メロウな歌声が誘い込む、白昼夢サイケデリア………。
女子3人組バンド“ファンシーナムナム”待望の2ndアルバム「no now」完成。
この妖艶なガールズ・トリオに興味を持ったのは昨年夏に朝日新聞夕刊エンターテイメント欄に掲載された近藤康太郎記者の紹介記事だった。それ以前からUFO CLUBやペンギンハウスなど高円寺界隈のライヴハウスのスケジュールに名前を見て「空想的南無南無」と解釈し気になっていた。近藤氏の記事では「昭和歌謡とジャーマントランスの融合」という感じで形容されていたと記憶する。インド風の60’ヒッピー・ファッションに身を包んだ3人の写真がとても誘惑的でコレは観なけりゃと思っていた時、タイミングよくUFO CLUBで蛸地蔵・倫敦水槽・ファンシーナムナムの3バンドが主催するイベント「明星音楽祭」が開催され、シャロウズと壊れかけのテープレコーダーズも出演するので絶好のチャンスとばかり観に行った。スタイルは違うがどのバンドも独特のサイケデリック感を放っておりイベント自体UFO CLUBに相応しいストレンジでエキゾチックな異空間を産み出していて面白かった。ワウファズ乱れ打ちの蛸地蔵のうえのひる子氏もカッコ良かったが、ファンシーナムナムの異次元世界は聴いてるうちにジワジワ効いてきて1stアルバムのタイトル通り「迷宮としての世界」そのものだった。
以来数回彼女たちのライヴに通い物販でライヴCDRを購入。1stアルバムが置いて無かったので直談判して後日サイン入で郵送してもらった。「もう2年前の音源なので現在とはだいぶ違いますが。。。」との手紙入りで届いた1stは確かに昭和歌謡メロディ満載のユニークな出来だったが、麻薬のようなトランス的浮遊感は余り反映されていない。ライヴハウスのサイケな照明で観るステージは70年代のATG映画(日本アート・シアター・ギルド:1960~70年代他の映画会社と一線を画す非商業主義的な芸術作品を製作・配給していたアート系映画会社)を髣髴させるアングラ感と隠微なエロチシズムを漂わせていて、音楽性も併せ大人の女性っぽい雰囲気だが、ステージを降りると予想外に若くハキハキした現代っ娘なのに驚いた。2007年結成当時大学生だったとすればまだ20代半ばの花も恥じらうお年頃である。
彼女たちが3年ぶりの2ndアルバム「no now」リリースを記念して下北沢のディスク・ユニオンでインストア・ライヴをやるというので、先日のモノクローム・セットに続くユニオン無料イベント参戦と相成った。入って右手のJ-POPコーナーに機材が設置されている。ドラムレスなのでインストアでも普段通りの演奏が出来る訳だ。たぶん大学時代の同級生と思われる若い女性グループが来店し、メンバーと賑やかにしゃべっている。明るい蛍光灯の下で同年代の友達と談笑する3人はホントに普通の女の子。観客の7割が若い女性というディスク・ユニオンらしからぬ雰囲気の中ライヴがスタート。Roland MC-303のチープな反復リズムに乗ってローファイなギター、ベース、キーボードが奏でられ、蓜島嬢が無表情な声でゆらりゆらりとしたメロディを歌う。目をつぶればミニUFO CLUBだが、明るいレコード店で演奏するミスマッチが面白い。「インストアは初めてなので緊張しています」とMC。ライヴではMCは殆どやらないのでかなり照れている様子。幸運にもお客さんの半分が知り合いだから次第に緊張も解けていく。ニュー・アルバムの曲はこの数年間のライヴで披露されてきた曲ばかりなので聴き覚えがある。まさに"今のファンシーナムナム"を真空パックしたアルバムである。瞑想的なリズムのリピートの長尺の曲が多く4曲で30分のステージ。終演後メンバーに挨拶。初体験のインストアが上手くいってリラックスしていた。
今週の26日金曜日UFO CLUBにてレコ発ライヴが開催される。対バンに彼女たちお気に入りのガールズ・バンドを集めたというので楽しみ。レコ発の物販で新作「no now」を購入したらディスク・ユニオン特典DVDRとタワレコ特典サイン入フリーペーパーがもらえるので、早く聴きたい気持ちを抑えこの日は我慢。
fancynumnum「no now」Release Party!!!!
adv 1500/door 1800
open 18:30/start 19:00
w/Fat Fox Fanclub
BUDDY GIRL and MECHANIC
フリーダム
DJ何?(カブキレコーズ)
ファンシーに
南無阿弥陀仏
夢の国
新作には様々なミュージシャンからのコメントが寄せられている。詳細はコチラ。
「あっ、男なのにシンデレラコンプレックスにかかってしまった様な気分。この、おとぎ話の世界に誘う様なこのグルーブ感は、みんなを絶対に幸せにする。正に、Fancy Num Num!!Yummy Yummy Yummy!!という大まかな印象はさて置き、Fancy Num Numの最新作は、蓜島さんのボーカルに特徴があると思う。サウンドは基本的にサイケデリックで、ミクスチャー・ロックで、それだけでも素敵だが、蓜島さんの良い意味で、ちょっと浮いた感じのちょっとしたズレ感のある歌が、より不思議なグルーブを生み出しているとこが魅力的だ。」
蔦木俊二 (日本カセット・テープ・レコーヂング・突然段ボール)