【ご近所にパワースポット】
近くの住宅地にソーラパネルが設置されていると言うので、外出のついでにと、現地にいくと、な
る程いつのまにかパネルが設置されている。設置理由や仕様はわからないが、安全柵などの管理設
備がなく、パネルの反射光対策が行われているか詳細が甚だ不明で、首を傾げ帰ってきた。早速、
エクセルで、シリコン系(アモルファス?)、南向き、傾斜角はほぼゼロ、パネル面積300平方メー
トル、定格出力、 300kWh、照射時間 3.5時間、住宅の一ヶ月の平均消費電力 300kWh/月(=約16軒
分相当)と想定出力を計算してみた。変換効率を20%とすれば21軒分相当、パネル面積を450平方メ
ートルとする 約32軒分相当する電力がまかなえることになる。忽然とパワースポットが出現したが
算盤優先じゃなく、もう少しウエルカムなパワースポットであれば良かったのにと思った次第。
【量子ドット太陽電池最新特許:2件】
近年、窒化ガリウム(GaN)などのIII族窒化物半導体は、高品質の短波長発光を出力し得る発
光ダイオードやレーザダイオードなどの半導体発光素子を実現できるが、半導体発光素子は、有機
金属化学気相堆積(MOCVD:Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法や分子線エピタキシ(
MBE:Molecular Beam Epitaxy)法などの結晶成長技術を使い、基板上にIII族窒化物半導体積層
を形成しつくる。この技術は、積層構造生成の積層制御性をもち、基板の面内方向に沿って形成す
る結晶加工技術に、(1)トップダウン型と(2)ボトムダウン型とがあり、(1)は、結晶び成
長後に結晶加工し構造形成する技術であり、(2)は、結晶成長前に下地基板を予め加工し、この
下地基板上に結晶の成長と構造を同時形成する。ただ、(1)は、加工により結晶がダメージを受
けやすく、特に、微細構造を形成したときにその微細構造の表面積が大きくなるという問題がある
が、(2)のプロセスでは、微細構造と良好な結晶品質とが共に得られやすいという。ところで、
GaNナノコラムは、基板上の島状のFe粒を核として形成されるが、GaNナノコラムの位置や
形状にバラツキが生じやすく、GaNナノコラムを規則的に配列させることが難しく、このバラツ
キが半導体発光素子の特性のバラツキとなる。たとえば、GaNナノコラムの発光波長にバラツキ
が生じて所望の発光色が得られない。
上図の提案によると、III族窒化物半導体からなるナノメータオーダーの微細柱状結晶(「ナノコ
ラム」、「ナノロッド」あるいは「ナノピラー」と呼ばれる。)の位置制御および形状制御に関し、
複数の開口部を有するマスクパターンを基板上に形成した後、開口部から微細柱状結晶を選択的に
成長させる工程に着目し、微細柱状結晶の発光波長あるいは光吸収波長を制御を実現。つまり、
図1のように、複数の凹部が形成された主面を有する半導体基板と、この主面上に形成され、かつ
複数の凹部の直上にそれぞれ複数の開口部を有するマスクパターンと、複数の凹部からこの開口部
を介してマスクパターンの上方に向けて成長したIII族窒化物半導体からなる複数の微細柱状結晶と、
複数の微細柱状結晶上にそれぞれ成長した活性層と、これを被覆する半導体層とを備える半導体光
素子アレイで、基板上に形成された微細柱状結晶の位置と形状を高精度に制御し、微細柱状結晶の
発光波長あるいは光吸収波長を制御できる構造の半導体光素子アレイとその製造方法を提供してい
る。
JP 2013-239574 A 2013.11.28
量子ドットナノワイヤーアレイを備えた太陽電池の製造方法が記載されている。この太陽電池は、
p型半導体とn型半導体とを接合する接合部に、量子ドットが埋め込まれたナノワイヤーがアレイ
状に配置。この構造で電子及び正孔の伝導効率を向上させている。たとえば製法例によると(1)
p型半導体層の上部に、媒質薄膜と半導体薄膜とを交互に所定回数繰り返して積層し、多層膜の複
合積層体を作成。(2)複合積層体上にマスクを形成する。(3)エッチングで複合積層体を部分
的にエッチングしてナノワイヤーを得る。(4)得られたナノワイヤー間の空間を半導体物質で埋
めている。ここで、半導体薄膜はSi層であり、媒質薄膜はSiO2層又はSiN層であり、PV
D又はCVDを用いて成膜。また、エッチングは化学的湿式エッチング又はイオンビームエッチン
グにより行われている(特表2011-530829)。ところで、PVDやCVDの成膜では、結晶性の良
い複合積層体を成膜に750℃以上に昇温する必要があり、750℃以上の温度条件に耐えうる基板が必
要で、基板コストを増大させ、基板サイズを大きくして生産性を向上させることが困難とされる。
そこで、半導体膜形成ステップは、マイクロ波を発生させるプラズマ処理装置を用い、被処理体の表面温度
を400℃以下に保ち、被処理体表面に半導体膜を積層する。絶縁体膜形成ステップは、被処理体表
面温度を400℃以下に保ちシリコン膜上に絶縁体膜を積層。半導体膜形成ステップと絶縁体膜形成
ステップを交互に所定の回数繰り返し、多層膜の積層体形成し、マスク形成ステップとエッチング
ステップでは、積層体上へ形成したドット状のマスクを用い積層体をエッチングする。埋込ステッ
プでは、このプラズマ処理装置を用い、被処理体の表面温度を400℃以下に保った状態で溝部に絶
縁体膜を堆積させることで課題を解決できるという(上図参照)。
以上、このように量子ドット形成加工量産技術が、日々、鋭意研究開発されているわけです。
【日本経済は世界の希望(9)】
この節で、デジタル革命の基本特性を抜きにして世界経済社会を(確度を担保して)語れないと激
白しているようにみえる。つまり、理工領域より相関係数(決定係数)の低い、社会科学領域は、
あの楽天イーグルスを優勝に導きだした経営者のように、データのサンプリングから予測・制御す
るための標語や数値を適切に導き出すアルゴリズムの有無がアドバンテージを高くする現在-そん
なことは言われなくても平均的な知力を備えた日本人なら既に了解していることだが-相も変わら
ず、4世紀、イタリアで発明された複式簿記の積み上げ方式の一本足打法では-だからこそ、財務
族やあらゆる組織の経理部のインナー(それを支える“お局”など)が跋扈する-もはや、この複
雑系を扱えず、生産性低下は不可避なのだが、次の節の「英語はグローバル経済の入り口」は今の
ところそれは“妥当”だという以外に意味はない。英語は必要になれば喋れる(あるいは中国語は
必要になれば喋れる)と考える。上手く喋れなくても、外国語構文を正確に翻訳解釈できる、ある
いはそれをヒントに問題解決や新たな地平を切り開いていく能力の有無、多寡が大切だということ
がこの節の本質テーマだろう。たしかに、ヒアリングができなければ理解できないことが多いだろ
うが、ヒアリングが出来ても、真意を歪曲、誤解という過ち犯すこともある。昨夜から、第五章を
掲載してきたが、次回は、終章(序章をの一部を含む)と解説(山形浩生)に入る。
ピッグデータが激変させる世界経済
十年後の世界経済ははたして、いまよりもよくなっているだろうか。
私は悲観、楽観両方の意見をもっている。おそらく状況はいまより改善するだろう。しかし
成長スピードは鈍化する。いずれはいまのような状態からは脱却できるだろうが、そのために
は時間が必要だ。
二年後の世界経済についてはまったく楽観的でない。五年後になるとそれより少し楽観的に
なり、十年後はさらに楽観的になる。十五年後はますますその楽観に拍車がかかり、三十年後
にはコンピュータがわれわれよりも賢くなって、代わりに悩んでくれる。
つまり、将来になればなるほど、私は楽観的な気持ちを抱けるようになる。おそらく三十年
後、世界経済はITが牽引していくだろう。とくに従来のデータベース管理システムでは記録
や保管、解析が難しい巨大なデータ群、すなわちビッグデータがITの可能性を拡大し、経済
にも甚大な影響を及ぼす。
すでにその兆しはある。音声認識技術のテクノロジーの進歩は驚くべきものだ。いまから五
年前、それは悪い冗談のような水準でしかなかった。いまでもかなり不完全ではあるが、まっ
たく使い物にならなかったころに比べれば、かなりマシだ。
誰かから受け取った電話メッセージが活字になって残される。それはビッグデータがあるか
らこそ可能だ。われわれがいまできるのは膨大なデータベースを使い、会話を活字に変換する
だけである。コンピュータが話せるようになると思われていたが、いまだにそれは実現してい
ない。
機械翻訳も同じことだ。かつてそれはまったく役に立たなかった。そこからずいぶん改善が
みられたが、まだまだグーグル翻訳で詩を読もう、と思えるレベルではない。私には好きなフ
ランスの歌手がいて、実際に彼女の歌の歌詞をグーグル翻訳で訳してみた。そうすると、内容
が理解できる個所もあれば、不明の個所もあった。翻訳自体が原因ではなく、もとのフランス
語が曖昧であることが問題だったのかもしれないが、まったく役に立たない、というレベルか
らは格段に進歩していたのだ。
英語はグローバル経済の入り口だ
十年後の日本についても見通しを述べておこう。私は日本がOECDに属する健全な経済国
になっていることを、心から望みたい。いわばイギリスの超大型版ともいえる、世界第三位の
経済大国の地位を占めているはずだ。
イギリスはもはや、超大国ではない。金融危機が起こる以前、二〇〇七年前後のほうが、イ
ギリスはその存在感を放っていた。いまやイギリスのリーーダーシップはさほど強くないが、
ユーロに加入しないで成功したと呼べる経済力をもち、世界のなかで重要な役割を果たし、独
力で存在しつづけている。
日本がこれから十年のあいだにうまく経済運営を行なえば、そうしたイギリスの二倍のサイ
ズの通貨をもった独立国になれるはずだ。
そこで絶対的に必要になるのは英語教育だろう。ドルがグローーバルな通貨であるのと同じ
ように、英語はグローバルな言語である。これからもその趨勢に変化はない。
もちろん、これから五十年後には、中国語(北京語)が世界の共通言語になっているかもし
れない。しかし現段階で英語を話せることは、グローバル経済へ参加するために不可欠だ。英
語をうまく操れる国には、大きなアドバンテージが存在する。
日本の政府高官の英語力は、この十五年のあいだ、まったく向上していない。それが率直な
印象だ。興味深い比較について話そう。三十年前、私がアジア経済について研究を始めたころ、
英語を話すことのできる韓国人に出会うのは稀だった。たとえ話せたとしても、その英語はほ
んとうにひどいものだった。
いまはどうだろうか。韓国人の英語は見違えるほど上達した。かつてアメリカに留学してい
る日本人の数はそうとうなものだったが、その留学生の数でもいまや、韓国は完全に日本を上
回っている。
米国際教育研究所の調査によれば、アメリカで学ぶ外国人留学生の数は二〇一〇~一一年に
七二万人超と過去最高を突破したが、そのなかで韓国人は約七万人と全体の三位。日本人は七
位の約二万人だ。
そもそも韓国で、内向きになる、というのは非常に困難である。韓国の人口は日本の四割に
すぎず、GDPの半分も輸出業が占めている。そうした状況のなかでは、グローバル志向にな
らざるをえない。もちろん両国には文化的な違いも存在している。
アメリカも内向きだが、大国であるために、他国がわれわれの国家の言語を学ぶ偶然に恵ま
れている。ほとんどのアメリカ人は、英語以外の言語を話さない。私も同じだ。
最近パリに行き、イタリアの前閣僚評議会議長であるマリオ・モンティと対談した。問題は
それを何語でやるかということだが、彼は「私は英語かフランス語かイタリア語ならできます
が」という。「うわ、こっちは1つしかできないのに/」と思ったものだ。そうした状態であ
っても、私は国際経済学に携わることができている。
同じような条件が日本で成立するだろうか。その外には大きな世界がある。英語で意思疎通
することは、日本にとって多大な利益をもたらすだろう。
英語はグローバル経済の入り口である。好むと好まざるとにかかわらず、それが眼前にある
現実だ。教育の重要性を語る前に、まずは英語をマスターしなければ始まらない。そこから十
年後の未来が切り拓かれるのだ。
ポール・クルーグマン 『そして日本経済が世界の希望となる』
翌日からみさきは家福の専属運転手となった。午後の三時半に彼女は恵比寿にある家福のマ
ンションにやってきて、地下の駐車場から黄色いサーブを出し、彼を銀座にある劇場まで送り
届けた。雨が降っていなければ、屋根は開けたままにしておいた。行きの道、家福はいつも助
手席でカセットテープを聴きながら、それにあわせて台詞を読み上げた。明治時代の日本に舞
台を移して翻案したアントン・チェーホフの『ヴァーニャ伯父』だ。彼がヴァーニャ伯父の役
をつとめていた。すべての台詞を完璧に暗記していたが、それでも気持ちを落ち着けるために
日々台詞を復唱する必要があった。それが長いあいだの習慣になってい帰り道はだいたいベー
トーヴェンの弦楽四重奏曲を聴いた。彼がベートーヴェンの弦楽四重奏曲を好むのは、それが
基本的に聴き飽きしない音楽であり、しかも聴きながら考え事をするのに、あるいはまったく
何も考えないことに、遺しているからだった。もっと軽い音楽を聴きたいときには、古いアメ
リカン・ロックを聴いた。ビーチポーイズやラスカルズやクリーデンス、テンプテーションズ。
家福が若い頃に流行った音楽だ。みさきは家福のかける音楽についてはとくに感想を言わなか
った。彼女がそれらの音楽を好んでいるのか、苦痛に思っているのか、あるいはまったく何も
聞こえていないのか、家福にはどれとも判断できなかった。感情の動きが表に出てこない娘な
のだ。
普通ならそばに誰かがいると緊張して、声に出して台詞を練習することなんてとてもできな
いのだが、みさきに関してはその存在が気にならなかった。そういう意味では、彼女の無表情
で素っ気ないところが、家福にはありがたかった。彼が隣でどんな大きな声で台詞を口にしよ
うと、彼女はまるで何も耳に入っていないように振る舞った。あるいは実際に何も耳に入って
いなかったのかもしれない。彼女はいつも運転に神経を集中していた。あるいは運転によって
もたらされる特殊な禅の境地にひたっていた。
みさきが自分のことを個人的にどう思っているのか、家福にはそれも見当がつかない。少し
くらいは好意を抱いているのか、まったく何の興味も関心も持っていないのか、あるいは虫ず
が走るほど嫌なのだが、ただ仕事がほしくて我慢しているだけなのか、それすらわからない。
しかしどう思われていようと、家福にはとくに気にならなかった。
彼はその娘の滑らかで確実な連転が気に入っていたし、余計なことを言わず、感情を表に出
さないところも気に入っていた。
舞台が終わると家福はすぐに舞台化粧を落とし、服を着替え、速やかに劇場をあとにする。
ぐずぐず居残っているのは好きではない。役者同士の個人的なつきあいもほとんどない。携帯
電話でみさきに連絡を取り、楽屋口に車をまわしてもらう。彼がそこにいくと、黄色いサーブ・
コンバーティブルが待っていた。そして十時半過ぎには恵比寿のマンションに戻る。それがほ
ぼ毎日繰り返された。
それ以外の仕事が入ることもある。テレビの連続ドラマの収録のために、週に一度は都内の
テレビ局に出向かなくてはならなかった。平凡な刑事物のドラマだが、視聴率は高かったし、
ギャラもよかった。彼は主人公の女刑事を助ける易者の役だった。その役になりきるために彼
は変装して実際に何度も街に出て、本物の易者として通りがかりの人々の占いをした。よくあ
たるという評判まで立った。夕方までにその収録を終え、その足で急いで銀座の劇場に向かう。
この部分がいちばんリスキーだ。週末にはマチネーを終えたあと、俳優の養成学校で演技の夜
のクラスを受け持った。家福は若い人々を指導するのが好きだった。そういう送り迎えもすべ
て彼女がおこなった。みさきは何の問題もなく、予定通りに彼をあちこちの場所に送り届け、
家福も彼女の運転するサーブの助手席に座っていることに慣れていった。時には深く眠り込む
ことさえあった。
気候が暖かくなると、みさきはヘリンポーンの男物のジャケットを脱いで、薄手の夏物のジ
ャケットに替えた。運転するときには、彼女は常に必ずどちらかのジャケットを着用した。た
ぶん運転手の制服のかわりなのだろう。梅雨の季節になり、車の屋根が閉められることが多く
なってきた。
家福は助手席に座っているとき、亡くなった妻のことをよく考えた。みさきが運転手を務め
るようになって以来、なぜか頻繁に妻のことを思い出すようになった。妻もやはり女優で、彼
より二つ年下、美しい顔立ちの女だった。家福はいちおう「性格俳優」ということになってい
たし、人ってくる役もいくぶん癖のある脇役であることが多かった。顔はいささか細長すぎる
し、髪は若いうちからもう薄くなり始めていた。主役には向かない。それに比べると妻は正統
的な美人女優だったし、与えられる役も収入も、それに相応しいものだった。しかし年齢を重
ねるにつれて、彼の方がむしろ個性的な演技派の俳優として、世間で高く評価されるようにな
っていった。それでも二人はお互いのポジションを認め合っていたし、人気や収入の違いが彼
のあいだで問題になることは一度もなかった。
家福は彼女を愛していた。最初に会ったときから(彼は二十九歳だった)強く心を惹かれた
し、妻が死ぬまで(彼はそのとき四十九歳になっていた)気持ちは変わらなかった。結婚して
いる間、妻以外の女と寝たことは一度もない。そういう機会もなくはなかったが、とくにそう
したいという気持ちは起きなかった。
村上春樹 『ドライブ・マイ・カー』
文藝春秋 2013年12月号掲載中
米国のエネルギー省のプロジェクト(5国立研究所、 5大学、民間企業のコラボレーション)で
も人工網膜の研究開発進んでいる。さらに同プロジェクトでは、高度なポリマーベースの微細加工
方法で第三世代人工網膜デバイスの生体適合性の微小電極アレイを開発研究中とか。 実に面白い。
昨夜、「スペースシップアースの未来」(第一回「止まらない「客室」の膨張」)を観賞した。そ
して、録画した映像を翌朝見て、「滋賀県の流域治水シンポジウム」が開催されるから、あなたも
参加しろとか、近くにソーラーパネルが導入中だから除いてみてはそうかと矢継ぎ早に話す。言う
のは簡単だけどと、この二件をかたづけた(前者は、主宰する研究所の公式ホームページに開催案
内を掲載し、後者は見学し?ブログ掲載する)。