A Challenge To Fate

私の好きな一風変わった音楽を中心に徒然に綴ったページです。地下文化好きな方は見てやって下さいm(_ _)m  

のなか悟空&騒乱武士@入谷なってるハウス 2016.2.13(sat)

2016年02月15日 01時04分10秒 | 素晴らしき変態音楽


"真昼の決闘ライブ"
騒乱武士/ のなか悟空(ds)西村直樹(b) 西田紀子(fl)クラッシー(指揮.per) 小林ヤスタカ(sax) 鈴木放屁(sax) 石川寧(tp) 天神直樹(tp)ハル・宮沢(g,MC)ほか 


悟空さんのヤバンギャルドで楽しい曲をたくさん演奏する騒乱武士、なってる昼のショートライブです。



先日の新宿ピットインでの灰野敬二との共演ライヴについてのブログで、のなか悟空を「一匹狼のイメージが強い」と書いたが、それは80年代に公園やストリートでの野外パフォーマンスを行い、ドラムを担いで世界各地を旅する冒険ドラマーとして話題になったからであろう。そもそも野外や国外に出るキッカケは、自由を標榜したジャズシーンが、80年代に入って保守的・閉鎖的になり、規格外の活動をするには外へ出るしかなかったからだという。
のなか悟空&人間国宝+灰野敬二@新宿Pitt Inn 2016.2.7(sun)

しかし外に出てばかりではアウトサイダーとは言えないのも事実。シーンの内側から壊してしまおうと、のなかは国内で志を同じくする仲間と共同活動を行ってる。そのひとつが30年に亘って率いるトリオ「のなか悟空&人間国宝」だが、もっと多くの演奏家を巻き込んだユニットが「騒乱武士」である。メンバーは流動的だが、常に10人前後の大編成で、のなかの作曲作品を即興演奏するグループである。

この日は9人編成で、先月灰野とMUSQISのメンバーとして共演したトランペット奏者・石川寧も参加。偶然なのか必然か、灰野共演者率22.22%の「三代目J-騒乱武士」(ハル・宮沢談)である。ピットインでのなかのスタッフをしていたクラッシーが指揮者として演奏者に指示を与える。



スカ/クレズマー/ワルツ/レゲエ/スウィングといったバラエティ豊かなサウンドで展開するメロディーは極めてシンプルで印象的。子供でも親しめる単純さは、世界各地を旅して子供たちを相手に演奏してきたのなかならではの感性だろう。しかしそれは所謂「グローバリズム」ではない。寧ろ「ヒューマニズム」と呼ぶべき、生きとし生けるものが共感できる歓びの歌である。

テーマの後に展開される自由奔放なソロ&デュオ演奏は、子供が嬉しさのあまり羽目を外すように、ドンドン定型演奏から逸脱して行く。その逸脱度合いに差がある(あくまでモードに忠実な小林ヤスタカのアルトと名前通りに溜まったガスを噴射するような鈴木放屁のテナーの対比に注目)ことが、同じ人間は他に存在しない(私以外私じゃない、という短絡思考は勘弁)千差万別・森羅万象の現世界の投影と言えるだろう。



自らを<短気で乱暴者のフリージャズ・ドラマー。ドラムを担いでアジア・アフリカ・中南米に出かけて演奏することを生業としている。国内では「人間国宝」というバンドを率い、命を縮めるライブに精を出している。>と表現するのなか悟空は、明らかに「神」や「創造者」ではなく「ひとりの人間」でしかないことを自覚しており、人間としての「生と死」を積極的に受け入れる覚悟を持っている。
すなわち<肉体は老化しても 魂は老化せず!永遠に円熟しないのが ワシ流の円熟じゃ!ひたすら「野蛮ギャルド」あるのみ!>と言う訳である。

騒乱武士


人間国宝(狂瀾怒涛)と
騒乱武士(縄文ジャズ)と
蓮魂(和の即興)

のなか氏よりたいへん貴重なものを預かった。ビールの箱に入っているのが微笑ましい。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする