A Challenge To Fate

私の好きな一風変わった音楽を中心に徒然に綴ったページです。地下文化好きな方は見てやって下さいm(_ _)m  

WORLDWIDE SESSION 2016~サン・ラ・アーケストラ/日野皓正他@新木場STUDIO COAST 2016.5.4 wed

2016年05月09日 23時00分08秒 | 素晴らしき変態音楽


Gilles Peterson presents
『WORLDWIDE SESSION 2016』

HP:http://www.worldwidesession.com
FB:https://www.facebook.com/worldwideses...
Twitter:https://twitter.com/worldwide_sess

2016年5月4日(水・祝) OPEN/START 15:00~20:30
新木場STUDIO COAST

GILLES PETERSON
THE SUN RA ARKESTRA featuring MARSHALL ALLEN
The Miguel Atwood-Ferguson Ensemble
日野皓正
SOIL&"PIMP"SESSIONS
松浦俊夫

世界で最も影響力のある DJジャイルス・ピーターソンと日本の誇るトレンドセッター松浦俊夫がプロデュースする"大人のための音楽フェス”がローンチ。



出演は、91歳マーシャル・アレン率いる13名のサン・ラ・アーケストラから、J.ディラへのトリビュートをオーケストラでアプローチし一躍有名となったミゲル・アトウッド・ファーガソン率いる6名のアンサンブル、そして、4月に新譜リリースを控えたSOIL&"PIMP"SESSIONSと世界的トランぺッター日野皓正による当企画だけのスペシャルユニットといったバンドに加え、ジャイルス・ピーターソン、松浦俊夫のDJがフロアを盛り上げます。

Gilles Peterson presents WORLDWIDE SESSION 2016 Trailer


サン・ラ・アーケストラの中にはトランペットに、クール・アンド・ザ・ギャングのメンバーとして最近も来日を果たしたマイケル・レイが、そして、ミゲル・アトウッド・ファーガソン・アンサンブルにはドラムに、ロバート・グラスパー・バンドメンバーとして、また、自身のバンド「ERIMAJ」でも有名なジャマイア・ウィリアムス、NYジャズシーンの精鋭、トランペットのウォルター・スミスⅢ世、ボーカル/サラ・ガザレクとのデュオも好評のピアニスト/ジョシュ・ネルソンがいるなど、イベント名の通り、様々なプレイヤーによる「セッション」も大きな見どころの一つです。(開催告知プレスリリースより)

GillesPeterson Interview for WORLDWIDE SESSION 2016 4th May @STUDIO COAST, Japan



Acid Jazz、Talkin' Loud、United Future Organizationといった90年代DJ/クラブカルチャーを象徴するキーワードとSUn Ra Arkestraの名前が並ぶと、個人的にはちょっとした違和感を覚えなくもない。しかしサン・ラの現在の人気の高さは、硬派(石頭)なジャズサイドではなく、頭の柔らかいクラブ/サブカルピープルからのリスペクトが生んだことは間違いない。かつてスクエアな権威から無視されたまま埋もれた偉人/奇人/超人発掘にかけては、世界中のレコード箱を掘るDJ連中の右手に出る者はおるまい。そんな発掘名人二人が主宰する「大人のための音楽フェス」は、オールスタンディングの会場が満員御礼の大盛況になった。

●ミゲル・アトウッド・ファーガソン・アンサンブル

(公式ライヴ写真は主催者から許可を受けて掲載しています。以下同)

ヴァイオリン奏者ミゲル・アトウッド・ファーガソンが率いる6人組。バイオグラフィーではフライング・ロータスやロバート・グラスパー、ケンドリック・ラマーといった今が旬の名前が言及されるが、個人的にはECMが好きそうな洗練された空間性を備えた本来の意味でのFusion Musicと呼びたい。ロサンゼルス生まれだが、ミゲルというスペイン系の名前に相応しく、ソフィスティケイトされたメロディーに隠れたラテンの血の情熱の火照りがステージから伝わってきた。こうした未知のアーティストに出会えるのがフェスの魅力である。

The Miguel Atwood-Ferguson Ensemble: 'De Wiz'



●サン・ラ・アーケストラ・フィーチャリング・マーシャル・アレン


興奮気味のジャイルズ・ピーターソンの紹介に続き、幕が開くと煌びやかな衣装を身につけたアーケストラが奔放なフレーズでスウィングする。EVI(Electric Valve Instrument)のピュイーーーーンと鳴るカシオトーン風電子音が戯画化された宇宙ジャズ楽団に相応しい。定番の「Spcace Is The Place」やスタンダードやブルースナンバーを交え、メロディアスな旋律をバンドが奏でる中、ロックギタリストよろしくサックスを構えてステージ前に進み出て、横歩きでピロピロとフリークトーンを吹き鳴らすマーシャル・アレン翁の雄姿。たとえ30歳若かったとしても彼のプレイの異物感と破壊力は変わらない。過去と現在と未来がごった煮になって客席を練り歩くお祭りパフォーマンスは、最初は何これ?と戸惑っていた観客を昂奮のパレードに巻き込んだ。

Sun Ra Arkestra - Rocket Number Nine Take Off For the Planet Venus at Glastonbury 2014



●日野皓正+SOIL&"PIMP"SESSIONS


「爆音ジャズ」「Death Jazz」と呼ばれる夏フェスの人気者SOIL&"PIMP"SESSIONSを観るのは初めて。ファンキーダンスビートに力強いテーマを吹き捲るサックスとトランペットの二管を始め、メンバーはいずれも凄腕揃いだが、テクニック至上主義ではなく、見(魅)せることを第一に考えている。アジテーターが客を煽るスタイルは、ヒップホップ/ラップのジャズ版といった風情。ゲストとして登場した日野皓正も、技よりも派手なパフォーマンスで魅了する。身体を反らせエビぞりでペットを構え、ハイトーンで吹き鳴らす姿は、楽団の花形がトランペットだった時代を思い起こす。小学校3年生の時TVでヒノテルを見て、突然トランペットを習いたいと言い出した弟の気持ちがよくわかる。このステージを観てジャズを志す若人(わこうど)が現れれば嬉しい。

SOIL&"PIMP"SESSIONS 『Paraiso』



●松浦俊夫&ジャイルズ・ピーターソン


開演前、ステージ転換時に挿入された二人のDJプレイももちろんフェスのメインエベント。90年代クラブやCDショップで聴いた覚えのあるボサノバやフレンチポップス、エキゾチカの名曲をノンストップでリレープレイする腕前は、ミュージシャン以上にミュージシャンと言っていい。ジャンルの壁を越えてやる!などと気張らなくても、好きな音楽や気になる音楽への興味を追求すれば自ずと境界を越えオリジナリティが確立できるのである。

日野皓正 / SOIL&"PIMP" SESSIONS / 松浦俊夫(WWS2016出演者メッセージ)


決して派手な話題性が有る訳でなく、ある程度音楽を聴いてきた人でなければ知らないアーティストも含むラインナップでの5時間半の音楽ライヴが2000人近い観客を動員した事実は、音楽が消費されるだけの現代社会に於いて、希望の光になり得る快挙と言っていい。この素晴らしい祭りが来年以降も継続して開催されることを祈ってやまない。

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Sun Ra Sunrise




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