A Challenge To Fate

私の好きな一風変わった音楽を中心に徒然に綴ったページです。地下文化好きな方は見てやって下さいm(_ _)m  

夢に恋して~シュヴァンクマイエル「サヴァイヴィングライフ」@渋谷イメージフォーラム

2011年09月25日 00時25分29秒 | 映画やDVDのこと

昼間新橋に用事があったのでその帰りにずっと観たかったシュヴァンクマイエルの5年ぶりの長編映画「サヴァイヴィングライフ」を観てきた。公開からほぼ1ヶ月たった今でも7割の入りと人気ぶりが伺える。先日行ったシュヴァンクマイエル展@ラフォーレ原宿でもそうだったが、観客の多くは20代の若者だ。77歳の老芸術家のどこに彼らは惹かれるのだろう。シュールレアリスムというある意味アナクロな方法論を21世紀の今でも追求している希有なアーティスト。そのノスタルジックな手法といつの時代も変わらぬ現実/非現実への関心が若い世代の心に響くのかもしれない。

映画は冒頭にシュヴァンクマイエル自身が登場して前口上を述べる。曰く「製作予算がないので子供向けアニメでお馴染みの切り絵コラージュ作品となった」「制作費を押さえるため撮影はすべてスタジオ内でおこなった」「映画の尺が短か過ぎるので自分が登場して話している」という自虐的なもの。そのまま映画本編に雪崩れ込み観る者は気が付かないうちにシュヴァンクマイエルの迷宮世界に巻き込まれて行く。

その手法、ストーリーなどは予告編と公式HPを参照していただきたい。"夢は第二の人生"とサブタイトルされているように、夢の中で出会った女性に恋をした男の精神遍歴の物語である。フロイトとユングの理論を実践する女性精神科医や現実世界の妻や会社の上司と同僚、ロトくじ、夢の中で象徴的な言葉を呟く老婆、夢の女性の夫や子供などが入り交じって次第に現実と夢の境界が曖昧になっていく。シュヴァンクマイエルの嫌みを感じさせない画像処理が見事だ。ネタバレになるが、水泳の練習と赤い水という映画前編に出てきた言葉が映画ラストに重要な意味を持つ。

私は最近映画を観ると必ず眠ってしまうのだが、この映画は「コクリコ坂から」以来(笑)初めて眠らず最後まで楽しめた。心理学専攻の私としては所々に散りばめられたフロイトの「夢判断」からの引用および(意識的な)誤用が面白かった。



夢の中へ
行ってみたいと
思いませんか

シュヴァンクマイエルの泉は汲めども尽きることはない。10月初めまで公開しているようだから行ってみてはどうだろうか。


コメント
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