グローバルネイチャークラブのガイド日記

グローバルネイチャークラブ(旧グローバルスポーツクラブ)のガイド仲間が観察した伊豆大島の自然の情報を中心にお届けします。

伊豆大島における山がけ崩れ・土石流と降水量との関係

2015年02月12日 | 火山・ジオパーク
本日、大島町主催の年1回の防災講演会があったので参加して来ました。

講演会の表題は「伊豆大島における山がけ崩れ・土石流と降水量との関係」
講師は気象庁伊豆大島火山防災事務所長の加治屋氏です。

参加者は合計50名位だったとのこと。(写真は開始前)

最初の町長挨拶では「防災講演会は毎年1回行っているが、6年前の講演会をきっかけにジオパークが始まった。」という話があり、なんだか感慨深かったです。

土砂災害後、1年4ヶ月の間に、伊豆大島では31回の避難の配備態勢が敷かれ、そのうちの半分ぐらいが避難受け入れなどの実際の行動があったそうです。(関係者の方達、お疲れ様でした)

講演では、加治屋氏自身がジオパーク研究会主催の勉強会に参加して聞き取ったという「狩野川台風体験談」の朗読や・・・

伊豆大島の、雨の降り方と雨量、災害との関係が順を追って話されました。

火山噴火が地面を作っている伊豆大島では、溶岩の塊や粒、火山灰や土が層になって重なっています。そのために何段階かに分かれて水が染みにくい層ができるようです。

図の右側の、タンクを3つ重ねたような絵がその考え方を表現したもの。この土壌中に溜まっている雨の量の指数を「土壌雨量指数」と言うそうで、これには1~2週間前の降水も影響するそうです。

上下に重なるタンクの図を見て、土砂災害後に裏砂漠で見た風景が鮮明に蘇りました。
2013年11月1日、雨で人の背丈ほどの溝が掘れていた裏砂漠・・・

この時、崩れた面に何段かに分かれて、水が抜けたと思われる穴が空いているのを見て「地下水の流れはどうなっているのだろう?」と思っていたのですが、やっと納得ができました。

場所によって層の厚さも上に積もっている物も違うから、地下水の流れは、かなり複雑なのでしょう・・・。

すごいなぁ、火山。
神様が作ったものとしか思えない・・・。

土砂雨量指数と1時間降水量をグラフにすると、下記の図になるようです。

狩野川台風と台風26号の時の土砂災害の時は、他の大雨に比べ明からかな特徴があるとのこと。

そして土砂雨量指数のみでなく「危険な雨の降り方」があり・・・

平均60mm以上の雨が数時間連続して降り、その間の合計降水量が250mm以上で2回の土石流が発生しているようです。(赤丸が土石流、黄色が山で崖くずれ、青がどちらもなし)

今までも何度か教えてもらった「危険な雨の降り方」は「雨の終盤に最も強く降り、数時間続く」パターン。

「自分で危険な雨かも?と感じられる力を身につけられれば良いが、他にその時の雨量を科学的に知る方法はないのか?そういえば、現在の雨量計はどこに置いてあるのだろう?」と思ったので聞いてみました。

加治屋氏の回答は・・・
「現在気象庁の雨量計は4カ所(北の山、元町合同庁舎、泉津小学校グランド、差木地小学校グランド)他に火山研究や東京都の雨量計が設置されている。気象庁HPのアメダスで検索すると、1時間ごとに雨量計、メッシュで解析した雨量を見ることができる。」とのこと。

なるほど・・・。

簡単な雨量の計り方も教えてもらったので、今度、強風ではない大雨の日に計ってみようかと思案中です。科学の知識と動物の勘と両方を磨かなくちゃ!

お知らせ
明日、19時から開発総合センター1階 大会議室で『ジオパーク関東地区大会&全国研修会報告会」を行います。
報告者は、ジオパーク推進委員会の中林、船木、西谷の3名。
私は三陸ジオパークでの震災学習列車や、グループ討議などの様子を報告します。

伊豆大島の今後の参考になる内容もあるかと思いますので、お時間のある方は是非、聞きにいらしてください。
頑張ってプレゼン資料作りましたので~(ただ、まだ、声が出ませんけど・・・(^_^;)。

(カナ)


コメント
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