A Challenge To Fate

私の好きな一風変わった音楽を中心に徒然に綴ったページです。地下文化好きな方は見てやって下さいm(_ _)m  

ファウスト+灰野敬二@中国 深センTOMORROW FESTIVAL 2016.5.14(sat)

2016年05月15日 12時44分01秒 | 灰野敬二さんのこと


TOMORROW FESTIVAL (明天音乐节)とは、2014年から中国深センのOCT-LOFTで毎年5月に開催されているノン・メインストリームの音楽フェスティバルである。

エクスペリメンタル、ロック、アヴァンギャルド、フリージャズ、ワールドミュージックといった様々なスタイルの音楽をカバーし、芸術的な視点と創造性を最も重視している。

Tomorrow(明日/中国語:明天)とは、精神的な方向性のことであり、新たなもの・新たな可能性への探究心に基づいたものである。

第3回TOMORROW FESTIVALはFeldermelder, OvO, Phew, Mamer, Zhang Dong, Li Jianhong, Pandit Narendra Mishra, Kushal Krishna, Wood Pushing Melon, faUSt, Keiji Haino, Brian Turner, Julien Perrin and Oliver Ackermannといった素晴らしいアーティストが出演する。
公式サイトより



香港から車で1時間の深セン(シンセン Shanzhen)は北京、上海、広州に続く中国第4の都市。古くからの港街で、中国で最初に海外に開放された都市だという(日本でいえば長崎か)。海外の文化が早くから取り入れられ、現在中国に於ける新しい文化の発信地となっている。この街でエクストリームな音楽フェスが3年に亘って開催されていることは、日本ではほとんど知られていない。これまでの出演者を見ると吉田達也、エリオット・シャープなど数組以外は名前も聞いたことのないアーティストばかり。中国はもちろん、フランス、ドイツ、アメリカ、チェコ、リトアニア、ロシアなど様々な国の先鋭的ミュージシャンが並んでいる。



中国ではオルタナティヴな音楽のファンは少なくないが、情報が限られており、実際にコンサートを見る機会が少ないので、ある意味飢餓状態にあるという。決して多数派ではないそういうファンが、中国各地から集まるTOMORROW FESTIVALは、深センの中心部の古い工場団地を再開発したファッショナブルなエリア(東京でいえば青山・表参道に似た雰囲気)の工場跡のビル1階の格納庫のようなホールで開催されている。



この日はドイツ・クラウトロックのオリジネーター、ファウスト:ジャン・エルヴェ・ペロン(vo,b,tp,perc)、ヴェルナー・ザッピ・ディーマイヤー(ds,perc)のオリジナル・メンバーに、2010年に加入したマキシム・マナック(key,g,perc)にゲストで灰野敬二(vo,g,electronics)が参加する特別編成のライヴ。会場には早くから開場を待つ観客の長い列ができる。ほとんどが2~30代の若者。男女半々くらい。



「Knitting Ladies/Blanket」と題されたコンサートは、ステージ上にセットされたソファーで3人の女性が編み物をする中で、ステーリー性のある楽曲が即興を交えて展開される演奏。プロジェクターに映し出された図形楽譜を観客に歌わせる参加型パフォーマンスや、ジャンがフランス語、灰野が日本語でダダの詩を歌うナンバー、コンクリートミキサーやガスボンベをパーカッションとして演奏するノイズ演奏を交えて、世界有数のエキセントリックバンド、ファウストの本領発揮の110分だった。



驚いたのは観客の熱狂ぶり。メンバーが登場しただけで大歓声があがり、演奏の節々でどよめいたり爆笑したり泣き叫んだり、前衛音楽というよりロック/ポップスのコンサートに近いリアクション。好きな音楽・好きなミュージシャンを生で体験できる歓びが会場全体にあふれていた。

faUSt with Keiji Haino live at B10 Live House in Shenzhen, China[2016/5/18追加]


中国で
極端音楽
初体験


faUSt(Jean Hervé Péron, Maxime Manac'h, Werner "Zappi" Diermaier), Keiji Haino, Knitting Ladies
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【でんぱ組あるところにカオスあり】カオスフェス2016@豊洲PIT 2016.5.7(sat)

2016年05月13日 01時08分52秒 | ガールズ・アーティストの華麗な世界


【カオスフェス前史】
2013年4月7日(日) 日比谷野外音楽堂
カオスフェス2013
出演:BiS / cinema staff / group_inou / でんぱ組.inc / 不失者 / 旺福(Wonfu) from 台湾
OPENING ACT : mckj | OPENING & ENDING DJ : D-YAMA(MOGRA)
カオスフェス2013~不失者/でんぱ組.inc/BiS etc.@日比谷野音 2013.4.7 (sun)
【このコンサート/このライヴ2013】~オレ的2013年「今年の漢字」は『沌』~ 

2014年12月23日(火) 新木場スタジオコースト
TSUTAYA presents カオスフェス2014~Tカードで全員入場だよ
[MAIN ACT] でんぱ組.inc/が~まるちょば/忘れらんねえよ/SODA!
[GUEST PERFORMER] いっこく堂 [DJ] DJ D-YAMA/PandaBoy/DJ 汐りんご/DJテンテンコ
【ノットボッチ…冬】「クリぼっち」の過ごし方:『カオス』と『ヲタ』と『フリージャズ』withでんぱ組.inc



【論評】観客とともに生きるでんぱ組.incが造り出す六つの光のお祭り空間(剛田武)抜粋
『ミュージック・マガジン』5月号・特集でんぱ組.incより

“混沌・無秩序”を意味する“コンフュージョン”が70年代の墓碑銘に葬られたのに対し、ネットやゲームや動画サイトで使われ“ヤバい”“理解不能”“シュール”を意味する現代用語として生き続ける“カオス”こそ、ミキオサカベ/Jenny fax、愛☆まどんな、縷縷夢兎、DOWBLなど個性派ブランドによるガジェット感たっぷりの衣装や、パラノイアックな小芝居を多用し、観る度に新たな発見があるYumiko先生の振付が創り出すでんぱ組の魅力のキーワードに違いない。



2016年5月7日(土),8日(日)豊洲PIT
JOYSOUND presents カオスフェス 2016 supported by ヴィレッジヴァンガード
5月7日(土)
O.A. 新しい学校のリーダーズ/Wienners/我武者羅應援團/クリトリック・リス/サンボマスター/神聖かまってちゃん/でんぱ組.inc/DJ:D-YAMA (MOGRA)
5月8日(日)
O.A. 新しい学校のリーダーズ/Gacharic Spin/嘉門達夫/栗コーダーカルテット/黒崎真音/東京ゲゲゲイ/でんぱ組.inc/Little Glee Monster/DJ:BUDDHAHOUSE



2015年は開催されなかったカオスフェスが今年はGW最後の土日二日間に拡大されて開催された。筆者が訪れたのは初日のみであったが、昨年のかがやきツアーで対バンしたサンボマスターと神聖かまってちゃん、「でんぱれーどJAPAN」「でんでんぱっしょん」「サクラあっぱれーしょん」「でんぱーりーナイト」の4曲を作曲した玉屋2060%率いるWiennersというでんぱ組と奇縁の有るロックバンド3組と、初顔合わせのクリトリック・リス(まさかでんぱと同じステージに立つとは信じられない放送禁止歌手)、我武者羅應援團(自分のために他人を応援する奇特な集団)、新しい学校のリーダーズ(新人ダンスヴォーカルユニット)の入れ替わり立ち替わりのステージは、カオスであり夏フェスでありコミケであり超会議であった。

でんぱ組.inc『カオスフェス2016』(HD-1080p)


カオスの言い出しっぺでんぱ組は、2012年7月18日リリース(なんと筆者のでんぱ組初体験@2012年7月11日渋谷O-Crestの1週間後!)の5thシングル「キラキラチューン」のB面「Sabotage」(ビースティ・ボーイズのカヴァー)用の衣装(でんぱ組史上最大の露出度)を着用し、あげあげチューンを連発。えいたそのピッピ風三つ編みヘアをはじめ、いつもと違うカオスなスタイルでパフォーマンス。しかしいつも以上にでんぱ組らしさが発揮されている気がするのは、カオス好きの贔屓目だろうか。

でんぱ組.inc 『カオスフェス2016. 2日目』(05/08)


初日はロックよりのラインナップだったため『カオス=盛り上がり』傾向が多少強めだったが、参戦しなかった二日目はじっくり聴かせる栗コーダーカルテット(もしかしたら"クリ"トリック・リスの対抗馬的意味合いがあったのか?)にピンみり(藤咲彩音+古川未鈴)がソプラノリコーダーでゲスト参加するサプライズもあったり、えいたそのでこっぱちヘアがあったりして"アナザーサイドオブカオス"が楽しめたようだ。

【でんぱ組 inc】未鈴ちゃん×ピンキー×栗コーダーカルテットさんとのコラボ リコーダー カオスフェス2日目


時代とともにカオスも変わる。進化なのか退化なのか単なる変化なのかは判らないが、でんぱ組さんには永遠にカオスの先頭ランナーであって欲しいものである。

でんぱ組.inc えいたそソロ【WWD】


えいたそに
直筆サインを
もらったよ



Newアルバム『GOGO DEMPA』発売記念サイン会@タワーレコード渋谷店 B1F「CUTUP STUDIO」
2016年4月27日(水)
・1部 17:00~
・2部 19:00~
[参加メンバー] 成瀬瑛美 / 最上もが






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MoE/BIRUSHANAH/COFFINS/THE DEAD PAN SPEAKERS@東高円寺二万電圧 2016.5.6 (fri)

2016年05月12日 00時31分03秒 | 素晴らしき変態音楽


2016.5.6 (fri) 東高円寺二万電圧
Pagan Result presents
“Oppression Freedom Vol.13 -MoE&Birushanah Japan Tour 2016-“

MoE (from Norway) / BIRUSHANAH (Osaka) / COFFINS / THE DEAD PAN SPEAKERS / ZOTHIQUE
Open.17:00 Start.18:00 Door only.3,000yen (+1d 500yen)



GW終盤に飛び石のようにポツンと置かれた平日の金曜日、仕事中に今夜MoEのライヴ有との情報をキャッチ。4月25日に小岩BUSH BASHで観てから10日間、日本各地をツーマンツアーで共に回ったBIRUSHANAHと一緒に東京に戻ってきた。知っている名前はMoEとCOFFINSだけだが、他の対バンへの興味も募る。
MoE/Merzbow/NoLA/BOMBORI@小岩BUSH BASH 2016.4.25 (mon)

●THE DEAD PAN SPEAKERS


二万電圧(20000V)十八番のハードコア系ばかりかとの予想はいい意味で裏切られた。女性ベーシストを含む4人組インストロックバンド。酩酊感のあるトランスビートと2台のギターのフレーズの重なりが高揚感を喚起する。

●MoE


全国10か所10日連続公演という強行軍をものともせず、重低音をブンブン鳴らしドスの効いた金切声で叫ぶグロは花柄のワンピースの上に銀色のベスト?を着ている。演奏中にベストの胸を叩きながら何やら叫んでいたので、何らかのサウンド効果があるのかも。小岩では彼女の鬼面に釘づけだったが、2回目なので他のふたりのメンバーも観察し驚愕。特にドラムの凄まじさは筆舌に尽くしがたい、という月並みな表現しか出来ず情けない。奔放な叩きっぷりはジャンルは違うがフリージャズの闘士ミルフォード・グレイヴスを彷彿させる。彼らは元々実験/前衛音楽出身で、本国ではアコースティック編成の即興ライヴも行っているという。



  

●BIRUSHANAH


大阪出身のジャンクメタルバンド。ここでの「Metal」とはヘヴィーメタルではなく、メタルパーカッションを指す。畳一畳くらいの鉄板やシンバル状の円盤など、超ヘヴィな金属楽器を運んで全国ツアーしてきたと考えただけで震撼するが、ドラム+メタルパーカッション+ギターのトリオ編成で繰り出すヘヴィロックの弾丸のパワーは凄まじい。

●COFFINS


名前のイメージからサイコビリーと勘違いしていたコフィンズ(棺桶)は、デスヴォイスグラインドコアだった。ヴォーカルとベースがロングヘア、ギターとドラムが坊主頭と対比的。すべてを薙ぎ倒すハリケーンのような演奏の後に残されたロックの死骸の隙間から新たな音楽の種が芽を出していた。
なめブログ「MoE & BIRUSHANAH GOLDEN BLIZARD TOUR 2016 JAPAN at 東高円寺・二万電圧 5月6日」

MoEに萌え
MoEエモーション
MoEに燃え

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灰野敬二@JAMFES2016 新宿NINE SPICES 2016.5.5 (thu)+最新動画公開!

2016年05月11日 00時40分24秒 | 灰野敬二さんのこと


2016.5.5 (thu) 新宿NINE SPICES
JAMFES 2016

灰野敬二 20:35 - 21:35



新宿JAM / 新宿NINE SPICES / 新宿Live Freak / 新宿LOFT BAR / STUDIO JAMの5会場でGWの7日間ぶっ通し、総出演者数500超のマラソンイベント「JAMFES 2016」の5日目に灰野敬二が出演。今年で3年連続の出演だが、対バン有の60分弱のソロ演奏で、コンパクトなNINE SPICESの空間を濃厚な爆音が満たすエクスタシーは、耳を押さえてなお立ち去れない初見者も、耳鳴りを楽しむ余裕のあるリピーターも、長く記憶に残るであろう特別な体験と言えるだろう。5月3日の生誕記念公演の直後という事もあり、生誕ライヴの最初と最後を飾った「神はいる しかし何もしない そしてまったく個性がない」というフレーズが変奏曲のように立ち現れ、まるで生誕祭がずっと続いているような気持がする。ひとつ齢を重ねた灰野の新たな始まりを告げる劇的なステージだった。
灰野敬二生誕記念公演@高円寺ShowBoat 2016.5.3 (tue)

     
(写真の撮影・掲載については出演者の許可を得ています)

出発を
先送ることは
できない

【最新映像公開】
サンヘドリン(灰野敬二+ナスノミツル+吉田達也) - LIVE @ SCUM BIRTHDAY2016~EARTHDOM 10th Anniversary~ 
2016.2.28 (sun) 大久保アースダム
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WORLDWIDE SESSION 2016~サン・ラ・アーケストラ/日野皓正他@新木場STUDIO COAST 2016.5.4 wed

2016年05月09日 23時00分08秒 | 素晴らしき変態音楽


Gilles Peterson presents
『WORLDWIDE SESSION 2016』

HP:http://www.worldwidesession.com
FB:https://www.facebook.com/worldwideses...
Twitter:https://twitter.com/worldwide_sess

2016年5月4日(水・祝) OPEN/START 15:00~20:30
新木場STUDIO COAST

GILLES PETERSON
THE SUN RA ARKESTRA featuring MARSHALL ALLEN
The Miguel Atwood-Ferguson Ensemble
日野皓正
SOIL&"PIMP"SESSIONS
松浦俊夫

世界で最も影響力のある DJジャイルス・ピーターソンと日本の誇るトレンドセッター松浦俊夫がプロデュースする"大人のための音楽フェス”がローンチ。



出演は、91歳マーシャル・アレン率いる13名のサン・ラ・アーケストラから、J.ディラへのトリビュートをオーケストラでアプローチし一躍有名となったミゲル・アトウッド・ファーガソン率いる6名のアンサンブル、そして、4月に新譜リリースを控えたSOIL&"PIMP"SESSIONSと世界的トランぺッター日野皓正による当企画だけのスペシャルユニットといったバンドに加え、ジャイルス・ピーターソン、松浦俊夫のDJがフロアを盛り上げます。

Gilles Peterson presents WORLDWIDE SESSION 2016 Trailer


サン・ラ・アーケストラの中にはトランペットに、クール・アンド・ザ・ギャングのメンバーとして最近も来日を果たしたマイケル・レイが、そして、ミゲル・アトウッド・ファーガソン・アンサンブルにはドラムに、ロバート・グラスパー・バンドメンバーとして、また、自身のバンド「ERIMAJ」でも有名なジャマイア・ウィリアムス、NYジャズシーンの精鋭、トランペットのウォルター・スミスⅢ世、ボーカル/サラ・ガザレクとのデュオも好評のピアニスト/ジョシュ・ネルソンがいるなど、イベント名の通り、様々なプレイヤーによる「セッション」も大きな見どころの一つです。(開催告知プレスリリースより)

GillesPeterson Interview for WORLDWIDE SESSION 2016 4th May @STUDIO COAST, Japan



Acid Jazz、Talkin' Loud、United Future Organizationといった90年代DJ/クラブカルチャーを象徴するキーワードとSUn Ra Arkestraの名前が並ぶと、個人的にはちょっとした違和感を覚えなくもない。しかしサン・ラの現在の人気の高さは、硬派(石頭)なジャズサイドではなく、頭の柔らかいクラブ/サブカルピープルからのリスペクトが生んだことは間違いない。かつてスクエアな権威から無視されたまま埋もれた偉人/奇人/超人発掘にかけては、世界中のレコード箱を掘るDJ連中の右手に出る者はおるまい。そんな発掘名人二人が主宰する「大人のための音楽フェス」は、オールスタンディングの会場が満員御礼の大盛況になった。

●ミゲル・アトウッド・ファーガソン・アンサンブル

(公式ライヴ写真は主催者から許可を受けて掲載しています。以下同)

ヴァイオリン奏者ミゲル・アトウッド・ファーガソンが率いる6人組。バイオグラフィーではフライング・ロータスやロバート・グラスパー、ケンドリック・ラマーといった今が旬の名前が言及されるが、個人的にはECMが好きそうな洗練された空間性を備えた本来の意味でのFusion Musicと呼びたい。ロサンゼルス生まれだが、ミゲルというスペイン系の名前に相応しく、ソフィスティケイトされたメロディーに隠れたラテンの血の情熱の火照りがステージから伝わってきた。こうした未知のアーティストに出会えるのがフェスの魅力である。

The Miguel Atwood-Ferguson Ensemble: 'De Wiz'



●サン・ラ・アーケストラ・フィーチャリング・マーシャル・アレン


興奮気味のジャイルズ・ピーターソンの紹介に続き、幕が開くと煌びやかな衣装を身につけたアーケストラが奔放なフレーズでスウィングする。EVI(Electric Valve Instrument)のピュイーーーーンと鳴るカシオトーン風電子音が戯画化された宇宙ジャズ楽団に相応しい。定番の「Spcace Is The Place」やスタンダードやブルースナンバーを交え、メロディアスな旋律をバンドが奏でる中、ロックギタリストよろしくサックスを構えてステージ前に進み出て、横歩きでピロピロとフリークトーンを吹き鳴らすマーシャル・アレン翁の雄姿。たとえ30歳若かったとしても彼のプレイの異物感と破壊力は変わらない。過去と現在と未来がごった煮になって客席を練り歩くお祭りパフォーマンスは、最初は何これ?と戸惑っていた観客を昂奮のパレードに巻き込んだ。

Sun Ra Arkestra - Rocket Number Nine Take Off For the Planet Venus at Glastonbury 2014



●日野皓正+SOIL&"PIMP"SESSIONS


「爆音ジャズ」「Death Jazz」と呼ばれる夏フェスの人気者SOIL&"PIMP"SESSIONSを観るのは初めて。ファンキーダンスビートに力強いテーマを吹き捲るサックスとトランペットの二管を始め、メンバーはいずれも凄腕揃いだが、テクニック至上主義ではなく、見(魅)せることを第一に考えている。アジテーターが客を煽るスタイルは、ヒップホップ/ラップのジャズ版といった風情。ゲストとして登場した日野皓正も、技よりも派手なパフォーマンスで魅了する。身体を反らせエビぞりでペットを構え、ハイトーンで吹き鳴らす姿は、楽団の花形がトランペットだった時代を思い起こす。小学校3年生の時TVでヒノテルを見て、突然トランペットを習いたいと言い出した弟の気持ちがよくわかる。このステージを観てジャズを志す若人(わこうど)が現れれば嬉しい。

SOIL&"PIMP"SESSIONS 『Paraiso』



●松浦俊夫&ジャイルズ・ピーターソン


開演前、ステージ転換時に挿入された二人のDJプレイももちろんフェスのメインエベント。90年代クラブやCDショップで聴いた覚えのあるボサノバやフレンチポップス、エキゾチカの名曲をノンストップでリレープレイする腕前は、ミュージシャン以上にミュージシャンと言っていい。ジャンルの壁を越えてやる!などと気張らなくても、好きな音楽や気になる音楽への興味を追求すれば自ずと境界を越えオリジナリティが確立できるのである。

日野皓正 / SOIL&"PIMP" SESSIONS / 松浦俊夫(WWS2016出演者メッセージ)


決して派手な話題性が有る訳でなく、ある程度音楽を聴いてきた人でなければ知らないアーティストも含むラインナップでの5時間半の音楽ライヴが2000人近い観客を動員した事実は、音楽が消費されるだけの現代社会に於いて、希望の光になり得る快挙と言っていい。この素晴らしい祭りが来年以降も継続して開催されることを祈ってやまない。

世界規模
セッションしよう
陽が昇るまで

Sun Ra Sunrise




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【DISC REVIEW】"脱ロック37年"グンジョーガクレヨンの新作『Gunjogacrayon』

2016年05月08日 02時03分29秒 | 素晴らしき変態音楽


Gunjogacrayon
P-Vine / Pass Records PASS-04

1. sabinezu
2. hai ao
3. hisoku
4. aoni
5. huta ai
6. tomekon

All Compositions by Gunjogacrayon

Gunjogacrayon
Tadashi Kumihara guitar
Takashi Maeda bass
Atsushi Miyakawa drums

Guest Musician
Takayuki Hashimoto (.es) sax

Recorded by Hideaki Hayashitani at Nana Hari
Mixed by Yoshitaka Goto and RQlab
Mastered by Takayoshi Manabe at Crown Mastering Studio

Produced by Yoshitaka Goto

A&R Direction by Yoshiaki Ando

Art Direction by Yoshitaka Goto
Cover Photo by Takehiko Nakafuji
Designed by Rosa Yemen

Special Thanks to Satoshi Ito, Shoichiro Mori

Pass Records 2016
2016年5月18日リリース
P-VINEリリース情報

私の傲慢を戒める濃紺の書

グンジョーガクレヨンは1979年結成の脱ロックバンドである。「脱力」ではなく「脱」?脱原発や脱アルコールに倣えば、ロックから脱出して別のフォルムでロックと同じ効能を得るための試みである。つまり元にあるのはROCKであり、AVANTGARDEやJAZZやIMPROVISATIONやNOISEはROCKから脱出するための方法論と言っていい。1980年PASS RECORDSからリリースした1stLP『GUNJOGACRAYON』ではポストパンクの硬質なビートとシャープな音像処理、2nd『gunjogacrayon (2nd album)』(1987)、3rd『グンジョーガクレヨンIII』(1994)では非JAZZ完全即興と、レコーディング作品のテイストは異なる感触を持つが、ライヴ空間に於けるスタイルは、結成以来37年間、大きく変わっていない。

90年代までの5人体制から3人になって初のアルバム。宮川のドラムの擂粉木と前田のベースの篦が絡み合って音響の石膏粘土を叩き/練り/捏ね/潰す。その上下左右前後を組原のギターの彫刻刀が切り/刻み/削り/裂く。今回嬉々として彼らの脱構築作業に加わったのは大阪のアート系即興ユニット.es(ドットエス)のリード奏者・橋本孝之。

1. 錆鼠 さびねず
ギターの地響きをサックスの稲妻が切り裂く。ベースの重低音が地割れを起こし、シンバルの飛沫が飛び散る台風の接近に、子供たちの心はワクワク感で満たされる。

2. 灰青 はいあお
豪雨が一瞬にして止み、雲間から姿を見せたのは太陽ではなく、得体の知れない歪(いびつ)な惑星であった。キーボードにしか聴こえないギターの音色は組原マジック。エイリアンの呼び声が召還した邪悪な魂は、闇にのたうつベースと酸素の希薄なパーカッシヴな打音であった。

3. 秘色 ひそく
湖畔の濃霧に金属の擦れ合う音が響く。隙間を縫って立ち上がるサックスが摩擦熱で温熱湿布する。ナイフの切れ味ではなく、節足動物の湿った表皮を滴り落ちる水粒のように艶かしい。我慢できずにギターが触手を伸ばし、摩耗しながら愛撫する。様子をうかがっていたベースが同調し、触れる程度のペッティングに浸っている間に、ドラムは大胆にも睦み合う二人の下で振動する。

4. 青丹 あおに
忍耐の限界を超えた重低音の欲情放射。低周波ビームで空気を満たせば恰(あたか)も痙攣するサックスの転倒を防げると思っているのだろうが、逆に彼に痛みを与える矛盾に気付く筈もない。ドラムは我関せずと独り遊びに耽る。ギター弦のグラインドの禁断の悦びに悶えるサックスを聴くがよい。

5. 二藍 ふたあい
ギターとサックス二人きりの睦言が漏れ聴こえる。立場逆転、弱者と強者の入れ替わり。

6. 留紺 とめこん
ベースのパルスは一定ではなく、恰も不整脈の如く何時強心剤が必要になるか判らない。死と隣り合わせのスリルに酔って最後まで終ることはない。バスドラムを連打する足の指の付け根が、筋を違えて引き攣りながらも踏み続けるドラムも然り。二人の責め苦をモノともしない屈強さに貫かれた非在ギターは兎も角、遥かに若いサックス奏者もひとかけらの不安もなく自信を持って先の先へ挑むことが可能になる。

トータル47分の旅路を、群青色の豊穣の海の秘密を暴き出そうとする傲慢な人間の性(さが)への警告と捉えた筆者にとっては「禊の儀式」または「寓話の幕開け」となる本作を座右の銘に据える欲望を拭い去ることはできない。

聴くたびに
荒ぶる予感
群青画

■Gunjogacrayon( グンジョーガクレヨン)
結成37周年を迎える日本の前衛ロック界の伝説的グループ。1979年、組原正(g)、大森文雄(key)、前田隆(b)、宮川篤(ds)、園田游(vo,reeds)により結成。1980年、PASSレコードから5 曲入LP『GUNJOGACRAYON』でデビュー。硬質なビートとフリージャズ的な即興演奏を融合したスタイルでポスト・パンクの象徴となる。その後、方法論を完全即興演奏に変化させ、1987年、2nd『gunjogacrayon(2nd album)』(DIW)、1994 年、3rd『グンジョーガクレヨンIII』(日本カセット・テープ・レコーヂング)をリリース。以降も同じメンバーで活動を続け、2009年に解散を表明するが、2012 年に完全復活。他のアーティストとの交流も積極的に行い、かつて無く意欲的かつ解放的な演奏活動を展開する。組原は2007 年に1st ソロ・アルバム『hyoi』(PASS/P-Vine)、2012年に2ndソロ『inkuf(DIW/disk union)をリリースし、デビュー当時“パンク版デレク・ベイリー” と評価された特異なギター・プレイをさらに進化させている。(筆「剛田 武」5/21/2014)
Gunjogacrayon HP



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灰野敬二生誕記念公演@高円寺ShowBoat 2016.5.3 (tue)

2016年05月05日 11時40分10秒 | 灰野敬二さんのこと


灰野敬二 ~生誕記念公演~ 

open 18:00 / start 18:30  
adv.¥3500/ door.¥4000
出演:
灰野敬二



相変わらず風は強いが、初夏めいた気温の汗ばむ快晴の憲法記念日。西東京の最深部高円寺の地下音楽倶楽部で灰野敬二64歳誕生日を記念したソロ公演が開催された。曾ては開場が30分以上遅れるケースも多かったが、今年はオンタイムで開場・開演。時間に無頓着なのがロックミュージシャンの美徳とされた時代は遠い過去に葬ろう。


(写真の撮影・掲載については出演者の許諾を得ています。以下同)

「神はいる 神はいる しかし何もしない そしてまったく個性がない」という語り(朗読)から「Happy Birthday Everything」と詠唱して始まった第1部は、場面転換の節目に啓示的な朗読を挟み込み、あたかも一遍の物語を描くようなパフォーマンス。



穏やかな音色で鳴るギターフレーズの連鎖が言葉と同じ重みに浸食され気がつくと聴覚だけでなく全身の皮膚を圧迫する強度で振動する。それは決して不快な感触ではなく、エレクトロニクスの波間にプランクトンのように心を無にして漂っていたら、フルートの呟きとアイリッシュハープのつま弾きの彼方で生温かい捕食生物に飲み込まれた。



20分の休憩の後、エキゾチックなサズの調べで目を覚まし、ハーディガーディの幻惑音響に酩酊。朦朧として行く意識の中枢に硬質なギターの雷が打ち込まれる。「おまえ」「暗号」「あっち」「ここ」といった代表ナンバーが披露される第2部後半は、新たなギターアレンジが伴われることで、生まれ変わりの命を吹き込まれた。



最後は輪廻転生の理(ことわり)に倣うかのように、再び冒頭の語りに戻る。しかしその意味は、のべ4時間弱のライヴ全編をともに過ごしたした後では微妙に異なるように思える。最初は茫洋としていた「神」のイメージが、灰野の演奏という「種明かし」を経た結果、手を伸ばせば触れることのできる実態のある「存在」として提示されたのではないだろうか?しかし「種明かし」とは新たな「謎かけ」と同義であり、実在するハズの「神」に触れることは、永遠に叶わぬ夢のようである。



それでも 僕が必要かな?
それでも 食事を並べてくれるかな??
僕が64歳になったときに
(The Beatles "When I'm Sixty-four")

コメント (3)
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BILLIE IDLE/ピオピ/ブクガ/ルイフロ/テンテンコ@日比谷野音 2016.4.29(fri)

2016年05月03日 00時29分26秒 | ガールズ・アーティストの華麗な世界


ANARCHY TOUR FINAL IDLE is DEAD!?

2016年4月29日(金・祝)東京都 日比谷野外大音楽堂
<出演者>
BILLIE IDLE / LUI FRONTiC 赤羽 JAPAN / POP / テンテンコ / Maison book girl

2014年に解散した新生アイドル研究会/Brand-new Idol Society/BiSのメンバーの動向については当ブログでも折に触れて報告してきた。ますます隆盛を誇るサブカル系アイドルの基礎を形作った先駆者として語られるばかりでなく、現在進行形のアイドルシーン/女子バンドシーンで異彩を放つ元BiSたちが一堂に会して全国5カ所を巡る「アナーキーツアー」の日比谷野音での最終公演。天気は快晴だが激しい風が吹き荒び冷気も感じる野外音楽堂を元BiS&元研究員が熱く萌え上がらせた。
【検証!元BiSなりの現在】寺嶋由芙/BILLIE IDLE/テンテン/プラニメ/LFAJ/ブクガ/BiSH/BiS
【BiS所縁の女子たちの水無月】でんぱ組/POP/BILLIE IDLE/テンテンコ/寺嶋由芙/BiSH

●テンテンコ


日比谷野音へのベストな行き方(渋谷⇒表参道⇒千代田線の霞ヶ関)を忘れてしまい、遠回りをして辿り着いた日比谷公園に既に大音量の音楽が駄々漏れしていた。聞き覚えのないメロディーを妨害するような騒音が重なる。GW初日に体制反対派が決起集会でもしてるのかと思ったら、テンテンコのDJパフォーマンスだった。バックサウンドはTG/CABS/DOME/TNB/MB/SPK/NE風のインダストリアル。後半はエロスを感じるには幼すぎるベビーヴォイスで童謡歌唱を聴かせる。彼女のステージは、35年前に「天国注射の昼」に出たとしても可笑しくない。

テンテンコ 「Good bye,Good girl 」(MV)



●LUI FRONTiC 赤羽 JAPAN


BiSについては筆者的に推しメンが紆余曲折したが、最初から最後までずっと気になっていたのはプールイだけだった。やっぱりプーちゃんが好き!と告ったこともあるかも。そんな彼女も今ではすっかり女子ロッカー。個人的にはBiSから最も遠くに来てしまった感がある。喜びとともに苦悩があったBiS時代の陰を払拭し、迷いなく前向きなプールイの勇姿の眩しさに目を細めつつ「もう俺の力は必要ないな」などと感傷に耽る俺がいた。

LUI FRONTiC 赤羽 JAPAN「フラチネ」MV(Short Ver.)



●Maison book girl


用を足しに行ってたらまさかの水音SE。DASHでベンチB2 46へ賭け戻る。元BiSの中で最大の推しコショージメグミを擁するブクガを野外で観るのは、初めて会った昨年初秋のギュウ農フェス以来。ノルにノレない変則拍子で優雅な舞をみせる4人の少女、特にBiS時代はいじられ役に徹した金髪ショートの娘の軽やかなスマイルに一撃されて、即特典会に走った純情な頃を思い出す。野音の風に煽られてヒラヒラめくれる白い衣装が健全にエロい。コショの猫耳ヘアーが天使過ぎる。沸かせるよりも魅せるステージングはBiSにしてBiSに非ず。独自性では群を抜いている。

Maison book girl / lost AGE / MV



●POP


カミヤサキを擁するPOP/ピオピは集合イベントで何度か観たが、BiSへのオマージュ度の高さはNo.1、元研究員の血を滾らせて前方DASHするヲタと警備員の攻防が激しくなる。5人のメンバー全員で煽りにかかる勢いは、アスリート系アイドルと呼んでもいい。カミヤサキがメンバーをビンタして檄を飛ばす小芝居以降のDASHぶりは、POPの女王を目指す5人の気持ちが同じベクトルに向かっていることを証明している。

POP「QUEEN OF POP」MUSIC VIDEO



●BILLIE IDLE


ファーストサマーウイカとヒラノノゾミのふたりの元BiSを擁するBILLIE IDLEを観るのは初めて。50'sポップスと80'sテクノポップを融合した曲調に似合ったオールディーズファッションで、ストーリー性のあるステージング。練り込まれたパフォーマンスは見応えがある。ある意味素人っぽさが売りだったBiSとは180度方向転換。ウイカの京都弁のMCも完成度が高い。キャサリンと呼びたくなる金髪の娘とふたりだけならPUFFY風だが、他の二人のとぼけた味わいが独特のアナーキーさを醸し出す。アンコールのアカペラを含め、完成度の高さが光っていた。

ヒラノノゾミ from BILLIE IDLE® - "どうせ消えてしまう命なら..." feat. ファーストサマーウイカ、カミヤサキ、テンテンコ、ミチバヤシリオ



ミチバヤシリオが加わった「nerve」では完全警備放棄の最前ブロック全員大集合の中、ベンチの上でエヴィゾリして難度も落ちそうになるスリルを味わった。やはりBiSは危険なアイドルだったということなのだろう。

BiS / nerve directed by NIGO®(2.5D × VICE)


終演後
コショージチェキで
気を鎮め

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THE HARDY ROCKS/キノコホテル@KOENJI HIGH 2016.4.28(thu)

2016年05月01日 15時48分20秒 | 灰野敬二さんのこと


<SEE HARD ROCKS PLAY>

4/28 (thu)
KOENJI HIGH
open/start 18:30/19:00
adv/door 3000円/3500円+1D

-Live-
THE HARDY ROCKS
灰野敬二 / Vocal
川口雅巳 / Guitar, Chorus
山崎怠雅 / Guitar, Chorus
なるけしんご / Bass
片野利彦 / Drums

キノコホテル
マリアンヌ東雲 / 歌と電気オルガン
イザベル=ケメ鴨川 / 電気ギター
ファビエンヌ猪苗代 / ドラムス
ジュリエッタ霧島 / 電気ベース

灰野敬二が洋楽曲をカヴァーするバンド「Hardy Soul」がデビューしたのは2013年12月30日。ウィルソン・ピケット、パーシー・スレッジ、オーティス・レグィング、ジェームス・ブラウンなどのソウル/R&Bナンバーを英語のまま歌うこのバンドを始めた理由は、ロストアラーフ以前の音楽経歴を見せるため、と灰野は語った。<英語>で歌うことで、日本語への拘りから解き放たれ表現の自由度が広がった、とも語っている。
灰野敬二/Hardy Soul@高円寺ShowBoat 2013.12.30(mon)
【海外便り】「灰野敬二が英語で歌うとどうなるか?」を徹底解剖!

その自由を拡大すべく新たに結成したTHE HARDY ROCKSのコンセプトは、灰野が<音楽>をまた<本気>で<遊ぶ>ことだという。イベントタイトル<SEE HARD ROCKS PLAY(ハードロックが遊ぶのを見ろ)>とは、ピンク・フロイドの『SEE EMILY PLAY(エミリーはプレイガール)』の引用だろう。"You'll lose your mind and play(君は正気を失って遊ぶ)"という歌詞が、シドの精神状態がおかしくなっていくことを暗示するこの曲は、無邪気な遊びと狂気の狭間を表現していると言われている。そう考えると灰野の<遊び>も別のヤバい世界への導きなのかもしれない。

●キノコホテル


別世界への導きという意味では2007年の結成から一貫して「過激でポップな中毒性の高い大衆」音楽、「いつか視た幻のような既聴感を憶えるありそうでなかった」音楽を追求し、マリアンヌ東雲の描く濃厚な世界を体現しているキノコホテルも当てはまる。実際に初めて観て「キノコノトリコ」になって以来7年以上も従順な胞子(キノコホテルヲタ)として支配人に奉仕する筆者が求めるのも、実演会で描かれる別世界の呪縛である。7月27日にリリースされるニューアルバムからの新曲(初期ピンクフロイドに通じるアシッドロックナンバー)を交えて展開された50分のマリアンヌの誘惑に引き摺り込まれすっかり恍惚となってしまった。

●THE HARDY ROCKS


歌謡曲の英語バージョンからスタートしたデビューライヴは、いっさい手抜き無しの灰野の咆哮をリズム隊の柔軟なビートと二人のギタリストの精神開放プレイが燃え上がらせる、緊縛感あふれる濃密な空間。ギターを弾くとき、いやそれ以上に豪放なアクションでステージ全体の「気」を召還する灰野は、まさにバンドサウンドの指揮者としてメンバーにサインを送り、音と精神のアンサンブルを重ね合わせていく。スタイルとしてのハードロックとは異なるが、このサウンドは<ハード(激しい)ロック>と表現するしかない。彼らの激しいロックを体験することは、新たな音楽のチャクラ(第三の目)が開かれる圧倒的なエナジーの奔流であった。


なめぶろぐ「The HARDY ROCKS at 高円寺HIGH 4月28日」

THE HARDY ROCKSセットリスト[2016/5/7追記]
1 黒い花びら(水原弘)
2 骨まで愛して(城卓也)
3 昭和ブルース(天知茂)
4 born to be wild(Steppenwolf)
5 Strange Fruit(Billie Holiday)
6 end of the night(The Doors)
7 Gimme Some Lovin(Spencer Davis Group)
8 It's A Man's, Man's, Man's World(James Brown)
9 Money(The Beatles)
10 in my room(The Walker Brothers)
11 Witch(Sonics)

遊ぶなら
本気でやろう
ハードロック



STOP PRESS!!!! THE HARDY ROCKS ワンマンライヴ決定!

THE HARDY ROCKS

6/25 (sat)
KOENJI HIGH
open/start 18:30/19:00
adv/door 3500円/4000円+1D

 “born to be wild”そのものの灰野敬二がおのれの原点の曲を選んでヴォーカリストに徹し、自分の子供世代のメンバー4人と挑むロックのネクスト・レベル。水原弘も、城卓矢も、天知茂も、ステッペンウルフも、ビリー・ホリデイも、ドアーズも、スペンサー・デイヴィス・グループも、ジーン・ヴィンセントも、ジェイムス・ブラウンも、ビートルズも、ウォーカー・ブラザーズも、ソニックスも、すべてロックとして炸裂させる。完膚無きまでに打ちのめされるしかない。(行川和彦)

-Live-
THE HARDY ROCKS
灰野敬二 / Vocal
川口雅巳 / Guitar
山崎怠雅 / Guitar
なるけしんご / Bass
片野利彦 / Drums

-チケット-
5/15~ KOENJI HIGH店頭、e+

-入場順-
1.KOENJI HIGH店頭
2.e+
3.当日券


<灰野敬二Live Schedule>

5月3日(火) 高円寺ShowBoat
灰野敬二 ~生誕記念公演~ 

open 18:00 / start 18:30  
adv.¥3500/ door.¥4000
出演:
灰野敬二

★チケット発売情報!
・ShowBoat店頭 4/13(水)15:00~(予約・代引受付16:00~)
・LAWSON 4/20 (水)10:00~
・イープラス 4/20(水)10:00~
入場整理No付
ショーボート
03-3337-5745
info@showboat.co.jp




5月5日(木・祝) 新宿NINE SPICE
JAM FES 2016

新宿JAM / 新宿NINE SPICES / 新宿Live Freak / 新宿LOFT BAR / STUDIO JAM
2016年5月 1日(日) 2日(月) 3日(火/祝) 4日(水/祝) 5日(木/祝) 6日(金) 7日(土)
一般¥2,000 + [D別]  高校生以下¥0 + [D別] (7日間・4会場 往来自由!!)
*灰野敬二: 5月5日(木・祝)20:35~21:35 新宿NINE SPICES に出演




5月7日(土) 大分県立美術館
OPAM×能勢伊勢雄 シアター・イン・ミュージアム
スペクタクル・シアター

18:00~19:30(17:00開場)
当日券 3,000円 前売券 2,500円

灰野敬二|目で追う音
音楽界の不動の存在、唯一無二の灰野敬二が、五線譜にない「二次元音階」を生み出す楽器ポリゴノーラによって新たな時空を切り拓く。




5月14日(土)15日(日)中国 深セン Shenzhen, China
明天音乐节 TOMORROW FESTIVAL

会場:华侨城创意文化园北区B10现场 B10 Live, North District of OCT-LOFT
预售(前売):80元/晚,现场(当日):100元/晚
通票(5/11-15 通し券):450元(Tシャツ付)
5月14日(土)20:00 - 21:30 faUSt + Keiji Haino
5月15日(日)20:00 - 21:00 灰野敬二 Keiji Haino




6月4日(土)~ 6月5日(日)長野県木曽郡木祖村 こだまの森
TAICOCLUB’16

開場/開演
開場 6月4日(土)13:00/開演 15:00(予定)
閉演 6月5日(日)14:00(予定)
前売券 14,000円 当日券販売無し

Red Bull Music Academy Presents Deep Ambient Forest
灰野敬二
蓮沼執太
Akiko Kiyama
Sparrows (Ambient Set)
Chihei Hatakeyama
Haioka、Whitelight




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