浜名史学

歴史や現実を鋭く見抜く眼力を養うためのブログ。読書をすすめ、時にまったくローカルな話題も入る摩訶不思議なブログ。

差別の問題

2024-10-05 22:05:55 | 国際

 久しぶりに『現代思想』を買った。特集は、「〈人種〉を考える」である。「〈人種〉を考える」ということは、「差別」の問題でもある。そのなかで、巻頭におかれていたのが、竹沢泰子さんと梁英星さんの対談である。その内容を紹介することはしないが、そのなかの議論にひっかけて、イスラエルによるパレスチナ人へのジェノサイドについて考えていきたい。

 梁さんは、フーコーの言説をとりあげ、「前近代は殺す権力で近代は生かす権力」というフーコー理解は「俗流化」された理解だとしている。そしてフーコーは「生きるべき人間と死ぬべき人間を分け、資本主義にとって要らない人間を廃棄するところで、「レイシズム」が近代的に機能する」と言っている、と指摘する。

 私は、「俗流化」されたとするフーコーの理解はそれはそれで間違いではないと思う。しかしネオリベラリズムの時代になってからは、明確に「生きるべき人間と死ぬべき人間を分け、資本主義にとって要らない人間を廃棄する」という状況になっていると思う。

 そして「要らない人間」をつくりだし、彼らを「廃棄する」そのこと自体から利益をだそうとしている、というのが、今の資本主義の段階であると思う。

 イスラエルが、ガザや西岸地区のパレスチナ人をジェノサイドするにあたって使用する武器から(武器を売ればカネになる!!)利益を産みだしている。

 現在の資本主義の段階、ネオリベラリズムが跋扈する段階は、あからさまな利益至上主義の資本が、人間を監獄に入れる、あるいは殺すということからも、とにかく、ありとあらゆることから利益を引き出そうとする資本主義の終末期なのではないか。そこに、人道とか、権利とか、そういうものが入り込むことはない。

 イスラエルによるパレスチナ人に対するジェノサイドは、ネオリベラリズムに席巻された世界の象徴ではないかとさえ思う。 

 しかし終末期と言っても、その終末期のあとに違った、人間が住みやすい社会が来るとは思えず、資本主義の終末が、人間への終末へと進んでいくことしかないように思われる。

 またレイシズムで言えば、ネオリベラリズムというのは、きわめて残酷で、選別して「要らない人間を廃棄する」という段階であるから、いかなるレイシズムも、差別も最大限強化されていくのではないかと推測する。

 しばしば「西側諸国」の指導者がいう「法と秩序」は、そういう社会を維持するためのイデオロギーではないか。

 

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「目立つこと」

2024-10-05 06:38:54 | 政治

 「目立つ」ことを求める人が増えているように思う。ユーチュウバーというのがたくさん出ていて、子どものなかには、将来はユーチュウバーになりたいという者が増えているようだ。

 昨日、ユーチューブの「もと文春記者チャンネル」を見ていたら、兵庫県知事選で失職した斎藤元彦が、SNSで注目されていて、知事選挙で斎藤が当選することもありうると言っていた。先の東京都知事選で、SNSを利用して高得票を得た石丸某の方法を真似ているのではないか、若い人々はテレビは見ないし、新聞も読まない、そうしたメディアで叩かれている斎藤を通常では支持することなんかありえないのに、SNSで若者を中心に支持がひろがっている・・・・

 わたしは、これは別に目新しい指摘ではないと思った。政治的に覚醒している人を除き、そうでない人びとは、業界が支援する人に投票するし(業界団体の会合には、その団体に支援される議員が参加している)、知人から頼まれた人、そういう関わりをもたない、ある意味孤立している人は「目立つ」人に投票する。

 「目立つ」人というのは、テレビにでている人、ユーチューブで見る人、などである。要するに、人びとは「有名人」や「目立つ人」は、あたかも自分が「知っている人」だと認識し、そういう人に投票するのである。それは年令には関係ないと思う。立候補している人がどういう政策を実現しようとしているかを確認して投票活動を行うという人は、圧倒的に少ない。

 とにかく、人びとは、「目立つ」人、「有名人」が好きなのだ。「有名人」を直に見たいと言って、人びとがあつまることがよくある。わたしには理解できない。

 「目立つ」こと、それが迷惑行為であっても、そういうことをしばしば行って「有名人」になった者を、なぜかスポーツ新聞や雑誌が報じることがある。

 絶望的な状況が続くだろうと、わたしは思っている。

 

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