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最近Tape Expressというカセットテープ・プレイヤーを買った。カセットの音源をMP3データに変換してくれるという優れものである。しかも値段が安い。その分、音質や性能には多少難ありだが、そもそもカセットテープの音質はいい訳じゃないからこれで充分満足のいく買い物だった。
早速昔から録り溜めしていたカセットテープを段ボールから引っ張り出してデータ化している。中学の時に初めて結成したキッスのコピー・バンド「あらまあ」、高校時代学園祭でセンセーションを巻き起こしたパンク・バンド「GLANDES」、大学のサークルで結成した女性ヴォーカルのニューウェイヴ・バンド「鰺tation」、ライヴハウスで活動した「Rajio」と「Flower Trip」。自分の録音テープが山のようにある。
その中にバンドではなく自分ひとりでコツコツとピンポン録音した、今で言えば宅録のカセットも発見した。「Euqisumorih 2」と題されたそれは丁度30年前私が花の浪人生だった時に勉強の合間に自室で録音したものである。カセット・デッキとラジカセを使って何度も多重録音を繰り返したものだ。元々高3の時にFlying Lizardsに影響を受けて多重録音を始めた。その頃に作品を1本作ったのだが、それはどちらかというとバンドの音を再現しようという試みだった。それに比べて「Euqisumorih 2」は録音自体が作品であり、当時のインダストリアル/オルタナティヴ/フリーミュージック/実験音楽の影響の色濃い鬱屈した暗黒のアングラノイズである。嫌がらせにこのカセットを10人くらいの友人に送りつけた。ピナコテカにも送った気がする。
シンセサイザーはおろかリズムボックスも持ってなかった。使った楽器はギター、各種エフェクター、ピアノ、トランペット、フルート、ピアニカ、短波ラジオ、段ボール箱、空き缶、スピーカーのコーンなど多種多様だ。
30年ぶりに聴くと浪人生でありながらこんな手の込んだ作業をしていた自分の歪んだ情熱に感心する。全体の印象はThrobbing Gristleにとても近い感じがするのだが、実は私は当時はスログリを聴いたことがなかった。一番影響を受けたのはThe Residentsと大竹伸朗さんの19/Jukeだった。このサウンドのネクラな雰囲気は1980年代初期特有の空気感なのであろうか。1981年。ハナタラシよりも暴力温泉芸者よりも早かった。
愛があれば
目を覚ませ
Pass
聴かなくて
いいですこれは
自己満足
露悪趣味の私としては皆さんのお耳汚しに音源を公開したわけである。