筆跡心理学とはグラフォロジー(Graphology)の訳で、筆跡を分析し書き手の性格との関連を研究する学問です。フランス、ドイツ、イタリアなど、大陸系のヨーロッパでは筆跡心理学が大変盛んであり、特にフランスでは「筆跡診断士」という国家資格まであり、企業の採用にも筆跡心理が導入されているそうです。
僕が筆跡心理学を知ったのは、たまたま観ていたDVDの中で「グラフォロジー」という耳慣れない言葉が出てきたのが切欠で、試しにどんなものだろうかとプロの先生の診断を受けてみました。すると、会った事もないのにわずかな僕の筆跡だけを頼りに、自分しか知らないと思っていた深層心理まで生き生きと描き出されたレポートが届いたのです。これには本当に驚きました。
Handwriting Analysis: Putting It to Work for You | |
クリエーター情報なし | |
McGraw-Hill |
私たちは何かを書くとき、何について書くかは意識していても、どのような形の文字で書くかについては普通意識することなく、何気なく書いています。人間の行動は意識的な判断だけでなく、深層心理に刻まれたその人のもつ性格からの影響も強く受けています。「書く」という行為も人間の行動の一つですから、そこには書き手の性格がかなりの程度反映されていると考えることができます。
具体的な分析は、ここでご紹介する手法の場合、統計的に相関関係があると判断される約70種類の筆跡特徴と性格特徴に基づき、書き手の性格を診断するという方法で行われます。これを筆跡診断と呼んでいます。筆跡特徴に関連付けられた性格特徴だけをひとつひとつ採り上げると、確かに単純化のし過ぎではないかと初めは思ってしまうのですが、これが複数組み合わさると、書き手の人物像が立体的に、生き生きと描き出されてくるのです。
筆跡には書き手の性格が反映されるということについて、ここで例をひとつ挙げてみたいと思います。先日僕はある会社で採用面接を予定している女性2名について、筆跡診断を行いました。実はこういうケースでは意識的に丁寧に書く傾向があるので、通常の場合より性格傾向が反映されにくいという点を考慮しなければならないのですが、大まかに以下のような診断結果となりました。
①26歳女性
考え方や行動が生真面目で正確さを好みます。反面、融通性に欠けるところもあると言えます。性格は大人で、控えめながらも人付き合いはできる方です。やや平凡では満足できない性格が伺えますが、恐らくそれは仕事をきちんとやり遂げようという方向に向くのではないかと思われます。生真面目すぎる性格のため、何かする前に考えすぎてしまうということがありそうです。
②18歳女性
控えめな性格。考え方は真面目ですが、行動は多少融通が利く方です。大胆なところもあり、時に気分に左右される傾向も見られます。現在、多少気持ちにプレッシャーを感じているようにも見受けられます。
さて、この診断を行った4日後、この内のひとりの方が「やったことのない業務なので不安を感じる」という理由で面接辞退を申し入れてきたそうです。それはどちらの方だと思われるでしょうか?
答えは①の女性です。まさに「生真面目すぎる性格のため、何かする前に考えすぎてしまうということがありそう」という診断結果の通りの行動が4日後に現れてしまったのです。この事例から、筆跡には書き手の性格が反映されるということが、少しお分かりいただけたのではないかと思います。
<つづく>
繻るに衣袽あり、ぼろ屋の窪田でした
よろしければクリックおねがいします!
↓