A Challenge To Fate

私の好きな一風変わった音楽を中心に徒然に綴ったページです。地下文化好きな方は見てやって下さいm(_ _)m  

灰野敬二生誕記念公演@高円寺ShowBoat 2016.5.3 (tue)

2016年05月05日 11時40分10秒 | 灰野敬二さんのこと


灰野敬二 ~生誕記念公演~ 

open 18:00 / start 18:30  
adv.¥3500/ door.¥4000
出演:
灰野敬二



相変わらず風は強いが、初夏めいた気温の汗ばむ快晴の憲法記念日。西東京の最深部高円寺の地下音楽倶楽部で灰野敬二64歳誕生日を記念したソロ公演が開催された。曾ては開場が30分以上遅れるケースも多かったが、今年はオンタイムで開場・開演。時間に無頓着なのがロックミュージシャンの美徳とされた時代は遠い過去に葬ろう。


(写真の撮影・掲載については出演者の許諾を得ています。以下同)

「神はいる 神はいる しかし何もしない そしてまったく個性がない」という語り(朗読)から「Happy Birthday Everything」と詠唱して始まった第1部は、場面転換の節目に啓示的な朗読を挟み込み、あたかも一遍の物語を描くようなパフォーマンス。



穏やかな音色で鳴るギターフレーズの連鎖が言葉と同じ重みに浸食され気がつくと聴覚だけでなく全身の皮膚を圧迫する強度で振動する。それは決して不快な感触ではなく、エレクトロニクスの波間にプランクトンのように心を無にして漂っていたら、フルートの呟きとアイリッシュハープのつま弾きの彼方で生温かい捕食生物に飲み込まれた。



20分の休憩の後、エキゾチックなサズの調べで目を覚まし、ハーディガーディの幻惑音響に酩酊。朦朧として行く意識の中枢に硬質なギターの雷が打ち込まれる。「おまえ」「暗号」「あっち」「ここ」といった代表ナンバーが披露される第2部後半は、新たなギターアレンジが伴われることで、生まれ変わりの命を吹き込まれた。



最後は輪廻転生の理(ことわり)に倣うかのように、再び冒頭の語りに戻る。しかしその意味は、のべ4時間弱のライヴ全編をともに過ごしたした後では微妙に異なるように思える。最初は茫洋としていた「神」のイメージが、灰野の演奏という「種明かし」を経た結果、手を伸ばせば触れることのできる実態のある「存在」として提示されたのではないだろうか?しかし「種明かし」とは新たな「謎かけ」と同義であり、実在するハズの「神」に触れることは、永遠に叶わぬ夢のようである。



それでも 僕が必要かな?
それでも 食事を並べてくれるかな??
僕が64歳になったときに
(The Beatles "When I'm Sixty-four")

コメント (3)
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