窪田恭史のリサイクルライフ

古着を扱う横浜の襤褸(ぼろ)屋さんのブログ。日記、繊維リサイクルの歴史、ウエスものがたり、リサイクル軍手、趣味の話など。

TOKYO DESIGNER'S WEEK 2010

2010年11月09日 | その他


  先週、神宮外苑で行われた「TOKYO DESIGNER'S WEEK 2010」に行ってきました。いつも親しくさせていただいているdmc.の河野さんにお誘いいただいて拝見したのは、株式会社NTTデータエンジニアリングシステムズさんのブースです。



  展示されていたのは、レーザーシンタリングという、3次元CADデータを取り込み、原料となる粉末(金属であったり、プラスチックであったり)にレーザーを照射して焼結しながら、データに基づいて積層していく工法によるサンプルの数々。例えば、上の仏像も3次元CADで設計しておき、そのデータを取り込めば、あとはレーザーが金属の粉末を焼結して自動的に作り上げてくれます。
 

  したがって、余分な部分を取り除ける構造にさえなっていれば、基本的にどんなに複雑な構造の物でも簡単に作ってしまうことができます。例えば上の写真左の座椅子のようなものですが、このような複雑なデザインのものでも難なく成型できます。しかもヒンジもそのまま成型できるので、パーツを作ってから組み立てる必要がありません。持ち上げれば、写真右のように折りたためます。

 

  こんな凝ったデザインのランプ(写真左)もこのとおり(写真右)。



  さて、河野さんがデザインされたのは、このレーザーシンタリングを用いて造ったキッチンカッターです。台所では、菜っ葉の包装を切ったり、ドロップや缶の蓋を開けたりというような時、従来の鋏では不便で、包丁ではちょっと危ないかな、というようなことが意外と多くあると思うのですが、このキッチンカッターはお年寄りや子供でもそうした場合に安全に使用できるようにデザインされています。

  最近、子供を過度に危険から遠ざけようとするあまり、かえって子供の危険に対する認識が未発達となり、通常では考えられないような事故が起きると言うことが報道でもされていますが、河野さん曰く、子供の脳の発達のためには、ある程度危険であることを承知した上で安全に注意を払いながら作業をするという過程が大切なのだそうです。僕も子供が最近裁縫を覚えだしましたが、そうだろうと思います。

  そうした知育面も考慮して、このカッターはかわいい鳥の形をしています。これは単に子供向けにというだけでなく、握りやすいカーブを描いていたり、鳥の形であることが葉物に対する恐怖心を和らげつつ、それでも刃であるくちばしの部分には気をつけなければならないんだよという無言のメッセージを子供たちに伝えるアイコンとなっているのだそうです。これにはなるほど、と感心しました。

  そうしてデザインされたキッチンカッターですが、意外にもソムリエやバーテンダーなどプロの方からの評判がよいのだとか。モノづくりとは面白いものです。

  繻るに衣袽あり、ぼろ屋の窪田でした

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