21世紀東京生まれの「トラウマテクノポップ」バンド、アーバンギャルド待望のメジャー1stアルバムがリリースされた。タイトルは「メンタルヘルズ」=Mentalhells=精神的地獄。もちろんMentalhealth=精神的健康をもじった彼らならではの造語である。誰もが心の中に持っている人には言えない小さなトラウマ。それをテクノ/ポップ/ロックのごった煮サウンドに乗せて白日のもとに晒す大胆不敵な5人組。メジャー契約をしてもレコ倫ギリギリの過激な歌詞や変態チックな音のコラージュはインディ時代と変わらない。
♫生まれつき人は不自由だから 地面揺れるたび震えます 生まれつき夢が見れない だけど 地獄が見えそで揺れてます(堕天使ポップ)
♫墜ちたいな 落ちたいな 生きたいな 逝きたいな ツイラク!ツイラク!ツイラク!ツイラク!(墜落論)
♫君の病気は治らない だけど僕らは生きてく(ももいろクロニクル)
分かりやすくて難解。アンビヴァレントな言葉遊びと不可知論。"ビョーキ"という言葉が流行ったのは1980年代初めだが、テン世代に新たなビョーキを撒き散らす天性の言葉のテロリスト松永天馬氏の才能が冴え渡った作品である。それを甘い香りでオブラードに包むのが浜崎容子嬢のウィスパー・ヴォイス。60年代グループ・サウンズと70年代歌謡曲と80年代テクノポップと90年代オルタナティヴ・ロックと00年代デジタル・ロック。様々な音楽的要素が交錯したアーバンギャルド・ワールドに迷い込んだら抜け出すことはできない。まるで富士山の樹海のような深遠なエニグマである。気がついたらあなたも赤い水玉模様に身を包み巨大キューピーと対決しているかもしれない。宗教的興奮状態に陥った数千人の少女たちが一糸乱れず旗を振る夢を見た。このビョーキは感染性が高いから要注意!
かわいい子
裏を返せば
ビョーキっ子
2011年最大のワンマン・イベント開催。「アーバンギャルドのディストピア2011」11月19日(土)、20日(日)2デイズ@東京キネマ倶楽部。20日はアーバンギャルド・メンタルヘルズ・オーケストラ(UMO)としてスペシャルなライヴになるとのこと。
<おまけ>
あの子がライバル。あの子もビョーキ?