A Challenge To Fate

私の好きな一風変わった音楽を中心に徒然に綴ったページです。地下文化好きな方は見てやって下さいm(_ _)m  

金曜日に恋に落ちると地球が滅亡する?~ヨ・ラ・テンゴ『スタッフ・ライク・ザット・ゼア』

2015年07月18日 02時25分44秒 | 素晴らしき変態音楽


ヨ・ラ・テンゴが8月リリースの新作『スタッフ・ライク・ザット・ゼア』からザ・キュアーの名曲「Friday I'm In Love」カヴァーのMVを公開!

昨年結成30周年を迎え、8月にニュー・アルバム『スタッフ・ライク・ザット・ゼア』をリリースすることが決定したヨ・ラ・テンゴ。
長きに渡り3ピースとして活動をしていたヨ・ラ・テンゴですが今作ではアイラ、ジョージア、ジェームスに加え、初期メンバーの1人であるデイビット・シュラムがカムバックしたことでも話題の今作から、ザ・キュアーの名曲「Friday I'm in Love」のミュージック・ビデオが公開された!

謎のハートによる襲撃を受け、大パニックに陥るニューヨーク。街の崩壊と共に人々が次々に傷ついている中、ヨ・ラ・テンゴというバンドに所属するジョージア・ハブレイがこの惨劇を引き起こした張本人なのでは…? という噂が流れ始め…というSF仕立ての今作。バンドのユーモアが垣間見える作品となってる。

「Friday I'm in Love」


今作は25年前にリリースしたカヴァー集『フェイクブック』のコンセプトに立ち戻り、今回公開されたザ・キュアーの名曲「Friday I'm in Love」やハンク・ウィリアムズ、ザ・パーラメンツのカバーの他、過去曲のセルフカヴァー、そして新曲2曲が収録されており、サウンドも初期に近いアコースティックが主体の全音楽ファン必聴の内容。

アルバムからはさらに『アイ・キャン・ヒア・ザ・ハート・ビーティング・アズ・ワン』に収録されている「Deeper Into Movies」のセルフカバーとザ・スペシャル・ピロウのカヴァー曲「Automatic Doom」が公開されているので要チェック!

「Deeper Into Movies」


「Automatic Doom」


●リリース情報
アーティスト名: Yo La Tengo(ヨ・ラ・テンゴ)
タイトル:Stuff Like That There(スタッフ・ライク・ザット・ゼア)
レーベル:Matador / Hostess
発売日:8月26日(水)
品番:BGJ-10244
価格:2,371円
※日本先行発売、ボーナストラック、歌詞対訳、ライナーノーツ付

<トラックリスト>
1. My Heart's Not in It (Darlene McCrea)
2. Rickety
3. I'm So Lonesome I Could Cry (Hank Williams)
4. All Your Secrets (remake of track from Popular Songs)
5. The Ballad of Red Buckets (remake of track from Electr-o-pura)
6. Friday I'm in Love (The Cure)
7. Before We Stopped to Think (Great Plains)
8. Butchie's Tune (The Lovin' Spoonful)
9. Automatic Doom (Special Pillow)
10. Awhileaway
11. I Can Feel the Ice Melting (The Parliaments)
12. Naples (Antietam)
13. Deeper Into Movies (remake of track from I Can Hear the Heart
Beating as One)
14. Somebody's in Love (The Cosmic Rays with Le Sun Ra and Arkestra)



■バイオグラフィー
ニュージャージー州ホーボーケンにて1984年に結成。当時音楽ライターをしていたアイラ・カプラン(Vo,G)とジョージア・ハブレー(Vo, D)を中心に結成される。91年にジェームズ・マクニュー(Vo, B)が加入し、現在のスリー・ピースの形となる。ライヴやアルバムのリリースを着々と重ね、ついにオリジナル8枚目である97年発表の『I Can Hear the Heart Beating as One』で世界中で大ブ
レイクし、CMJチャート1位を獲得し日本でもその名前を知らしめ、高い評価をうける。13年、前作『ポピュラー・ソングス』以来 約3年半ぶり、通算13作目となるスタジオ・アルバム『フェイド』をリリースし、夏にはフジロック・フェスティバルにも出演した。14年5月、約5年振りとなるジャパン・ツアーを行なった。

隕石で
滅亡するか
しないのか




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【えいたそ改革論】Chapter3『パイナップルII』プログレ/ガレージ/アイドル/エキゾ/ジャズ/ラップ

2015年07月17日 01時57分33秒 | ガールズ・アーティストの華麗な世界


「萌えキュンソングを世界にお届け!」という挨拶を考えた人物が、数年後にでんぱ組.incが本当にワールド・ツアーを行い、世界にお届けすることになると想定していたとすれば、イエス・キリストや仏陀やモーゼに匹敵する預言者だと言わざるを得ない。そして「世界のトキメキはえいたそにお任せ!」という挨拶を考えたえいたそ☆成瀬瑛美さんこそ、その謎の黒幕に勝るとも劣らないシャーマン(祈祷師)に違いない。

QUINTESSENCE "Jesus, Buddha, Moses, Gauranga" God Rock TV programme June 1971


World Wide Dempa大冒険をリアルに充実(リア充)させる7月3~14日パリ→ミラノ→ロンドン公演を堪能して帰国したメンバーは、帰国翌日にDVD『でんぱジャックWorld Wide Akihabara』のニコ生に出演、そして新ツアー「かがやきツアー」スタート、と休む暇もない。これについてでんぱ組.incの成瀬瑛美氏(年齢非公表)はこう語る。



えいたそ☆成瀬瑛美 ‏@eitaso 7月5日
今が人生の絶頂なんだって。未来上昇思考でありたいなら思っちゃいけない気がするけど楽し過ぎるとついついポロっちゃう...まだまだ叶えるべき事だらけ!なのにな!

えいたそ☆成瀬瑛美 ‏@eitaso 7月5日
ずっと絶頂だし私が唯一無二だし。超えられない所まで登るしか無い煽りには負け無い

えいたそ☆成瀬瑛美 ‏@eitaso 7月5日
アッパーリミットとか持ってたらあかんのですよ!☆



えいたそ☆成瀬瑛美 ‏@eitaso 7月7日
人生百年登り坂ヽ(*´∀`*)ノ!どんなジャンルでも知識も技術もどんどん吸収してこー、そうすれば死ぬ時までには面白い人間に仕上がるはず!

えいたそ☆成瀬瑛美 ‏@eitaso 7月9日
これからのでんぱ組.incも素敵な予感しかない!世界がどうなろうと、きっとキラキラ。

えいたそ☆成瀬瑛美 ‏@eitaso 7月13日
人生って素晴らしいよヽ(*´∀`*)ノ!!!みんなみんな精一杯楽しもうね!!!☆



えいたそ☆成瀬瑛美 ‏@eitaso 7月15日
もっともっともっともっと色々な事に挑戦して成長したいや!!!brand-newエーソ(*´∀`*)

えいたそ☆成瀬瑛美 ‏@eitaso 22時間22時間前
100歳くらいまで生きたいな。年齢に抗うんじゃなくて輝きを積んで積んで生涯素敵であれたらいいなー!



「ちょいっと詐欺写感w」と本人が認める自撮り写真に萌え過ぎて脱力気味だが、気を取り直してワールド・ツアーおつかれサマーの気持ちを籠めて、えいたそ改革の第一歩である「パイナップル」(苦手だったパイナップルを食べられるようになった件)をテーマに、瑛美さんの魅力に迫るとしよう。パイナップル・ソングを集めたChapter1に続き、パイナップルを名前に持つトキメキアーティストを各ジャンルから集めてみた。
えいたそ改革論】Chapter 1『パイナップル』浅井健一/松田聖子/ブルーハーツ/時東ぁみetc.
【えいたそ改革論】Chapter2『バカソング』でんぱ組/外道/乃木坂46/Theピーズ/山口百恵/細川たかし

【プログレッシヴ・ロック】
●パイナップル・シーフ The Pineapple Thief


1999年デビュー。英国サマーセット出身のネオ・プログレ・バンド。陰影あるシンフォニック・サウンドに「パイナップル泥棒」なんてトボケた名前はギャップがあるが、パインの棘と酸味の違和感が、抒情風味を高める効果を発揮しているのかもしれない。





【ガレージパンク】
●サイコティック・パイナップル Psycotic Pineapple


70年代末のロサンゼルスで活躍したパワーポップ・バンド、ルビノーズのメンバー、ジョン・ルービンとトミー・ダンバーが在籍していたガレージパンク4人組。甘酸っぱいポップの酸味は偏執狂(サイコティック)なパイナップルのエキスのお陰。西海岸のガキらしい能天気さが、恥ずかしいほど眩しく輝く。






【アイドル】
●トマトゥンパイン Tomato n' Pine


Tomato n' Pine(トマトゥンパイン)は、YUI+HINA+WADAの3人による女性アイドルグループ。2009年4月4日、奏木純と小池唯のデュオとしてCDデビュー。略称はTomapai(トマパイ)。2010年春に奏木の正式な脱退とともに、公式サイトでシーズン2メンバーとしてHINAとWADAの加入、トリオとしての新曲「キャプテンは君だ!」が発表された。2011年3月9日にソニー・ミュージックレコーズよりメジャーデビュー。音楽性が高く評価されたが、2012年12月29日西麻布elevenにて「Tomato n' Pine ワンマンライブ The First and The Last “POP SONG 4EVER ~散開~”」開催、このライブをもってシーズン2を終了と同時に散開。




【エキゾチカ】
●ジョニー・パイナップル Johnny Pineapple


見かけはエキゾなれど腕は確かなハワイアン。ウクレレとスチールギターの名手ジョニー・パイナップル。ホノルル生まれですが、全米、カナダのホテルでショー興業をしていたそうです。1959年というエキゾチカ全盛期に、そうした需要を意識したジャケットでリリースされたアルバムですが、中身は小気味良いコンボ・スタイルのハワイアン・ラウンジ。パーカッションやフルートが効果的に用いられた編曲が、とてもユニークで面白いです。




【ジャズ】
●コートニー・パイン Courtney Pine


1964年英国ロンドン生まれのUKを代表するジャズ・ミュージシャン、サックス奏者、2000年36歳にしてOBE、'09年にはその上のCBE(大英帝国勲章)を授与される。1987年ジャズの伝統に対してこだわりをみせたデビューアルバム『Journey to the Urge Within』でジャズでは初のTOP40入りで英ジャズの歴史を確立。今やブリティッシュ・ジャズの重鎮であるが、ジャマイカ系英国人の彼はジャズを中心にロック/ソウル/レゲエ/ヒップホップなどあらゆる音楽要素をミックスし、「自分史の中におけるヨーロッパを紐解く」というコンセプトで、本国ジャズとは微妙に異なる匂いを持つサウンドはワン&オンリーな存在となっている。




【ラップ】
●ぱいなっぷるくらぶ 


常盤ゆう(ときわ-)は日本のミュージシャン、歌手。2010年夏にはトルネード竜巻の名嘉真祈子らとファンタジックPOP-RAPバンドぱいなっぷるくらぶを結成し、ラップやダンスも披露している。 なお、以前はyou&me together、ぱいなっぷるくらぶでは「坂東マブチ」という別名義を名乗っていたが、2012年3月に「常盤ゆう」に統一された。



パインの名
甘酸っぱいか
トゲトゲか

【プリキュア】
●キュアパイン 


『フレッシュプリキュア』に登場する3人目のプリキュア。変身者は山吹祈里。 プリキュアオールスターズの世界では歴代14人目のプリキュアとなる。シンボルカラーは黄色。(→黄キュア) 彼女の属性、テーマは祈りである。劇中ではやられてるシーンが目立ち、たまに「歴代プリキュア最弱では?」などと言われることもある。 一方で、みんなの個人必殺技が通じない程強い敵を一人で倒しており、えいたそ同様に成長(=自己改革)していることが伺える。



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【Disc Review】未来派ウッドベースの騒音芸術~パスカル・ニゲンケンペル『汝の耳で見よ』

2015年07月16日 00時35分35秒 | 素晴らしき変態音楽

Photo by Peter Gannushkin

パスカル・ニゲンケンペル
Pascal Niggenkemper

ルック・ウィズ・ザイン・イアーズ(汝の耳で見よ)
Look With Thine Ears』


Clean Feed CF324CD

Pascal Niggenkemper (b)

1 Look With Thine Ears
2 This Shall Not Be Revoked
3 If You Will Marry, Make Your Love To Me
4 Men Of Stone
5 At Fortune's Alms
6 Let Me Kiss Your Hand
7 Let Me Wipe It First, It Smells Of Mortality
8 Unpublished Virtues Of The Earth
9 Sharper Than A Serpent's Tooth
10 Be This Perpetual
11 Blow Wind And Crack Your Cheeks
12 Let The Fork Invade The Region Of My Heart
13 Let Me Still Remain The True Blank Of Thine Eye

Music By Pascal Niggenkemper
Recorded & Mixed at 6D Studio, Brooklyn, NY in 2014.
Mastered at Park West Studios, Brooklyn, NY.

Produced By Pascal Niggenkemper
Executive Production By Pedro Costa
Liner Notes - Stuart Broomer
Mastered By Jim Clouse
Photography By Natasha Lébedeva



21世紀のフューチャリストによるウッドベースの騒音芸術

ドイツに生まれ、ケルンでクラシックとジャズとダブルベースを学んだパスカル・ニゲンケンペルは、フィンランドのミッコ・イナーネン(sax)アイルランドのパク・ハンアル(g)と同様に、創造性の磁力に惹かれ、2005年に奨学金でニューヨークに移り、それ以来ブルックリンで活動してきた。

NYでは3つのトリオ、PNTrio、Wanderlust、upcoming hurricane、ヨーロッパではセプテットのVision7、ダブル・トリオの'le 7eme continent'を率い、コ・リーダー、サイドメンとして幾つものグループに参加する彼は、現在の即興音楽シーンで特に高い信頼を集めるベーシストのひとりである。

彼は2013年11月仏ストラスブールのJazzdor Festivalで、ベースとプリパレーションのための独奏曲『ルック・ウィズ・ザイン・イアーズ』を初演した。その後ベルリン、チューリッヒ、ニューヨーク、フィラデルフィアで演奏されたこの曲を、2014年にブルックリンでスタジオ録音したのが、初のソロ・アルバムの本作である。

全編を通じて演奏されるのは、ニゲンケンペルが5年前から試みてきた"プリペアード"・ベースである。ウッドベースの木製のボディと金属の弦の共振に、異質なオブジェを加えて変容させて得られる物音的音響は、べースという大地に、未知の物体の種を蒔いて、ニゲンケンペルの卓越したテクニックで耕した結果、たわわに実った芳醇な果実に他ならない。実際にどのように演奏されたのかは資料が無くて分からないが、楽器全体が音響発生機に生まれ変わり、一聴してベースとは信じられない不思議なサウンドを発している。

100年前にイタリアの未来派が提唱した『騒音芸術』を思わせる有機的なノイズ。ルイジ・ルッソロが設計した騒音楽器「イントナルモーリ」が、ウッドベースと同じ木と金属で出来ていたことを想起してみよう。アルバム・タイトルをはじめ、すべての楽曲タイトルが、シェークスピアの『リア王』のセリフから採られている事実を考えあわせると、ウッドベースを担いだ21世紀のフューチャリストは、実は古風なロマンティストなのかもしれない。(剛田武)



未来主義
低音主義
騒音主義

▼三人の低音主義者とひとりの最大主義者
Chris Pitsiokos, Pascal Niggenkemper, Nicolas Letman-Burtinovic, Sean Ali 1+2+3 Series #27 12/13/14
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【話題の新作】ピアノ編~藤井郷子/航 KOH/sara/魚返明未/ザ・バッド・プラス

2015年07月14日 00時15分15秒 | ガールズ・アーティストの華麗な世界


●藤井郷子トビラ『ヤミヨニカラス』


NYでジャズの前衛を追求するピアノ女子界の先鋭、藤井郷子は今年5月に3枚のアルバム同時発売という快挙(暴挙)を成し遂げた。90年代に登場し、様々なユニットやプロジェクトを先導し、単なるピアニストと云うよりオーガナイザーとして認められる藤井らしく、12人編成の藤井郷子 Orchestra Berlin、2トランペットのKAZE、そして藤井郷子 New Trio(with トッド・ニコルソン、井谷享志)に夫の田村夏樹を加えた藤井郷子トビラである。中でもトビラに於けるピアノプレイとアンサンブルのバランスの妙は、25年に亘る演奏家人生の一里塚(Milestone)といえよう。それが闇夜に烏と云うのも気が利いている。


藤井郷子公式サイト


●KOH『Seneca』


2005年に藤井のプロデュースでアルバム・デビューしたピアノ女子、航 KOHこと大寺航もNYの即興演奏家との共演で3rdアルバム[Seneca』をリリースした。藤井が器楽演奏に拘るのに対して、KOHは声と言葉をもうひとつの餌として大胆に音楽の欠食児童を餌付けする。鍵盤の上を華麗に流れる指先と、言葉遊びが過ぎる破調の歌声とが、ひとつの魂と身体に共生する有様は、母性を持って生まれた者ならではの包容力に満ちている。


航 KOH公式サイト


●sara『Tincture』


大阪の即興ユニット.es(ドットエス)のsaraが、音楽を媒介にして未知の世界に旅立った。橋本孝之の破調のサックスを、異次元の闇から包み込む情熱的なピアニズムは、お釈迦様の手のひらのように、どこまで行っても果てがない。初のソロ名義のアルバムは、佐谷記世(cello)、河端一(Acid Mothers Temple / guitar)、ユン・ツボタジ(EP-4 / perc)、橋本孝之(.es /sax)の4人を迎えてのデュオ対決。どんな相手だろうと、全く動じず受けて立つ長い髪の揺れ方は、母なる大地の実在の証しである。時折揺れ過ぎて大地震を起こすので要注意。


.es公式サイト


●魚返明未『STEEP SLOPE』


ピアノ女子ならもてはやされるが、男子だったらどうだろう。その命題に終止符を打つべく登場した24歳の童顔の芸大生・魚返明未(おがえり・あみ)のデビュー作。異端性を持つ音楽ではないが、新人に求められがちなスタンダードでは無く、5曲すべてが自己のオリジナル曲と云うところに、静かに燃える心の炎の熱を感じる。若さ故の向こう見ずな暴走を極力抑えた、あくまで美しい音色と流麗な旋律へこだわる潔さは、逆説的に極限への挑戦と言えるだろう。美への陶酔感をどこまで突き詰めることが出来るか、行く末楽しみな青年である。


魚返明未公式ブログ

ピラニアの
ピアニズム
ラザニアの
チラリズム

●ザ・バッド・プラス『ザ・バッド・プラス ジョシュア・レッドマン』


海外に目を移すと、ロックバンドのエナジーを、スタンダードから12インチ離れたスタンスで表出するオルタナ・ピアノ・トリオの新機軸が詳らかにされた。コラボ相手に、オーネット・コールマン・グループで名を馳せたテナー奏者デューイ・レッドマンの息子ジョシュア・レッドマン(ts)を迎え、例によって爆発しそうでしない(筆者にとっては)歯がゆく、(筆者にとっては)物足りなく、(筆者にとっては)何故か目が離せない、不可解な魅力をたたえている。ジャケットの素っ気なさはいつも以上に味気なくてグッド。人気の違いで「ジョシュア・レッドマン=ザ・バッド・プラス」とアーティスト表記が逆転するのが島国根性。


The Bad Plus公式サイト


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吉田野乃子/航 KOH×Praha@学芸大学APIA40 2015.7.4(sat)
【ピアノの羽根運動】ロバート・グラスパー/ブッゲ・ヴェッセルトフト/レオン・ミッチェナー
The Bad Plus@ブルーノート東京 2008.2.20(wed)
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青木智幸(UP-TIGHT)+望月治孝@阿佐ヶ谷Yellow Vision 2015.7.11(sat)

2015年07月13日 01時58分06秒 | 素晴らしき変態音楽


☆森本藤井デュオ(餓鬼道)
☆ビル
☆青木智幸(UP-TIGHT)+望月治孝
☆溺愛連 :片山修一(The Sludge)、直江実樹
☆平沢唯愛



静岡からの刺客。UP-TIGHTの青木と孤独なアルトサックス奏者・望月のデュオがほぼ事前告知なしの東京ライヴ。
『望月治孝/PAS [パ]』Disk Review



2014年この1枚に筆者が選んだCDがこの二人の初音源『青木智幸/望月治孝 - Tomoyuki Aoki / Harutaka Mochizuki』だった。
JazzTokyo「このCD2014国内編#01」



テクノ歌謡歌手・平沢唯愛の久々の東京でのライヴに、10年来の友人たちを集めたというイベント。ビルは人の良さそうなメンバーが奏でるハードコアパンク。溺愛連と銘打ったセッションは、スターリンやYBO2など、80年代日本のニューウェイヴの曲をカヴァー。直江の演奏する短波ラジオが、ゴングのティム・ブレイクを思わせるスペース・ノイズで心地よい。



両者の共演を観るのは2回目だが、この会場には珍しく満員御礼の中、水を打ったような静寂が支配する空気の冷たさは、空調のせいではあるまい。二者が離れたままのステージを記憶していたが、青木自ら暗闇に立つ望月の元へ顔を寄せ、音を誘い出す仕草で煽る様子に、両者の心の距離の変化を感じた。



30分強の演奏の中に籠められた表情の渦を、単に孤高と呼ぶのは間違いだが、かと言って適切な言葉が見つからないまま、言葉足らずの文章を綴るのみ。せめてもの想い出並べた素人写真の何処かに魂の片鱗でも映り込んでいればと、多少の気休めと共に独り寝の床に就くことにする。



サングラスを外した青木の目はとても恰好いい。また、望月のソロ・ライヴが年内に東京で開催される可能性があるらしい。

ふたりとは
独りの2倍で
すむわけない


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灰野敬二+山崎怠雅/沢田ナオヤ/大島輝之@渋谷LUSH 2015.7.10(fri)

2015年07月12日 10時20分33秒 | 灰野敬二さんのこと


Air raid vol.265

LIVE : 灰野敬二+山崎怠雅 /沢田ナオヤ/大島輝之


渋谷LUSHは隣接するHOMEとともに若い音楽ファンに人気のライヴハウスである。高校生は割引のイベント『Beat Happening!」の拠点のひとつとしても知られる。音響・照明設備もよく、若手は勿論、ベテランアーティストにも評判がよい。灰野敬二は2014年1月石川浩司との共演以来2回目の出演。アコースティック弾語りのイベントである。

●大島輝之

(写真の撮影・掲載については出演者の許可を得ています。以下同)

大谷能生、植村昌弘とのエクスペリメンタル・バンド『sim』の中心的存在の大島輝之の弾語りソロ。エレクトリックな感触のsimでのプレイから一転、歌心のある人間的な演奏を聴かせる。素朴な歌声、大陸的なメロディー、込み入ったコード展開、「サンマにツナ/サムバディトゥナイト」といった乾いたユーモアに、たぶんにプログレッシヴロック、特にロバート・ワイアットやデイヴ・シンクレアなどカンタベリーロックの香りを感じた。脳内でプログレ風にオーケストレーションしながら楽しんだ。


大島輝之公式サイト

●沢田ナオヤ


飄々とした佇まいで、前髪の下から睨みつけるように歌うスタイル、時折強いアタックでアコギをストロークするプレイから、パンキッシュな人なのかと想像したが、特にパンクは意識していないとのこと。ロックバンドのフロントに立てば映えそうなルックスだから、翌日出演する「Beat Happening!」の若い客層に受けそうな気がする。ギター女子が盛り上がる弾語りシーンだが、ブームとは関係なく沢田のような芯のある男子シンガーが支えていることを実感した。


沢田ナオヤ公式ブログ

●灰野敬二+山崎怠雅


2014年12月30日の灰野の年末公演で初登場してから、たぶん4回目となる灰野×山崎デュオ。「毎回僕が胃痛を抱えて挑むDUO」(山崎怠雅FBより)と語るように、両者の呼吸がひとつになった繊細な演奏は、強すぎる空調と相俟ってクールな気合いを伝える。卓越したギタープレイと表現力豊かなヴォーカリゼイションは、演奏者の素性を知らなくても鳥肌レべルだと思う。自らのルーツとも言えるアーティストの楽曲を英語で歌う灰野の心に「祈り」があるのは間違いないだろう。

Set List
1. Light My Fire (The Doors)
2. Song to the Siren (Tim Buckley)
3. Cosmic Dancer (T.REX)
4. Hurt Me (Johnny Thunders)
5. In My Room (Walker Brothers)
6. Dandy in the Underworld (T.REX)
7. All or Nothing (Small Faces)
8. People Are Strange (The Doors)
9. Life's Gas (T.REX)
10. So Alone (Johnny Thunders)
11. 黒い花びら<English>(水原弘)
12. Morning Glory (Tim Buckley)
13. Strange Fruits (Billie Holiday)


灰野敬二公式サイト
山崎怠雅公式サイト

コズミック
アコースティック
ファンタジック





コメント (3)
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【話題の新作】アルトサックス編~白石民夫/吉田野乃子/橋本孝之/望月治孝/クリス・ピッツイオコス

2015年07月11日 03時08分14秒 | 素晴らしき変態音楽


●白石民夫:大凶風呂敷『YUU』


サックス歴38年の大ベテランにして、他に追随する者がいない、ボッチの孤高サックス奏者。徹頭徹尾マウスピースを歯で咬んでリードを軋ませ独自の奏法を貫く異端者白石民夫の最新録音はカミッサ・ビュアハウスとのデュオ大凶風呂敷初のレコード『YUU』。2013年の様々な場所での音源集。白石は音源のセレクションまで携わったが、2014年夏に大病をして心臓を大手術したので、残りの作業はカミッサが行ったという。賛否両論のユニークなジャケット・デザインもカミッサの手になる。米国の若者が日本にどんなイメージを持っているかが伺い知れて興味深い。サックスの高周波と、クローム・カラー・オルガンの低音ドローンが干渉し合う音像は、ホワイトハウスのパワーエレクトロに近い感触。
Cammisa Beurhaus公式サイト

●吉田野乃子『サックスソロ』


白石同様にNYに棲みながら演奏活動を行う女子変態サクソフォニスト初のソロ音源。昨年から始めたループステーションを駆使した重層的なひとりアンサンブルは、作曲されたリフレインを基に構築されるが、自ら破壊するような狂気のフラジオソロは、ZEN当局の関与するところではない。小学生の林間学校やバンガロー遊びに欠かせない重要グッズである。

●橋本孝之:.es(ドットエス)『SENSES COMPLEX』


大阪ギャラリーノマルを本拠地とする即興デュオ。橋本孝之の東京でのソロ活動が増えライヴ年間となった2014年を経て、2015年2,3月全国3ヶ所でのライヴ音源を収録。やはりsaraのピアノと共感を喜び合うのがドットエスらしい。それぞれの会場の雰囲気・気分の違いがそのまま演奏にも影響し、以前考察したように「場を鳴らすユニット」としての彼らの本領発揮である。同時リリース、ピアノのsaraと4人のミュージシャンとの共演作『Tinctura』にも注目。
.es公式サイト

●望月治孝・近藤秀秋『el idioma infinito』


静岡の異形サックス奏者望月と理知的即興ジャズの専門家近藤なら、きっと上手く行くさ。フリージャズのノイズを発し、反対側はどうしているのか、想像しながら。。。不安定な情緒の塊と知性派禁欲学徒の間の距離は、そのまま聴き手のフレキシビリティレンジの広さの試金石と言える。
望月治孝公式サイト

凝り固まる
凝固する。
溶け込まれる

●クリス・ピッツイオコス・トリオ『ゴーディアン・トゥワイン』


「21世紀型阿部薫がNYに現れた」(JazzTokyo 横井一江)
「これはヤバイ!!
こんなに突抜けたサックスも久々です。
もう絶対体感いただきたいプレーヤー!!」(Disk Union Web)
ディスクユニオン初回限定特典は未発表音源CD-Rだ!!
Disk Union Jazz Tokyo





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【映画評】浜辺のヲタとでんぱ娘~8/1ロードショー『ラブ&マーシー 終わらないメロディ』

2015年07月10日 01時30分27秒 | 映画やDVDのこと


ラブ&マーシー 終わらないメロディー

「サーフィン・USA」など、数々の名曲を生み出したバンド「ザ・ビーチ・ボーイズ」のブライアン・ウィルソンの半生を映画化。現在は傑作と称えられるも、発表当時は世間をにぎわせた「ペット・サウンズ」制作の裏側、そして妻メリンダと出会い再び希望を見いだしていくさまを描く。精神的に混乱と変調をきたしていく1960年代のブライアンを『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』などのポール・ダノ、1980年代のブライアンをベテランのジョン・キューザックが演じる。



ビーチ・ボーイズ好きだということはあまり人に話したことがない。隠している訳ではないが、普段自分が付き合う人たちの中で、ビーチ・ボーイズを大っぴらに語る雰囲気は余りないのだ。ビートルズやストーンズ、ボブ・ディランやドアーズの話題で盛り上がることは多々あるのに、何故?と考えるに、初期のサーフィンやホットロッド・ソングはジャンルとしてはオールディーズに分類され、言わばライフスタイルのBGMとしてプレイされる場合が多く、音楽だけ取り出して論じられはし辛いのではなかろうか。夏だ!海だ!女の子だ!とアゲアゲのリア充生活で音楽の話をマジでするなんてダサいしありえない。
進水・浸水・心酔の水圧ポップ~ブライアン・ウィルソン『ノー・ピア・プレッシャー』



それは当のビーチ・ボーイズにとっても同じだったに違いない。揃いのIVYファッションで、軽快なビートにハーモニー、夏だ!海だ!女の子だ!と歌っていれば、キャーキャー騒がれ永遠のモテ期。その方法論に固執する父親マネージャーと一部メンバー、対する引きこもり/コミ障/音楽ヲタのブライアン・ウィルソンとの確執を、20年後の廃人寸前の姿で際立たせるのが映画手法の王道だろう。ひとつの時代だけでは、人間像に偏りが出てしまう。二人一役で多面的なブライアン像を再現したことがこの映画の肝である。



LSDでぶっ飛ぶシーンが3次元から2次元への逃避行為であり、それ以降のコミカルなケミカルを醸し出す制作活動はコミケのブースで取引されるレベル。20年後の医師との軋轢は、思春期の葛藤を昇華できなかったブライアンの宿命であり、ベリンダとの出逢いも必然だった。その出逢いが彼をどん底から救う結果になったのは喜ばしいが、逆に考えれば、そうじゃなければ映画化されることもなかったのも事実。ブライアン・ウィルソンの追悼文を書く羽目に成らなかったことを神神に感謝したい。




『ラブ&マーシー 終わらないメロディ』公式サイト 

夢よりも
現実を見る
人もあり

夢眠ねむが語る通り、亜米利加のヲタは日本のヲタとは比べ物に成らないほど孤独である。60年代後半にでんぱ組がいたならば、ブライアンも多少は心の慰みを得られたに違いない。
【勝手に翻訳】内気なアイドル「でんぱ組.inc」はヲタクパワーでJ-POPを革命する。

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坂田明+田中悠美子+福原千鶴@墨田 多聞寺 2015.7.7(tue)

2015年07月09日 00時15分15秒 | 素晴らしき変態音楽


坂田明のすみだ奉納  サックス七福神巡り その2

【日時】7月7日(火)19:00-20:00

【会場】多聞寺 本堂(墨田区墨田 5-31-13)
東武スカイツリーライン 鐘ケ淵駅から徒歩約10分、堀切駅から徒歩約8分

【出演】奉納演奏:坂田明(サックス)
前口上:田中悠美子(義太夫三味線)、 福原千鶴(鼓)

【料金】無料

【本イベントに関するお問合せ】tel 090-9118-5171
(アサヒ・アートスクエア内 すみだ川アートプロジェクト実行委員会 事務局)
※多聞寺へのお問合せはご遠慮ください。

【主催】すみだ川アートプロジェクト実行委員会



『お寺でジャズ』と聞いても珍しくはないが、坂田明とお寺とは、何だか妙にしっくり来る組み合わせ。得意の「平家物語」の歌い出しの祇園精舎こそ釈迦が説法を行った天竺のお寺であるからして、坂田のライヴを体験するのにこれ以上理想的なシチュエーションはなかろう。本尊の毘沙門天(多聞天)の収められた本堂の豪奢な祭壇の前に集いしは、筆者を含め信心などとは全く無縁の罰当たりな一群。それでも静謐な如来の導きか、厳粛な雰囲気に圧倒されたか、押し黙って鎮座している。



やがて現れたるは羽織袴の女人二名と住職様の兄上と見紛うばかりのサクソフォニスト。深く一礼し本尊へ向かって朗々と奉納のブルースを奏でる。石造りのキリスト教会なら音が木霊して目が回るところだが、木造の寺社は反響が木目の中に滲み通るので、濾過された本質だけが耳に優しく息を吹きかける。三味線と鼓を右と左に従えたサックス吹きは、「助さん角さん今ですよ」と煽る木曽のご老公宛(さなが)らの貫禄溢れた立ち姿。即興は会話と同じと語る通り、一見楽器を調整するような仕草の中に怒りや歓びや哀しみが表現されている。



40分近く演奏した後に、坂田の説話が始まるが、所々で話の筋道がワープしたりフリーズしたりスキップしたりのハラハラドキドキは、会話にならない独り語りの奉納の儀であった。書き起こしたメモ帳があれば、再度読み解く苦労も厭わないが、音楽とに同様に物語りというのも一度話されると、空気の中に消えてゆき、二度と取り戻すことはできない。エリック・ドルフィーの魂がまだ現世の近くに漂っているとは思えないにもかかわらず、思わず合図するように頷く自分に気づいた堀切駅への道すがら、七夕の夜空を見上げつつ、一筆啓上認(したた)めたてみた。



釈迦如来
細胞分裂
核融合




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【えいたそ改革論】Chapter2『バカソング』でんぱ組/外道/乃木坂46/Theピーズ/山口百恵/細川たかし

2015年07月07日 00時51分29秒 | ガールズ・アーティストの華麗な世界


最新シングル『おつかれサマー』は、アキバ発ヲタク系アイドル『でんぱ組.inc』の(ほぼ)初の『夏うた』で、(ほぼ)初の『タオル曲』と紹介されることが多いが、もうひとつ、初の『バカソング』であることを指摘したい。これまでも「でっかい夢目指してんだ!! バカにしたって ケッコーケッコー!!」(W.W.D).「楽しいことがなきゃ バカみたいじゃん」(でんでんぱっしょん)、「だからもっとしたい大バカな事 笑われたいり笑わせたり」(でんぱーりーナイト)と歌詞の端々に『バカ』を散りばめてきたヲタ女子が、遂に真正面から『バカ!!!』に挑戦した奇跡の歌=バカソングなのである。1曲中16回も『バカ』を連呼する曲は、数あるバカソングの中でも五本の指に入るに違いない。えいたそカラーのイエローをバックにヤンキー座りする6人の太々しさは、バカソング歌いの仲間入りを果たした自信の表れなのである。



●でんぱ組.inc『おつかれサマー』


「 おつかれサマー!」は、ゆずの北川悠仁とヒャダインこと前山田健一の共作!圧倒的にキャッチーなメロディーと夏全開のアゲアゲなサウンドが融合した、でんぱ組.inc流2015サマーソングが誕生!アレンジは、アニメ「けいおん!」などアニソン大ヒット曲を数多く手がけるTom-H@ckが担当。オリコンデイリーチャートNo.1を記録。

2013年10月リリースのシングル『W.W.D.II』のB面『ノットボッチ・・・夏』で、アンチサマーアイドル宣言したでんぱ組が、大きく成長してポジティヴに夏を歌った記念碑的楽曲。『夜露四苦』セリフはりさちーが個人的なベスト。みりんちゃんの巻き舌は、「夏のパッション!」大阪城野音の「Future Diver」冒頭のえいたそ巻き舌に匹敵する。




●しょこたん❤でんぱ組『PUNCH☆LINE』


中川翔子とでんぱ組.incのコラボ・ユニット、“しょこたん(黒塗りハート)でんぱ組”(読み:しょこたんだいすきでんぱぐみ)のシングル。タイトル曲は、TVアニメ『パンチライン』のオープニング主題歌で、作詞・作曲をヒャダインこと前山田健一が担当。

”黒塗りハート”と書くと呪いの歌のように感じるが、それとは真逆のはしたない萌えソング。二番のイントロで「バカ~ン♡(白抜きハート)」とお色気アニメ風の溜め息を吐くのはしょこたん☆中川翔子。ヲタ女パイセンならでは、照れちゃうほどの萌えボイスは、アカペラバージョンで聴きたいモノですな。




●乃木坂46『そんなバカな』


乃木坂46の通算7枚目となるシングル。タイトル曲に加え、カップリングにはテレビ東京系アニメ『NARUTO-疾風伝‐』のオープニング・テーマを収録。

筆者の調査によればアイドル界バカソングNo.1、合計24回『バカ』という歌詞が出てくる。でんぱ組とは真逆のクラスの人気者の優等生美少女軍団が歌うあっけらかんとしたバカソングは、何の衒いも無く素直に右から左へ通り抜ける。




●Berryz工房『バカにしないで』


Berryz工房の5枚目のオリジナル・アルバム『5(FIVE)』(ファイブ)に収録。日本では2008年9月10日、アップフロントワークス(PICCOLO TOWN)より発売。韓国では2008年9月17日に発売。

つんく♂プロデュースのハロー!プロジェクト所属のアイドルユニット。2012年まで全く興味がなかったが、でんぱ組にアイドル童貞を奪われて以来多少は勉強したので、ハロプロ軍団のパワーは充分承知している。実際台風直撃の大雨の日に秋葉原のハロプロショップに大森靖子のイベントを観に行ったこともある(濡れ鼠になって辿り着いたら、時間を間違えて終わったところだった)。℃-uteとの違いが分からないまま、Berryz工房は2015年3月に活動休止した。




●後藤真希『愛のバカやろう』


やはり{つんく}の作詞作曲でソロ・デビューとなった、後藤真希のマキシ・シングル。オリコン初登場1位という事実が、モー娘。&プッチモニにおける彼女の人気のスゴさを物語っている。

モーニング娘。第3期のメンバーで大ヒット『LOVEマシーン』のセンターだから、ずいぶん昔のアイドルと云うイメージだったが、実はまだ29歳、全然現役である。今年2月に一般人男性と結婚し、つい先日第一子妊娠を明かしたばかり。無事に出産されることをお祈りしたい。




●山口百恵『プレイバックPart2』


『プレイバックPart2』(プレイバック パート・ツー)は、1978年5月にリリースされた山口百恵の22枚目のシングルである。「赤い衝撃」以来となる50万枚以上のセールスを記録。

『バカにしないでよ そっちのせいよ』と啖呵を切る百恵ちゃんの姿は『プレイバック』と云う曲名よりも印象的だった。すでにアイドルよりもアイコンと呼ぶに相応しかったや山口百恵の「菩薩性」を高めるのに「バカ」という台詞が果たした役割は少なくない。「天照(アマテラス)」であるえいたそ☆成瀬瑛美にとっても同様に「バカ」と歌うことでトキメキを増す効果があるのは確かである。




●Theピーズ『バカになったのに』
 

1989年11月に新人としては破格の2枚同時アルバム発売。The ピーズ、衝撃のデビューアルバム『グレイテスト・ヒッツ Vol.1』に収録されたデビューシングル「バカになったのに」。

『バカ』であることを最大の武器にした、バンドブーム最大の収穫のひとつ。88年に下北沢屋根裏で対バンした時は、生意気だけど憎めないガキンチョという印象だった。当時星の数ほどいたバンドの中でTheピーズだけがしぶとく生き残っているのは、やはり最初にバカになったからに違いない。アラフォーになった現在も最高にマイペースなバカ親父ぶりが輝いている。




●怒髪天『俺様バカ一代』


Vo.増子直純、G.上原子友康、B.清水泰而、Ds.坂詰克彦からなる“R&E(リズム・アンド・演歌)”バンド、怒髪天の2007年発表のミニアルバム『リズム&ビートニク』に収録。荒っぽくも切ないオトコ心に染みる1枚!

このバンドも結成31年の歴史を誇る。バンドブーム期にメジャーデビューするも挫折しインディーズに戻り、しぶとく活動して21世紀に再デビュー、2014年1月に初の武道館公演を行う。頑張ればいつかは夢が叶うなどと夢物語を言うつもりはない。単なる『オヤジだよ!全員酒豪』を標榜するバカ一代絵巻である。方や『アキバだよ!全員ヲタク』のでんぱ組としては、バカソングで夢を叶える気持ちで応じて欲しい。




●外道『ロックンロールバカ』


外道(げどう)は、日本のロックバンド。1973年にデビューし、1976年に解散、その後メンバーの脱退や復活などを繰り返し、現在も活動中。ミッキー・カーチスがプロデュースし、後にジェフ・ベックと共演した。

「ロックバカ」と自称する者は多数いるが、警官に「この外道!」と叫ばれた加納秀人(vo,g)が結成した外道は、ステージ衣装に着物、ステージに鳥居、万歳三唱、三三七拍子などのパフォーマンスがうけ、暴走族に絶大な支持を得た本物のバカに違いない。現在も加納は外道を名乗りライヴ活動に勤しんでいる。




●パール兄弟『バカヤロウは愛の言葉』


80年代を代表する無国籍ロックバンド、パール兄弟の86年のメジャー・デビュー・アルバム。パール兄弟のテーマソングとも言うべき「未来はパール」、デビュー前からの人気曲「バカヤロウは愛の言葉」、北野武も好きだという「ハレ・はれ」など代表曲が収録された名盤。

サエキけんぞう、窪田晴男、バカボン鈴木などが結成したニューウェイヴバンド。侍姿で「エレキでもどうだい」と歌うPVを最初に観た時、脱力感とともに未来はこれかも、と勘違いした想い出がある。サエキけんぞうはでんぱ組.incの名付け親、という事実を照らし合わせると、『おつかれサマー』の「バカ」は”愛の言葉”に他ならない。パールなでんぱの神神のお告げかもしれない。




●細川たかし『心のこり』


「心のこり」(こころのこり)は、1975年4月に発売された細川たかしのデビューシングルである。1975年の年間第8位に輝いている。当初は「私バカよね」という曲名だったが、新人のデビュー曲ということであいさつ回りに不都合が生じるため、「心のこり」に改題された。

小学校の頃家族で観ていたテレビ番組は歌番組であれバラエティであれ演歌もアイドルも歌謡曲も全く違いはなかった。だからフィンガーファイブやキャンディーズやピンク・レディと一緒にぴんからトリオやちあきなおみや八代亜紀やクールファイブの歌を口ずさんだ。「私バカよね~おバカさんよね~」というオカマっぽい歌詞は学校でも人気だった。大人から子供まで通じる流行語といえば今年は「あったかいんだから」くらいだろうか。「おつかれサマー」はちょっと分が悪い。その意味では『バカ』というのは永遠の流行語大賞と言える。




●大島渚『カリフォルニアの青いバカ』


漫画家であるみうらじゅん、喜国雅彦を中心に結成され、1989年6月24日にTBSテレビの深夜番組「三宅裕司のいかすバンド天国」に初出場。その後同番組の輝く!日本イカ天大賞にも出場した。自称・税金対策バンド。代表曲に「カリフォルニアの青いバカ」などがある。

大島渚は、平成元年の浮かれた気分を音楽面で象徴するTV番組『イカ天』の浮かれた気分を象徴するふざけたバンドではあるが、頭のいいオトナが結成しただけに、実力や内容はかなりハイレベルだった。コミックバンドや冗談音楽は下手な奴らには出来ない、という通説を証明する。「カリフォルニア」と「青」と「バカ」の関係は、ユングの唱えた集団的無意識への痛烈なカウンター思想に違いないが、読者の誰ひとりとしてそんなことに興味はないだろうから、ここでは詳述はしないことにする。




●The Who『Won't Get Fooled Again(無法の世界)』


無法の世界(Won't Get Fooled Again)は、イギリスのロックバンド、ザ・フーの楽曲。1971年にシングルリリースされた。作詞・作曲はピート・タウンゼント。アルバム『フーズ・ネクスト』収録。

『バカソング』は日本だけのものではない。『バカ』は英語でa fool; a simpleton; a stupid person; a blockhead; an idiot、フランス語でbête(ベット)、sot(ソ)、idiot(イディオ)、âne(アーヌ)、crétin(クレタン)、conard(コナール)、ヘブライ語でשוטה、שׁוֹטֶה、韓国語で고주、어리석은、얼간이의。そのなかでも、えいたそが憧れているという噂のあるピート・タウンゼンドが書いた『バカソング』がこの曲。俺たちを規制する体制に『二度とバカにされてなるものか』と改革を誓う歌詞は、『えいたそ改革』の根幹を成す思想に違いない。ここでもまた、えいたそのピート愛が証明される結果になった。



【えいたそ♥ピート説】でんぱ組.inc@立川たましんRISURUホール 2015.4.25(sat)

【えいたそ改革論】Chapter 1『パイナップル』浅井健一/松田聖子/ブルーハーツ/時東ぁみetc.

バカという
バカげたことは
バカなこと

えいたそ☆成瀬瑛美 in Paris July 4-6, 2015
                    
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