A Challenge To Fate

私の好きな一風変わった音楽を中心に徒然に綴ったページです。地下文化好きな方は見てやって下さいm(_ _)m  

「ロック」は魔法の合言葉~壊れかけのテープレコーダーズとDrop'sの注目の新譜を読み解く

2014年07月11日 00時17分40秒 | ロッケンロール万歳!


意識的に音楽を聴きはじめ、ロックというジャンルがあることを知った13歳の時、暫くこの魔法の言葉に取り憑かれてしまった。「ロック」という片仮名を見ただけで感覚か鋭敏になり、「オートロック」や「ロッククライミング」など音楽に関係ない言葉でも輝いて見えて心がトキメキ気分が高揚した。当時の気持ちを象徴するのがエアロスミスの4thアルバム『ロックス』(1976)だった。ライナーノーツには馬の蹄の音で始まる「バック・イン・ザ・サドル」をはじめ、「地下室のドブねずみ」「シック・アズ・ア・ドッグ」などの歌詞の猥雑な和訳が載っていて、思春期男子の夢想力を刺激した。その前に聴いたキッスの『地獄の軍団』は特撮ヒーローに似た”健全な娯楽"だったが、エアロを聴いて危ない大人の世界に触れ、ロックの深淵に惹かれていった。その後聴き進めるうちに慣れたのか文字だけで身悶えすることはなくなったが、ロックの呪縛から解き放たれた直後にパンク熱に罹り、自転車がパンクしただけで胸が熱くなるようになった。



それから18年後、イギリス・スコットランドでドラッグ&ダンス三昧していたプライマル・スクリームという名の不良少年団が、突如アメリカに被れ発表したのが4thアルバム『ギヴ・アウト・バット・ドント・ギヴ・アップ』(1994)だった。シングル曲は「ロックス」。セカンド・サマー・オブ・ラヴを象徴するバンドによるロック讃歌はクラブで夜通し踊りまくる日本の若者に絶賛され、深夜1時過ぎのアゲ用定番曲になった。

 

そのさらに20年後の2014年7月9日に日本の札幌と高円寺で、鮮やかなロック宣言がなされることとなった。エアロとプライマルが蒔いた種が極東の地で見事に開花した訳であり、ふたつのロックに心トキメかす少年少女も多いに違いない。時を同じくして日本を直撃した台風8号の暴風が興奮に火をつける。

Drop's『HELLO』


札幌出身女子5人組Drop'sの2ndフルアルバム。インディー時代のミニアルバムを数えると4作目のロングCDである。結成から5年経って”ハロー(こんにちは)”とは遅すぎるご挨拶だが、このアルバムは新しい世界に飛び出した記念碑である。札幌の女子高生ブルースバンドとして、渋い音楽性で話題になったDrop'sが東京に移りメジャーデビューして丁度1年。The BirthdayやDOESといった先輩たちとも共演して広い世界を知り、ロックンロールで市民権を得ようとの思いが開花した。「タンバリン 鳴らせば どこまでもとべるのよ ロックスター」(マイ・ロックスター)と歌う希望に満ちた新世代ロックンロール。



JUNGLE☆LIFEインタビュー「多くの人の心に響き渡る次世代のロックンロール
ナタリーインタビュー「"渋い音楽"からの脱却


壊れかけのテープレコーダーズ『broken world & pray the rock'n roll』


結成8年目になる”原初的な大文字の「ロック」の精神を現代に継承し提示させながら最新型を打ち鳴らす4人組”(公式バイオより)壊れかけのテープレコーダーズの4thアルバムは帯に大文字で「ロックス」とそのまんま記した意欲作。起承転結の「結」であり、壊れた世界に打ち鳴らす「祈り」と冠されたロックンロール。東京のライヴハウスシーンの顔役でもある彼らだけに、Drop'sのように真っ直ぐな希望を託すだけでは無く、最初のロックギター体験の衝撃(15歳のポケット)からモリスン、ボラン、ヘンドリックス、二人のシドへの思慕(ロックスターの墓参り)まで、ロック愛と闘争精神に溢れた一枚。男女のボーカルハーモニー(または非ハーモニー)とオルガンの哀愁の音色が、予想以上にポップな響きを持ち、ヘヴィなテーマの曲でも軽やかに駆け抜けるフットワークの軽さが印象的。



アルバムセルフライナーノーツ

ロックには
時代を超えた
夢がある

昨日(7月10日)バンド名そのまんまの46歳の誕生日を迎えたチバユウスケも「ロック」伝道師。

コメント
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