極東極楽 ごくとうごくらく

豊饒なセカンドライフを求め大還暦までの旅日記

若鷲とアベノミクスの行方

2013年11月03日 | 時事書評

 

 

【楽天イーグルス初優勝と若鷲の行方】
 

  

  

楽天イーグルスが創設九年目で日本シリーズの初優勝を決めた。本塁打が出れば同点の九回二死一、三塁、代打
矢野を空振り三振に仕留めると、楽天の田中将広は雄たけびを上げて、両手を高々と突き上げた。正直いってハ
ラハラ、ドキドキする。解説者の元西部ピッチャーの工藤公康が言うように、前日に160球投げ疲労困憊でボール
コントロールが狂う。まして、雨降る中だ。七回から、滋賀県は多賀出身の則本昂大(のりもと たかひろ)が、
第1戦に先発
しシリーズ2度目の救援登板。田中の背中を追いかけ、15勝を挙げた新人右腕も2回を無失点に
抑えて「いつもと変わら
ないし、緊張も疲れもなかった」と意地を見せと報じられた。そういえば、故田中豊一
の父親が多賀中の校長を長年努めたことを思い出していたがそのことは横に置いておいて、勿論、楽天イーグル
サイドの優勝を願ってテレビ観戦していたのだが、九回は日本中が楽天の優勝の祈りが田中将広の右腕に乗り移
ったのではと感じ鳥肌が立った。これで田中は大リーグ行きが確実となったが、美馬学・則本昂大両投手の若鷲
をはじめ楽天イーグルスの選手たちの連覇に向けての新たなスタートの日となった。夢を有り難う。
 

 



【アベノミクスと行政改革の行方】 

 「増税を行えば、消費は落ち込み、日本経済は、デフレと景気低迷の「深い谷」へと逆戻りしてしまうの
 ではないか。最後の最後まで、考え抜きました。
日本経済の「縮みマインド」が変化しつつある。大胆な
 経済対策を果断に実行し、この景気回復のチャンスをさらに確実なものとするならば、経済の再生と財政
 健全化は両立しうる。
国の信認を維持し、社会保障制度を次世代にしっかり引き渡す。経済再生と財政再
 建を同時に進めていく。これが私の内閣に与えられた責任です。……。
大胆な経済対策と消費税の引き上
 げ。本日決定した経済パッケージは、この両立のベストシナリオである。これが、熟慮を重ねた上での、
 私の結論です。」(安倍晋三首相のツイッタ)
 

上記の掲載文を引き合いに、高橋洋一の『俗論を撃つ』(DIAMOND ON LINE)で、「つまり、経済成長、財政
再建
と社会保障の三つを満足させる解として、消費税増税と経済対策を実行するとしたわけだ・・・最近の消費
税増税の動きを整理してみよう。ことの始まりは、麻生政権だ。増税派の与謝野馨氏が、財務大
臣、金融担当大
臣、経済財政担当大臣の三閣僚を兼務するなど、重要閣僚だったが、2009年3月に成立した税制改
正法の付則104
条に「消費税を含めた法制上の措置を2011年度までに講じる」という時限爆弾を潜り込ませた。
その後、国民は、
「増税しない。シロアリ(天下り官僚)の退治が先」との民主党マニフェストを信じて、民主党に政権交代させ
た。ところが、菅政権では、2010年6月突如として消費税10%宣言が飛び出す。その後、2011年1月にはなんと
与謝野氏が入閣する。野田政権で、昨年8月とうとう増税法案を成立させた。その因果なのか、昨年12月の総選挙
で民主党は大敗し、あっさりと政権からすべり落ちてしまった」述べているが、これはわたし(たち)、ポスト・
ケイジアンやリフレ派(上げ潮派)と同じ考え方をもつものと完全一致?!した見解だ。そして、彼は
今回の消
費税増税は、2009年の政権交代がなければ、起こらなかったかもしれないとし、自民党政権であれば、与謝野の
増税一本槍の経済政策とは対極の中川秀直氏の経済重視の上げ潮派との抗争が続き、消費増税はどうなっていた
のか分からなかったと主張しているようだが(わたしの憶測で)、両者は、ともに財政再建を重視している点は同じ
であるが、その手法は全く違う。与謝野は、経済成長を重視せず、デフレ脱却消極姿勢で、増税による財政再建を目指す
が、中川は、金融政策を使ってデフレ脱却を図り、経済成長を重視し、その結果として財政再建を達成しようとする。今の
自民党には、中川のような経済政策観の政治家はいない。強いていえば、安倍首相の経済成長重視の考え方は中川に
似ている。さらに、アベノミクスのキモを金融政策に据えたのも、上げ潮と同じだ。それなのに、ここに来て、なぜ与謝野の
路線になったのだろうかと設問し、その答えは、自民党内に中川のような政治家がいないからだと推測し、「内閣改
造をやろうにしても、麻生氏を切る覚悟がないとできないが、そこまでの党内基盤は安倍首相にはできていない。
というわけで安倍首相は、政治的に消費税増税を避けられなかったのだろう。増税を止めるためには、法改正を
この秋の国会に提出しなければいけないが、政治的にできなかったというわけだ。
今回の消費税増税が、安倍首
相にとっては政治的な解がなく、苦渋の決断としても、経済成長、財政再建と社会保障の三つを満足させる解は、消費税
増税と経済対策
ではない。」と結論付けた上で、「しかも、経済対策では、企業へのてこ入れをそのコアにしているの
は、財務省の財政再建至上主義に対抗するためとはい
え、「まずは企業が潤えば、その後に社員の賃金も……」
とのいわゆるトリクルダウン説を根拠としており、説得力に欠ける。おそらく財務省に対抗するために経産省に
頼ったのだろうが、トリクルダウン説で格差が拡大した韓国の例もあり、一抹の不安を感じざるを得ない
本コラ
ムで再三指摘しているように、金融政策によって2年後にはデフレ脱却、経済成長が達成できる。その1年後に
は、基礎的財政収支が改善して、財政再建への道も開ける。と同時に、番号制、歳入庁や消費税インボイスを導
入すれば、財政再建を確実にして、社会保障制度の運営も万全にできる。
今回の消費税増税への表明で、安倍首
相の経済政策観が、与謝野氏のような増税派だと決めつけないほうがいい。
増税の経済へのマイナス効果を理解
しているからこそ、最善の策とは言いがたいが、経済対策を打つのだろう。
さらに、本質がわかるのは、2015年
10月の8%から10%への再引き上げの時だ。」と続ける。

 

ところで、このトリクル・ダウン説を、否定する立場の『オバマ・ケア抵抗劇の結末』で紹介した(上図)、ノ
ーベル賞経済学
者、ジョセフ・スティグリッツ教授が、朝日新聞のインタビューに答えて「欧州は政府債務を減
らそうとして緊縮財政に陥り、与野党の激しい対立が続く米国も節約を余儀なくされています。そのなかで日本
が経済成長を優先する政策に打って出た意義は大きい。アベノミクスの3本の矢、すなわち大胆な金融緩和と財
政出動、成長戦略を組みあわせた包括的な政策は、日本経済を立ち直らせる正しい取り組みだと思います。欧米
が学ぶべきものです/経済を成長させてこそ、国内総生産(GDP)に対する政府債務の比率を下げることがで
きます。財政再建を優先し経済成長を犠牲にするやり方では、財政赤字を減らせません。歳出削減と増税を急ぐ
緊縮財政は、つねに失敗してきました。弱含みの経済を悪化させ、税収を減らすからです。いまは欧州がひどい
失敗に陥っています/市場はつねに不安定なものです。短期的な動きに目を奪われるべきではない。株価は下が
ったが、半年前より高い。国債相場や金利は基本的に、中央銀行が市場介入によって調整することができます/
格差(不平等)の問題に向きあわなくてはいけない。GDPが増えても、大半の人びとの暮らしが悪化すれば、
幸せになれません。そういう事態が米国で起きた。2009年から11年までの景気回復で、GDPの増加分の1.2倍
ものお金を、所得上位1%の富裕層が手に入れてしまったので、99%の人びとは、一層貧しくなりました。日本
もそうならないよう、所得再分配を工夫しなければなりません。3本目の矢は、単なる成長戦略ではなく、格差
是正に配慮することが欠かせないのです/成長は、それ自体が目的ではないし、GDPは豊かさの尺度として欠
陥が多い。重要なのは環境保全も含めて、すべての市民の生活の質や福祉水準を高めることです。だからこそ所
得の分配と、誰が政策の恩恵を受けるかということに、私たちは敏感でなければいけません/成長は、それ自体
が目的ではないし、GDPは豊かさの尺度として欠陥が多い。重要なのは環境保全も含めて、すべての市民の生
活の質や福祉水準を高めることです。だからこそ所得の分配と、誰が政策の恩恵を受けるかということに、私た
ちは敏感でなければいけません/増税による税収の増加分と同じ額だけ支出を増やせば、経済への打撃を避ける
ことができます。これは、均衡予算乗数という考えです。そのさい、低所得の人びとへの再分配につながる支出
をすれば、消費やGDPをいっそう増やす効果があります。企業減税で刺激をというのでは、効果を期待できま
せん
/米国では量的緩和の効果は、比較的穏当なものにとどまっています。信用供与の不足や不動産市場の低迷
という問題を、まだ解決できていないということもその一因ですが。しかも財政出動が不十分で、構造改革の政
策がない。金融緩和だけでは効果が出ないのです/欧州では、緊縮政策を転換しないと失業問題を解決できませ
ん。政府が産業政策や研究開発促進、インフラ整備などで成長を促す戦略が必要です。また、金融危機を封じ込
めるために、共通の監督制度と預金保険制度を持つ『銀行同盟』をつくらねばなりません/世界のお金は、必要
とされないところに回っていて、必要とされるところには回っていません。そういうことを直せるグローバルな
統治(ガバナンス)を実現するには、各国が主権の一部を放棄するような協調が必要です」と明快に答えている。

さて、高橋は同じコラムで「特会法」(特別会計に関する法律の一部を改正する法律案要綱)の改正に対しても批判を加え
ている。 

・交付税及び譲与税配付金特別会計交通安全対策特別交付金勘定を廃止。
・年金特別会計の国民年金勘定に、福祉年金勘定を統合。
・食料安定供給特別会計に、農業共済再保険特別会計、漁船再保険及び漁業共済保険特別会計を統合。また、関
 連す
る勘定を統合するとともに、農業経営基盤強化勘定を一般会計化。
・社会資本整備事業特別会計を一般会計化(空港整備勘定は経過勘定として自動車安全特別会計に統合)。
・国債整理基金特別会計の事務費を一般会計へ移管するとともに、前倒債の発行収入金の翌年度歳入化の規定を
 整備。

・外国為替資金特別会計の積立金を廃止するとともに、金融市場の進展等を踏まえた運用効率の向上のための規
 定を整備。

「法律案では、特会法76条が改正され、外為資金の運用先として、従来の銀行のほかに証券会社を加えるとして
る。さらに、運用として通貨先物が加えられ、運用方法として信託や投資一任運用もできるようになった。た
し、ここまで運用を意識していると、外為資金の性格まで変質していると言わざるを得ない。もっとも、特会
正法案にはそうした記述は一切ないので、かなり問題である。そこで、外為資金の性格を振り返っておこう。
為替介入の法的根拠は、外為法7条の「財務大臣は、対外支払手段の売買等所要の措置を講ずることにより、本
通貨の外国為替相場の安定に努めるものとする」である。この権限にもとづき、財務省から日銀に命令があっ
為替介入が行われる。外為資金の多寡は為替介入の結果である。外為資金の原資は、財務省が政府短期証券(
為券、償還期限2ヵ月)を発行して調達している。購入されるのは外貨建て証券であり、その多くはドル債で償
期限は3~5年程度と言われているが、正確なところは情報公開されていない。介入は外為平衡操作ともいわ
れるくらいであるので、外債購入は当然であるが、その償還期限は、一時的な影響を考えるのであれば、世間で
言われているような3~5年は長すぎる。そもそも一時的な為替安定の目的ならばもっと短いものにすべきだし、
資金調達との期間のミスマッチが大きすぎる。いずれにしても、日本が変動相場制である以上、為替介入は一時
的なものしか認められない(恒常的に介入するのであれば、それは固定相場制)。為替介入後、購入した外債の

償還期限が到来したら自然体で償還し、それで原資である政府短期証券も償還すべきだ。ところが、これまでの
政府は、
購入外債が償還期限が来ても円転せずに、ロールオーバー(借り換え)し外為資金残高を維持してきた。
この円転の拒絶
は徹底しており、購入した外債の利子収入があっても、それを円転せずに、その分政府短期証券
を発行して円での手取
りに固執してきた。この辺りの会計操作はちょっと理解できないものだ。変動相場制では、
その程度の円転で相場がどうなるというものでないが、財務省の思考がかつての固定相場時代から抜け出ていな
のだろう/
日本が変動相場制である以上、為替介入は一時的なものしか認められないのであれば、資金の運用
は原則行わないはずだ。変動相場制の先進国では、為替介入の結果である外為資金はごく少ない。外為資金を含
む外貨準備でみても、日本は120兆円と名目GDPの20%以上になっているが、他の先進国ではそれよりひとけた
少ない数字で1,2%程度である。このため運用するという発想になりえない/
他の先進国で、なぜ外為資金が
少ないかというと、為替の安定は金融政策で行っていて、外為資金の出番がないからだ。
先の黒田緩和を見ても、
金融政策が為替に影響を与えることがわかっただろう。これは偶然でなく、為替は二国間の通貨
交換比率なので、
二国間のマネーの差が影響するのは当然だ。古くからの購買力平価とも整合的だ。二国間のマネーの
差は、イン
フレ率の差にもなるが、インフレ目標が同じなど同じような金融政策であれば、為替は安定する。安倍政権にな
って、日本もようやく先進国と同様なインフレ目標になったので、もはや外為資金の出番がなくなった。ところ
が、それでは
せっかく持っている利権が失われるので、外為資金の性格を変えてまで、生き残りに出てきている
のだろう」と、わかりやすく解説している。

そうして、彼は外為資金の取引は「大きな公共事業」だというのだ。というのは「外為資金の取引は金融機関に
っては「大きな公共事業」である。残高120兆円で、それから生まれるビジネスは、手数料(または売買利ざ
や)
が仮に0.1%でも、年間1,200億円の利益を金融機関にもたらす。そこまでいかなくても、数百億円になるだ
ろうと
財務省は外為資金残高の維持・拡大をいろいろな理由をつけてやっている。先進国の例を見れば、理由
がでたら
めなのは明らかであるが、指摘する学者もいない。民主党はかつて問題視したこともあったが、簡単に
丸め込ま
れた。また、あまりに巨額なビジネスなので、金融界ではタブーになっているとし、最近、証券系への
官僚の天下りが増えているように思えるのは気のせい
だろうかと述べ、庶民から増税してそれを大企業などの既
得権者に族議員、官僚がばらまく姿はどう考えても悪魔の選択であるが、経済の腰折れを防止するためには背に
腹をかえられないと機会主義に立っている。そして、「財務省の本音は、現状では人事を思いのままにできる国
税権力を奪われたくないことに加え、「歳入庁」で税・社会保険料増収になると、消費増税が吹っ飛ぶことを恐
れている」と、明快に言ってのけている。そてし、同じく公務員改革(=行政改革)の進捗状況について解説も
同コラムに掲載されているの一文だけ紹介しておこう。「現在の自民党案によれば、人事院は権限を手に入れる
だけでは
なくその組織も温存されるという。案文では、「人事院と協議」が加えられた箇所が多く、「人事院を
内閣人事局に吸収する」
のではなく、「人事院を温存したまま権限を与えて内閣人事局を作る」という話にすり
替わっている。これは、霞ヶ関にとって
は、ポストが残り権限が手に入るわけで、「焼け太り」になって、万々
歳だ。なお、本来、内閣人事局に一元化されるべき組
織は、総務省行政管理局、人事院、財務省主計局給与共済
課だ。総務省行政管理局、人事院の基幹ポストに財務省は出向者を送っており、財務省さえ押さえれば、人事行
政の一元化はできるはずだ。今回は、人事院が表にたって「抵抗勢力」になっているが、早い段階で財務省主計
局給与共済課を除いた内閣人事局にしたり、財務省が裏で大きな影響力を行使したのではないかと邪推している」
と。ここまではわたし(たち)の考えとさほど変わりない。

以上、「官僚組織とは、自ら止めることも、解消することもできす、ただ資本増殖のように、権力を肥大化させ、
目的を転倒、逆立ちさせる自動装置」であるという思いを払拭する革新的官僚が台頭してくれることを祈りつつ
(無駄か?)、今夜はアベノミクスと楽天イーグルスの行方を考えてみた。

 

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