ドラびでお presents <頂上決戦>
doravideo×灰野敬二×JOJO広重
ドラびでおこと一楽さんのやりたい放題のある意味極北を迎えた今回のイベント。<頂上決戦!>と銘打たれておりますが、正しくそれぞれのジャンルで頂上を極めたお二人のガチ対決です!そして、それを近くで見ながらジャッジしていくレフリー的な立ち位置のドラびでおという事になるのでしょうか?いや、ゴジラ対キングコングに匹敵する対決ですから近くにいたら大怪我しかねませんので、これはドラびでおも含めた三つ巴の三大怪獣大決戦が観られるのではないでしょうか。とにかく、見逃せないタイトルです!!!!!
一楽儀光と灰野敬二は90年代から何度も共演を重ねているが、ドラムとビデオによるマルチヴィジュアルユニット「ドラびでお」としての共演は、恐らく2008年5月1日クラブ・グッドマンでの「ドラびでお presents ZNDKBGBAKCHDM (スンドコボコバキチュドン)vol.1」だと思われる。『KEIJI HAINO+DORA VIDEO』としてDVD化されたこの共演は、灰野のライヴ映像をスクリーンに投射した”ドラびでお plays 灰野敬二 vs 灰野敬二”というものだった。翌年このデュオで西日本ツアーも行う。その後一楽はグッドマンで「Collaboration Breakdown」というイベントを主宰し様々なゲストを迎え共演する。灰野は2010年7月に後藤まりこ、2011年1月にミト(クラムボン)、2012年3月に美川俊治とのコラボで出演。
⇒灰野敬二+ドラびでお@秋葉原CLUB GOODMAN 2008.5.1(thu)
⇒灰野敬二+ドラびでお+ミト@秋葉原 Club Goodman 2011.1.21(fri)
⇒灰野敬二+美川俊治+ドラびでお@秋葉原 Club Goodman 2012.3.24 (sat)
一方ドラマーとしては、2009年8月名古屋TOKUZOで灰野敬二Blues Band(灰野+ナスノミツル+一楽)に参加。このトリオは翌年秋に静寂と命名され、2012年クリスマスイヴのラストワンマンまでレギュラーバンドとして活動する。持病の腰痛が悪化した一楽は静寂ラストライヴをもってドラマーを廃業し、自ら開発に携わったドラノームという電子楽器で活動する。
⇒静寂@秋葉原 Club Goodman 2012.12.24 (mon)
JOJO広重と灰野は90年代から何度も対バンはしているが、2004年広重のトークショー「こころの歌・最後の歌」に灰野がゲスト出演したのに続き(演奏をしたかどうかは不明)、確認できた共演歴は、2006年6月名古屋TOKUZO、2007年5月高知Chaotic Noise、2008年12月大阪nu-things、2010年3月高円寺ペンギンハウス(山家暁子とのトリオ)の4回。
広重と一楽の共演歴がいつ頃からあるのかは不明だが、Multipul Tapに参加し今年2月に一緒にロンドン公演を行ったし、広重がMCで「最近ソロとしてライヴに誘ってくれるのは一楽さんだけ」と話していたので付き合いは深いに違いない。
⇒Multiple Tap:非常階段/ドラびでお/伊東篤宏/PAINJERK etc.@神宮前 Galaxy 銀河系 2013.11.30(sat)
「これは私にとっての頂上決戦」と一楽がツイートしていた通り、30年以上活動するベテランの久々の共演であり、上記のように縁も所縁もディープな三者が一堂に会することは、文字通り日本地下極端音楽のトップ階段、否、会談といえるだろう。その目撃者となるべく、聖地アキバに愛好家たちが集合した金曜日の夜だった。
●ドラびでお
(写真の撮影・掲載については出演者の許可を得ています。以下同)
ドラノームの完成型レーザーギターを初体験。明滅するコントローラーでプリセット音源を操作することまでは以前と同じ。レーザーギターはビデオ映像の代わりに2機のレーザービームが放射される。これが超絶刺激的なSFの世界。飛んで来る光の矢が身体に刺さって痛い程の異次元トリップ体験。映画『アルタードステイツ』の精神ワープシーンに入り込んだ気分。サウンドが激ノイズ、激テクノ、激エレクトロ、激デジロック。全身で音に浸る快感は、ディズニーランドかユニバーサルスタジオのアトラクションにしたら最高。ただし、救急車を待機させる必要あり。
●JOJO広重
6月1日の渋谷タワレコ以来、ほぼ1ヶ月の間に広重を観るのは5回目。マル非35周年/アルケミー30周年に加えBiSの解散が輪をかけたJOJO広重ラッシュの到来か。新宿ピットインでギタリストとしての特異性を改めて認識したばかりなので、ソロ演奏はとても興味深い。前半はインストでノイズギターを堪能。繊細にコントロールされた音の粒がアンプからキラキラ飛び出し拡散していく演奏は、コードやフレーズが無いのに極めて音楽的。空間的な色彩の世界でもある。音量の大きさに関わらず、静謐・冷涼な空気を感じる。そのまま弾き語りへ。高山謙一作詞の螺旋階段時代の「しろ」、広重のオリジナル「さよならをする前に」そしてINUの「メシ喰うな」。10年前の冷酷さではなく、聴き手を包み込む慈愛を感じた。
⇒本田珠也+坂田明+JOJO広重@新宿Pit Inn 2014.6.10(tue)
●灰野敬二
エレクトロニクスからスタート。発振器をコントロールしながら、明瞭な声で唄う。電子音のピッチが変わると空間が歪む。様々な解釈の余地を残した自由度の高い歌は、筆者にはどこか昨今の社会状勢への苛立ちがあるように思えた。ホワイトノイズが加わり空間を塗り潰す。広重の空間に線を描く演奏とは好対照。電子音の嵐をカットアップすると、メタルシートをコンタクトマイクで電気増幅したパーカッション演奏。ミュージカルソーのように弓で弾いて、引き裂くようなノイズを発する。最後に声をループさせた凄まじいヴォイスパフォーマンスを展開。「叩き潰せ」という言葉が無限にリピートされ、有無を言わせぬ強烈な存在感に打ちのめされた。
●灰野敬二×JOJO広重×ドラびでお
三者三様に気合いが入った(入り過ぎた?)パフォーマンスだったので、既に満腹状態。しかしこの日の目玉は当然三人のセッション。気を取り直して心を解放する。この三人が同時にステージに並んだ図だけでひとつの事件だろうが、記念写真を撮る隙を与えない激烈なセッションだった。灰野は最初に電気増幅したスプリングでノイズ演奏。広重のギター、ドラびでおのドラノームと相俟って、物音ノイズセッションとなる。レーザービームが加わった途端に、グッドマン全体が別次元にワープ。明滅する光線の狭間に見え隠れする三人の姿は、天上に遊ぶ紅天女か、地獄の釜に堕ちた亡者の如し。灰野がギターに持ち替えると、音の表情が豊かになる。音階のあるフレーズを弾く灰野と、あくまで音響ノイズの広重のギターの対比が面白い。しかしレーザーの光に翻弄され、そんな感慨は一瞬で飛び去り、ただただ音と光のノイズワンダーランドに身を任すのみ。注意すべきは正気を失わないようにすること。約30分の異次元トリップから帰還した観客は、満足と疲労の為かアンコールの拍手はなかった。
⇒ドラびでお公式ブログ「頂上決戦 in 秋葉原グッドマン」
三人で
連れて行ってよ
桃源郷
<ドラびでお ライヴ・スケジュール>
2014.7.14秋葉原 グッドマン
○ ドラびでお
2014.7.15郡山 ピークアクション
○ doravideo+BOMBORI
2014.7.27秋葉原 グッドマン
「MULTIPL TAP凱旋記念公演」
○ ドラびでお(LaserGuitar)
○ 非常階段(JOJO広重/JUNKO/美川俊治
○ 河端一
○ PAINJERK
○ 中村としまる
○ 毛利桂
○ 秋山徹次
○ 池田ケン
○ 石川高
○ 伊東篤宏
○ 川口貴大
○ 大城真
○ 田中悠美子
○ 若林美保
○ 康勝栄
2014.7.30小岩 BUSHBASH
○ doravideo+HIKO(gauze)
2014.8.4郡山 ピークアクション
○ 山本精一+doravideo
2014.8.18秩父 ladderladder
○ ディック・エル・デマシアド
○ doravideo
○ イン ザ サン
○ BOMBORI
2014.8.23秋葉原 グッドマン
○ インキャパシタンツ+doravideo
○ 吉田達也+沼田”社長”順
2014.8.31水道橋 FUTARI
○ 小埜涼子+沼田”社長”順+doravideo
2014.9.4秋葉原 グッドマン
○ センヤワ(fromインドネシア)
○ 内橋和久
○ doravideo
2014.9.22恵比寿 BATIKA
○ doravideo
○ OPTRON
2014.9.27福島 クダラナ庄助祭り
○ doravideo
2014.10.中旬台湾
○ doravideo
2014.11.初旬横浜
○ doravideo
2014.12.中旬オーストラリア
○ doravideo
2015.2.初旬フランス、スペイン
○ doravideo
2015.3.初旬メキシコ
○ doravideo
2016.2.初旬大分
○ doravideo