玄関前の白木の紅葉が見事に色づいている。もうすぐすると、すべてが落葉する様の移
ろいも風情があっていいものだ。その横には緑黄の花柚子があり、三つの小さな実が付
いている。これらは寒くなる季節の鍋料理に薬味として初めて供されることになる。
シラキ(白木 トウダイグサ科 シラキ属 学名Sapium japonicum 落葉小高木 花期
5月頃 果期10,11月) 和名は材が白いことに由来する(未観察)。葉は互生、葉身は
広卵形、縁は全縁、葉脈はやや湾曲し縁に至らず。5月頃枝先に上向きの穂状の総状花
序をつける。雌花は花序の基部に長い花柄を伸ばしてつく。花柱が3裂しカールしてい
る。その上方に花柄を持つ雄花が多数つく。果実(さく果)は長い果柄につき、3稜か
らなる扁平球で、花柱が宿存している。秋に褐色に熟すと3室に裂開し種子を散布する。
種子は脂分を多く含み、斑模様がある。紅葉が大変美しく、その紅葉から下垂する果実
は涼しげで風情がある。
独立行政法人産業技術総合研究所から標記の特許が公開されたので、ブログ掲載するこ
とに。
【多積層量子ドット構造体およびその製造方法、並びにそれを用いた太陽電池素子】
特開2013-229388
要約
InGaPのp-n接合中に、In(Ga)As量子ドット積層構造体を設けた多積層量
子ドット構造体を設け、このIn(Ga)As量子ドット積層構造体は、複数のIn(Ga)
As量子ドット層と、そのInGaAs量子ドットを埋め込むように設けたGaAsま
たは、InGaP、またはGaAs/InGaP、またはInGaAs/GaAs/In
GaPバッファ層から構成するIn(Ga)As量子ドット構造体を任意数層積層して構
成することで、母体の半導体のワイドギャップ半導体を利用し、中間バンドの形成位置
を禁制帯の中間付近へと低下させることで、中間バンドと伝導帯までのエネルギー差が
大きな多積層量子ドット構造体およびそれを用いて理想的な中間バンド太陽電池素子を
得ることが可能となる。
図1 多積層量子ドット構造体の各実施の形態の1層分のバンド図の模式図
背景技術
多積層量子ドットを用いた中間バンド太陽電池が近年盛んに研究されている。これは母
体となる禁制帯幅の大きな半導体中に、禁制帯幅の小さな半導体を用いて多積層量子ド
ットを配列し、量子ドット列が作る中間バンドを利用して3つのバンド幅に相当する太
陽光エネルギーを吸収して超高効率化を目指すものである。※1
図10は、その中間バンド太陽電池の模式図を示す。図に示すように、中間バンド太陽電
池は、価電子帯と伝導体との間に中間バンドを有する構造である。ここで重要な物理現
象は、中間バンドを介した2段階光吸収である。非特許文献※2には、理想的には、図
において、伝導体の量子準位と価電子帯とのエネルギー差E13が1.9eV、価電子帯
と中間バンドのエネルギー差E12が1.2eV、中間バンドと伝導体のエネルギー差E23
が0.7eVの時、集光時におけるエネルギー変換効率が、60%を超えることが示唆されている。
図10 中間バンド太陽電池の一例の模式図
量子ドット太陽電池技術において最もよく研究されている材料系として、母体の半導体
としてGaAsを用い、その中にIn(Ga)As量子ドット(In組成は0.3~1.0)を
埋め込んだ例が挙げられる(例えば、※2、3参照)。なお、本明細書において、「In
(Ga)As」とは、InGaAsまたはInAsを意味する。
※ In(Ga)As:インジウム(ガリウム)ヒ素化合物
※1 A.Luque and A.Marti,“Increasing theefficiency of ideal solar cells by ph-
oton induced transitions at intermediatelevels」”, Phys.Rev.Lett.(1997)
Vol.78,p.5014
※2 L.Marti, N.Lopez, E.Antolin, E.Canovas, A.Luque, C.Stanley,C.Farmer, and
P.Diaz,“Emitter degradation in quantumdot intermediate band solar cells”,
Appl.Phys.Lett.(2007) Vol.90,p.233510.
※3 T. Sugaya, O.Numakami, R.Oshima, S.Furue, H.Komaki, T.Amano, K. Matsubara,
Y.Okano and S.Niki,“Ultra-high stacks of InGaAs/GaAsquantum dots for high
efficiency solar cells”,Energy Environ.Sci.(2012) vol.5,p.6233.
課題
しかし、母体の半導体としてGaAsを用い、その中にIn(Ga)As量子ドット(In
組成は0.3~1.0)を埋め込んだ中間バンド太陽電池の場合は、In(Ga)As量子ド
ットが作る中間バンドがGaAsの伝導帯に近いため、図10の量子準位エネルギーE23
に相当する光が太陽光スペクトルに存在せず、2段階光吸収が利用できない。また、母
体のGaAsのバンドギャップ(図10)量子準位エネルギーE13に相当)も1.4eVと
小さく、理想的な中間バンド太陽電池の作製が困難とされている。なので、その効率は、
予想効率よりもかなり低い。この提案は、母体の半導体としてGaAsよりバンドギャ
ップ(禁制帯幅)の大きいワイドギャップ半導体を利用し、中間バンドの形成される位置
を禁制帯の中間付近へと低下させることで、中間バンドと伝導帯までのエネルギー差が
大きな多積層量子ドット構造体とその製造方法を提案している。また、図10の多積層量
子ドット構造体を用いて、理想的な3つのエネルギー帯を吸収可能な中間バンド太陽電
池素子を提案する。
解決する手段
そのために、第1の発明の多積層量子ドット構造体は、第1のInGaPバリア層上に
In(Ga)As量子ドット積層構造体の多積層量子ドット構造体で、In(Ga)As量
子ドット積層構造体が、複数のIn(Ga)As量子ドットを成長させたIn(Ga)As
量子ドット層を埋め込むようにした第2のInGaPバリア層で、第1のInGaPバ
リア層と第2のInGaPバリア層とで構成した層構造を、任意の層数積層とした特徴
をもつ。またに、第2の発明の多積層量子ドット構造体が、InGaPバリア層上にIn
(Ga)As量子ドット積層構造体を設けた多積層量子ドット構造体であって、In(Ga)
As量子ドット積層構造体は、複数のIn(Ga)As量子ドットを成長させたIn(Ga)
As量子ドット層を第1のGaAs層に埋め込むように設けた第1のGaAs層/In
GaP層/第2のGaAs層からなるバッファ層であり、InGaPバリア層とバッフ
ァ層とからなる層構造を、任意の層数積層した特徴をもつ。
また、第3の発明の多積層量子ドット構造体の特徴はInGaPバリア層上にIn(Ga)
As量子ドット積層構造体の多積層量子ドット構造体に、In(Ga)As量子ドット積
層構造体が、複数のIn(Ga)As量子ドットを成長させたIn(Ga)As量子ドット
層を埋め込んだ歪緩和層と、歪緩和層を埋め込んだGaAsバッファ層及びInGaP
バリア層からなり、歪緩和層、GaAsバッファ層及びInGaPバリア層の層構造を、
任意の層数積層としている。さらに、このIn(Ga)As量子ドット層の両側または片
側に、任意の厚さのGaP歪補償層を設けてもよく、また、In(Ga)As量子ドット
層を埋め込むGaAs層を、任意の厚さ及びP組成のGaAsP歪補償層に置き換えて
もよい。さらに、In(Ga)As量子ドット積層構造体が、InGaPバリア層を除去
した構造であってもよいとする。
また、この多積層量子ドット構造体の製造方法の特徴は、母体の半導体としてInGa
Pバリア層を設ける第1の工程と、InGaPバリア層の上に複数のIn(Ga)As量
子ドットを成長させIn(Ga)As量子ドット層を形成したIn(Ga)As量子ドット
積層構造体を設けた第2の工程を含み、また、この太陽電池素子は、いずれかの多積層
量子ドット構造体を、p型InGaP層とn型InGaP層で挟んでp-i-n構造(
i:真性半導体)にするか、多積層量子ドット構造体をn型にド-プし、そのn型の多
積層量子ドット構造体をp型InGaP層とn型InGaP層で挟んでp-n-n構造
にするか、あるいは、多積層量子ドット構造体をp型にド-プし、そのp型の多積層量
子ドット構造体をn型InGaP層とp型InGaP層で挟んだn-p-p構造とする。
発明の効果
この多積層量子ドット構造体により、母体の半導体のGaAsよりバンドギャップ(禁制
帯幅)の大きいワイドギャップ半導体を利用し、中間バンドの形成位置を禁制帯の中間付
近へ低下させることで、中間バンドと伝導帯までのエネルギー差が大きな多積層量子ド
ット構造体を構成できる。また、この太陽電池素子は、この量子ドット構造体を用いる
ことで、理想的な3つのエネルギー帯を吸収でき、高出力で超高効率な理想的な太陽電
池素子を構成できる。
【実施するための形態】
この多積層量子ドット構造体では、母体の半導体として禁制帯幅がGaAsよりも大き
いワイドギャップ半導体であるInGaPを用いる。In0.48Ga0.52Pのバンドギャッ
プ(禁制帯幅)は1.9eVであり、理想的な中間バンド太陽電池の値と同等である。そこ
で、本発明の実施の形態の多積層量子ドット構造体では、InGaPバリア層上に図1
(a)、(b)または(c)に示す層が任意の層数積層されたIn(Ga)As量子ドット積層
構造体を設ける。
図1(a)は、1層内に複数のIn(Ga)As量子ドットを設けたIn(Ga)As量子ド
ット層と、そのIn(Ga)As量子ドットを埋め込むように設けたバンドギャップ(禁制
帯幅)1.9eVのInGaPバリア層からなるIn(Ga)As量子ドット積層構造体の
1層分のバンド図の模式図を示す。このIn(Ga)As量子ドット積層構造体は、In
GaPバリア層上にバンドギャップ約1.4eVのIn(Ga)Asを直接形成した構造で
ある。
図1(b)は、1層内に複数のIn(Ga)As量子ドットを設けたIn(Ga)As量子ド
ット層と、そのIn(Ga)As量子ドットを埋め込むようにGaAsバッファ層を設け、
さらにそれらをバンドギャップ1.9eVのInGaPバリア層で埋め込んだ構造のIn
(Ga)As量子ドット積層構造体の1層分のバンド図の模式図を示す。このIn(Ga)
As量子ドット積層構造体は、In(Ga)As量子ドットが形成する中間バンドの位置
を、InGaPの伝導帯から約0.6eVの位置まで下げることが可能となる(中間バンド
と伝導体との量子準位エネルギー差E23≒0.6eV)。これにより、これまでにない
太陽電池素子を構成することができる。特に量子ドット構造体からInGaP伝導帯へ
の電子の遷移が太陽光スペクトルによって励起可能となり、高出力で超高効率な理想的
な中間バンド太陽電池構造へ応用できる。
図1(c)は、1層内に複数のIn(Ga)As量子ドットを設けたIn(Ga)As量子ド
ット層と、そのIn(Ga)As量子ドットを埋め込むようにバンドギャップ約0.9~
1.1eVのInGaAs歪緩和層を設け、それらをGaAsバッファ層およびバンドギ
ャップ1.9eVのInGaPバリア層で埋め込むことにより構成したIn(Ga)As量
子ドット積層構造体の1層分のバンド図の模式図を示す。
このIn(Ga)As量子ドット積層構造体では、In(Ga)As量子ドット層(In組成
は0.3~1.0)よりもIn組成の低いInGaAs歪緩和層(In組成は0.1~0.3
程度)を導入することにより、量子ドット中の歪を低減することができ、図1(c)に示す
ように中間バンドの量子準位と伝導体のエネルギー差E23を0.7eV程度に大きくで
きる。この時、中間バンドの量子準位と価電子帯とのエネルギー差E12は1.1eV程
度とすることができ、理想的な中間バンド太陽電池素子に近い構造が作製可能である。
ところで、この量子ドット構造体を太陽電池素子に応用するためには、光吸収を高める
ため多積層化が必要である。量子ドット層は格子定数が大きく結晶中に歪残留するため、
これを多積層化するためには格子定数の小さい歪補償層を挿入することが望ましい。In
GaAs量子ドットは歪補償層がなくてもかなりの多積層化(400層程度)は可能であ
るが(※3参照)、InAs量子ドットの多積層化には歪補償層が必要である。
この歪補償層としては、GaPまたはIn組成の小さい(約0.3程度以下)InGaP層
が好ましい。図2(a)は、バンドギャップが21及び22で示される2つのGaP歪補
償層を、バンドギャップが23で示されるIn(Ga)As量子ドット層の上下にGaAs
バッファ層を介して挿入した例の量子ドット積層構造体の1層分のバンド図の模式図を
示す。このGaP歪補償層によって残留歪を取り除くことができる。なお、GaP歪補
償層は、In(Ga)As量子ドット層の上下いずれか一方だけの挿入でもよい。また、
GaP歪補償層の厚さは、電子がトンネルして移動可能な厚さ(2~3nm以下)が望ま
しい。
図2 (a)In0.48Ga0.52Pを母体半導体とし、GaP層を歪補償層として挿入した
In(Ga)As量子ドット構造体のバンド図の模式図である。(b)In0.48Ga0.52
Pを母体半導体とし、任意の組成のGaAsP層を歪補償層として挿入したIn
(Ga)As量子ドット構造体のバンド図の模式図
また、歪補償技術は、GaAsバッファ層を任意のP組成を持つGaAsP層に置き換
えることでも可能である。図2(b)は、バンドギャップが24及び25で示される2つ
のGaAsP歪補償層を、バンドギャップが26で示されるIn(Ga)As量子ドット
層の上下に挿入した例の量子ドット積層構造体の1層分のバンド図の模式図を示す。
図2(b)に示すように、GaAsP歪補償層は、GaAsよりも大きく、In(Ga)P
よりも小さなバンドギャップを持つ。また、GaAsP歪補償層は、InGaP層より
も小さな格子定数を持つため、In(Ga)As量子ドット層の歪を緩和することができ
る。
図3 In0.48Ga0.52Pを母体半導体とした多積層In(Ga)As量子ドット構造体を
太陽電池構造に応用する場合のバンド図の模式図
また、図3のバンド図の模式図に示すように、例えば図2(a)に示した量子ドット積層
構造体を任意の複数層積層した多積層量子ドット構造体31をノンドープのi層とし、
このi層の多積層量子ドット構造体31を間に挟んでp型のInGaP層32およびn
型のInGaP層33を設け、p-i-n構造を構成することにより、高出力の太陽電
池素子とすることができる。なお、図2(a)に示した多積層量子ドット構造体31の代
わりに、図2(b)に示した量子ドット積層構造体を任意の複数層積層したi層の多積層
量子ドット構造体を用いることもできる。
このように、本発明のIn(Ga)As量子ドット構造体をInGaPのpn接合に挟む
ことにより、InGaPは波長650nm以下、In(Ga)As量子ドットは波長1300
nm以下、量子ドット中間バンドからInGaP伝導体までのエネルギーは波長1700n
m以下に感度を持たせることができるので、このInGaAs量子ドット構造体を組み
込んだ多積層量子ドット構造体を持つ本発明の太陽電池素子は、全ての太陽光スペクト
ルの全波長に吸収感度を持つように構成することができる。
図4 In0.48Ga0.52Pを母体半導体とした多積層In(Ga)As量子ドット太陽電
池構造のうち、InGaPバリア層が無いもののバンド図
なお、図4のバンド図の模式図に示すように、図1(b)に示した量子ドット積層構造体
を任意の複数層積層した多積層量子ドット構造体41をノンドープのi層とし、そのi
層の多積層量子ドット構造体41を間に挟んでp型のInGaP層42およびn型のIn
GaP層43を設け、p-i-n構造を構成することにより、高出力の太陽電池素子と
することができる。なお、図4は、GaAsバッファ層を設け、その上に複数のIn(Ga)
As量子ドットを成長させ、そのIn(Ga)As量子ドットを埋め込むようにGaAs
バッファ層を設け、InGaPバリア層を設けずに複数層積層したIn(Ga)As/Ga
As量子ドット構造体の例であるが、図1(c)に示した歪緩和層、または図2(a)また
は(b)に示した歪補償層を導入した場合においても、同様に適用可能である。
また、本発明の多積層量子ドット構造体をn型にド-プし、そのn型の多積層量子ドッ
ト構造体をp型InGaP層とn型InGaP層で挟んでp-n-n構造の太陽電池素
子としてもよい。更には、本発明の多積層量子ドット構造体をp型にド-プし、そのp
型の多積層量子ドット構造体をn型InGaP層とp型InGaP層で挟んでn-p-
p構造の太陽電池素子としてもよい。
In(Ga)As量子ドット構造体は、量子ドットを成長方向に整列させるため、量子ド
ット間の距離を20nm以下にする必要がある。また、量子ドットが中間バンドを形成
するためには、量子ドット間を2~3nm程度以下まで薄くする必要がある。量子ドッ
ト間にはGaAs、InGaP、またはGaAs/InGaP、またはGaAs/In
GaAs/InGaP層を用い、場合によっては歪補償層としてGaP層を適当な厚さ
で挿入すれば、上記2~3nm程度以下まで薄くすることができる。本発明の太陽電池
素子は、この多積層量子ドット構造体を用いて太陽電池構造を構成するものである。
次に、本発明の多積層量子ドット構造体の製造方法の実施の形態について説明する。
第1の実施の形態の多積層量子ドット構造体の製造方法では、まず、第1の工程で、母
体の半導体として第1のInGaPバリア層を設ける。続く第2の工程では、InGa
Pバリア層の上に複数のIn(Ga)As量子ドットを成長させてIn(Ga)As量子ド
ット層を形成する。続く第3の工程では、In(Ga)As量子ドット層を埋め込むよう
に第2のInGaPバリア層を設ける。これにより、図1(a)に1層分のバンド図の模
式図を示した、In(Ga)As量子ドット積層構造体を製造する。そして、次の第4の
工程では上記第1~第3の工程をk回(kは任意の自然数)連続して繰り返すことで、第1
のInGaPバリア層と第2のInGaPバリア層とからなる層がk層積層された第1
の実施の形態のIn(Ga)As量子ドット積層構造体が製造される。
次に、第2の実施の形態の多積層量子ドット構造体の製造方法では、まず、第1の工程
で、母体の半導体としてInGaPバリア層を用いてGaAs/InGaP/GaAs
バッファ層を設ける。続く第2の工程では、このバッファ層の上に複数のIn(Ga)As
量子ドットを成長させてIn(Ga)As量子ドット層を形成する。続く第3の工程では、
In(Ga)As量子ドット層を埋め込むようにGaAs/InGaP/GaAsバッフ
ァ層を設ける。これにより、図1(b)に1層分のバンド図の模式図を示した、In(Ga)
As量子ドット積層構造体を製造する。そして、次の第4の工程では上記第1~第3の
工程をk回(kは任意の自然数)連続して繰り返すことで第2の実施の形態のIn(Ga)
As量子ドット積層構造体が製造される。
次に、第3の実施の形態の多積層量子ドット構造体の製造方法では、まず、第1の工程
で、母体の半導体としてInGaPバリア層を用いてIn0.1~0.3Ga0.7~0.9As/Ga
As/InGaP/GaAs/In0.1~0.3Ga0.7~0.9Asバッファ層を設ける。続く
第2の工程では、そのバッファ層の上に複数のIn(Ga)As量子ドットを成長させて
In(Ga)As量子ドット層を形成する。続く第3の工程では、そのIn(Ga)As量
子ドット層を埋め込むようにIn0.1~0.3Ga0.7~0.9As/GaAs/InGaP/Ga
As/In0.1~0.3Ga0.7~0.9Asバッファ層を設ける。これにより、図1(c)に1層
分のバンド図の模式図を示した、In(Ga)As量子ドット積層構造体を製造する。そ
して、次の第4の工程では上記第1~第3の工程をk回(kは任意の自然数)連続して繰
り返すことで第3の実施の形態のIn(Ga)As量子ドット積層構造体が製造される。
次に、第4の実施の形態の多積層量子ドット構造体の製造方法では、まず、第1の工程
で、GaAsバッファ層を設ける。続く第2の工程では、GaAsバッファ層の上に複
数のIn(Ga)As量子ドットを成長させてIn(Ga)As量子ドット層を形成する。
続く第3の工程では、In(Ga)As量子ドット層を埋め込むようにGaAsバッファ
層を設ける。これにより、InGaPバリア層を設けないIn(Ga)As量子ドット積
層構造体を製造する。そして、次の第4の工程では上記第1~第3の工程をk回(kは任
意の自然数)連続して繰り返すことで第4の実施の形態のIn(Ga)As量子ドット積層
構造体が製造される。
次に、第5の実施の形態の多積層量子ドット構造体の製造方法では、まず、第1の工程
で、In0.1~0.3Ga0.7~0.9As/GaAs/In0.1~0.3Ga0.7~0.9Asバッファ層
を設ける。続く第2の工程では、そのバッファ層の上に複数のIn(Ga)As量子ドッ
トを成長させてIn(Ga)As量子ドット層を形成する。続く第3の工程では、そのIn
(Ga)As量子ドットを埋め込むようにIn0.1~0.3Ga0.7~0.9As/GaAs/
In0.1~0.3Ga0.7~0.9Asバッファ層を設ける。これにより、InGaPバリア層を
設けない量子ドット積層構造体に、更に歪緩和層を利用したIn(Ga)As量子ドット
積層構造体を製造する。そして、次の第4の工程では上記第1~第3の工程をk回(kは
任意の自然数)連続して繰り返すことで第5の実施の形態のIn(Ga)As量子ドット積
層構造体が製造される。
【実施例】
次に、この多積層量子ドット構造体を用いた太陽電池素子の実施例について説明する。
図5は、本発明の多積層量子ドット構造体を用いた太陽電池素子の一実施例の模式的断
面図を示す。本実施例は、図1(b)に示したIn(Ga)As量子ドット構造体を複数層
積層した多積層量子ドット構造体を用いて構成された、太陽電池素子の実施例である。
図5において、太陽電池素子10は、n型GaAs基板11上にn+-GaAs層12を
成長させ、更にその上にn+-In0.48Ga0.52P層、n-In0.48Ga0.52P層の順で積層
したn層13を成長させ、更にその上に図1(b)に示したIn(Ga)As量子ドット構
造体を複数層積層した多積層量子ドット構造体14を有する。
図5
太陽電池素子の一実施の形態の模式的構造断面図
【符号の説明】
10 太陽電池素子 11 GaAs基板 12 n+-GaAs層 13 n層 14 多積
層量子ドット構造体 15 p層 16 p+-In0.48Al0.52P窓層 17 p+-GaAs
コンタクト層 18 Ti/Pt/Au電極 19 AuGe/Ni/Au電極
21、22 GaP歪補償層のバンドギャップ 23、26 In(Ga)As量子ドット
層のバンドギャップ 24、25 GaAsP歪補償層のバンドギャップ
多積層量子ドット構造体14の各層は、複数のInGaAs量子ドットを埋め込んだGa
Asバッファ層141と、GaAsバッファ層141の上に設けたIn0.48Ga0.52Pバ
リア層142とから構成される。多積層量子ドット構造体14はドーピングせず半絶縁
性のi層である。
In(Ga)As多積層量子ドット構造体14の上にはp+-In0.48Ga0.52Pからなるp
層15を成長させ、その上には、窓層としてp+-In0.48Al0.52P窓層16を成長させ
る。さらには金属とのコンタクトのため、p+-In0.48Al0.52P窓層16の上にp+-Ga
Asコンタクト層17を成長し、その上にTi/Pt/Au電極18を形成する。一方、
n型GaAs基板11の裏面にはAuGe/Ni/Au電極19が形成される。ただし
表面において、ARコート等反射防止膜の堆積は行っていない。
実施例の各層は、一例として以下の構造とされている。
GaAsコンタクト層17は1×1019/cm3:50nm、
p+-In0.48Al0.52P窓層16は2×1018/cm3:30nm、
p+-In0.48Ga0.52Pバリア層142は4×1018/cm3:50nm、
i層のIn(Ga)As多積層量子ドット構造体14(量子ドット+GaAs層20nm+
InGaP層1nm)は10周期積層、
n-In0.48Ga0.52P層は1×1017/cm3:1000nm、
n+-In0.48Ga0.52P層は1×1018/cm3:250nm、
電極18のTi/Pt/Auの配分は30nm/10nm/400nm、
電極19のAuGe/Ni/Auの配分は80nm/20nm/350nm
以上、掲載文字数の上限がきたので、この続きは後日に。