まず床の間に飾る掛幅(かけふく)、つまり掛軸のことです。掛軸も茶道具もその茶席のテーマに合わせたものが使われます。今回のテーマは「梅」そして「月」。掛幅は茗主による着彩で、「百春平安図」と題します。
次に床脇違棚の文房飾りについてご紹介します。江戸時代の文人達は、明代や宋代の文人が愛玩した文房具を煎茶席に飾って楽しんだそうで、文房飾りはその名残だそうです。
・研(すずり)
歙州羅紋硯(きゅうじゅうらもんすずり)。歙州硯とは、南京の南200km、黄山の南に位置する、歙県産の硯をいいます。重厚で石質は硬く、羅紋という波のような模様が特徴です。
・筆
象牙 烟咀(えんそ)
・筆架(ひっか)
金銀錯蟠螭文(きんぎんさくばんちもん)帯鉤(たいこう)。筆架とは筆おきのことです。蟠螭文とは春秋時代に見られる螭(みずち)が絡み合った文様をいい、帯鉤とは同じく春秋時代に流行した革帯を締めるための道具をいいます。現代風に言うと、おしゃれなバックルを筆置きにした感じでしょうか。
・水注丞
紅玉 螭龍把手(ちりゅうはしゅ)。水注丞は水丞ともいい、墨をするための注水具をいいます。把手とは取っ手のことです。
・盛花
露根(ろこん)蘭。露根とは、地上に現れている根のことをいいます。
・盛盆
存星籠地(ぞんせい)吉祥文 長方盆。存星とは明代にはじまった、漆器の装飾技法で、漆地に色漆で文様を描く、または先に文様を彫ってから色漆をつめこみ、輪郭や細部に沈金を施す技法をいいます。これを日本の茶人が存星と呼んだということです。
・挿花
敗荷(はいか)。敗荷とは枯れて敗れた蓮の葉のことで、「やれはす」ともいいます。葉は枯れても、その下には根が生き続けているのでおめでたいという陰陽思想が込められています。
・花器
備前 窰変徳利(ようへんとっくり)。窰変とは、陶磁器を焼く時、釉薬などが変質し、思いがけない釉色や釉相を呈することをいいます。
・奇石
太湖石。太湖石については、以前このブログでもご紹介したことがありました。白居易や蘇東坡などの詩人が非常に好んだ石です。
次回は茶道具についてご紹介します。
繻るに衣袽あり、ぼろ屋の窪田でした
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