特許が公開されたので、昨夜の残件分をブ
ログ掲載することに。

 

【多積層量子ドット構造体およびその製造方法、並びにそれを用いた太陽電池素子】

                                         特開2013-229388

【実施例】

次に、量子ドット構造体の説明。図6は、In0.4Ga0.6As量子ドット構造体および
InAs量子ドット構造体を、In0.48Ga0.52P上に成長した表面走査型電子顕微鏡
写真を示す。図6(a)はIn0.4Ga0.6As量子ドットを直接In0.48Ga0.52P上に
成長したもの、図6(b)はGaAsバッファ層2nmを介して成長したもの。図6(c)
はInAs量子ドットを、In0.48Ga0.52P上にGaAs10nmを介して成長したも
のである。図6(a)~(c)のいずれの場合にも、良好な形状を有する量子ドット構造体
が形成されている。なお、図6(a)~(c)において、「ML」はモノレーヤ(1分子層)
を意味する。

図6
In0.4Ga0.6As量子ドット構造およびInAs量子ドット構造を、In0.48Ga0.52
P上に成長した表面走査型電子顕微鏡写真

図7
In0.48Ga0.52P上に成長したIn0.4Ga0.6As量子ドット構造体およびInAs量
子ドット構造体の
フォトルミネッセンス発光特性

図7は、図6(a)~(c)に示した量子ドット構造体をそれぞれのバッファ層で埋め込み、
77Kにおいて測定したフォトルミネッセンス発光特性を示す。図7において横軸は
WAVELENGTH(波長)(単位:nm)、縦軸はPL INTENSITY(発光強さ)(単位:a.u.)を表す。
それぞれの量子ドット構造体は、それぞれが形成する量子準位エネルギー(図10のE12
に相当)において発光している。
図7(a)中のI、II、IIIは、InGaAs上の量子ドッ
トが1ML、1.3ML、1.8MLのときの特性図を示す。また、図7(b)においてIV
はGaAs層の厚さが2nmで量子ドットが7MLのとき、VはGaAs層の厚さが10
nmで量子ドットが7MLのときの特性図を示す。更に、図7(c)においてIV、V、VI
は、GaAs層の厚さが40nm、10nm、2nmのときの特性図を示す。これらの図7
(a)~(c)の各特性のピーク波長(nm)、室温でのE12(eV)、予想E23(eV)を
まとめると以下の表のようになる。

表1

 

室温でのエネルギーに換算すると、図7(a)では約1.4eV、同図(b)では約1.2e
V、同図(c)では約1.1eVに相当する。これらの量子ドット構造体が作る中間バンド
を利用すれば、図7(a)、(b)、(c)においてE23はそれぞれ約0.3、約0.5、約
0.6eV程度となり、理想に近い中間バンド太陽電池の作製が可能である。また、図7
(b)における量子ドットは半値幅が20meVと狭く、サイズの均一性に優れることを
示している。

図8

太陽電池素子の一実施例の特性を多積層量子ドット構造体を有しない太陽電池素子の各特性
を対比して示す図


このようにして本発明の多積層量子ドット構造体を用いた太陽電池素子(多積層量子ドッ
ト太陽電池)の特性を種々取ってみた所、図8に実線IXで示すように、望ましい特性を得
ることができた。
図8において、縦軸のCurrent Densityは太陽電池素子の電流密度(単
位:mA/cm2)、横軸のVoltageは太陽電池素子に印加される電圧(単位:V)を表す。
また、電流密度ゼロの点はVoc(開放電圧)(単位:V)、電圧ゼロの点はJsc(短絡電流)(単
位:mA/cm2)を表し、FFは特性の形状を表す。なお、図8中には、参考として、
多積層量子ドット構造体を有しないIn0.48Ga0.52P太陽電池素子の特性Xも合わせて
示す。図8に示すこれらの特性を下表2にまとめる。なお、「QD cell」はこの多積層
量子ドット構造体をもつ太陽電池素子の特性、「ref.cell」は多積層量子ドット構造体
をもtない参考用の太陽電池素子の特性を示している。

表2

図8から分かるように、InGaAs量子ドット構造体層を10層有する実施例の太陽電
池素子では、多積層量子ドット構造体を有しない太陽電池素子と比較して短絡電流Jsc
が増加していることがわかる。これは、量子ドット積層構造体による光の吸収が増加し
たためである。一方、多積層量子ドット構造体をもたない太陽電池素子と比較して開放
電圧Vocが減少しているが、これは量子ドットの間隔が21nmとまだ大きく、中間バン
ド形成には不十分であると考えられている。
実施例の太陽電池素子の変換効率は、In
GaAs量子ドット構造体層を10層有する場合7.9%、有しないIn0.48Ga0.52P
太陽電池素子は8.2%であった。量子ドット積層構造体を有する電池の特性の方が低く
なっているが、今後の研究展開により電圧の改善は可能だとする。この太陽電池素子は
In0.48Ga0.52Pを母体としたInGaAs量子ドット太陽電池素子を初めて実現し


図9は、この太陽電池素子の一実施例の外部量子効率を、本発明の多積層量子ドット構
造体をもたない太陽電池素子のそれと対比して示す図で、図9において、横軸はWAVELE-
NGTH(波長)(単位:nm)、縦軸はQUANTUM EFFICIENCY(量子効率)を表す。また、図9の
XIは、この太陽電池素子の一実施例の外部量子効率を、XIIは多積層量子ドット構造体を
もたない太陽電池素子の外部量子効率を示す。


図9 実施例の外部量子効率を、本発明の多積層量子ドット構造体を有しない太陽電池
   素子のそれと対比して示す図

図9から分かるように、実施例の太陽電池素子の外部量子効率は、In0.48Ga0.52P
太陽電池素子の吸収帯よりも長波長側(670nm以上)において、InGaAs量子ドット
積層構造層による吸収が見られる。これが図8における短絡電流の増加につながってい
る。これらの結果から、このInGaP上多積層InGaAs量子ドット太陽電池素子
は、GaAsやSiでは吸収できない長波長の光を吸収し、電流とすることができる
また、中間バンドの位置を制御することにより、理想の中間バンド太陽電池が作製可能
となる。

実施例では、多積層量子ドット構造体にドーピングせずにi層とし、太陽電池構造とし
てp-i-n構造(表面側がp層)を採用、多積層量子ドット構造体をn型にドーピング
し、p-n-n構造とすることもできる。多積層量子ドット構造体に任意の濃度のドー
ピングを施すと、量子ドットの作る中間バンドにキャリアを注入することができる。そ
れにより中間バンドから伝導帯へのキャリアの遷移が促進され、より効率的に光が吸収
できるようになるので、変換効率の高効率化が期待される。

また、上記p-n-n構造は、n-p-p構造としてもよい。この場合は基板としてp
型の基板を採用し、図5のn層をp層、p層をn層とすることで実現できる。多積層量
子ドット構造体はp型にドーピングする。なお、図5に示した実施の形態の太陽電池素
子10では、GaAsバッファ層141の上にIn0.4Ga0.6As量子ドット層を直接
成長したが、その間に例えばIn0.2Ga0.8As層を2nm程度結晶欠陥が発生しな
い程度の厚さを挟むことにより、量子ドット層の歪が緩和され、さらに高品質な積層構
造が作製できる。また、この場合は歪緩和効果により、太陽電池素子はさらに長波長領
域でも光応答特性を持つことになり、太陽電池特性の向上が期待される。

以上、また一歩量子ドット型太陽電池技術の高度化に繋がる発明提案がなされ、ポスト・
メガソーラー社会の扉が敲かれることとなった。”求めよ、さらば与えられん。尋ねよ、
さらば見出さん。門を叩け、さらば開かれん(Ask, and it shall be given you(Seek, and ye
shall find
).Knock, and it shall be opened unto you.)”と。

      Breakfast at Tiffany's

 

【ポリフェノール清酒の開発】 

ワインのポリフェノール含有量は製造過程の圧搾・濾過・発酵により異なることは周知の通りだ
が、清酒に関するそれはどうなんだろう?つまり、清酒もポリフェノール含有量を多くすることは
できないかと考えた。 イネに含まれる機能性フラボノイド成分の分析研究は随分なされてきて
いる(例:イネ若葉に含まれる機能性フラボノイド成分)。それで?玄米を醸造し最適化すれば
解決する。既に上市されているし、ワイン酵母やスパーリングもある。リッターあたり五百円(税
込み)以下で販売すれば世界展開が見えてくると、至ってシンプルな結論となった。

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする