プロティーン・リアリティ『変幻リアリティ』
Protean Reality“Protean Reality”
クリス・ピッツイオコス Chris Pitsiokos alto saxophone
ノア・プンクト Noah Punkt electric bass
フィリップ・ショルツ Philipp Scholz drums and percussion
1. 拷問者の馬 Torturer's Horse
2. 碧水 Green Water
3. 冷静に Calmly On
Recorded on January 8th, 2015 in Leipzig, Germany
変幻自在な現実こそ現代即興の極意
ここにもうひとつ、そしてとりわけ顕著な、今日創られたもっとも爆破的なジャズの好例がある。プロティーン・リアリティはハードバップとフリージャズと共に生まれた従来の楽器編成:サックス、ベース、ドラムのトリオである。しかし、クリス・ピッツイオコス、ノア・プンクト、フィリップ・ショルツのアプローチには従来型のものは全くない。ここにあるのは、明らかに70年代ニューヨークのノーウェイヴの影響を受けた、ジャズとノイズと現代音楽の衝突である。オーネット・コールマンとセックス・ピストルズとヤニス・クセナキスのミックスを頭の中に想像すれば、このCDの内容物に少しだけ近づくかもしれない。<強度><即時性><前方推進力>がこの音楽のキーワードだが、同時にこのCDに収録された3つの長尺曲には、限りない抒情性と抽象性が溢れている。初めて耳にしたら奇妙な連中と思われるかもしれないが、3人のミュージシャンの経歴をみるがいい。ピッツイオコスの共演者は、ジョー・モリス(g)、ピーター・エヴァンス(tp)、タイショーン・ソーリー(ds)、ネイト・ウーリー(tp)、ポール・リットン(ds)、ウィーゼル・ウォルター(ds)、そして忘れてはいけないのは、リディア・ランチ(vo)。プンクトはティム・デイジー(ds)、Peter van Huffel(reeds)、Tobias Pfister(reeds)と共演。シュルツはRudi Mahall(b-cl)、 Claudio Puntin(b-cl)、Pablo Held(p)をパートナーに活動。それぞれ音楽界の門外漢ではないどころか、フュージョン・ジャズの死を祝福し、喜びと怒りと創意と禁じ手無しの、インプロヴィゼーションの新世代を象徴する存在なのである。
【参考動画】
hobel / wir sollten wie katzen sein
mark weschenfelder - saxophone
noah punkt - bass
philipp scholz - drums
知られざるライプチヒ即興シーンの真実を明らかにするハードコア・トリオ『ホベル Hobel』。ノア・プンクトを中心に地元出身のフィリップ・ショルツとサックス奏者マルク・ウェスチェンフェルダーからなるユニット。サックスがピッツイオコスに変わるとどうなるかは『Protean Reality』で確認のこと。
unser angebot TRAILER
mark weschenfelder / saxophone
bertram burkert / guitar
noah punkt / bass, composition
philipp scholz / drums
上記トリオにギタリスト、ベルトラム・バーケルトが加わり、熱いアンサンブルを聴かせる。
★ライプチヒ即興音源はプンクト主宰のotherunwiseレーベルからリリースされている。
試聴可⇒otherunwise
ドレ・ホチェヴァー 『集団沸騰』
Dre Hocevar“Collective Effervescence”
レスター・セントルイス Lester St.Louis cello
ブラム・デ・ルーズ Bram De Looze piano
ドレ・ホチェヴァー Dre Hocevar drums
クリス・ピッツイオコス Chris Pitsiokos saxophone
フィリップ・ホワイト Philip White electronics & signal processing
1. 未知の未知 Unknown Unknowns
2. 意識論としての通達 Notifications as a Theory of Consciousness
3. 相互作用、複雑性、アフォーダンス Interaction, Complexity, Affordances
4. 模範的第三肖像画... Third Portrait of the Exemplary...
5. 内なる崇高の架空統合体 Imaginary_Synthesis Within Sublime Inside
6. 1987年代 1987’s
7. その他大勢の革命 The Revolutions of Many Others
Recorded at Systems Two Recording Studios, November 24 and 25, 2014
Mixed and Mastered by Dave Darlington;
Produced by Michael Carvin
Executive production by Pedro Costa for Trem Azul
Design by Travassos;
時代は『集団即興 Collective Improvisation』から『集団沸騰 Collective Effervescence』へ
自己のトリオによる『証拠性の暗号化 Coding of Evidentiality』の成功から1年、ドレ・ホチェヴァーが戻ってきた。トリオでもカルテットでもなく、探究心を拡大したカルテットによる『集団沸騰Collective Effervescence』へと変貌した。チェリストのレスター・セントルイスとピアニストのブラム・デ・ルーズが今一度このパーカッショニスト兼作曲家と同舟した。あなたがもしスポーツファンなら、常勝チームの再来に拍手喝采するだろう。ホチェヴァーの音楽のエレクトロアコースティックな方向性は、前作収録曲「批評的論説分析 Critical Discourse Analysis (CDA)」で、エレクトロニクス奏者アム・プルータを迎えて披露された。このアルバムでは、フィリップ・ホワイトのアナログ・エレクトロニック・ワークとシグナル発信器が、ノイズジャズコンボ、プロティーン・リアリティのメンバーとして知られるサクソフォニスト、クリス・ピッツイオコスと共に、ホチェヴァーの革新的な作品を統合・昇華して、さらなる高みへ導いている。それによって、微妙で繊細なニュアンスを失うことなく世界観が伸張拡大され、むしろ親密さを持つ室内楽的アンビエンスと相まって、このグループの突出した質の高さが保たれている。作品コンセプトも同様に、集団的・相互作用的・共感的な音楽性とそれを演奏するミュージシャンのクオリティの高さが、好条件に作用し、コンセプトをより明確に描いている。最終的には、アルバム・タイトルの『集団沸騰』こそが、ここで起こっていること―――目に見えない空気と身体の振動が、時に緻密に、しかし常に沈黙、原則、基礎、そしてすべての音楽の終焉の中へ散っていく―――のメタファー(暗喩)となっているのである。
Dre Hocevar - Notifications as a Theory of Consciousness | Clean Feed 2016
Dre Hocevar Collective Effervescence (Clean Feed, January 2016)
Philip White electronics | Lester St.louis cello | Bram De Looze piano | Chris Pitsiokos saxophone | Dre Hocevar drums
NYから
世界へ広がる
即興の輪
【クリス・ピッツイオコス最新映像】
CP Unit - at Trans-Pecos, Brooklyn - January 10 2016
Chris Pitsiokos - alto saxophone, compositions
Brandon Seabrook - guitar
Tim Dahl - bass
Weasel Walter - drums
ピッツイオコス率いるカルテット『CPユニット』。ギターの参加により、より複雑な幾何学即興演奏を展開する。
Rodenticide - at Silent Barn, Brooklyn - January 27 2016
Samantha Riott - verbal assault
Isaiah Richardson Jr. - clarinet, tenor saxophone, harmonica
Richard Lenz - guitar
Chris Pitsiokos - drums
ピッツイオコスがドラムを担当する即興ハードコアジャンクバンド『ローデンティサイド(殺鼠剤)』。NO NEW YORK直系のキレキレな存在感が頼もしい。