今日、某所で香月泰男と浜田知明について話した。いずれも東京美術学校油絵科出身の画家である。当地方では、この二人の画家について知る人は多くないようだ。香月は山口県出身、浜田は熊本県出身である。いずれも卒業後に召集されて、香月は「満洲」へ、そしてシベリアに抑留され、浜田は中国戦線に行かされた。
香月も、浜田も、軍隊にはなじめず、どちらかというと嫌悪感をいだき、みずからを戦争に動員した支配層に対する怒りを持ち続けた。したがって、彼らが描く絵は、そうした思いがこめられている。
今回、香月と浜田の絵を紹介したのは、今の時代、中国との戦争を企図しているようにみえる日本の支配層の思わく、それに対する抵抗として、二人の絵をぜひ見てもらいたいと思ったからだ。二人の絵に共通する思いは、非戦である。戦争を体験したが故に、軍隊の醜さ、戦争の悲惨さなどを、モノクロの世界で描き、非戦=平和を強く希求する。
浜松市の図書館には、香月の本は17冊あるが、浜田のそれは一冊もないと、聴講者の方からうかがった。調べてみたら、たしかにない。どうしてだろうか。
わたしは、浜田知明の図録などを5冊保有している。今こそ、二人の絵をみつめる必要があると思う。