浜名史学

歴史や現実を鋭く見抜く眼力を養うためのブログ。読書をすすめ、時にまったくローカルな話題も入る摩訶不思議なブログ。

ロシアのウクライナ侵攻のこと

2022-10-25 09:24:25 | 国際

 ロシアによるウクライナ侵攻の戦場は、ロシア国内ではない。集合住宅、病院、学校、そして電力関係の社会的インフラなど、ウクライナ国内にあるそうしたところが攻撃され、また多くのウクライナ人が殺されている。

 ロシアのそうしたところはウクライナ軍によって攻撃されたり破壊されたりしていない。

 1931年9月18日、日本の関東軍は「満洲」支配を目的に、謀略事件により戦争を開始した。柳条湖事件である。南満州鉄道線路を少しだけ爆破し(そのあと、列車はそこを通過している)、それを中国側のしわざだとして攻撃を開始し、翌年3月、「満洲国」をでっちあげた。これは明らかに戦争ではあるが、日本はこれを「事変」とした。第1次世界大戦以後に国際法となった「戦争の違法化」を意識したからだ。

 戦場はいうまでもなく、中国東北部であった。日本国内に住む人びとは、戦争を身近に感じることなく日常の生活をしていた。国内に、銃弾や砲弾は飛んでこないから、戦争を意識しないで、人びとは生活できたのだ。

 それと同様に、ロシア・プーチン政権は、ウクライナ侵攻を、戦争ではなく「特別軍事作戦」という呼称をつかっている。明らかに戦争なのに、である。ロシアの人びとは、1930年代初期の日本人と同様に、戦争を意識しないで暮らしていた。

 しかし、ウクライナでの戦況が思わしくないことから、プーチン政権は戦時動員をかけ、予備役の動員を図った。戦争がロシア国民の日常に入り込み始め、ロシア人は戦争を意識するようになった。

 そして突然昨日、次のようなニュースが流れてきた。「ウクライナが汚い爆弾を使用する可能性」があると、ロシア軍が言い出したのだ。

 戦場は、ロシアではなく、ウクライナである。放射能の危険性は、チェルノブイリ原発事故で充分に認識しているウクライナが、放射能で国土を汚すことはあり得ない。

 ロシア軍は、戦況の悪化を挽回すべく、ウクライナの領土で「汚い爆弾」を使用するつもりなのか。

 プーチン政権になってからのロシアが、旧ソ連邦構成国にたいして行ってきた数々の行為を振り返って欲しい。ロシアの行動を是とすることはできないはずだ。

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