東京女子ガレージ界の女帝吉田ケイ率いる4人組That's a NO NO!を観るのも3年ぶり。ソロ活動に転向した菊池ともか(G)と元シャロウズの新藤(Ds)が抜け、様変わりしてしまったが、サウンドは相変わらずシャープでガレージ。長身の男性ギタリストKenji(ヤングパリジャン)のテクニカルなプレイが華やかな魅力を加え、スレンダーな女子ベース、れなのストイックな表情に悩殺された。
⇒ガレージ女子の逆襲~That's a NO! NO!/トーキョーキラー/ザ・喫茶店/野佐玲奈とブルーヴァレンタインズ
それが一転「21世紀のノイズ中毒者(21st Century Noise Addict)」となってから、海外だけでなく日本のインダストリアル・ノイズ音源も無我夢中で探しはじめた。噂だけで苦手だった非常階段やハナタラシ、電子ノイズのメルツバウやインキャパシタンツやマゾンナ、暴力温泉芸者などの音源を集め、出たばかりのポータブルMP3プレイヤーに入れて24時間聴き狂った。全裸で自慰行為をすると聞いて避けていたゲロゲリゲゲゲもジャパノイズの不可欠な存在として俄然興味が沸いたが、中古レコード屋では5桁の値段。ホワイトハウスやM.B.やTNBには平気でその値段を払うのだが、マスカキ親父にその金額はちょっと抵抗がある。そこでヤフオクで探すことにした。
●The Gerogerigegege – Sen zuri Champion(Vis A Vis Audio Arts – V-001/1987)
(¥5670/2003.8.1/ヤフオク)
1969年サーフィン映画の古典『エヴォルーション』のサウンドトラックを担当し、一躍波乗りサイケの代表格に躍り出たのがタマム・シュッドという4人組。1964年にニューキャッスルで結成されたThe Four Strangersというビートバンドを前進とする。65年にThe Strangersとして2枚のシングルをローカルヒットさせた。同年The Sunsetsと名前を変えてシドニーに移り、Surf City、The Star Clubなどのクラブでライヴ活動。67年までに数枚のシングルをリリース。80年代アメリカのガールズガレージバンドThe Pandorasがカヴァーした『Hot Generation」のオリジナルは彼らである。そのうち2枚はポール・ウィティグ監督のサーフィン映画のサントラに使われた。
サーフィン映画のサントラと言っても時は60年代末、ベンチャーズやサファリーズやビーチ・ボーイズではない。メンバー自身もCream, The Jimi Hendrix Experience, Pink Floyd, Eric Burdon and The (New) Animals,Grateful Deadなどアシッドロックに影響を受けており、長尺のインプロヴィゼーションを交えレコーディングされた楽曲をスタジオ処理しサージェントペパーズ風のアシッド・サーフ・プログレッシヴ・ロックを展開している。しかしイギリスの緻密なサウンドに比べどこか垢抜けない野性味がオーストラリアらしい。
Tamam Shud (Aussie) - LP " Evolution " (1969, Heavy Prog Rock)
アルバムのリリース直後に16歳のギタリストが加入し、70年1月にオーストラリア初の野外ロックフェスPilgrimage for Popに出演。その勢いでスタジオに入り2ndアルバムを制作した。
●Tamam Shud『Goolutionites And The Real People』(Warner Bros. Records – WS 200001 1970)
Tamam Shud - EP "Bali Waters / Morning Of The Earth OST"(1970)
その後1993年に再結成し3rdアルバム『Permanent Cultureをリリースするも95年に解散。2002年に一度だけの再結成、2008年に本格的に再活動をはじめ、2016年4thアルバム『Eight Years Of Moonlight 』をリリース。何度か再発された1stアルバムが2016年8月アナログ盤とCDで正式の再リリースされたばかり。
渋谷センター街の豚野郎ラーメンで遅い昼飯にして、Milkywayの『TOKYO UNDER GROUND x 『真夏の集中工事』~作業員募集中~』へ。コスプレ女子が電波ソングを歌っていた。僕らのお遊戯。というユニットで宝塚歌劇団のアニソン版と言った風情でこれもありか!と目から鱗。続いて今日2回目のネクロ魔。観客が少なかったZEPP TOKYOの分も併せた気合いたっぷりのパフォーマンスにヲタも大昂奮。ステージと客席がひとつになった祝福の現場となった。翌日から始まるタイツアーへの期待が高まる。
続いてGEEKSTREEKS。冴えない男子5人組ギターロック。野暮ったいルックスに騙されて甘く見てたら艶のあるヴォーカルと高度なミクスチャーロックにビックリ。自虐と毒舌のトークも面白い。散々ディスって最後に涙のアンチヒーローキャラはNever Young BeachやHave A Nice Dayに通じる新世代バンドの個性なのか。絶叫ファンのヲタ芸が異常なほどの盛り上がりを生んだ。
ネクロ魔に比べてロックバンドとの対バンがホームと言えるおやホロは、DJを加えたステージで最初からぶち上げる。羊と呼ばれるおやホロヲタが前列で飛び跳ね盛り上げる。カナミルが客席に乗り出し激しく煽り、それに応えてメタラーも腕を振り上げる。その後方で丁寧な振り付けで踊る八月ちゃんに萌えた。二人のステージは「Only Two(たった二人)」ではなく「Only One x Only One(オンリー・ワンの二乗)」のパワー増強ゾーンなのであろう。