A Challenge To Fate

私の好きな一風変わった音楽を中心に徒然に綴ったページです。地下文化好きな方は見てやって下さいm(_ _)m  

ペンギン・カフェ/相対性理論@ラフォーレミュージアム六本木 2012.10.8 (mon)

2012年10月10日 00時25分55秒 | こんな音楽も聴くんです


ペンギン・カフェ特別公演
出演:ペンギン・カフェ/ゲスト:相対性理論

1980年代今で言うカフェ・ミュージックの元祖として大ヒットしたペンギン・カフェ・オーケストラ(以下PCO)。主宰者である作曲家のサイモン・ジェフスが1997年に亡くなって以来活動停止していたが、2009年に息子のアーサー・ジェフスが遺志を継ぎメンバーも新たにペンギン・カフェとして復活した。日本では2007年にPCOのベスト盤と日本人アーティストによるトリビュート盤がリリースされ再評価が高まっていたので、今回の復活は大きな話題となり来日公演が決定。そのプロモーションでアーサーが6月に単身来日したことは以前に書いた。その成果もあり東京3回の公演は早々にソールド・アウトし、大阪にて追加公演が決まった。相対性理論をゲストにした特別公演は特典として今年3月のオーストラリア・ツアーのDVDが付いていた。そこで観られる演奏はサイモン時代のPCOのミニマリズムとエレガントさを継承しつつより開放的でポップな”環境音楽"だった。

ラフォーレというので前日まで原宿だと思いこんでいたら、チケットに六本木と書いてあるのに気がついた。危ない危ない。滅多に乗らない東京メトロ南北線の六本木一丁目から地図を頼りに開場30分前に辿りつくと既に多くの観客が並んでいる。PCOをリアルタイムで知っている人は40歳以上だと思うが、最近の再評価の影響と相対性理論のファンも多く客層は思いの他若い。場所柄かちょっとオシャレな若者が目立つ。ラフォーレミュージアム六本木はキャパが1300人とあるが、立ち見も出る大盛況。初めてだと思ったが、20数年前にラウンジ・リザーズを観たようなデジャヴがある。ロビーにはトレードマークのペンギンのオブジェが飾ってありギャラリー風な雰囲気。ペンギン・カフェの物販は勿論賑わっていたが、相対性理論の物販にも人だかりが出来ている。運良く通路前の席を確保できたので前列を気にせずゆったり観賞。ステージは広く背景にペンギンがペイントされた豪華なもの。




時間通りに相対性理論が登場。ベース、パーカッション、ドラム、ギター、ヴォーカルの順番で音を重ねていく。やくしまるえつこ嬢はゆったりした白いシャツに黒いスカート姿。不失者のサポートで観た時と同じようにライトセーバー状のdimtaktというコントローラーでパソコンを操作しながら歌う。バンドとして観るのは3年ぶりだが、メンバーチェンジでリズム・セクションが変わったそうだ。パーカッションは先日4D mode-1のライヴにもゲスト参加したイトケン氏。彼らのアルバムは1stしか聴いていないがそこから2曲やったし、やくしまる嬢の最新ソロ・シングル「ヤミヤミ」も披露。相変わらず無表情に唄う彼女だが、バックの演奏は躍動感が増している。正直言って以前観た時はピンとこなかったのだが、今回はなかなか楽しめるライヴだった。ゲスト扱いだったが40分のサポートアクトとしては十分のステージ。しかしあとでツイッターを見るとやくしまる嬢ファンには良かったがバンドとしては普段と違うイマイチ物足りないセットリストだったようだ。



<Set List>
1 元素紀行
2 地獄先生
3 COSMOS vs ALIEN
MC1 「現金より、ペンギン」
4 新曲
5 (1+1)
6 新曲
MC2 「青山、ぼちぼち。六本木、やみやみ」
7 ヤミヤミ
8 さわやか会社員
MC3 「吸引力?必要ないね」
9 ほうき星
MC4 「またね」

20分のセットチェンジのあとペンギン・カフェが登場。アーサーをはじめ思い思いの格好の人の良さそうなメンバーだ。PCO時代の聴き覚えのあるミニマルなピアノでスタート。元々ブライアン・イーノの環境音楽レーベルから出てきただけにエリック・サティの家具の音楽やスティーヴ・ライヒやフィリップ・グラスを想わせる現代音楽的な曲想だ。現代音楽というと眉間にシワ寄せて深刻そうなイメージがあるが、それをいとも簡単に楽しそうに演奏するメンバーが軽々と飛び越える。それが顕著だったのは3曲目のフィドルとチャランゴ(?)を中心としたケルト音楽風のジグ/リール・ナンバー。招聘元がチーフタンズやタラフ・ドゥ・ハイドゥークスなどワールドミュージック系を得意とするプランクトンだからという訳ではないだろうが、ペンギン・カフェがヨーロピアン・トラッドの影響を受けていることを改めて実感した。どの曲も難解にならずワクワクする喜びに溢れていて楽しい演奏が続く。後半には客席から手拍子も沸き起こり、ウィーンのワルツ演奏会で観客が踊りだす光景を思い出した。80分近い本編のあとアンコールで相対性理論と共演。クールな理論と気さくなペンギン、一見水と油のような両者の共演は意外な新感覚室内楽を産み出した。やくしまる嬢がポエトリーリーディングとハミングを重ねたのも効果的だった。最後はアーサーのピアノ・ソロでしんみりと終了。たまにはこんな上品でシャレた演奏会もいいものだ。



<Set List>
1 Perpetuum Mobile
2 Coriolis
3 Swing The Cat
4 Aurora
5 That, Not That
6 Landau
7 Air à Danser
8 White Mischief
9 Dirt
10 In The Back Of A Taxi
11 Paul's Dance
12 From a Blue Temple
13 Music For A Found Harmonium
14 Telephone And Rubber Band
15 Giles Farnaby's Dream
16 Salt Bean Fumble
17Beanfields
-アンコール-
18 Perpetuum Mobile(with相対性理論)
19 Harry Piers

終演後サイン会が行われ長蛇の列。ひとりひとり笑顔で応対するアーサーはホントに性格の良さそうな青年だった。

ペンギンは
光の速度
気にしない

来日を記念して白金のレストラン・バーで「A Tribute To Penguin Cafe/ペンギン・カフェ・トリビュート」という展覧会をやっているのでデートついでにご覧になっては如何?

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする