A Challenge To Fate

私の好きな一風変わった音楽を中心に徒然に綴ったページです。地下文化好きな方は見てやって下さいm(_ _)m  

吉田野乃子/航 KOH×Praha@学芸大学APIA40 2015.7.4(sat)

2015年07月06日 00時35分17秒 | ガールズ・アーティストの華麗な世界


『NYの尖鋭・吉田ののこ / 色彩の舞踏・航×Praha』

~ニューヨークの尖鋭をゆくサックスプレーヤー吉田ののこSoloの世界。透き通る風に彩を感じさせるベリーダンサーPrahaとピアニスト航の世界。土曜の昼に開催です、是非お越しください~

<出演>
1st 吉田ののこ(Sax)Solo
2nd 航(pf)×Praha(bellydance)


(写真の撮影・掲載については出演者の許可を得ています。以下同)

NYで活動するサックス奏者吉田野乃子の短期来日ツアーの東京公演が学芸大学APIA40で開催された。APIAは2000年代半ばまで渋谷にあったライヴハウスで、灰野敬二を観に何度か行ったことがある。エキゾチックな内装が渋谷と云うより中央線っぽく、落ち着いた雰囲気の椅子席で気に入っていたのだが、いつしか足が遠のき、都市開発で移転したと噂に聞いた。学芸大学駅から徒歩10分の住宅街にあるAPIA40は、かつての秘境的な雰囲気は薄れ、学生街のお洒落な小劇場といった趣き。入場時に配布されたフライヤーには遠藤ミチロウ、三上寛、友川カズキの名がある。今公演は出演者が全員女子であるためか、客席には女性客が多い。

●吉田ののこ


昨年の「Jazz Artせんがわ」でペットボトル人間を初めて観て以来、吉田の演奏を観るのは2回目。せんがわではステージを後列から遠目に観るだけだったが、被り付きで観る吉田の姿は、小柄で真面目そうで、ジョン・ゾーン直伝の変態プレイとのギャップがある。1年前から取り組んでいるソロ演奏は、ループマシンを使って、ステージ上で自らの音を幾重にも重ねて、重厚なアンサンブルを創出する。フランク・ザッパ言うところのロウ・バジェット・オーケストラ(低予算管弦楽団)の中で突然キュリキュリギョギョギョというフラジオが炸裂するのだから気持ちいい。NYの地下鉄線に因んだ「Take The F Train」、生まれ故郷の北海道弁から名付けた「Urukasu」、妹の結婚式(今回の来日の目的)を祝う「TAKA 14」など、日々の生活をテーマにした楽曲を解説するMCも楽しい。極端音楽でありながら、人懐っこい作風は、吉田のほんわかした人間性の現れに違いない。


JazzTokyo連載『よしだののこのNY日誌』

●航×Praha


航 KOHこと大寺航の名前は知っていたが、演奏を聴くのは初めて。名前のイメージで端正なジャズ・ピアノを想像していたら、ポエティックな弾語りが始まったので軽く驚く。包容力のあるやわらかいタッチのピアノと、ユーモラスな歌詞の表情豊かなヴォーカル。”まぜこぜ・チャンプルー音楽 ピアノ弾き語り”と称する航 KOHは最新アルバムをニューヨークで録音し、その時に吉田野乃子と知り合ったという。ダンサーのPrahaの名に聞き覚えがあるな、と思っていたが、セクシーな衣装で大胆に踊る姿を見て思い出した。2013年のJazz Artせんがわで、KILLER-OMA(鈴木勲×KILLER-BONG)のステージに飛入りして踊っていたのが彼女だった。調べてみると渋さ知らズやヒカシューなどとも共演している。世の中は狭いものだ、と感慨にふける暇も無く、躍動的なピアノに乗せた奔放なベリーダンスに圧倒される。音楽による聴覚の快感が、魅惑的なダンスの視覚刺激で別次元へ拡張される。色彩に溢れたステージだった。


航 KOH公式サイト
Praha公式サイト



本編最後とアンコールは三者の共演。「音楽vs舞踏」が、「音楽vs音楽vs舞踏」の三極化することで、刺激の組み合わせが九倍に増大し、どの角度・どの次元から観ても歓びしかない至福空間が創出された。音だけ聴けば吉田と航はキレキレのアヴァンプレイを繰り広げるが、Prahaが艶やかな舞で客席に降臨した時には、情熱的なロマンティシズムを醸し出す効果を発揮した。終演後の笑顔に真昼の交歓の満足感が溢れていた。

前衛と
諧謔と妖艶の
カーニバル

▼このユルさが魅力のひとつ~吉田野乃子サックスソロ~デモCD
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【リズムの時代】DADA、打、打ッと何でも叩いてみよう!ハン・ベニンク流地球の叩き方

2015年07月05日 00時55分28秒 | 素晴らしき変態音楽


7月1日に一挙5タイトル発売された『Free Jazz in Japan in Zepp ちゃぷちゃぷ』シリーズはどれも甲乙つけ難い珠玉の音源ばかり。貴重であることは間違いないが、稀少(レア)だから貴重なのでは無く、演奏の生々しさ(レア)が類を見ないほど飛び抜けているのである。5作品中3作品がデュオ(またはトリオ)なので、イチ対イチの魂の交歓が録音の中にヴィヴィッドに漲っていて、「うるさい」「激しい」「難解」といったフリージャズの既成概念を吹き飛ばす分かり易い自由が伝わるに違いない。



特にユニークなのは、ハン・ベニンク&豊住芳三郎のドラム・デュオ『DADA、打、打』であろう。1995年に小学校のホールで子供たち含む市民向けに開催されたコンサートの実況録音。各自のソロに続き展開されるデュオ演奏では、共演よりは共振と呼ぶべき両者の心の昂りと歓びが溢れ出る。スティックを振りかざしドラム・セットに喰らいつくように挑みかかる二者の姿がホールのナチュラルリバーヴの中に浮きあがらる。



オランダ生まれのハン・ベニンクは、オランダ人らしい堂々とした体格だが、ドラミングの芸の細やかさは、伝統工芸の職人技と差異はない。スティックかブラシさえ持てば、どんな物体もドラムに変えてしまう。常にユーモアを忘れないスティック持った巨漢は、季節外れのサンタクロースに見間違いしそうだ。その陽性のパワーに感化されでんぱ組メンバーの引きこもり歴は今年の上半期も混じっていた。「石川



クラシック
ジャズとロックで
ドラミング

▼チーズをDADA、打、打

Han Bennink on Cheese Kit Diptych





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小鳥が奏でるノイズ・ミュージック~仏芸術家『セレスト・ブルシエ=ムジュノ』の謎音響世界

2015年07月04日 01時36分07秒 | 動画の歓び


Céleste Boursier-Mougenot "From Here To Ear"
フランス人アーティスト、セレスト・ブルシエ=ムジュノによる「ここから耳へ」と題された作品。鳥小屋と化したギャラリーで、70羽の小鳥とアンプに繋いだギターが予測不能なアンビエント・ノイズを奏でる。



セレスト・ブルシエ=ムジュノは大規模な音響環境を使って音楽を驚異的かつ予測不能な方法で制作する。「ここから耳へ」と題された包括音響インスタレーションは、ギャラリーを鳥小屋に変え、70羽のモフモフのキンカチョウの群れが、ギブソン・レス・ポールとサンダーバード・ベースの中に棲む。小鳥がその環境の中で食べ、巣ごもり、アンプリファイされた楽器に止まることにより、アンビエントとメロディーが常に変化するサウンドスケープを産み出す。常識破りの展示は、伝統的なアーティスト・コラボへの挑戦であり、我々の音楽の知覚、創造、相互作用の再認識を活性化する。



「パリのバードマン」の異名を持つセレスト・ブルシエ=ムジュノは1961年フランス・ニース生まれ。幼い頃から音楽が好きで、演奏家を夢見ていた。ある日テリー・ライリーの『In C』を聴いた。その曲は演奏家がそれぞれのパートを演奏するのだが、瞬間瞬間で選ぶ音が異なる。音楽学校(エコール・デ・ムジーク)に入り、パーカッション,ヴィオラ,ベース.ギターなど様々な楽器の演奏法を学んだ。しかし失読症*のため楽器演奏が困難になり、音楽を作る為に別の方法を発明する必要があった。そして様々な常識はずれの方法を産み出した。現在では国内外の著名なギャラリーや美術館で個展を開けるほど知名度を得た。30年前は気狂いと呼ばれた。『ここから耳へ(フロム・ヒアー・トゥ・イアー From Hear To Ear)』というタイトルは言葉遊びに過ぎないが、人間には不可能なデバイスであり計画である。人間を超えた、しかし技術に頼らない方法を生むことに興味がある。この作品について彼自身は「空飛ぶ指」を持つ、と表現する。

*失読症(ディスレクシア):視覚または発声器官に異常がないのに、文字を理解することができない、または読むことのできない病的状態。

人間には
創造できない
歌がある


『プール変奏曲』:プールに浮かんだ陶器の皿がぶつかり合って予測不可能な調べが産まれる


『外乱~ペルテュバシオン』:2014年5月開催された回顧展の展示
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白石民夫ソロ@新宿カリヨン橋 2015.7.1(wed)22:10:00-22:40:00

2015年07月03日 01時09分12秒 | 素晴らしき変態音楽


白石民夫
2015/7/01(水) 22:00 ソロ
新宿駅西口駅前カリオン橋の上。小雨決行。




雨が上がり涼しい風が吹き抜ける新宿西口高層ビル街と新宿駅の中間で駅の方を向きアルトサックスを構える。ヒューッという細くも鋭いトーンが水蒸気のように立ち昇る。サックスのベルからでは無く、ほんの少し背を丸めてマウスピースを咬む男の身体のどこかに生じた亀裂から漏れ出るような、血液流が血管の壁との摩擦で軋む音のように思える。



夜なのに電飾やネオンで明るい新宿の空に放射されるハイトーンは、誰の助けを借りるでも無く、大気中に拡散し、木霊となって10数人の観客の頭に反響し、周波数を同期させる方法を画策しながらメイン部門は食事を摂りましょう。誰にでも無く、かと言って高校や大学の友人相手じゃ寂しいのは事実。夜の独り寝で心にスキマ風邪は四回だけを手が残り



通行人の足音や話し声、橋の下を行き交う自動車のエンジン音や時たま鳴るクラクション音、大型カメラショップの軒下に並ぶ段ボールの寝床に横になったホームレスが無言で発する存在音、家路を急ぐ群衆の思考が雲のように集まり凝固した想念が重い雨粒になって大地へ落下する。僕の身体に当たって弾けるレインドロップは、シロップになり朝の食卓に添えられる。



遠くの人が鳥の鳴き声と勘違いしそうな非楽音のロングトーンが暗い空に消え入ったことを確認してから、白石は戦闘体制を解除した。パートナアの若きアーティスト、カミッサ・ビュアハウスがデザインを手がけた大凶風呂敷のLPが何枚か観客の手に渡った。白石がNYに帰ってしまっても、この塩ビ盤の溝の中に川田が生きている。二次元から降りてくだせられれば、人のぶり見て我が身を直す心がけの裏側から見た我らの監査邦人である



シンスだよ
おつかれサマー
シンテレラ



[2015/7/3 11:16追記]
寝落ち寸前の状態で書き上げたため、文中意味の通じない箇所が多々ありますが、文章を書く行為は即興演奏と同じと考えておりますので、敢えて訂正は致しません。ご了承くださいませ。
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白石民夫/高橋朝/工藤冬里/NON@大久保ひかりのうま 2015.6.29(mon)

2015年07月01日 01時44分30秒 | 素晴らしき変態音楽


"白石民夫 live performance 2015 「ニューヨーク、横浜、大久保」"
会場 大久保 ひかりのうま
出演 白石民夫 as 高橋朝 ds 工藤冬里 pf guest: NON(from non band) b




この四人の名前が並んでいるのを見て、オオッ!と声を上げてしまうのは、どんな人なのだろう。年の功より亀の甲というように、たまたま生まれるのが早かったからと言って偉そうな顔は出来ないし、友達がいなかったから、薄汚れたライヴハウスに入り浸っていたと云うんじゃ、保健室に憩いを求める内気な小中学生と変わりはしない。音楽だ芸術だと騒いでも、技術の有る無しは二の次、表現欲求だけで誰でもパフォーマーになれるというインスタントな幻想。一時の気の迷いで足を踏み入れてしまった者、通過点として通り過ぎた者、粉塵の中で行方知らずになった者、幼過ぎて右も左も分からなかった者など、袖触れ合った人間は少なくないが、やり続けてきた者は数少ない。



35年前の盟友の再会の場と成った大久保の元キューピッドは、顔に同じく歳が刻まれた者や、少女時代の片鱗を語る者、ひと回り二周り離れたオトナの異世界に惹かれた者や、見果てぬ夢に取り憑かれた者、ゲスの極み地下音楽愛好家(筆者)などで満員。どの顔もこの場で始まるに違いない、変人的な表現行為を目にする期待で明るく照らされる。緊張ではなく弛緩でもなく優麗でも雄猛でもない普通の人々の為のライヴパフォーマンス。



工藤、白石、高橋のトリオ。擦るドラムと擦るピアノの非楽音と、マウスピースを噛み締めて絞り出す超音波を見事に操り、思い通りのカマイタチを出現させる風遣いの白石。音で世界を切り抜きたいとの想いは、ピアノとドラム真ん中で最高沸点を迎えた。NONが加わった第二部は、一転して骨太なインプロビゼーション。ムスタングベースの強いアタック、文字通りドラムを壊す(バラす)スティックさばき、躍動するピアノのフレーズ弾き、引き裂く悲鳴は英語だからワケワカラナイ、と一端諦めたマイナスからのスタートが功を奏し、正解の無い世の中で生き残る術を追体験した。



踊りだし
大久保経由
スウェーデン





コメント (2)
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