A Challenge To Fate

私の好きな一風変わった音楽を中心に徒然に綴ったページです。地下文化好きな方は見てやって下さいm(_ _)m  

大凶風呂敷(白石民夫+カミッサ)/魔術の庭/解体飼育団@新大久保Earthdom 2014.3.5(wed)

2014年03月07日 00時11分11秒 | 素晴らしき変態音楽


Passion & Intension Vol.12

大凶風呂敷(白石民夫+Cammisa Buerhaus from N.Y)+木村由 (舞踏)
魔術の庭
解体飼育団(Hiroshi Hasegawa a.k.a Astro, Satoru Sasaki, Shizuo Uchida)



2月27日京都からスタートした大凶風呂敷日本ツアーは、ニューヨーク風邪を拗らせ体調不良を訴える白石民夫の不安をよそに順調に進行。とにかく元気なカミッサ・ビュアハウスは初めての日本を目一杯楽しんでいる。特にオフに訪れたモダーンミュージックで見た阿部薫や裸のラリーズの秘蔵カセットテープに興奮冷めやらぬ様子。まだ20代半ばのうら若き乙女が日本地下音楽にこれほど心酔しているのは微笑ましくも摩訶不思議である。灰野敬二関係のライヴが重なり、筆者がふたりのライヴを観られるのは、魔術の庭主催の新大久保公演のみ。マイナー音楽第二世代ともいえる2バンドとの対バンは大変興味深い。

●魔術の庭

(写真・動画の撮影・掲載については出演者の許可を得ています。以下同)

鳥を見た/灰野敬二率いるHardy Soul/ソロ等で活動する山崎怠雅が、この日から轟音サイケの権化、魔術の庭に参加。トリプルギターはレーナード・スキナードかブルー・オイスター・カルトみたいだと一部で話題になった。ロングヘアーが3人並んだ構図だけで異力十分。福岡林嗣と怠雅が弾き捲るファズギターは当社比5倍増しの大音量。あまりの轟音に耳が痛くて初めは離れて観ていたが、徐々に快感に変わり、気づけばステージ真ん前で音の拷問に身を晒していた。ギター&ベースのエレクトリックサウンドウォールの中央を割って放射されるドラムがスウィートスポットに入った。10分以上爆音ノイズに耽ったエンディングが過ぎ去ると、残されたのは耳鳴りの鈍痛だけだった。




●解体飼育団


2013年新宿URGAで27年ぶりに復活した長谷川洋a.k.a.ASTRO&佐々木悟のプロジェクト「解体飼育団」が再降臨。ASTROのスペーシーなハーシュノイズは3分の1に過ぎず、佐々木の意外にクールなサックスと内田静男の物音ベースが三つ巴となり、単なるノイズでもフリージャズでもドローンでもない芳醇な異世界が目の前に広がる。展開らしい展開のない40分の演奏が吹き抜けた後には、欠落した記憶の空白がポッカリ穴を開けていた。




●大凶風呂敷




白石がゆっくりとアルトのマウスピースを銜えると、高周波が気配の如く立ち上がる。空気の隙間に真空地帯が生じて、意識の尻尾が吸い込まれる。カミッサ愛用のソビエト製シンセから鈍い波形のビープ音が流れ出し、聴覚と知覚の上下15cmの間隔で彷徨う。レースのリボンに包まれた木村由の肢体がゆっくりと脈動し、銀幕投射のスローモーション映像が喚起される。視覚と聴覚と知覚への刺激は氷のように冷たく、同時にマグマのように熱い。不可知の動きで後方に移動した白石の引き裂く超音波が背中に突き刺さる。木村のリボンが目の前で暮夜けて超現実的な気分に陥る。透徹のクールネスに貫かれたパフォーマンスが、音響地獄の傷跡を癒す潤いを意識の狭間にもたらした。




日米の
変態音楽
出会いの場

カミッサ制作のカセットテープ作品。アメリカではカセットテープ復権中。




コメント
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