A Challenge To Fate

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【私のB級サイケ完全コレクション#3】Aではじまるアーティスト最終回:Allen Ginsberg/Arrows/Animated Egg/Alice Stuart/Alice Cooper

2020年06月21日 02時27分45秒 | 素晴らしき変態音楽


この特集で紹介するレコードはほとんどが8~90年代に購入したもので、2000年に引っ越したときに新居のレコード棚に収納したものだ。2011年3月11日の東日本大震災でレコード棚が上下で約5センチくらい歪んでしまったので、それ以降は出し入れがしにくい状態が続いていた。それをこの4月からの緊急事態宣言の自粛期間に整理しようとしているわけだ。最初に棚に入れた時はジャンルは深く考えず、アメリカ6,70年代/イギリス6,70年代/プログレ&ユーロロック/パンク&ポストパンク/サイケリバイバル、といった区分でアルファベット順に並べたので、B級サイケとは呼べないレコードももちろん多々ある。本特集は【B級サイケ】と題しているが、最終的な目的はコレクションの目録を完成させることだから、サイケ以外の6,70年代のアーティスト・作品も取り上げることにした。また、筆者がレコードを買う重要な基準は「サイケ」なので、世間でサイケと呼ばれなくても、筆者にとってはサイケを感じる作品であることも確かである。そんな「オレ目線」で進めていくのでご理解いただきたい。
それから、個人名の場合、欧米では姓(ファミリーネーム)のアルファベットで分類する場合が多いが、ここでは日本方式で名のアルファベットに従うことにするので、よろしくお願いします。

●Allen Ginsberg / William Blake / Songs Of Innocence And Experience

1970 / US: MGM Records ‎– FTS-3083 / 1992.5.25 Los Angeles Aron's Records ¢99

ビート詩人アレン・ギンズバーグが1948年自宅で18,9世紀のイギリスの詩人ウィリアム・ブレイクの詩集『無垢と経験の歌』を読んでいるとき、「ひまわりよ」(Ah! Sun-flower)、「病める薔薇」(The Sick Rose)、「迷子になった女の子」(The Little Girl Lost)を朗読するブレイクの声が外側から聞こえてくる幻聴体験をしたと言われている。その体験を音楽にした、牧歌的で朴訥とした歌にフルート、ハープシコード、ピアノ、ハーモニウム、オルガン、トランペット、パーカッション等様々な楽器が絡むファンタジックな音楽絵巻。今回クレジットをよく読んで気が付いたのだが、ドン・チェリーやエルヴィン・ジョーンズといった大物ジャズメンも参加している。ジャケットのイラストはブレイク自身による採飾画。文化財的価値の高いレコードである。

The Little Black Boy



●The Arrows Featuring Davie Allan / Cycle-Delic Sounds

1968 / US: Tower ‎– DT 5094 / 1985.5.13 東京大学駒場生協 ¥100

焼けつくようなファズギターのインストでガレージ/サーフ/ホットロッド・ミュージックを攪乱した60'sギター・ウィザード、Davie Allan率いるThe Arrowsの初単独アルバム。B級バイク映画に提供したサントラ曲の数々もいいが、なんといって冒頭のド級ファズ・アシッド・ジャム・ナンバーA-1 Cycle-Delicが昇天モノ。90年代半ばにカムバックし、現在もカルト的な人気を誇る。この素晴らしいレコードをたった100円で手に入れたことがきっかけで、筆者の100円レコード愛が育まれたと言える。

Davie Allan & The Arrows - Cycle Delic

【私のB級サイケ蒐集癖】第8夜<バイク映画のファズギター>デイヴィ・アラン&ジ・アローズ


●The Animated Egg / The Animated Egg

1968 / US: Alshire ‎– S-5104 / 1991.7.13 下北沢Flash Disc Ranch ¥1,280

Davie Allan & The Arrowsに似たファズギター・インスト・バンドだが、こちらサイケブームに便乗した架空のバンドによる企画ものである。その実態は西海岸のセッション・ギタリストJerry Coleを中心として、Edgar Lamar (ds), Don Dexter (ds), Tommy Lee (b), Glenn Cass (b), Billy Joe Hastings (g), Norman Cass (g), Billy Preston (g)らによるスタジオ・セッション。サイケなファズギターやオルガンがここぞとばかりに鳴り響く、アシッド過剰摂取のチープなサウンドは、B級サイケの醍醐味である。

Sock it my way - The animated egg

【私のB級サイケ蒐集癖】第23夜:歌も顔も名前もないサイケ歌謡『アニメイテッド・エッグ』『アンダーグラウンド・セット』


●Alice Stuart ‎/ Full Time Woman

1970 / US: Fantasy ‎– 8403 / 1994.2.25 下北沢Flash Disc Ranch ¥666(3枚で¥2,000)

初期Mothers Of Inventionのメンバーだった女性ブルース&フォーク・シンガーAlice Stuartの2ndアルバム。Grootna、Mad River、Sea Trainなどサンフランシスコ・シーンの実力派ミュージシャンがバックを務めている。バイクに跨ったジャケットはロッカースタイルのイメージがあるが、内容はレイドバックしたアコースティック・フォーク。アリスのヴォーカルはクリスタルでキュート、筆者の萌えポイントである。サイケやアシッドではなく、70年代ヒッピー・フォークロックだが、リラックスしながらナチュラル・トリップできる珠玉のフィメールシンガーである。

'' alice stuart '' - freedom's the sound - 1970

バイクの日記念:私の愛するバイカージャケ〜アリス・スチュアート/チープ・トリック/フラワー・トラヴェリン・バンド/ザ・フー


●Alice Stuart And Snake /‎ Believing アリス・スチュアート・アンド・スネーク / ビリィービング

1972 / JP: 東芝音楽工業 LFP-80745 / 2018.2.3 Disk Union渋谷中古センター ¥1,791

最近入手したAlice Stuartの3rdアルバム。自分のバンドSnakeのデビュー作でもある。バンドといっても緩いジャムセッション風で、前作のレイドバック感覚をさらにプレイベートに発展させている。このアルバムの後ジェリー・ガルシアなどと交流していたようだが、70年代後半にシーンから姿を消した。ギタリスト、ソングライターとしての才能も評価されていたので、何かきっかけがあれば成功したかもしれない。96年に復帰し、地元シアトルで活動しているようだ。

Alice Stuart and Snake - Full Concert - 02/02/74 - Winterland (OFFICIAL)



●Alice Cooper / Pretties For You

1969 / US: Straight ‎– STS 1051 / 1986.7.17 明大前モダーンミュージック ¥1,800

アリス・クーパーを知ったのは77年ラジオで聴いた「俺の回転花火 Under My Wheels」だった。確かパンク特集の中でルーツ的に紹介されたと思うが、派手で猥雑なロックンロールは、例えばヴェルヴェット・アンダーグラウンドよりもパンクっぽく感じた。それ以来アリス・クーパーは筆者のフェイバリット・ヴォーカリストになった。といっても最初はAlice Cooperとは、Alice Cooper (vo), Glen Buxton (g), Michael Bruce (g,key),
Dennis Dunaway (b), Neal Smith (ds)からなるバンド名だった。フランク・ザッパのレーベルからリリースされたこの1stアルバムはサイケの影響を受け、「ショック・ロック」と呼ばれた前衛演劇的な音楽性を十二分に発揮している。アヴァンギャルドとポップセンスが融合したスタイルは頭脳警察に近い気がする。ところでモダーンミュージックで購入したこのレコード、ジャケットはオリジナルのStraightレーベルだが、レコード盤は再発のWarner Bros盤だった。中古盤業界では時々こういう騙しに会うので注意が必要だ。

Reflected Promo

【私のB級サイケ蒐集癖】第10夜:B級サイケは身を助ける「アリス・クーパー」


●Alice Cooper ‎/ Love It To Death

1971 / US: Straight ‎– WS 1883 / 1985.9.5 新宿Cisco ¥1,880

アリス・クーパー最初の大ヒット曲「Eighteen」が収録された3rdアルバム。初期パンクのEaterが歌詞を変えて「Fifteen」と歌っていた。ジャケットのカッコよさは一番好き。

Alice Cooper - I'm Eighteen



●Alice Cooper ‎/ Killer

1971 / Germany: Warner Bros. Records WB56005 / 1986.6.22 吉祥寺Disk Inn 2 ¥1,500

最初に聴いてハマった「Under My Wheels」が収録された4thアルバム。オリジナル盤は見開きで首吊り写真のカレンダーが付いているらしいが、筆者が買ったのは再発のドイツ盤。A-3 Halo of FliesやB=3 Dead Babiesなど演劇的な曲が好き。

Alice Cooper - Under My Wheels (1971) HD 0815007



●Alice Cooper ‎/ School's Out アリス・クーパー / スクールズ・アウト

1972 / JP: ワーナーパイオニア ‎– P-8227W / 1980.1.3 吉祥寺TONY ¥800

初めて買ったアリス・クーパーの5thアルバム。日本盤のサンプル盤だが、付録の紙パンツが付いている。A-1 School's Outが有名過ぎてアルバム自体があまり語られないが、インストや効果音を交えたストーリー仕立てのコンセプトは、アメリカン・プログレの先駆的作品として評価されるべきだと思う。

Alice Cooper - School's Out (1972) HD 0815007



●Alice Cooper ‎/ Billion Dollar Babies

1973 / US: Warner Bros. Records ‎– BS 2685 / 1988.7.31 下北沢レコファン ¥850

ツインギターのイントロがかっこいいヒット曲「Billion Dollar Babies」を生んだ6thアルバム。これもオリジナル盤には10億ドル札が封入されていたというが、筆者の再発盤にはドル紙幣はもちろん、インナースリーヴもついていない。

Alice Cooper - Billion Dollar Babies (Live 1973)



●Alice Cooper /‎ The Alice Cooper Show

1977 / US: Warner Bros. Records ‎– BSK 3138 / 1984.1.17 東京大学駒場生協 ¥800

73年の7thアルバム『Muscle of Love』を最後にバンドとしてのアリス・クーパーは解散し、ソロ名義になった。初のライヴ・アルバムはグレイテスト・ヒッツ的選曲だが、ジャケット写真通りの大仕掛けのロック・エンターテインメントになっており、バンド時代の初期衝動が失われてしまった。人気を取り戻すのは90年代にヘヴィメタルのゴッドファーザーと呼ばれるようになってから。

Alice Cooper: King of the silver screen tour ad 1977


三日目で
Aのレコード
終わりです


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