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次に、茶道具について見ていきたいと思います。
まず、棚ですが「桂月棚」(萩井一丘作)といいます。「桂月」とは月の異名です。古代中国では月の中に桂樹があると考えられていました。
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涼炉は「赤泥一文字炉」です。炉の上辺にある爪と爪の間が一直線になっている炉を一文字炉といいます。
炉を据える炉座は「白泥提梁」です。
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お茶の葉を入れる茶心壷は、「古錫 桔梗式」。茶葉は稲葉先春園の玉露を使いました。名づけて「栢森森」です。
お茶の葉を計るのに使う茶合。仙媒(せんばい)ともいいます。龍眼木で芭蕉の葉を彫刻したものです。
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水を入れる水注「白玉 松竹梅刻」。古代中国で玉は金よりも貴重なものとされました。中でも白玉は心を浄化する宝石として尊ばれていたようです。
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お茶を煎れる茶銚。江戸時代の陶工、青木木米作「緑釉磁 四耳 一文字蓋」です。銚座は「蒔絵葡萄文」です。
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茗碗は三代清風与平作、「黄均釉磁 梅文刻」。さらにこれらを梅の花に見立てて配しました。
茗碗を受ける托子(たくす)は「南鐐 捻梅式」です。托子は茶托(ちゃたく)ともいいます。南鐐とは中国の銀の産地で、やがて「良質の銀」という意味になりました。
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盆を拭くのに使う盆巾を入れる筒は「李朝染付 菊文透」です。右側は建水(けんすい)または納汚(のうお)ともいい、湯を捨てる時に使う器です。木地に透明の生うるしを直接摺り込み、余分な漆を拭き取って乾かしてから磨く「拭漆(ふきうるし)」という技法で作られたものです。
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お茶菓子を入れる器、菓子器は「乾隆硝子(けんりゅうがらす) 黄地山水文碗」。乾隆硝子は、清朝の最盛期、第6代皇帝の乾隆帝(1735~1795)の治世に作られた、清代において最も技法が優れた時代のガラス製品です。この黄色も皇黄色といい、かつては中国の皇帝にのみ使用を許された色でした。
お菓子は「月黄昏」と名づけ、奈良の御菓子司なかにし謹製、「幻の絹」を使用しました。
最後は、炭具についてご紹介します。
繻るに衣袽あり、ぼろ屋の窪田でした
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