A Challenge To Fate

私の好きな一風変わった音楽を中心に徒然に綴ったページです。地下文化好きな方は見てやって下さいm(_ _)m  

灰野敬二 Solo@下北沢Lady Jane 2016.8.14(sun)

2016年08月17日 00時07分38秒 | 灰野敬二さんのこと


明日は敗戦71年目
灰野敬二 (g, vo, etc) Solo

start 7:30 pm 2 stages
charge:¥2,900 (予約¥2,400)+ Drink Fee

向日葵が咲き乱れあぶら蝉が鳴き続けているというのに、8月15日の暦には「月遅れ盆」とあっても「敗戦」の文字は無い。



2014年12月以来1年半ぶりに灰野敬二が下北沢Lady Janeに登場。しかも初のソロライヴ。会場的に爆音を出せない状況で約2時間どのような演奏を聴かせるのか興味は尽きない。2000年以降に灰野のライヴに通い始めた筆者にとって、爆音ではないソロライヴと言えば西早稲田のジェリージェフと新宿ゴールデン街のバー裏窓が思い浮かぶ。



ジェリージェフに灰野は2002年〜2004年の間10回以上すべてソロで出演した。殆どがギターと歌だけの演奏で、サンプラーを多用した音のレイヤーの中で瞑想的な音世界が繰り広げられた。何処へ連れて行かれるのか分からないスリルは、その頃早稲田大学の公開講義で「僕は毎回やることが違う」と語った灰野の言葉を裏付けるものだった。



一方裏窓で2003〜2005年に開催されていた「裏窓十人劇場」に灰野は5回出演した。狭いバーの一番奥のトイレの前のスペースをステージに見立て、カウンター席と立見の客の息がかかりそうなほど狭い店内でノーPAで演じられる歌は、場末の飲み屋街に似合いの演歌や歌謡曲を灰野独自に解釈した哀秘謡。10人だけが体験できる秘密の儀式だった。



この日のLady Janeに於けるソロ演奏は、上記二つと異なりパーカッションを中心にしたものだったが、中野Plan Bでのパーカッション&ダンスとも異なり、身体の動きを減じて、物体同士を接触(打ち、叩き、擦り、撫でる)させることで生じる現象=音を大気中に解き放つ試みだった。その姿勢はタンバリン、シンバル、ポリゴノーラ中心の第1部はもちろん、シュルティボックス、クラシックギター、エレクトリックギターも奏でた第2部も同様だった。とりわけ演奏回数を重ねるごとに新たな奏法/新たな倍音/新たな共鳴が生まれるポリゴノーラの可能性は、既存の「音(Sound/Noise)」の概念を問い直す挑戦(Challenge)と言って然るべきだろう。



音への挑戦者 A Challenger To Sound & Noise
無音への挑戦者 A Challenger To No Sound No Noise
運命への挑戦者 A Challenger To Fate



灰野敬二 ポリゴノーラ パフォーマンス
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Berry/THE LET'S GO's/テツコ/THE PATS PATS/That's a NO NO!@新宿JAM 2016.8.13(sat)

2016年08月16日 02時39分27秒 | ガールズ・アーティストの華麗な世界


Sazanami Label presents
“Berry 『POPTUNE』” release party! 東京編


出演:Berry (ex. THE MILKEES, ex. ザ・喫茶店, THE BUNNIES)
THE LET’S GO’s
テツコ
THE PATS PATS
That’s a NO NO!
DJ:TONG(チェリータイムス)

OPEN18:30 / START19:00
ADV¥2000 / DOOR¥2500 + [D別]

ソロアルバム『POPTUNE』を携えてのBerry(ベリ)の東京ツアーは、2010年THE MILKEES以来6年ぶり。思えば筆者が熱心にガールズバンドイベントに通っていたのも2010年頃だった。今でも女子モッズの最高峰と信じる岡山の<チョコメイツ>、ワイルドガレージトリオ<six>、ラモーンズ愛の塊<ロマーンズ>、キュートなママの味<THE MILKEES>、静岡のショックロック<原子力牧場>(現Atomic Farm)など、今で言えば「推し」のバンドが存在した。しかし女子の変化は著しく、推しのほとんどが活動休止。唯一残るキノコホテルに望みを賭けるしかなかった。もちろんシーンが停滞した訳ではなく、アイドルに釜けて関心が薄れたことが最大の理由だとは認める。そんな筆者にとっては、サザナミレーベル中心に素敵な女子バンが続々紹介されてきている現在、女子バン愛が再燃する可能性もある。そんな望みを胸にガレージロックの聖地新宿JAMのサザナミレーベル女子バンイベントに参入した。
【女子バンNOW】Vol.1:Berry『POPTUNE』〜ラモーンズ聴いて浴衣を着てたアノ娘の歌
【女子バンNOW】Vol.2:バレンタインズ/くつした〜関西発・男女混成3ピースゆるふわパンク

●THE PATS PATS

(写真の撮影・掲載については主催者の許可を得ています。以下同)

初めて見るバンド。フロントに女子x2+男子Dsの編成。主体はAkiso(g,vo)とMidori(b,vo)の女子二人。ガーリーファッションに姫カット。女子力溢れる演奏は、パンキッシュでノスタルジックなギターロック。まぶしい笑顔で、音楽を心から楽しむ気持ちが聴き手に伝わり、ライヴ会場がハッピーオーラに満たされる。女子会に潜入してみたくなる。

THE PATS PATS ドーナツの歌 The Donuts Song

公式サイト
bandcamp


●テツコ


CDを愛聴していた女子トリオ、テツコのライヴも初めて。双子のような野瀬陽子(B)と関安代(ds)のハニカミと、渡邊玲子(G,Vo)のツインテールに騙されてティンエイジャーだと勘違いしてしまったが、キャッチーでポップなのにどこかのネジが外れたトボケたセンスは若さの暴走では到達できる境地ではない。一風変わった女子ロックと言えば得てしてシャッグスやレインコーツが引合に出されるが、テツコの捻れ方はそれらとは異質な日本的な慎ましさの美徳の成せる業に違いない。
Set List①スペイシーナイト ②エロス ③コネコちゃん ④BABY ⑤クリームレモン ⑥妄想のダダダダーン

テツコ (Tetsuko ) / BABY (Japanese Girl Rock Trio <Tetsuko>)

公式サイト「tetsuko room」


●THE LETS' GO's


2011年の2ndアルバム『REAMP』を聴いて以来ノーチェックだったTHE LET'S GO'sの変貌ぶりに驚愕した。メチャクチャパンキッシュでソリッドなロケンローを聴かせてくれた。黄色いTVモデルのギターをジョニー・サンダース張りに掻きむしるCOCO(G,Vo)、ラモーンズ譲りの前のめりなスタイルで檄を飛ばすミィ(B,Vo)、そしてドラムセットを吹き飛ばす勢いでビートを叩き出す山田モエコフ(Dr,Vo)。女子パンクのエッセンスを凝縮したステージは、男子パンクとの対バンで観てみたい。
飛び出せ!女子力~The Let's Go's「REAMP!」

【MV】おつかれさまソング/ THE LET'S GO's〈公式〉 ザ・レッツゴーズ

公式サイト


●That’s a NO NO!


東京女子ガレージ界の女帝吉田ケイ率いる4人組That's a NO NO!を観るのも3年ぶり。ソロ活動に転向した菊池ともか(G)と元シャロウズの新藤(Ds)が抜け、様変わりしてしまったが、サウンドは相変わらずシャープでガレージ。長身の男性ギタリストKenji(ヤングパリジャン)のテクニカルなプレイが華やかな魅力を加え、スレンダーな女子ベース、れなのストイックな表情に悩殺された。
ガレージ女子の逆襲~That's a NO! NO!/トーキョーキラー/ザ・喫茶店/野佐玲奈とブルーヴァレンタインズ

"Damn It!" That's a NO NO!

公式サイト


●Berry& the apple notes


ステージに立っても小柄なベリはトレードマークの翠のリッケンバッカーを高く構えて歌う。最初はちょっと緊張してたようだが、即席バンドapple notesの温かいバックアップで徐々にリラックス、6年前と変わらない笑顔のステージを繰り広げた。LET'S GO'sのミィとのコーラスハーモニーが見事。アンコールでTHE MILKEESでもカバーした「恋はヒートウェーヴ」を披露。できればオリジナルのTHE MILKEESで聴きたいものだ。ベリによれば他のメンバーも元気だとのことで、いつか再結成なんてあったら萌え死ぬかも。

【MV】 Berry - すりーこーど


アイドル現場と違って客席が沸くことがないのが逆に新鮮に感じられるのはドルヲタ化が染み付いている証拠だろう。コールやケチャは自宅鑑賞時のお楽しみにするしかないのだろうか。

女子バンで
ヲタ芸しても
いいじゃない

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『シン・ゴジラ』から『シン・ヘドラ』へ〜謎のソフビ怪獣の正体判明。

2016年08月15日 02時08分39秒 | 映画やDVDのこと


話題の映画『シン・ゴジラ』を観た。映画館でゴジラ映画を観るのは1984年の『ゴジラ』以来。その84年版に筆者はエキストラのアルバイトで出演した。映画撮影所で空港に殺到するパニックシーン、新宿中央公園で沢口靖子のデートシーン、真夜中の富士山五合目でゴジラ最後のシーンなどに出演したが、当然ながら映画本編で自分の姿を確認することは出来なかった。一緒に観に行ったサークルの女の子をジャズバーに誘ったが飲ませ過ぎて大変なことになった(遠い目)。



それはとにかく、何度目かのリメイクになる『シン・ゴジラ』は目を離せないくらい面白かった。一回観ただけでは分からない伏線やオマージュが多々有るのは「高度情報化社会」を遥かに超えた「情報秒殺社会」の縮図に思えた。全編通して壮大なパロディのような印象が有るのは、ネットを通して現実の出来事を見ると、自分には関係ない絵空事のように感じられるのと同じ、などと語り出したらきりがない。多くの人が『シン・ゴジラ』について語りたがる気持ちはよくわかるが、本稿の主眼はそこには無い。



観終わったあと『ゴジラ対ヘドラ』の話題になった。ヘドラを知らない同行者にスマホで画像を見せていて、自宅にある<ヘドラ>のソフビ人形を思い出した。40年以上昔小学生のときに購入して以来、他の玩具や人形は捨ててしまったのに<ヘドラ>だけは残してある。他の玩具に比べて高価で特別感があったことと、グロテスクなのにどこか愛嬌のあるルックスに愛着を感じたのである。その一方、子供心に薄々感じていたのは、映画のヘドラに似ていないことだった。しかし当時の技術では完全に再現することは不可能だったのだろうと思い深く考えることはこれまで無かった。しかし40余年経って改めて比べてみて、似てないどころかまったく別ものであるが明らかになった。40年以上ヘドラだと思い込んでいた自分の記憶のどこに間違いがあったのだろう?

 
VS


では所有しているソフビ怪獣は一体何者か?いくらググってもそれらしき情報は無い。では誰かに聞くしかない。あたかも『シン・ゴジラ』で牧悟郎博士が残した謎を解く為に全世界のスーパーコンピューターを繋ぐよう要請したように、ツイッターで拡散し情報提供を呼びかけた。



驚いたことにツイートは240回もRT(リツイート)され全世界へ拡散された。そうして寄せられた有力情報を調べたところ、驚くべき事実が判明したのである。



幸いなことに記憶には間違いは無く、このソフビ人形は確かに<ヘドラ>であった。1971年夏に公開された『ゴジラ対ヘドラ』に因んで発売されたものだが、東宝映画公認グッズではなく、非公認メーカーがブームに便乗して売り出した、所謂「パチもん」だったのである。
詳細はこちらのブログに詳しい。⇒「パチ」の文化史(その2) パチパチ怪獣総進撃

当時3つの形態で販売され、飛行形態を模したと思われる3号(上記の右端)にも少し心を惹かれたものの、思い直して購入したのが現在所有する<ヘドラ1号>だった。さらに調べたところでは、パチもんの方が公認グッズより早く発売されたらしく、疑うこと知らない無垢な少年はコロッと騙されてしまったようだ。

ゴジラ対ヘドラ予告編


40年以上信じていた人形が、本物ではなくフェイク(偽物)だったのは確かだが、それにも拘らず<ヘドラ>であることに嘘は無い。”FAKE(偽物)BUT REAL(真実)”。そんな矛盾を内に秘めた危うい存在のままで、筆者の人生の半分以上を共に生きて来た<彼>こそシン・ヘドラと呼ぶのが相応しい。

かえせ!太陽を(ゴジラ対ヘドラ メイン・タイトル)


キラキラ光る目、口からはみ出たベロ、少し上を見上げ何かを願うような表情、カワイイ奴じゃないか。フェイクジャズを愛する筆者にとって最高の愛好の対象であることは間違いない。このまま墓場まで連れて行こうと決心した。

シン・ヘドラ
40年目の
ハーレム体験

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【私のノイズ中毒症】ゲロゲリゲゲゲ『千摺りチャンピオン』『昭和』『パンクの鬼』

2016年08月13日 03時27分52秒 | 素晴らしき変態音楽


70年代末に日本のパンク/ニューウェイヴの自主制作盤がレコード店に並び始めたが、真っ当なパンクロックよりもアヴァンギャルドなレコードが多かった。『NOISE/天皇』『19/JUKE』『愛欲人民十時劇場』『NORD』『Sympathy Nerves』などを聴いて深みに嵌り、高3〜浪人時代にカセットテープでインダストリアル音響を録音、大学に入って吉祥寺の地下音楽のメッカでバイトを始めた。しかし、非常階段の放尿、ハナタラシの火炎瓶、山崎春美の自殺未遂など過激なライヴを見聞きするうち疎遠になり、80年代後半はサイケやプログレに興味が移った。だから90年代ジャパノイズブームは経験していない。ミュージックコンクレートや電子音楽は好きだったが、「ノイズ」は音楽的テクニック無しで騒音を垂れ流し、犯罪と紙一重のパフォーマンスをする連中と決めつけスルーしていた。

それが一転「21世紀のノイズ中毒者(21st Century Noise Addict)」となってから、海外だけでなく日本のインダストリアル・ノイズ音源も無我夢中で探しはじめた。噂だけで苦手だった非常階段やハナタラシ、電子ノイズのメルツバウやインキャパシタンツやマゾンナ、暴力温泉芸者などの音源を集め、出たばかりのポータブルMP3プレイヤーに入れて24時間聴き狂った。全裸で自慰行為をすると聞いて避けていたゲロゲリゲゲゲもジャパノイズの不可欠な存在として俄然興味が沸いたが、中古レコード屋では5桁の値段。ホワイトハウスやM.B.やTNBには平気でその値段を払うのだが、マスカキ親父にその金額はちょっと抵抗がある。そこでヤフオクで探すことにした。

●The Gerogerigegege ‎– Sen zuri Champion(Vis A Vis Audio Arts ‎– V-001/1987)
(¥5670/2003.8.1/ヤフオク)


先に手に入れた1st LP。ゲロゲリには「千摺り」タイトルが多い。音圧が異常に高い鬼畜ノイズが炸裂するサウンドは、パンクで言えばザ・ブルーハーツの1stに匹敵する、ノイズ初期衝動の生々しいドキュメントである。数曲に入っている千摺りの喘ぎ声がココでは耳障りなノイズとして聴こえるのが興味深い。昭和の色濃いジャケットも秀逸。

The Gerogerigegege ‎– Senzu ri Champion



●The Gerogerigegege ‎– Showa(Vis A Vis Audio Arts ‎– VLP-010/1988)
(¥????/2010.1.15/ヤフオク)


1stの数年後に2nd LPを入手。やはりヤフオクで落札したと記憶しているが、値段も日付も記録が残っていない。それは何故か?アルバムを聴いてみれば理由が分かる。決して期待していた訳ではないが、初めて聴いたとき「なるほど」と思うと同時にあまりの無意味さに大きな徒労感を覚え、記憶から消し去りたかったのである。存在を無にする「ノイズ」を無音ではなくサウンドの形で提示した唯一無二の作品だと言える。意味の有無を問いかける老人のポートレートがアート志向を否定している。別仕様のラモーンズジャケはパロディを装った分、無意味なインパクトに欠けている。

The Gerogerigegege ‎– Showa (Side A)



●The Gerogerigegege ‎– パンクの鬼 (Tokyo Anal Dynamite)(Vis A Vis Audio Arts ‎– VCD3/1990)


CDの入手記録は残っていないが、2011年震災後に中古CDショップで1200円前後で購入した物と考えられる。30秒前後の曲を75曲収録しただけなら無意味ですむが、すべてが究極のパンクロックの名曲であることが、このアルバムを意味の金字塔に位置づけている。どこから聴いてもスルメのように噛み応えがある金太郎飴のようなアルバム。アナログ化を希望する。

The Gerogerigegege Tokyo Anal Dynamite Full Album 1990



今年4月、15年の沈黙を破り17作目のニューアルバム『MOENAI HAI / 燃えない灰』をリリースした。


なめブログ:ゲロゲリゲゲゲ『燃えない灰』

下呂と下痢
千摺り万歳
ノイズ依存



"senzur i"という文字列がつながると、gooブログから投稿拒否されることを発見した。
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【私のB級サイケ蒐集癖】第7夜:豪州波乗りサイケ&プログレ「タマム・シュッド」

2016年08月12日 00時23分23秒 | 素晴らしき変態音楽


サーフィンとサイケ。日本に居るとちょっと結びつかない気がするが、ハワイやカリフォルニア、そしてゴールドコーストなどのサーフィン天国の住人は波乗りしたあとに一服キメて、意識を拡げて宇宙と交歓していたのだろう。サーフファッションブランドのクイックシルヴァーがジョン・シポリーナの居たQuicksilver Messenger Serviceから名前を取ったという嘘も都市伝説程度の説得力はある。とりわけコアラとカンガルーと砂漠しか無いオーストラリアの波乗り程度しか楽しみが無い怒れる若者たちはサーフィン映画に意識革命を投影し、波のまにまにアシッドを振りかけていた。サウンドトラックに地元のガレージバンドが駆り出され、一服キメて精神サーフに精を出した。



1969年サーフィン映画の古典『エヴォルーション』のサウンドトラックを担当し、一躍波乗りサイケの代表格に躍り出たのがタマム・シュッドという4人組。1964年にニューキャッスルで結成されたThe Four Strangersというビートバンドを前進とする。65年にThe Strangersとして2枚のシングルをローカルヒットさせた。同年The Sunsetsと名前を変えてシドニーに移り、Surf City、The Star Clubなどのクラブでライヴ活動。67年までに数枚のシングルをリリース。80年代アメリカのガールズガレージバンドThe Pandorasがカヴァーした『Hot Generation」のオリジナルは彼らである。そのうち2枚はポール・ウィティグ監督のサーフィン映画のサントラに使われた。

Tamam Shud "Lady Sunshine". Hit Scene 1969


67年末、バンド名をTamam Shud(タマム・シュッド)に変更。11世紀のペルシャの詩人ウマル・ハイヤームの詩集『ルバイヤート』の最後に記されたこの言葉は、終末・結末を意味する。68年後半、ウィティグ監督『エヴォルーション』のサントラを録音。更に数曲アルバム用に録音し、完成したのがデビュー・アルバム『エヴォルーション』だった。

●Tamam Shud‎『Evolution』(CBS ‎– SBP 233761 1969)


サーフィン映画のサントラと言っても時は60年代末、ベンチャーズやサファリーズやビーチ・ボーイズではない。メンバー自身もCream, The Jimi Hendrix Experience, Pink Floyd, Eric Burdon and The (New) Animals,Grateful Deadなどアシッドロックに影響を受けており、長尺のインプロヴィゼーションを交えレコーディングされた楽曲をスタジオ処理しサージェントペパーズ風のアシッド・サーフ・プログレッシヴ・ロックを展開している。しかしイギリスの緻密なサウンドに比べどこか垢抜けない野性味がオーストラリアらしい。

Tamam Shud (Aussie) - LP " Evolution " (1969, Heavy Prog Rock)


アルバムのリリース直後に16歳のギタリストが加入し、70年1月にオーストラリア初の野外ロックフェスPilgrimage for Popに出演。その勢いでスタジオに入り2ndアルバムを制作した。

●Tamam Shud‎『Goolutionites And The Real People』(Warner Bros. Records ‎– WS 200001 1970)


ガレージロック色が残っていた1stに比べ、この2ndはプログレッシヴに進化しており、70年代的なサウンドに突入した。曲調はより穏やかになり、フォーキーな浮遊感を感じさせる。サーフィンのあとのチルアウト用のサウンドトラックと言える。オリジナル盤は檄レア。間違いなくオーストラリアの70年代ベストアルバムのひとつだが、リリース直後に再びメンバーチェンジ。

Tamam Shud (Aussie) - LP " Goolutionites And The Real People " (1970, Heavy Prog Rock)


ライヴステージにはフルートやピアニストが参加し、ジャジーな要素も取り入れた演奏も行う。71年サーフィン映画『モーニング・オブ・ジ・アース』のサントラに参加、テーマ曲を含むEPをリリースし、サントラ盤にも収録された。。

●Tamam Shud ‎『Bali Waters』(Warner Bros. Records ‎– EPW-207 1971)


幽玄なインストナンバー「Bali Waters」がリード曲のシングル盤。同時リリースのサントラ盤はサントラ初のゴールドディスクとなったが、シングル曲のラジオオンエアはなく、そのままバンドも活動停止した。

Tamam Shud - EP "Bali Waters / Morning Of The Earth OST"(1970)


その後1993年に再結成し3rdアルバム『Permanent Cultureをリリースするも95年に解散。2002年に一度だけの再結成、2008年に本格的に再活動をはじめ、2016年4thアルバム『Eight Years Of Moonlight 』をリリース。何度か再発された1stアルバムが2016年8月アナログ盤とCDで正式の再リリースされたばかり。

Taman Shud "A Book Among Magazines"


オーストラリアの地下、いや海底ロック界に君臨する「最後の(Tamam Shud)」サーフサイケバンドである。

ネクロ魔と
対バンしたら
どうなるの?

●NECRONOMIDOL ネクロ魔@タイ王国 マハサラカム タワンダン公演 2016.8.10(水)

2:24:00くらいからほぼフルステージ収録。「Tamam Shud」はセトリに無し。
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【書評】ドッキリ!〜日本の自主制作音楽 1976-1989 歴史と案内/加藤デイヴィッド・ホプキンス

2016年08月11日 01時25分52秒 | 書物について


Dokkiri! Japanese Indiews Music, 1976-1989 A History and Guide
Kato David Hopkins / Public Bath Press Nara, Japan

『ドッキリ!』は日本のユニークな地下音楽の世界の豊潤な歴史を紐解く。実験的ロックからサイケからパンクからノイズまで。それをデイヴィッド・ホプキンスほど素晴らしく有機的に行える者はいない。ホプキンスはシーンの始まりから立ち会った生粋の歴史家であり、今でもそこに住み誰も覚えていないストーリーを詳細に語り続けている。マニアも初心者も、ココから始めよう!
デイヴィッド・ノヴァック/『Japanoise』著者


Inu "Meshi Kuuna"


アメリカの地下音楽に居る僕自身や僕の友人たちにとって日本のアンダーグラウンド音楽は単なるエキゾチックを超えてる。まるで火星から来たみたいだ。時折僕らが手に入れる日本からのサンプルや、滅多にないコンサート体験は陶酔的だった。すべてのバンドは強烈な個性を持ち、活動的なシーンで培養され、僕らがアクセスできず知ることも出来ない彼らの伝説や外伝の中に終結するのかもしれない。僕らは作品やコンサートを前にして呆然とするしかない。僕らが聴いたバンドたちは驚異的だった。まったく異質であると同時に馴染み深く、ミュージシャンは卓越したテクニックを与えられると同時にテク放棄することを強いられる。彼らは皆、西洋のバンドが近づくことすら出来ない方法で、芸術的であると同時に非芸術的である。僕は長年彼らの物語を知りたかった。そして今『ドッキリ!』のお陰でやっと垣間みることが出来た。この本は今まで知り得なかった日本の自主音楽シーンへの認識と、実際耳に出来るサウンドや歌詞そして個性との間のギャップを埋める。日本の地下音楽の部外者(アウトサイダー)として、それを築き上げた人たちへの感謝をあたらにして、ココに書かれたことへの忠誠を誓う。
スティーヴ・アルビ二


INU - Inrohtakin


70年代後半に世界を襲ったパンク/ニューウェイヴの嵐が日本に於いて如何に摂取され、拡大解釈・曲解され、如何に多くの畸形を生み出したか。主に関西における流れを米国人社会学者が詳細に分析した自費出版本。
79年から奈良に住み、関西アンダーグラウンドを発見し、レコ―ドを集めライヴに通ううちに、自らが送り手となり89年自主レーベル「Public Bath」を立ち上げ、ボアダムス、ハナタラシ、赤痢等の作品をリリース、所謂ジャパノイズを世界に知らしめる急先鋒となった。そんな“日本文化の布教使”の信念を貫き、本書は全編英語で刊行された。
日本のアンダーグラウンド・ロック・シーンに多大な影響を与えた阿木譲の『ロック・マガジン』の根本にはカタログ好きのヲタク気質がある、と看破する筆者自身稀代のレコード&資料収集家であり、掲載された自主盤コレクションは写真を見るだけでも楽しい。
ボケと突っ込みと関西NO WAVE、校内暴力と竹の子族とハードコア・パンクを結びつける視点は外国人によるユニークな日本観が伺えて興味深い。
自ら渦中にいた関西シーンに比べ、“ルーツを持たない街”と呼ぶ東京に関する記述は、若干物足りなくもないが(元々関西オンリーの本にする予定だったという)、そこは後進の登場を待ちたい。
剛田武/『地下音楽への招待』著者


ULTRA BIDE - '1979!' - from 'Dokkiri Record' comp LP 1980


西洋と東洋
関西と関東
大阪と東京

パンクは果たしてハードコアを目指す。
70年代半ばにニューヨークのボヘミアン文化の中で生まれ、76年にロンドンへ飛び火しロック界の一大ムーヴメントとなったパンク/ニューウェイヴは、当時、巨大になり若者からかい離していたロック(オールドウェイヴ)へ反発であり拒絶であると言われた。しかしロックが生まれたのは50年代であり、パンク革命まで25年しか経っていなかったことを考えると、パンク誕生から40年経った現在までにロックやパンクがどこまで変化したか?その答えはそこに或る。

ハードコア不法集会 Hardcore Unlawful Assembly (1984)
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2016.8.7 sun【或る魔ヲタの一日】ネクロ魔/MMM/絶叫/首振りDolls/メンテナンスetc.

2016年08月10日 01時13分34秒 | ガールズ・アーティストの華麗な世界


10:00am東京テレポート着。TIF2016のダイバーシティ東京プラザエリア、ガンダムのFestival Stageに向かう。既に天上高い太陽の下でヲタが盛り上がっている。カラフルな衣装の虹のコンキスタドールを後方の木陰から眺め、転換中にステージ近くへ移動し、女性エリアの後ろの冊に陣取る。見晴らしがいいが、前に数人の女子しか居ないので臨場感に乏しい。制服姿の3人組TOKYO5に続いてお目当てのMalcolm Mask McLarenが登場。ネクロ魔の対バンで観て以来、音源を毎日聴くほど気に入っている。当然ながらパンク系のヲタが大騒ぎ。モッシュ、ダイヴ、危険行為禁止なので、係員が静止に入る。1曲終ってライヴストップ。注意を促すアナウンスで再開し、最後までやり切った。マスク姿の三人の歌とダンスは切れが良く、ぶち上げ系地下アイドルには珍しくフェイク(ごまかし)が無い。曲調は違うがその姿勢はネクロ魔に通じる。15分3曲のステージを観てますます気になる存在になった。

Malcolm Mask McLaren/じるみーLIVE ver.2016.3.21@TSUTAYA O-Crest


続いてせのしすたぁ。破壊系を自称する3人組は昨年Sky Stageで見たときにはジャンプ禁止!と叫びながらジャンプを促す鬼畜のパフォーマンスだった。今年も飛んじゃダメ!回っちゃダメ!との煽りにヲタが暴走。MMM以上に中止の恐れがあったが、メンバーの係員懐柔策が功を奏し完奏した。

せのしすたぁ/ラストチューン/2016.6.24/新宿Loft/あんナイト


TIFをあとにしてZEPP TOKYO『LIVEプラス@Zepp Tokyo〜祝!2周年〜』へ。少し歩くとアイドルフェスの影も無く子供連れやデートの姿ばかりの日常の風景。ZEPP TOKYOは人影もまばらでイベント開催中には見えない。観客は少なく閑散としているが、アイドルのパフォーマンスは力一杯。パピマシェ、大阪のバク転アイドルJeanne Maria、メタル系の曲もある渋谷P.R、10人以上のSO.ON project TOKYOときて、最推しのネクロ魔が登場。顔なじみの魔ヲタが最前エリアに集まって沸く。広いステージをすべて使ったパフォーマンスは、観客の数は関係なくZEPPのステージに立つことを最大限に楽しんだ証(あかし)。輝く笑顔を見れただけで元を取った気分。

NECRONOMIDOL 06/24 あんナイトVol. 5


ロビーでの物販の時間まで大宮のライヴバーで活動する大宮IDOLL、二人組re-2の爆乳に驚く。特典会でネクロ魔全員と接触。大宮IDOLLと無銭握手したら二人に初めてじゃないでしょ?と言われた。今思えばそれが話術なのかも。ZEPP TOKYOを出て再びTIF2016 Festival Stangeへ。ステージ横手の木陰から覗く。メンバーチェンジしたHauptharmonie(ハウプトハルモニー)が派手なぶち上げ系に変身していて驚く。ブクガ好きの魔ヲタから勧められたsora tobu sakanaは確かに変拍子入りだが、ブクガより洗練された感じだった。コショージがいないからなあ。奥澤村は名前の通り山村の小学校の学芸会風。

sora tob sakana アイドル横丁夏祭り2016


えいたそが推していた柊木りおは小悪魔アニソンシンガー、第三の目当てじゅじゅは喪服のような黒装束のステージ。野外で見る暗黒系の非日常感が快感に。昨年末ワンマンを観たエレクトリックリボンの凸凹感。物販エリアを散策し、100を超すアイドルブースを見て回る。時間もないので収穫も無し。お台場をあとにして渋谷へ向かう。

じゅじゅ8月1日渋谷Eggman


渋谷センター街の豚野郎ラーメンで遅い昼飯にして、Milkywayの『TOKYO UNDER GROUND x 『真夏の集中工事』~作業員募集中~』へ。コスプレ女子が電波ソングを歌っていた。僕らのお遊戯。というユニットで宝塚歌劇団のアニソン版と言った風情でこれもありか!と目から鱗。続いて今日2回目のネクロ魔。観客が少なかったZEPP TOKYOの分も併せた気合いたっぷりのパフォーマンスにヲタも大昂奮。ステージと客席がひとつになった祝福の現場となった。翌日から始まるタイツアーへの期待が高まる。

NECRONOMIDOL LIVE IN NEW-CALEDONIA ! 25.03.2016


続いて絶叫する60度を初見。昼間の疲れが出て倒れそうだったが、あまりに激しいロックンロールと仮面をしたメンバー二人のキュートさに我慢できず、最後は最前列で腕を振り上げ絶叫していた。特に小柄でショートカットのもんてろちゃんはかなり好み。次回観たらチェキ撮りたい。廚二病が始まったが、会場入り口のネクロ魔の特典会で二度目接触。唯一知っているタイ語"コップンカー(ありがとう)"を伝授した。

絶叫する60度 with 6% is MINE「 桜は二度散る、そして二度咲く。」MV


朝が早いネクロ魔メンバーを送りだして、首振りDollsのステージ。アイドルヲタに代わって元バンギャの女性軍が前列を固める。ゴシックパンク風ルックスで奏でる音はガレージロック。グラム色も強い歌謡テイストは相当いい。おばさま軍団の盛り上がりも特筆もの。

首振りDolls 「色子」 Music Video


続いてGEEKSTREEKS。冴えない男子5人組ギターロック。野暮ったいルックスに騙されて甘く見てたら艶のあるヴォーカルと高度なミクスチャーロックにビックリ。自虐と毒舌のトークも面白い。散々ディスって最後に涙のアンチヒーローキャラはNever Young BeachやHave A Nice Dayに通じる新世代バンドの個性なのか。絶叫ファンのヲタ芸が異常なほどの盛り上がりを生んだ。

GEEKSTREEKS/トワイライトシンドロームshort ver【MV】


トリはザ・メンテナンス。SEX MACHINGUNSのメンバーによるコミカルハードコアパンク。再びおばさま軍が前に集合。曲も演奏を煽りも最高にツボを心得ていて、ロック好きならぶち上がらない筈はない。ビートに乗せてヘドバンしてたら、隣の年配女子の長髪がヘドバンするたびにムチのように顔に当たって痛い。シャンプーの香りが漂う危険空間にパンクを感じた。

シロナガスクジラ【ザ☆メンテナンス】オフィシャルPV


以上通算13時間に亘り音楽を全身に浴びたあとの心地よい疲れに負けて船を漕ぎ、井の頭線を乗り過ごしたまま一日が終わった。

アイドルも
パンクもメタルも
みんな音楽(music)



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2016年8月7日(日)タイツアー前夜NECRONOMIDOL(ネクロ魔)の記録〜ZEPP TOKYO/渋谷Milkyway

2016年08月09日 01時35分19秒 | ガールズ・アーティストの華麗な世界


8/7(日)
1現場目
『LIVEプラス@Zepp Tokyo〜祝!2周年〜』
op11:00/st11:30
前売り 3,500
ZeppTokyo



出番12:20〜
物販13:00〜





2現場目
TOKYO UNDER GROUND x 『真夏の集中工事』~作業員募集中~
渋谷Milkyway
前売り2800円+1D



ザ☆メンテナンス
首振りdolls
GEEKSTREEKS
NECRONOMIDOL
厨ニ病
絶叫する60度
ボクらのお遊戯





8/7通し特典として新衣装集合ランチェキ!
タイ前ラスト!





タイランド
微笑みの国で
眠りたい

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【女子バンNOW】Vol.2:バレンタインズ/くつした〜関西発・男女混成3ピースゆるふわパンク

2016年08月08日 02時35分59秒 | ガールズ・アーティストの華麗な世界


関西はアーント・サリー(PHEW)、少年ナイフ、赤痢、メスカリンドライヴなど個性派女子バンドの産地という印象があるが、今年全国デビューした二つのバンドも他には無いアイデンティティをもったWILD WILD WEST女子を擁する女子バン界の注目株である。どちらも女子二人フロント+男子ドラマーの混成ユニットというのも少子化時代の落とし子らしい。バンド界では徐々に女性上位時代に移行しているのかもしれない。

●バレンタインズ『バレンタインズ』


大阪の男女混成3ピース脱力系パンクロックバンドの初公式音源!ガールズツインボーカルによるコーラスワークの妙と、スカム感が漂う演奏が奇跡的に融合した、スウィートでポップな完全一発録り作品!

戸川純のmixiコミュニティで知り合って結成されたという逸話から真っ当なバンドじゃなさそうと予想できるが、その『普通なのに普通じゃない』存在感は、リスナーの常識を大きく覆すものかもしれない。演奏はヘタウマ、というより天然肥料のオーガニック野菜に近い素朴さと素直さが溢れていて、バンドを組んで初めて一曲通しで演奏できた時のトキメキと歓びをみんなに伝えたい、という表現行為の本質に貫かれている。これほど自然なバンド演奏は、シャッグスや少年ナイフに共通するが、パンク衝動をガーリーなメロディで包んだロリポップは、UK女子ギターポップの金字塔ドリー・ミクスチャーに最も近い。1978〜84年に活動したドリー・ミクスチャーが再発見・再評価されるまで20年間埋もれていたように、バレンタインズの素敵な世界を今聴かなければ、年寄りになるまで待つことになるかもしれない。ギタポ好きなら今すぐポチって手に入れるべき。ブックレットの小動物の写真があなたの心をユルめてくれるだろう。

小学校で倣った輪唱を思わせるちょっと投げやりなツインボーカルは"なんでもかんでもやっていいよ"(ハッピーエンド)、"自分の足で探して"(歩く)、"眠っていたい/聞いてたい/キレイでいたい/飛んでいたい"(恋はTHE END)、"会いたくて 会いたくて 会いたくて 眠れない 眠れない 眠れない”(ときめき寝不足)といった単純な言葉の繰り返しが多い。特に、"ポーリエーステールそーざいー"(ポリエステル)の中毒性はハンパなく、今日もTIF2016のステージ間を灼熱の太陽の下歩いて移動するとき頭の中で無限ループしていて、そのおかげで暑さが緩和された気がする。熱中症から身を守る魔法の言葉かもしれない。さっそく夏フェスの転換時のBGMとして流すことを提案したい。

【MV】 バレンタインズ - ハッピーエンド


【Trailer】 バレンタインズ - バレンタインズ

OFFICIAL SITE




●くつした『きのうみたゆめ』


京都の男女混成3ピースインディロックバンドの初公式アルバム!ラモーンズとパフィーの間を目指すと宣言する、パンクでロックンロールな極上ポップチューン満載の衝撃盤!

京都は大阪と一緒くたにされることを嫌がると言われるが、この一足の「くつした」を聞けばその秘密が分かるに違いない。バレンタインズと似た素直な歌だが、脱力感より倦怠感が支配するロックンロールは、古都に生まれてしまったことへの歓びと恨みのアンビバレンツの賜物といえよう。少年ナイフ直系のスピードパンクもふわふわしたヴォーカルの異化作用で、都会の喧噪ではなく哲学の道の新緑のざわめきに聴こえてくる。

興味深いのは、アルバムの前半は現実逃避的なあっけらかんとした歌が多いのが、後半に行くにしたがって仄かな光が見えてきて、「ノーフューチャーノークライ」で諦念の時代に生きる決意をユルく口にして、ラストナンバー「ANOTHER TOWN」ではギターではなくチープなキーボードに乗せて新たな希望が歌われていることである。退廃的な「ヘロイン」に始まり「ホワイト・ライト/ホワイト・ヒート」から「ビギニング・トゥ・シー・ザ・ライト(光が見えてきた)」と変化したヴェルヴェット・アンダーグラウンドがニューヨークのロックンロールであるように、くつしたは古都京都のロックンロールと呼んで然るべきだろる。しかし街並は古くてもこのくつしたは、使い古しではなく新品同様。今しか味わえない履き心地を楽しみたい。

【MV】 くつした - きのうみたゆめ


【Trailer】 くつした - きのうみたゆめ

OFFICiAL SITE

PVは
どちらも脱力
ゆるふわなう

▼関西女子(スケ)バン少年ナイフ
Shonen Knife - "Jump into the New World" [Official Video]
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Krallice/VMO/おやすみホログラム/OYSMVMO/NECRONOMIDOL@渋谷O-nest 2016.8.5 fri

2016年08月07日 01時44分21秒 | 素晴らしき変態音楽


いいにおいのするKrallice JAPAN TOUR 2016 東京編1
8/5 渋谷TSUTAYA O-NEST
OPEN / START 18:00 / 18:30
ADV / DOOR ¥4,500 / ¥5,000 + 1D
ACT: Krallice / VMO / おやすみホログラム / OYSMVMO / NECRONOMIDOL

遂にKrallice来日決定!あの涙の来日キャンセルから4年、ポストブラックの雄、トレモロの鬼、ブラックメタルバトルス降臨!



タイツアーを間近に控えたネクロ魔がアメリカのブラックメタルバンドのサポートに抜擢されたというのでチケットを予約したものの、実はメタルが苦手だった。学生時代は長髪ロッカーは過去の遺物だと唾棄していたし、サイケに気触れて髪を伸ばしてからも、ヘヴィサイケとヘヴィメタルはまったく別物、ハードコアパンクとスラッシュメタルは別ものだと信じていた。メタルと言えば様式美と馬鹿のひとつ覚えのように繰り返す知人が多かったのも原因だろう。BABYMETALも最初は『メタル』と呼ばれるだけでスルーしていたが、デスメタルぽいのでオkだった。。ネクロ魔がブラックメタルに影響されたということは知っているが、ブラックメタルがどういうものか良く知らなかったのが実情。それを確かめるのにいい機会だ。トップバッターのネクロ魔に併せて開演前に行ったら前列はドルヲタとメタラーが半々。知り合いの魔ヲタとヲタ話をしていたら、隣のメタル少年がパンクについて頓珍漢な蘊蓄を語っているのが耳について、ツッコミたくて仕方が無かった。

●NECRONOMIDOL(ネクロ魔)


暗黒系でメタルの要素を持ってはいてもあくまでアイドルのネクロ魔にはアウェーのステージ。アップテンポのアゲ曲は封印し、ダークナンバーで固めたセトリは、魔ヲタにとっても久々で新鮮。歌って踊るアイドルというよりアングラ劇団のミュージカルを思わせる怪演は初見のメタルファンにも強い印象を与えたに違いない。しかし魔ヲタの関心はヘアカットしてキュートさを増した九十九ほたるに注がれていた。

1. HEXENNACHT
2. puella tenebrarum
3. SARNATH
4. Nyx
5. ASTODAN
6. PSYCHOPOMP
7. 童歌
NECRONOMIDOL - LAMINA MALEDICTUM PV



●おやすみホログラム(おやホロ)


ネクロ魔に比べてロックバンドとの対バンがホームと言えるおやホロは、DJを加えたステージで最初からぶち上げる。羊と呼ばれるおやホロヲタが前列で飛び跳ね盛り上げる。カナミルが客席に乗り出し激しく煽り、それに応えてメタラーも腕を振り上げる。その後方で丁寧な振り付けで踊る八月ちゃんに萌えた。二人のステージは「Only Two(たった二人)」ではなく「Only One x Only One(オンリー・ワンの二乗)」のパワー増強ゾーンなのであろう。

【MV】おやすみホログラム「too young」/OYASUMI HOLOGRAM [too young]



●VMO(ヴイエムオー)


Vampillia(ヴァンピリア)のことは知っているがライヴを観るのは初めて。別ユニットのVMOは、YMOに倣ったドラムレス編成。シンセやドラムマシーンを中心に8人のスカルメイク白塗りメンバーが演奏する。明滅するストロボライトの中でヴォーカルパフォーマーで客席に飛び込んで暴れ回る。血の気の多い客が応戦し、暴力的な爆音と共に戦場のような光景が繰り広げられる。しかし敵意は無く最後に全員笑顔で終るハッピーエンディング。NATURE DANGER GANGと並ぶ祝祭型パフォーミングユニットである。

●OYSMVMO(おやすみヴイエムオー)


そのままスカルメイクをしたカナミルと八月ちゃんが加わってコラボユニットOYSMVMOに突入。さっきは遠巻きに見ていた客もフロア前方に押し寄せ、おやホロ得意のアゲパフォーマンスがマキシマムに発揮された幸せ空間が生まれた。人を幸せにするアイドルの定(さだめ)がポジテュブに機能した好例であった。

20160628 OYSMVMO(おやすみホログラム×VMO) / ニューロマンサー @新宿LOFT



●Krallice(クラリス)


クラリスはニューヨークで2007年に結成されたメタルバンド。即興シーンでも活動するミック・バー(g)は、注目のサックス奏者クリス・ピッツイオコスとも共演したことがあるので知っていた。ギター二人はロングヘアーだが、ベースは短髪のクルーカットもどきのマッチョマン、ドラムは長いヒゲがトレードマークにお茶目さん。而してそのサウンドは? テクニカルなギターと変拍子の極みのドラム、ドゥーミーなベースにデス声ヴォーカル。メンバー以外誰もカウントできない激しいリズムチェンジに爽快感すら感じる。ハードコア化&デスメタル化したディアフーフ? 新編成のペインキラー? 倍速にしたレッド・クレイヨラ? これをメタルと呼んでいいなら、オレはメタラーに転身しても良い! 目から鱗の体験だった。

Krallice - Hyperion (Saint Vitus 2016)


2ヶ月前に観たノルウェーのMoEのメンバーも即興演奏家として活動している。メタルとフリーインプロの相似性に想いを馳せた。 

アイドルとブラックメタル
即興とポストブラック
二足のわらじ




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