極東極楽 ごくとうごくらく

豊饒なセカンドライフを求め大還暦までの旅日記

環境微生物の棚卸し

2013年11月16日 | 環境工学システム論

 

 

 

 


【大原三千院・実光院】

紅葉・秋艶というにはまだ浅いが、彼女が行楽したいといので午前八時に家を出て車で琵琶湖湖
岸道路を走らせ花折峠から大原三千院に向かう。所要時間四十分で麓駐車場
に到着。駐車料金五
百円を支払い目的地まで六百メートルを登る。観光客は三々五々と人出もまずまず。門前の土産
物屋やお茶屋など店は早朝らしくまばらに開店する程度。二年前の同月二十六日に参拝にきた時
より十日早く、紅葉・黄葉はイマイチだが、それでも、実光院の玄関先の銅鑼を叩き上がると、
朝は早くからの参拝者がお茶会や庭の散策を思い思いに楽しんでいる。


ところで、帰りのお土産に、彼女は焼き栗と、赤紫蘇ジュース、タマネギドレシングをわたしは
抹茶のお酒を三千院前の御茶屋で買う。係の小母さんに、いつ頃開発したの?清酒なの、濁り酒
なの?どのような味がするの?と尋ねると、濁り酒で、前から売っている(2010年09月発売だと
ネットで知る)、試飲は飲酒運転で問題になるので...とお茶を(いやお酒を)濁すのでと、法律
が厳
しくなったもねぇ~と合いの手を入れる。家で早速封を切ると、伏見の清酒に抹茶をブレン
ドしたもので、たいへん飲みやすくなっている。一応リキュールに分類されるが、抹茶がボトル
の底に沈殿してるのでボトルを振りかき混ぜる必要がある。茶カテキン・茶ポリフェノールの効
果が期待できるので?健康的側面からお勧めできそうだ。

なお、旅程時間は約3時間と極めてコンパクトに楽しめるコースだ(滋賀は東洋のスイスだ→こ
れを言うと長野県からクリームがつきそうだが、ジュネーブとレマン湖という点では長野を圧倒
する。アルプスという側面からは長野だといえなくはないが)。帰る自分には、中国人のの団体
が大挙し観光し、ごった返ししていたが、二年前ではこの様な光景を目にすることはなかった。
これも京都の魅力だろう。


 



照り返しの光が松の枝を照らし出された風情のある光景(この写真をよく見るとわかる)。




【最新の土壌環境微生物の解析技術】

 電極基盤で効率的に環境微生物を回収

 

土壌堆積物中に棲息する多種多様な環境微生物は、抗生物質や抗がん剤、免疫抑制剤などの医療
化合物だ
けでなく、バイオテクノロジー技術に活用されている様々な有用酵素を生み出すための
微生物資源として広
く認知されている。これら有用な資源となり得る大半の環境微生物は、パス
ツールやコッホ以来の伝統的な
不法では培養することが極めて困難であり、培養条件が不明確な
微生物が数多く存在することが報告されて
いる。そのため、従来の培養法に頼らない、新たな
生物のスクリーニング法が求められている。新規の有用酵素や、新規有刑化合物を得るための「
法の1つとして、土壌堆積物中から直接、間接的に環境微生物由来のDNAを回収し、解析する
メタゲノム技術が、この10年間盛んに研究されてきている。土壌堆積物中からDNAを直接回収
する方法は、DNAとともに回収されてしまう腐植化合物が、PCR反応や、制限酵素活性、DNA
ライゲーション反応を阻害するため、高純度のDNAを得られにくいという問題点が指摘されて
いる仁間接的なDNA回収法は微生物を破砕する前にプラス電荷を帯びたカラムなどを利用して、
土壌中の微生物を回収する手法である。この間接的なDNA回収法は、高分子量のDNAを高純
度に回収できるものの、微生物が極めて強固に土壌微粒子へ付着しているため、土壌堆積物中に
棲息する一部の微生物出来DNAしか回収できない。そこで、電極基板に微生物が好む微弱な電
位を印加することで、生きた微生物を土壌堆積物中から、電磁石で砂鉄を吸い付けるように回
する技術を開発されている。

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※小山純弘(KOYAMA,Sumihiro)海洋研究開発機構海洋・極限環境生物圏領域(lnst.of Biogeosc-
iences, Japan Agency for Marine-Earth Sci. and Technol,)主任研究員 1997年東京工業大
学人学院生命理工学研究科博士課程修博士(工学)専門:細胞工学 連絡先:〒237-0061神奈川県
横須賀市夏鳥町2-15 E-mail : skoyama則amstec・gojp(勤務先)、バイオサイエンスとインダス
トリー、vol.71、No.16、2013
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図A、および図Bに開発した3電極チェンバーの写真と複式図を示す。酸化インジウムをガラス
基板Lに蒸着させた、透明な電極(ITO)を作用極とし、リング状にした白金電極を対極とする。こ
の実験系で重要な部分は、3番目の電極として、参照電極である銀塩化銀電極が加えられている
点にある。参照電極の重要性について、水の電気分解反応を例に挙げながら簡単に説明する。硫
酸や水酸化ナトリウムのような支持電解質を加えた水溶池中で2電極間に2.75Vの電位差、つまり
2.75Vの電圧を加えると、2電極間に電流が流れ、陽極から酸素ガスが、陰極から水素ガスがそれ
ぞれ発生する(図C)。銀/塩化銀電極をこの水溶液に加え、酸素ガスおよび水素ガスが発生する電
位について、銀/塩化銀電極電位をOVとして測定すると、酸素ガスは+1.69V、水素ガスは-1.06V
の電位でそれぞれ発生し始める(図C)。水の電気分解のような電気化学的な反応生成物による影響
を避けて、生きた微生物をITO電極基板上に誘引付着させる場合、ITO電極の電位を正確に制御する
ことが極めて重要となる。そこで筆者らは、OV標準電位となる銀/塩化銀電極を参照電極として
実験系に加え、ITO電極電位をポテンシオスタットという電位印加装置で厳密に制御した状態で、
生きた徹生物の電気回収法を検討した(図Aおよび図B)。


 
この3電極チェンバー内に、PBS(-)や人工海水のような非栄養培地に分散させた微生物を播種し、
水の電気分解反応の生じない微弱電位を、ITO電極基板上に印加することで、微生物が重力に逆ら
ってITO電極基板表面上に誘引、付着させることができるか検討した(図Aおよび図B)。図Dお
よび図Eは、銀/塩化銀電極電位に対して-0.4Vの定電位(-0.4v vs.Ag/AgCl)を24時間、PBS(-)
中、室温条件で印加したときの、電極基板上における大腸菌の分布パターンを示したもの。-0.4
V vs.Ag/AgC1の定電位は、デヒドロゲナーゼ活性を有する生きた大腸菌を重力に逆らってJAMSTEC
という字形の微小電極上へ、誘引付着させる事に成功した(図Dおよび図E)。非栄養培地中に
分散させた大腸菌は、-0.3Vから-0.5V vs.Ag/AgClの定電位印加条件において電極領域上に特異
的に付着し、-0.4V vs. Ag/AgClの印加条件で最も多く付着する。-0.4v vs. Ag/AgClの定電位印
加で、電極表面上に付着させた大腸菌を走査型電子顕微鏡で観察した結果、大腸菌は繊維状物質
を電極表面上に伸ばして強固に付着していることが確認された。また、死んだ大腸菌や、培地中
あるいは高濃度グルコース水溶液中に分散させた大腸菌はいずれも電極表面上に付着せず、静電
的な相互作用とは明らかに異なるメカニズムで付着していることを確認している。




直接土壌の16S-rRNA遺伝子解析で検出された環境徹生物の95%を電気回収


どのようなタイプの徹生物種が電気的に回収されるのか、相模湾初島沖水深1,176mから採取した
深海底泥を用い、16S-rRNA遺伝子による徹生物の系統解析を試みた(図F)。人工海水中に分散
させた深海底泥サンプルヘ、4℃にて2時間-0.3V vs. Ag/AgClの電位吸着、および30分間の高
周波変動電位印加による徹生物の剥離回収を2回繰り返した。その結果、図Fのグラフのような
19門の微生物が電気的に回収できた。青字で示された14門に属する徹生物部は、深海底泥サンプ
ルから直接DNAを抽出した微生物群と同一の門に属し、16S-rRNA遺伝子解析で検出される微生
物全体の95%に相当することが確認された(図F)。図Fの結果から、電気回収された微生物は、
土壌堆積物中に棲息する徹生物相をほぼ反映しているものと考えられる。

筆者らは人工海水やPBS(-)などの非栄養培地に土壌堆積物を分散させ、-0.3から-0.4V vs. Ag
/AgCl
の定電位を印加することにより、16S-rRNA遺伝子解析で検出される全バクテリアのうち、
95%に相当するバクテリアを電気回収する技術を開発してきた。そして、膜損傷がなく、細胞内
デヒドロゲナーゼ活性を有する生きた徹生物が重力に逆らって、電極基板上に誘引付着すること
を明らにした。このように土壌中の環境微生物が明白になれば、人工的な土壌環境の再現で、植
物工場での生産対象品種が拡大し、さらなる、高付加価値生産が期待されるから、新しい事業領
域の開発に繋がるだろうと考える。



昨夜の雨に草木に残る露が日差しに照らされ借景の静寂を破る。

 

 

コメント
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