A Challenge To Fate

私の好きな一風変わった音楽を中心に徒然に綴ったページです。地下文化好きな方は見てやって下さいm(_ _)m  

【私の地下ジャズ愛好癖】のなか悟空『辻説法』/V.A.『GOODMAN LIVE & GREAT-DEATH』

2016年02月19日 02時10分43秒 | 素晴らしき変態音楽


"冒険ドラマー"のなか悟空のHPの<DVDとCDと著書とレコードなど>というコーナーに2枚のレコード盤が紹介されている。約35年前にのなかが参加したオムニバス盤と、初のリーダー作である。地下ジャズ愛好家の地が騒ぎ、いても立ってもいられなくなり、一度挨拶しただけなのに図々しくも「聴かせて欲しい」と直接メールした。見るからに大らかそうな人柄そのものに快諾の返事が来た。曰く「ライヴに来てもらえば手渡しします」。さっそくバレンタインイブの2月13日に入谷なってるハウスの「騒乱武士」を観に行って、預かったのがビール箱に入った貴重なLP盤だった。
のなか悟空&人間国宝+灰野敬二@新宿Pitt Inn 2016.2.7(sun)
のなか悟空&騒乱武士@入谷なってるハウス 2016.2.13(sat)

●Variou Artists『GOODMAN LIVE & GREAT-DEATH Vol.1』

1980 Goodman Records GM-001 (LM-1140)

SIDE A
1. 岩瀬俊二・鎌田雄一デュオ 「Dawn Song/The Question/Whole-tone Dance/Ballad M/Heavy Steps/The Answer/The Last Rhythmic Attack」
 岩瀬俊二 p. / 鎌田雄一 ss.
 [録音:岩瀬俊二 1979年7月14日・28日]
2. のなかみつまさグループ 「竹」
 藤川正雄 fl.as. / 森本純雄 b. / 岩崎龍風 琵琶 / のなかみつまさ sa.perc.
 (録音:岩瀬俊二 1979年7月15日)
3. 庄田次郎カルテット 「Quatrain」](Improvisation)
 庄田次郎 tp. / 原 p. / 飯島信一郎 b. / 宮内俊郎 ds.
 (録音:川崎克己 1979年6月18日)

SIDE B
1. Limbo Trioトリオ 「愛妻弁当」(作曲:野島健太郎+鎌田雄一)
 鎌田雄一 ss. / 野島健太郎 p. / のなかみつまさ ds
 (録音:岩瀬俊二 1979年6月26日)
2. 雨宮拓・宮内俊郎デュオ 「Interstellar Medium」(Improvisation)
 雨宮拓 p. / 宮内俊郎 ds
 (録音:川崎克己 1979年6月26日)
3. 板倉克行グループ 「Sisters Brother/Mobile/Mu/For Peace/それから」(作曲:板倉克行)
 板倉克行 p. / 丸山尚文 b. / 小野好幸 ds.
 (録音:岩瀬俊二 1979年6月20日・7月2日)

Design:松坂まち子+鎌田雄一
強力:中山銀士+岩田信一+コジマ録音

現在は高円寺で営業しているジャズのライヴハウス「グッドマン」は2006年7月に移転する前は荻窪にあった。1973年に荻窪グッドマンとして開店したこの店のマスターは、ニュージャズシンジケートのメンバーのサックス奏者鎌田雄一。鎌田の繋がりでニュージャズ系ミュージシャンが多数出演し、フリージャズ/即興音楽の拠点となった。1979年にレコーディングされた本作は、鎌田をはじめ庄田次郎、原、雨宮拓等ニュージャズシンジケートのメンバーを中心とする6組のグループの、グッドマンに於けるライヴ演奏を収録したオムニバス盤。『Vol.1』とあるので、シリーズ化を目論んだと思われるが、Vol.2以降がリリースされたかどうかは定かではない。

当時20代後半ののなか悟空も二つのユニットに参加。A-2の「のなかみつまさグループ」は和のテイストを持った演奏で、日本的な『間』を活かすことで、空間と音楽の在り方を再確認する緊張感のある世界を描いている。一方「Limbo Trio」と名乗るトリオによるB-1では、トレードマークの手数の多いパワードラムを披露、鎌田の火を噴くようなソプラノサックスと野島のパーカッシヴなピアノと息をもつかせぬ鬩ぎ合いを演じる。

他のトラックも有名無名にこだわらず、グッドマンという自由空間で、「ジャズ」という名のヲタ活を堪能する35年前の若者群像をヴィヴィッドに写し取った貴重な記録であり、時代が変わっても感性の発露のなかにピカリと光る刃を実感することが出来る。

1982年筆者が大学に入学した頃、グッドマンで「即興道場」として、プロアマ問わず楽器持参でセッションに参加できる日がツキイチで開催されていた。念願のアルトサックスを手に入れた筆者は何度か参加し、いろいろなミュージシャンとセッションし、その後の音楽仲間も見つけた。また、上京していた井上敬三が参加したこともあった。そのときは誰か判らず、鎌田が「広島の井上先生」と紹介したので、地方の音楽教師か医者かと思った。

●のなか悟空みつまさ meet 庄田次郎『辻説法』

1983 M & M Records LM-1392

SIDE:A
無題 その1(Solo)
のなか悟空みつまさ(Ds.,Perc.)

SIDE:B
無題 その2(Duo)
のなか悟空みつまさ(Ds.,Perc.)
庄田次郎(piccolo Tp.)

Recording Engineer: shunichi TAKANO
Assistant Engineer: rumiko SHIMADA
Recorded at:チェシャー・キャット
Recording date: 18 NOV. 1982
Mixed at: Flat Motovuto
Produced by: M & M company
Cover design: mistumasa NONAKA
Managemnet by: M & M company
Manufactured by: KOJIMA RECORDINGS. INC.
printed in japan M & M RECORDS 

日本全国をドラムを担いで旅していたのなかの初リーダー作。庄田次郎が経営する「チェシャー・キャット」でのライヴ演奏2セットを収録。録音したのはたったひとりの観客だという。恐らく簡易な録音機材だったのであろう、ダイナミックレンジの狭い録音状態がアングラ感を増幅し、NYやシカゴのゲットーの屋根裏部屋で夜な夜な密かに行われた前衛ジャムセッションを彷彿させ、音楽表現の最深層に標された凝縮された情念に、芸術以前の衝動と探究心が漲っている。ジャケット裏の写真の若き二人の壮観な表情に、好きな音楽を貫く歓びと覚悟が刻まれている。

のなかは先日このLPのオープンリールマスターテープをヤフオクで売り払ってしまったという。自分の作品に無頓着な部分もあるが、寧ろ赤の他人に「のなか悟空」の形見を大事に保管して欲しい、というメッセージかもしれない。

SOMALIA camp nonakagoku/ のなか悟空 ソマリア難民キャンプで大受けじゃ!


ヤバいブツ
ヤバいルートで
さらにヤバい





















コメント
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