窪田恭史のリサイクルライフ

古着を扱う横浜の襤褸(ぼろ)屋さんのブログ。日記、繊維リサイクルの歴史、ウエスものがたり、リサイクル軍手、趣味の話など。

ウエスものがたり【第七回】ウエスができるまで-品質検査

2008年06月29日 | ウエスものがたり
 たかがウエス、されどウエス。ウエスは製品として出荷される前に何度も何度も徹底して検査が行なわれます。今日この記事を読まれることでウエスがただの切れ端ではない、立派な工業製品であるということがお分かりいただけると思います。ではその検査工程を順を追ってご説明しましょう。

 裁断が終わると、まず付属物が残っていないか金属探知機で検査を行ないます。



機械による検査で合格してのちさらに検査員による検査を行ないます。



そして良品として合格したウエスを商品として使う際に取り出しやすいように1枚1枚伸ばしながら計量用バスケットに入れ、計量を行ないます。計量する秤も正確な入数を計測するため1日に2回検査されます。その様はまるで肉を計り売りする精肉屋さんのようです。



 計量されたウエスは包装される前、さらに精度の高い金属探知機で付属物が残っていないか検査されます。この金属探知機は加工食品の検査で使われるものと同じものです。



 工程は前後しますが、この金属探知機による検査はウエスを包装した後もう一度行なわれます。



  繻るに衣袽あり、ぼろ屋の窪田でした

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繊維リサイクルの歴史 【013】ごみ問題の行き詰まり

2008年06月29日 | 繊維リサイクルの歴史
 71年のニクソンショック、それに続く73年のオイルショックにより日本の高度成長は終わりを告げ安定成長期に入りました。変動相場制移行に始まる日本の円高は85年のプラザ合意以降急速に進み、海外から安価な製品が流入するようになる一方、日本は世界一の物価高・人件費高の国になりました。その結果、ちり紙交換も一部の地域を除いて姿を消してしまいました。

 故繊維業界に目を向けると、ウエスや反毛の大口の需要先であった自動車業界などが積極的に海外移転を進めたことによりその需要が減少しました。中古衣料はアジアの経済発展により唯一順調に成長を続けますが、97年のアジア通貨危機、暴落した自国通貨ゆえにコスト面で相対的優位に立った韓国などの追い上げにより過当競争に陥り、価格が暴落してしまいました。

 高度経済成長のひずみによる公害問題などは60年代から出ていましたが、70年代に入り安定成長期になると発展の爪跡としての環境問題に関心が高まるようになりました。特に国土の狭い我が国では、大量生産・大量消費・大量廃棄の結果として、ごみ問題が深刻になりました。

 こうした中、今ではリサイクルという言葉が一般的にも定着しブームのようにもなっています。80年代までの故繊維業界では一貫して需要を満たすだけのぼろの供給がなく「いかに集めるか」が課題だったのですが、世間のリサイクルに対する関心の高まりと共に市民運動や行政回収が広がるようになると、ちょうど需要が減少していた折に供給だけが激増する、という業界としては前代未聞の現象が発生しました。これまで100年以上繊維リサイクルの歴史を担ってきた故繊維業界は皮肉なことにリサイクルに対する関心の高まりと反比例するかのように、供給過剰による危機的状況に陥ることとなったのです。

  繻るに衣袽あり、ぼろ屋の窪田でした

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