浜名史学

歴史や現実を鋭く見抜く眼力を養うためのブログ。読書をすすめ、時にまったくローカルな話題も入る摩訶不思議なブログ。

芸術の秋

2024-10-16 19:34:41 | 美術

 今日、某所で香月泰男浜田知明について話した。いずれも東京美術学校油絵科出身の画家である。当地方では、この二人の画家について知る人は多くないようだ。香月は山口県出身、浜田は熊本県出身である。いずれも卒業後に召集されて、香月は「満洲」へ、そしてシベリアに抑留され、浜田は中国戦線に行かされた。

 香月も、浜田も、軍隊にはなじめず、どちらかというと嫌悪感をいだき、みずからを戦争に動員した支配層に対する怒りを持ち続けた。したがって、彼らが描く絵は、そうした思いがこめられている。

 今回、香月と浜田の絵を紹介したのは、今の時代、中国との戦争を企図しているようにみえる日本の支配層の思わく、それに対する抵抗として、二人の絵をぜひ見てもらいたいと思ったからだ。二人の絵に共通する思いは、非戦である。戦争を体験したが故に、軍隊の醜さ、戦争の悲惨さなどを、モノクロの世界で描き、非戦=平和を強く希求する。

 浜松市の図書館には、香月の本は17冊あるが、浜田のそれは一冊もないと、聴講者の方からうかがった。調べてみたら、たしかにない。どうしてだろうか。

 わたしは、浜田知明の図録などを5冊保有している。今こそ、二人の絵をみつめる必要があると思う。

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