![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/10/be/e5e0756d975e0af862e684f3b3b71fdd.jpg)
「発狂天国 vol.55 ~発狂天国10周年だよ!!! 9月編~」というイベント。出演はLIVE:割礼/埋火/ロバQ(岡山)/opening act:mmm/DJ:石原洋(rest stay relationship)/発狂チカ。
まずは石原氏のDJ。White Heaven~The Starsのリーダーであり、ゆらゆら帝国のプロデューサーとしても知られる石原氏がどんな曲をかけるのか楽しみだった。女性ヴォーカルものを中心に1970年代風の曲をプレイ。どれ一つとして知っている曲がないので相当ディープな選曲だったのだろう。
オープニング・アクトのmmm(ミーマイモー)。アコースティック・ギターの弾き語りである。彼女はシンガポール、アメリカ育ちらしく英語の曲の発音が自然でいい。スローテンポの曲では漂うようなアシッド・フォーク調、アップテンポの曲ではユーモラスな歌詞のコミカル調、と飽きさせることのない演奏だった。彼女のバンド「マリア・ハト」や今回共演の埋火のメンバー見汐麻衣嬢とのユニット「アニス&ラカンカ」も聴いてみたいものだ。
続いて岡山のフリーサイケ・バンド、ロバQ。名前は知っていたが聴くのは初めて。G/Vo,B,Dsのトリオでしっかりしたビートのギター・ロックを聴かせる。頭脳警察やだててんりゅうを思わせるハードな曲調とインスト・パートにおける3者が交錯する強力なインプロヴィゼーションが素晴らしい。もう少し覚えやすいメロディがあればもっと好きになるだろう。20年を超える年季はさすが。
次は見汐麻衣嬢率いるトリオ埋火。見汐嬢のソロは何度か観たことがあるがバンドは初めて。これがとても良かった。ソロでの心に染みる叙情的なメロディーが思いの他シャープなロック・サウンドに乗せて歌われる。彼女がギター・ソロを弾くのだが変にサイケを意識することなく自然な陶酔感を醸し出すところがいい。ドラムの志賀加奈子嬢のコーラスもいいアクセントになる。いわゆるガールズ・バンドとは質の違った女子力が印象的。10/5リリースのニュー・アルバムの曲を中心に演奏。
トリが割礼。ここ数週間私は割礼にハマっている。彼らのCDをすべてiPodに入れて外出時に聴き狂っている。宍戸幸司氏のスタイルは結成当時から変わっていない。精神の奥底に染み込んでいくような濃厚な歌と水中を漂うような幻惑的なギター。このスタイルを30年近く続けてきた彼らの存在は日本のサイケデリック/アンダーグラウンド・シーンでとてつもなく大きい。ライヴでは曲目こそ変わっても毎回同じ浮遊感で脳内シナプスを麻痺させる。とにかく中毒性の高いバンドである。今年2月の5時間ライヴは至福の時間だった。以来毎月のように彼らのライヴに通ってきたが、今回は6月以来3ヶ月ぶりである。胸がときめく。ゆっくりしたアルペジオが耳を優しく刺激する。鎌田氏のロングトーン・ギター、パリっとした山際氏(B)と松橋氏(Ds)のリズム隊が鳴り響くともう逃れられない。割礼ワールドに絡み取られる。彼らの曲は全部知っている筈なのに聴くたびに新鮮な発見がある。アンコールの「ゲーペーウー」を含め全5曲60分の夢の時間だった。終わったとたんに次のライヴが観たくなる。また長時間ライヴをやってくれないものだろうか。
割礼に
溺れっぱなしで
ゆれつづける
この日のUFO CLUBはサイケな香りが充満していた。私にとってはこれから始まるライヴ/イベント6連チャンの皮切りだ。