『世界』1月号が「1995 終わりと始まり」という特集を組んだ。そこには、村山政権、沖縄における米兵による少女暴行事件とその後の「米軍基地の整理縮小」問題、オウムの地下鉄サリン事件、「慰安婦」問題、阪神淡路大震災が取り上げられている。
たしかに1995年は、大きな転換点であった。わたしも1995年に焦点をあてて、その後の変化、庶民にとっては悪化について、さまざまな統計をつかって話したことがある。
それについては近いうちにアップしようと思うが、わたしは1995年という年を取り上げる場合は、日経連の「新時代の『日本的経営』-挑戦すべき方向とその具体策」に触れる。これは労働者を三つのグループにわけて、労働者の総賃金を減らしていこうという経営者たちの方針を示したものである。
その「具体策」は、労働者を、「長期蓄積能力活用型グループ」「高度専門能力活用型グループ」「雇用柔軟型グループ」にわける。「長期・・・」はいわば「正社員」であり、「雇用柔軟型・・」はパート労働、アルバイトなどの非正規労働者であり、後者を大いに活用しようという提言であった。それ以後、30年にわたって日本だけが労働者の賃金が上昇しないという事態をつくりあげたのである。なお「高度専門・・・」は、公認会計士などである。
この提言をまとめた日経連の幹部が、『東京新聞』のインタビューに応じた記事がある。非正規雇用の活用を30年前に提言したら…「今ほど増えるとは」 労組側「やっぱりこうなった」
1995年を取り上げるなら、この提言に触れるべきであった。