
菊地成孔氏が毎年新宿ピットインで開催している3Days企画、今年は7年目だそうだ。デートコース・ペンタゴン・ロイヤル・ガーデンとして名門Impulseレーベルと契約しノリに乗っている彼の今年の1日目の共演者は山下洋輔さん。菊地氏は1993年に山下洋輔ニュー・トリオに参加、この巨匠のもとでフリージャズの語法をみっちり仕込まれた。それから20年余、ジャズ・ミュージシャンだけではなく文筆家、大学講師、評論家など幅広い活躍をする菊地氏の原点にはやはり洋輔さんがいるのだろう。
ピットインは今まで見たことない程の動員で、いつもは後ろまで並べられている椅子が前半分だけで後ろ半分はスタンディング。ダンディな菊地氏だけあって女性客も多い。私はギリギリで一番後ろの椅子に座れた。
ふたりが登場して、菊地氏のソプラノ・サックスで洋輔さんの「グガン」を演奏したところで、菊地氏がマウスピースを忘れたことに気づき楽屋へ取りに戻る。歯並びが悪いため護国寺の管楽器奏者専門の医者に作ってもらったもので、歯が唇に食い込まないようにするらしい。小さいのでしょっちゅう忘れてしまうそうだ。ひとくさりそんな話をしたところで、時間がなくなるのでもうMCはしない、と言いつつ話し続ける。さすが大学講師だけあって話が面白い。先日もNHK TVのマイルス・デイヴィス特集で解説を務めていたっけ。その後は演奏に専念。バラードを中心にところどころフリーなプレイを織り交ぜるところが素晴らしい。特に洋輔さんがソロになると得意の鍵盤駆け上り奏法を繰り出すのがエキサイティングだ。ちょうど1時間で1st Set終了。
2nd Setはより正統派ジャズよりのバラードを演奏。お客さんには1stよりも受けていたが、個人的には少し眠くなってしまった。ジャズの歌詞がいかに単純であるかについての菊地氏のトークが面白かった。
2時間たっぷり職人芸の演奏を堪能した。翌日の共演者は大友良英氏。
20年前の演奏↑
吹きまくり
弾きまくる
この興奮
ピットインへの道すがら模索舎へ寄って工藤冬里氏の新作CDRを購入。この店はサブカル系の書物やCDが揃っていて探求しがいのある書店である。