極東極楽 ごくとうごくらく

豊饒なセカンドライフを求め大還暦までの旅日記

目にみえない脅威

2013年11月20日 | 時事書評

 

 

【そして日本経済が世界の希望になる】

白髪を恐れるのは、実質年齢を意識するからだ。恐れるより慣れろ!、としても染めている地毛と白
髪の地毛に完全に置き換わるまでのその”実体験時間帯”の自分が不安なのだ!?彼女は毛染め料を
コストレスを理由に簡単に、もう染めるのを止めにしては!?というが、その彼女自身も毎度毎度自
分で染めている。そんなことを考えながら、理髪店に足を運びマスターにその話をすると、案の定、
その落差は大きいよと話す。だから、染めてもらった。料金だけが問題なら家で染めても良いのだと
腹を決める。その話は横に置いて、ポール・クル−グマン著の『そして日本経済が世界の希望になる』
を買って帰り、早速、速読した感想を書こうと思う。ここで、”インフレーターゲット”
は元々、高
いインフレ率に苦しむ国で採用され、インフレ率が低い時は、通貨量を意図的に増加させて(公開市
場操作)緩やかなインフレーションを起こして、経済の安定的成長を図る政策(リフレーション、通
貨再膨脹)となるもので、マネーサプライと物価との関係が不安定となったことが導入の背景にあり、
1930年代のスウェーデンで物価水準目標(price-level target)が数年間実施された後は、1990年に
ニュージーランドが採用するまでインフレターゲットを採用する中央銀行は存在しなかった。

ところが、1990年のニュージーランドで導入されたのを皮切りに、1990年代イギリス・スウェーデン・
カナダ・オーストラリア、ブラジル・チリ・イスラエル・韓国・メキシコ・南アフリカ・フィリピン・
タイ・チェコ・ハンガリー・ポーランドなど、2012年現在は20カ国以上で導入。米国の中央銀行にあ
たるFRB(連邦準備制度理事会)はインフレ率以外にも雇用(Employment Act of 1946)に責任を負
っており、インフレターゲットを見送るが、2012年1月25日に長期インフレ目標値を公表する方針を
示し、インフレターゲット導入に転じ、2012年時点で先進国においてインフレターゲットが採用され
ていないのは日本のみであったが、2013年1月22日に日本銀行は「中長期的な物価安定の目途」を
「物価安定の目標(Price Stability Target)」に変更し、物価上昇率を1%から2
%に引き上げてい
る。

バブル崩壊以降、なすすべなく「失われた20年('ロスト・スコア')」をすごしてきた日本。1998年に
論文「It's Baaack!」で無為無策を痛烈に批判したクルーグマンが、「異次元の金融緩和」で劇的に
変化しはじめた日本経済にいま、熱い「期待」を寄せている。
なぜ長きにわたってわが国はデフレか
ら脱却できなかったのか。
どうして人びとはインフレを過剰に恐れるのか。かつてと様変わりした中
央銀行の役割とは。
そして日本・世界経済はこの先、いったいどのような未来を描くのか。アベノミ
クスの理論的支柱であるノーベル賞経済学者が「ロールモデルとしての日本」の可能性を語り尽くす。
アべノミクスは完全に正しい! 世界で最も著名な経済学者が金融緩和の力、日銀の使命、日本経済
の未来を解析。

※クルーグマン,ポール

1953年ニューヨーク州生まれ。74年イェール大学卒業。77年マサチューセッツ工科大学で博士号を取
得。プリンストン大学教授。ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス教授も兼任。大統領経済諮問
委員会の上級エコノミスト、世界銀行、EC委員会の経済コンサルタントを歴任。1991年にジョン・
ベイツ・クラーク賞、2008年にノーベル経済学賞を受賞。『ニューヨーク・タイムズ』紙のコラムは
マーケットを動かすほどの影響力をもつといわれる。非常に簡単な仮定(仮定)の上に、シンプルな
モデルを作くり説明する手法が特徴。例えば、国際貿易理論に規模による収穫逓増を持ち込み、産業
発生の初期条件に差がない国同士で比較優位が生じて、貿易が起きることを上手くモデル化すること
に成功した。これは、自動車産業など同種の製品を作る産業が、米国や欧州、日本にそれぞれ存在し
て、互いに輸出しあっている現実を、上手く説明。また、国際貿易理論を国内の産業の分布に当ては
め、地域間の貿易をモデル化し、ハリウッドやデトロイトなど特定の産業が集約した都市が、初期の
小さな揺らぎから、都市として成長して自己組織化する、都市成長のモデルも作り上げたり、変動為
替相場では、投機家の思惑が自己成就的な相場の変動を作り出し、変動為替相場が本質的に不安定で
あることを説明している。

国際経済学という顔をもつクルーグマンだが、まとまったものを読んだのは。『クルーグマン教授の
経済入門』 山形浩生訳、メディアワークス、 1998年(原題“The age of diminished expectations ”)
が初めてだと記憶しているが(それより以前は、エコノミストの雑誌のコメント、時事評論が最初)、
ケインズ主義から転向した新自由主義経済学者程度にしか見ていなかったが、その時評論点に注目し
てきた。といっても、この著書もそうなのだが、経済現象学としての価値を認めるものの、構造的考
察への軽さが残ってきた。

早速、めぼしいと思われるところからその論調を覗うことにしよう。彼はまず、その経済条件とは、
物価の下落が実質的な借金を増やすという事実である)アーヴィング・フィッシヤーによれば、実質
利子率と期待インフレ率の和が名目利子率になる(フィッシャー方程式)。期待インフレ率が1パー
セント低下したとき名目利子率も1パーセント低下するという、インフレ率と名目利子率とのあいだ
の一対一対応の関係(フィッシャー効果)が成り立つとき、 デフレが進行すれば、実質利子率は名
目利子率に比して高まることになる。したがって、デフレが実質的負債の増加を招き、名目的な経済
規模は縮小する。また、インフレになると賃金も上がり、同時に物価も上昇する。だから賃金の上昇
分はインフレによって失われると考える人もいるが、完全に誤った考え方だ。デフレを好む人は、も
し物価が上がり、賃金が据え置きになれば状況は悪くなる、というが、インフレ率が上がれば、賃金
も上昇すると考えるのが現実的だ。逆にいえば、自分の給料が年率2パーセント上昇したとき、物価
が下落していれば生活水準は上がる。しかし実際には、人びとの給料は2パーセントも上昇しない。
賃金も同時に下落しはじめるからであると説明した上で次のように述べる。


 それでも人びとはインフレを恐れているようだ。そうした根拠のない恐怖を私は「ファントム・
 メナス」(目にみえない脅威)と呼ぶ。ご存じのとおり「ファントム・メナス」とは、もともと
 映画『スターウォーズエピソードー』のタイトルである。経済理論やそれに関連した歴史につい
 てまったく知識がなければ、ハイパーインフレが来る~!という言葉に簡単に馴されてしまう。
 しかし現実には、そうした事態は起こらないだろう。FRBがインフレ指標として注視する米P
 CEコアデフレータが五十年ぶりに過去最低に迫ったことは、第1章で述べたとおりだ。
   OECDや国際決済銀行では有力なエコノミストたちが何人も、毎年のようにインフレヘの警
  告を繰り返してきた。2010年、OECDがFRBに対して短期金利を0.35パーセント引き上げる
 ようアドバイスしたことを、けっして忘れてはならない。彼らのいう「インフレがやってくる!

 という議論こそ、私にいわせれば「ファントム・メナス」である。危険はすぐ目の前にある、と
 いう考えは、現実をみていない勘違いだ。そうした「ファントム・メナス」はいくらでもみつか
 る。まず、金融緩和が「財政ファイナンス」につながる、という懸念を示す人たちがいる。日本
 のように巨額の財政赤字を抱える国が紙幣を印刷することでしか資金を得られなくなったとき、
 ハイパーインフレという話は当然出るだろう。もちろん実際にそうした事態が引き起こされ、現
 代のジンバブエや1920年代のワイ了-ルドイツのようになるなら、大いに危惧すべきだ。
   しかし現実には、いまの日本に差し迫った問題は存在しない。過去に中央銀行がハイパーイン
 フレを許したのだから、今後も同じことが起きるだろう、といいたい人もいるようだが、極端で
 少し意地の悪い言い方をすれば、日本が再び中国を侵略することがこれから起こるだろうか。
  日本は過去にハイパーインフレを経験したが、それは破滅的な戦争が起こったからだ。金融緩
 和だけでハイパーインフレが起こる、というのは完全な間違いである。金融緩和は日本政府が税
 金を徴収する能力を取り除かない。あるいは日本の金融証券市場へのアクセスを阻害するもので
 もない。

                        「第2章 デフレ期待をただちに払拭せよ」


その上で、いうまでもないが、2パーセントのインフレ目標を達成し、そこで財政赤字がかなり減少
するならば、たとえ借金が完済されることはなくとも、一定の割合で減っていくのは間違いない。名
目金利が物価上昇率を下回る実質マイナス金利の状態になれば、さまざまな政策を打ち出せる可能性
が生じてくる。最近ではそうした状態に対し、公的債務負担を圧縮して、人為的に金利を低く抑え込
む「金融抑圧政策」だと呼ぶ人もいるが、もしそう呼びたければ呼べばよいだろう。中央銀行のバラ
ンスシートうんぬん、という議論が的外れであることは、ここまでの議論で検証したとおりだ。そう
した「金融抑圧」状態が、経済的に悲惨な状況をもたらす、というわけではないからであるとして、
次のように軽妙に述べる。


 そう考えれば、消費増税についてどのような考え方が適正か、ということも、おのずと明らかに
 なるだろう。日本に対してIMFやOECDはしきりに消費増税の実施を要求しているが、いっ
 たい何を考えているのか、私には理解できない。
  日本人ならみな知っているように、日本は消費増税にトライし、失敗している。かつて"1997"
  という映画があったではないか。私の記憶が間違っていなければ、そのストーリーは、消費税を
 3パーセントから5パーセントに引き上げたら、それが「1998年リセッション」の引き金になっ
  た、というものだったはずだ。
  責任ある財政を求める時期尚早の努力は、回復をかえって遅らせ、経済を弱らせる結果を招い
 てしまう。2002年4月にS&P(スタンダード&プアーズ)は日本国債をダブルAからダブルA
 マイナスヘと格下げしたが、人びとが心配していたような事態は起きなかった。
  IMFが過ちを認めたことは先に述べたとおりだが、OECDが最近取り組んだこともほとん
 どが間違いだ。2010年OECDの勧告にしたがって、FRBが短期金利を0.35パーセント引き上
 げていたら、いまごろアメリカ経済はひどい有り様になっていただろう。同じくイギリスにもO
 ECDは緊縮政策を勧めたが、奏功したとはいいがたい。「OECDのアドバイスは無視すべき
 」。これが、日本に対する私のアドバイスだ。

                     「第4章 インフレ率2パーセント達成後の日本」


この様に論考解説した上で、財政と増税に関する日本国民の関心は、これから先の社会保障制度をど
のように構築するのかとつなぎ、そこで重要になるのは、社会保障制度の恩恵に対し、いかに財源を
確保するか、ということで、そのためにはさらなる歳入増が必要となる。デフレから脱却し、安定し
たインフレ率がしばらく続いた暁には、増税を行なって歳入を上げるべき、と主張する人もいるが、
いまはまさにデフレからの脱却を試みているときであり、増税を実行するタイミングではない。むし
ろフランスやスウェーデンのような国家で採用されている出産奨励政策などから、日本は社会保障の
ヒントを得るべきではないか。子どものいる女性に多くの補助を与えることで、フランスはいまや、
ヨーロッパで出生率がもっとも高い国の一つになっていとるとか、スウェーデンでの個人口座システ
ムという制度で積み立てた年金の一部について、個人が運用する機関を選べるようにした上で、実際
には多くの国民が、安全性を重視する政府運用のファンドに投資を行なっていることなど各国の政策
比較
例示した上で、次のように日本の国民皆保険制度の良さを持ち上げる。


 
 アメリカの制度がもっとも異なっていたところは、中間層に対するケアである。アメリカでは高
 齢者と低所得者層には公的保険制度があるが、残りの中間層については市場原理に任せてきた。
 だからこそ、保険料が高すぎて払えない無保険者が人口の16.3%パーセントに当たる4,990万人
 も存在したのだ。これにメスを入れたのがオバマケアである。
  日本の場合、生活保護を受けている人以外は全員保険に入ることを義務づける制度をとってい
 るが、私にはそれがうらやましい。アメリカでも最終的には全州でそうすべきだが、民間の保険
 会社の力が強く、なかなか前に進まない。日本の保険制度は複数あるが、医療機関での自己負担
 が10~30パーセントで済むことは、イギリスよりもコストを低く抑えている点で称賛すべきだ。
  アメリカでは保険を義務づけることに対し、国民の反対が強い。自らの健康は自己責任だ、と
 いう個人主義が強いからである。アメリカで問題になったのは the indidual mandate(個人に医療
 保険加入を義務づけ、違反すればペナルティを科す条項)だが、これが連邦最高裁で支持された
 のは望ましいことだった。
  国民の健康は経済の発達に欠かせないもっとも基本的な要素である。それを自己責任と称し、
 中間層に無保険者が多いことを放置するのは国家の発展を妨げる。日本の国民情保険制度はコス
 ト面や国民の満足度からみても理想的だ。オバマケアによって、アメリカは日本の制度に一歩、
 近づいたのではないか。

                     「第4章 インフレ率2パーセント達成後の日本」


このようにクルーグマンは具体的な国際比較や歴史的考察を加えることで、アベノミクスの成果の未
来像を描いていくが(他の政策については残件扱いとして掲載する)、少し、時間の余裕をもった
均的な教養や知力をもつ勤労日本人ならこの程度のことは、無意識であっても理解できていると、

たしの少ない経験からそう言える。逆に言えば、そのことこそ、日本の潜在力の凄さであり
"日本力"
だと思えるのだが如何に。

 

 【原発事故汚染の可視化】



滋賀県は、福井県で原発事故が起きた際の琵琶湖への放射性物質の影響を初めて詳細に予測し、18日
発表。気象条件が最悪の場合、湖面の2割が飲料水基準を超える濃度で約10
日間汚染されることが分
かった。水道原水の基準はないが、琵琶湖は滋賀、京都、大阪、兵庫の4府県約1,450万人の水源で、
水道水に影響を与える恐れがある。放射性物質は浄水場で一定除去できるが、県は今後、実際の除去
率の調査や対策を検討していくとのこと。
県地域防災計画の見直しで県琵琶湖環境科学研究センタが
予測した。大飯原発か美浜原発で福島第1原発と同規模の事故が起きたと想定。2010~12年度の風向
きと雨で四季ごとに琵琶湖に最も影響が大きい日を選び、放射性物質のセシウム137とヨウ素131が、そ
のまま落ちたり、雨などと降下する量(沈着量)を計算。

最悪のケースは北西の風で雨が降った12年12月10日の気象条件で大飯原発が事故を起こした場合。高
島市南部や琵琶湖の一部などで事故1日後のセシウム累積沈着量は1平方メートル当たり3千~5千
キロベクレルと推定。湖岸の各浄水場の取水口が多い表層(水深0~5メートル)で最も濃度が高く
なるのは
事故6時間後。セシウム濃度が国の緊急時の飲料水摂取制限基準(1リットル当たり200ベ
クレル)を
超える面積が湖面の18%に達する。ヨウ素も同基準(1リットル当たり300ベクレル、乳
児100ベクレル)を超える面積が20%になった。セシウムは10日後、ヨウ素は8日後に多くが沈み、
面積は1%以下になる。飲料水基準は水道原水ではなく、浄水後の数値となっている。セシウムやヨ
ウ素は浄水場で一定除去できるが
、福島第1原発事故では、国が全国の水道事業者に降雨後の取水を一
時停止したり抑制するよう通知。福島県や東京都で基準を超えるヨウ素が検出され、乳児の摂取制限が
一時行われた。県内には琵琶湖を水源とする浄水場21カ所と琵琶湖疏水があり、県内14市町計約
百万人と京都市145万人に水道水を供給している。

 

これを受け、嘉田由紀子知事は報告を受けて、「飲料水基準を超える面積が二割を超える結果を重く
受け止
めている。県として水道水の浄化がどこまで技術的にできるか、市町への防災・水道・避難体
制などの対応の
指示、琵琶湖の水を飲料水として使う下流府県との情報共有化の三点を考えないとい
けない」と語った。このような被害予測を可視化しておくことは、パニック防止ひいては、防災・減
災へ繋がる、あるいは、人命は地球より重しへの再認識・喚起に繋がる意義は大きいと考えるが、如
何に。

 

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