A Challenge To Fate

私の好きな一風変わった音楽を中心に徒然に綴ったページです。地下文化好きな方は見てやって下さいm(_ _)m  

なぞらない(灰野+オマリー+アンバーチ)/山本+オルーク+石橋@六本木SDLX 2014.3.3(mon)

2014年03月05日 00時21分00秒 | 灰野敬二さんのこと


「なぞらない」初来日公演
スペシャル・ゲスト: 山本達久+ジム・オルーク+石橋英子

Live:
なぞらない(灰野敬二+スティーヴン・オマリー+オーレン・アンバーチ)
山本達久+ジム・オルーク+石橋英子

この日、灰野敬二+ジム・オルーク+オーレン・アンバーチトリオのLPジャケットのデザインを毎年のように手がけてきたスティーヴン・オマリー(Sunn O)))、 KTL)が、灰野、アンバーチ、オマリーの3人によるトリオ『Nazoranai(なぞらない)』として日本初となるライヴを敢行!これも今年は3月2日に開催する灰野敬二+ジム・オルーク+オーレン・アンバーチの毎年に渡る素晴らしいトリオ演奏によって新たに導かれた本当に喜ぶべき産物の一つであると呼べよう。これまで度々行われたヨーロッパ公演や、オマリーのレーベルIdeologic Organからリリースされた最新2枚組LPは世界各地にて広く賞賛されている。今回のスーパー・デラックスでのライヴでは、ロックのパワー・トリオから豊かな音楽表現に満ちた存在へと変貌を遂げる彼ら独自の強烈なパフォーマンスを目の当たりにできるはずだ。
―フランシス・プラーニュ



1年半前に書いた「なぞらない」についてのブログ記事を読むと、筆者が灰野敬二の「なぞらない」という曲を初めて認識したのは、2012年6月16日高円寺HIGHで開催された映画「ドキュメント灰野敬二」前夜祭ライヴだったという。実はその日はアルトー・ビーツのワークショップに参加したので、筆者はそのライヴを観ていない。ナスノミツル&高橋幾朗から、亀川千代+Kiyasuにメンバーチェンジした新生不失者のお披露目ライヴでもあるその日に「なぞらない」が演奏されたことをどのように知ったのか、今となっては記憶にない。実際に「なぞらない」を聴いたのは、同年幕張メッセで開催された8月11,12日のFREEDOMMUNE 0<ZERO>だった。



同時期にオーストリアのレーベルEditions MEGO傘下のIDEOLOGIC OORGANからリリースされたのが、Nazoranai=Keiji Haino, Stephen O'Malley, Oren Ambarchiの『なぞらない(Nazoranai)』だった。2011年11月8日パリに於けるライヴ録音で、収録曲に「なぞらない」という歌詞は出てこない。「なぞらない」が曲として初めて音源化されたのは、2013年11月リリースの不失者『名前を つけないで ほしい 名前を つけてしまうと 全てで なくなってしまうから』である。ユニット名/歌詞/タイトルなど項目と時系列が前後に交錯したエニグマこそ灰野敬二の灰野敬二たる所以である。そこでは、言葉が意味や文脈から解放され、生き物のように自由に呼吸を始める。40年前の言葉と今朝口にした言葉が並列に発せられるパフォーマンスでは言葉の意味は崩れ、灰野(と共演者)が創造する祈りの中に溶け込み昇華される。「うまくできない」「祈りがたりない」「なぞらない」「いみくずし」「なしくずし」など時を超えて繰り返し現れる言葉は、灰野敬二の世界を善く旅するための暗号なのかもしれない。



ユニットとしての「なぞらない」は2011年4月アムステルダムでの初ステージ以降、灰野の渡欧に合わせて定期的にヨーロッパで公演し、2013年にはデンマークの大規模ロックフェス「Roskilde Festival」に出演した。年イチの灰野+オルーク+アンバーチ・トリオとひとりメンバーが異なるだけだが、その音世界には劇的な違いがある。スーパーデラックス2 DAYSで両者をじっくり体験できるのは有難い機会である。

●山本達久+ジム・オルーク+石橋英子

(写真の撮影・掲載については主催者の許可を得ています。以下同)

数年前から石橋英子withもう死んだ人たちや前野健太、長谷川健一などで共演してきた3人は、即興演奏を目的に集まり2012年からセッションを繰り返してきた。昨年6月SDLXでのジム・オルーク連続イベント『ジムO 六デイズ』のライヴを録音し、2014年1月カフカ鼾として正式デビューCD『okite』をリリースした。評判の高いこのトリオを初体験。石橋のキーボードとオルークのアナログシンセが生み出すアンビエント・サウンドに山本の生ドラムがアクセントをつける。ドローン風の導入部から徐々にドラムの連打で盛り上がるが、爆音ノイズや激烈インタープレイには至らず、ムーディーなまま収束する。刺激だけが即興の魅力ではない、という事実を再確認した。創造の泉から湧き出る映像的なイマジネーションに心が浮遊する体験だった。しかし、この日「カフカ鼾」と表記しなかったのは何か理由があるのだろうか。



★カフカ鼾インタビュー ジム・オルーク、石橋英子、山本達久ら実力派による熟成された即興音楽⇒コチラ

●なぞらない(灰野敬二+スティーヴン・オマリー+オーレン・アンバーチ)


照明がグッと落ちる。前日オマリーが使った二段組ハイパワーアンプ2台を灰野が使用。深くリバーブをかけたオマリーのベースからスタート。灰野が短くパーカッションを奏で、すぐにハーディーガーディーに持ち替える。引き摺るような摩擦音に沈み込むベースとアンバーチの空間的なドラムが交じり合う。次第に熱量を増し、激しいドラムロールと地響きを上げるベースが鼓舞して、身悶えする程ハードなハーディーガーディー演奏を誘発する。これほどグルーヴするハーディーガーディーを聴いたのは初めて。ギターに移ると即座に三つ巴のバトルが展開される。前日のオルークを交えたトリオが灰野ワールドの拡張(Extension)だとしたら、なぞらないは三者が対等にぶつかり合う衝突(Collision)と言えよう。オマリー&SUNN O)))の持ち味のドゥーム感が灰野のエニグマと相俟って、ユニット名通り過去の轍(わだち)をなぞらない、革新と確信と核心に貫かれた演奏を繰り広げた。この日も灰野は英語で歌った。聴き手としては正直言って未だ若干の戸惑いを覚えるが、灰野の「言葉」から意味性を剥奪する試みが、何処まで「言葉」を追い詰めるのか見定める為にも、今週あと2回ある灰野のライヴへの興味が募る一方である。




言葉から
離れるための
なぞの歌

<灰野敬二ライヴ・スケジュール>
3月7日(金) 秋葉原CLUB GOODMAN サンヘドリン スプリングツアー「好」の5W1H
サンヘドリン(灰野敬二 ナスノミツル 吉田達也)

3月9日(日) 東高円寺UFO CLUB 【マニ・ノイマイヤー JAPAN TOUR 2014】
LIVE; MANI NEUMEIER(GURU GURU)+灰野敬二/MANI NEUMEIER(GURU GURU)+七尾旅人

3月13日(木) 大分AT HALL
出演:灰野敬二(東京)/DJ masago 他

3月14日(金) 福岡・今泉BLACK OUT
DJ灰野敬二(EXPERIMENTAL MIXTURE)/DJShhhhh/電子たくあん/ダエン/suguru(ticro heir)/michitoki KT

3月15日(土) 熊本NAVARO "METAPHYSICA"
灰野敬二(EXPERIMENTAL MIXTURE)/HiBiKi MaMeShiBa(GORGE.IN/One Week Records)/ケンジル・ビエン/shuichiro hirayama/POLYPICAL and more...

3月19日(水) 今池TOKUZO サンヘドリン スプリングツアー「好」の5W1H
サンヘドリン(灰野敬二 ナスノミツル 吉田達也)

3月20日(木) 大阪CONPASS サンヘドリン スプリングツアー「好」の5W1H
サンヘドリン(灰野敬二 ナスノミツル 吉田達也)


コメント (1)
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