浜名史学

歴史や現実を鋭く見抜く眼力を養うためのブログ。読書をすすめ、時にまったくローカルな話題も入る摩訶不思議なブログ。

歴史の進み方

2024-03-31 06:56:21 | 歴史

 東京の各所で、公園などで樹木が次々と切り倒されている。ただでさえ東京は緑が少ないのに、残されている公園の緑も消されている。背景にあるのは、カネにならない市民の憩いの場所としての公園ではなく、カネを稼ぐことが出来る場への転換である。資本はブルドーザーの如く、「公共」を蹴散らしてカネ儲けの場へと転換していく。公共機関としての地方自治体も国も、その資本に手を貸している。

 東京では、建物群が上へ上へと伸びていることがわかる。マンションも、どんどん高層化している。それは地方の主要都市にも波及し、背の高さを競っている。背の高さは統一されているのではなく、バラバラ。都市計画は、資本の攻勢の前に沈黙している。

 カネ儲けを原動力とする資本という暴力が、「公共」をなぎ倒している。それが今の「歴史」の特徴である。

 平和主義を建前として保持していた日本国は、ついに戦闘機などの武器を輸出するという暴挙に出て来た。資本の意思としての、武器でカネを稼ぐという明確な宣言である。武器でカネを稼ぐということは、人を殺傷してカネを稼ぐということでもある。資本の暴力があからさまに出現する時代が、現代という「歴史」の特徴である。

 そこには、倫理や道義などということばは消される。人間にはしてはいけないことがあるという、人間の悪しき行動を制御する精神的遺産が歴史的につくられてきたはずであるが、それも蹴散らされていく。そしてその悪しき主体である資本の集積体(経団連など)や国家権力や地方自治体の教育部門が、「道徳」を人びとに強制する。

 そのような人びとを食い尽くす資本の暴虐を前にして、人びとはそれに抗うどころかその資本の意図に従属する。

 最近、様々な詐欺事件が多発している。SNSをつかって、カネ儲けのために詐欺に遭う人が増えているようだ。そのような事件が報じられる度に、その金員の多額に驚く。そんなに持っていたのか、と。ある程度カネを保持する人が、さらに「簡単に」カネを儲けようとして詐欺に遭う。もちろん被害者には同情を禁じ得ないが、しかし、なぜそんなことをしてまでカネを稼ごうとするのか、私にはわからない。

 今や、カネ儲けのためには、倫理や道義、さらにはきちんとした手続きはない。額に汗して得たカネほど尊いものはないというような正当な考えも消されている。資本に追随して国家権力(国家や地方自治体など)が、カネ儲けにはしる姿を見て、人びともそれに追随する。カネ、カネ、カネ・・・・・・

 新自由主義という最悪の資本主義が、世界を席巻し、武器を製造し、人びとを殺傷し、地球環境を破壊している。地球を生きていけない惑星にする最後の仕事として、世界中の資本家や権力者が協力している。それを人びとがながめ、なかにはオレもカネ儲けしようと焦っている人もいる。もちろん、それに抵抗する人びともいるが、その数は少ない。

 ひとりの人間の終末をみつめた私は、今や地球の終末を予想するようになった。終末へと向かう現代の歴史を記述する歴史家は、おそらく存在しないだろう。新自由主義は、歴史をも消していくのだ。

 

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