窪田恭史のリサイクルライフ

古着を扱う横浜の襤褸(ぼろ)屋さんのブログ。日記、繊維リサイクルの歴史、ウエスものがたり、リサイクル軍手、趣味の話など。

繊維リサイクルの歴史 【002】ぼろを原料にスタートした製紙工業

2008年06月18日 | 繊維リサイクルの歴史
古繊維(ぼろ)、すなわち使用済みの衣類や布類は縫い物用として江戸時代にはすでに売買されていました。しかし、前回述べましたように当時はまだぼろの回収を専業とする人はいなかったようです。ぼろを専門に扱う仕事、つまり「業」が成立するのは明治以降、近代産業の発展にともなって量的にまとまった需要が生まれてからのことです。その最初の需要とは現在では意外に思われるかもしれませんが、製紙工業でした。

 明治初期、日本で初めて設立された製紙工場はその原料に木綿や麻のぼろを使いました。当初製糸工場が東京や京阪神など大都市近郊に集中していたのは、原料としてのぼろを集める必要があったからなのです。やがてわらパルプの混用が始まると製紙工場は地方に移転し始め、明治22年、最初の国産木材パルプ工場が静岡県気田村(現在の周智郡春野町)に建設されます。それでも明治36年ごろの資料によれば、ぼろパルプの使用率はまだ全体の20.5%を占めていたようです。

  繻るに衣袽あり、ぼろ屋の窪田でした

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