『社会運動史研究』5を読み終えた。「直接行動の想像力」というテーマであるが、「直接行動」をどう捉えるのかという視点が定まらぬままに、この雑誌はつくられたという気がする。
「直接行動」に関わるものは、座談会と市橋秀夫の反戦青年委員会をとりあげた論考、松井隆志の東アジア反日武装戦線をとりあげた論考があるが、関連するインタビューとして三つあるが、インタビューは果たして「直接行動」とどうつながるのか、よくわからなかった。小泉英政さんへのインタビューは、「非暴力直接行動」としているが、この場合は「直接行動」を広い意味で捉えなければ理解できないものだ。
松井の東アジア反日武装戦線に関する論考は、いまいち理解できなかった。素材となったものが文献であり、あらたな資料に基づくものでないため、解釈、解釈・・・というかたちで論が運ばれているため、歴史学研究に慣れている私としては、あまり面白くはなかった。
座談会に於ける酒井隆史の発言(おそらくそれは酒井の『暴力の哲学』(河出文庫)で展開されているのだろう)、それと小泉英政へのインタビューから触発を受けた。小泉には『土と生きる』(岩波新書)があるから、それを読んでみようと思う。
小泉の「譲れないものをきちんと持って、それで社会と向き合っていく」ということば。今日読みはじめた司修の『戦争と美術』(岩波新書)にあった、井上長三郎の「動かない哲学を持っているていうか、やなことはやらない」(199頁)ということばに通底するものがあるのではないかと思った。