窪田恭史のリサイクルライフ

古着を扱う横浜の襤褸(ぼろ)屋さんのブログ。日記、繊維リサイクルの歴史、ウエスものがたり、リサイクル軍手、趣味の話など。

易と大相撲

2012年09月24日 | スポーツ観戦記


  大相撲九月場所が終わりました。それに因んで、相撲の中に見える易の影響についてお話したいと思います。

  易は513年に百済が五経博士の段楊爾を貢したという記述が『日本書紀』にあることから、少なくとも6世紀前半には日本に伝わっていました(五経とは、「易経」、「書経」、「詩経」、「春秋」、「礼記」のことです)。儒教の経典の筆頭とされた易経は、当然のことながら日本の思想にも大きな影響を与えています。今日の大相撲は五穀豊穣を感謝する神事が源流ですから、天地の自然法則と人の行いとを一体のものと考える易の天人合一思想が当然大きな影響を及ぼしています。

  まず土俵ですが、俵の円形は天、四角い盛り土は地を表しているそうです。そこに人である力士が東西から上がり、神様の前で武器を持たず「人の力」によって勝負を争います。

  土俵は北が正面です。これは「君子南面す」といって、北が聖なる方角とされたためです。例えば、平安京の大内裏は北の方角にありました(勿論、平城京・藤原京などでも同じです)。ですから、大相撲でも天皇陛下の天覧席は北側にあります。



  易は森羅万象を乾・兌・離・震・巽・坎・艮・坤の八卦(はっか)で成り立つと考えます。この八卦に自然や人間、動物、方角などあらゆる物事を当てはめ、それによって万物の現象を解明・説明しようという試みが易であるともいえます。したがって、この八卦にはそれぞれ表す方角があり、乾(西北)・兌(西)・離(南)・震(東)・巽(東南)・坎(北)・艮(東北)・坤(西南)となります。

  今はありませんが、昔は土俵に四つの柱が立っていました。これをそれぞれ乾(いぬい)柱、艮(うしとら)柱、巽(たつみ)柱、坤(ひつじさる)柱といいました。現在では柱の代わりに、黒・青・赤・白の四色の房が下がっています(上写真)。これは東西南北の守り神である四神を表しており、それぞれ玄武(黒)、青龍(青)、朱雀(赤)、白虎(白)です。

  次に、土俵は完全な円形ではなく、東西南北の方角だけが一部はみ出ています。これを「徳俵」といいますが、四つの徳俵に土俵中央を加えて、水徳(北)、木徳(東)、火徳(南)、金徳(西)、土徳(中央)というのだそうです。これは中国の古代思想で万物を構成する五元素(五行)と考えられた水・木・火・金・土に由来します。先ほどの八卦にはこの五行もそれぞれ当てはめられており、坎(水)・震(木)・離(火)・兌(金)です。

  さて、八卦では南は「離」です。離には、「物事を明らかにする」という意味があります。そこで、勝負を判定する行司は南側に立つのだそうです。なお、行司が発する「はっけよい」というのは「八卦よい」、つまり「あらゆる方角が全て収まっており吉である」という解釈が一般的ですが、これには諸説あり確かなことは分かりません。

  さらに、行司は代々木村家と式守家が執り行ってきましたが、木村家は軍配をもつ時、指を下に向けます。これは陰陽の陰を表しています。一方、式守家は指を上に向け、陽を表しています。

 

  因みに、横綱の土俵入りも不知火型(写真左)と雲竜型(写真右)がありますが、不知火型が陰、雲竜型が陽の型となります。

  こうした変わった視点から大相撲を観てみるのも面白いと思います。

  繻るに衣袽あり、ぼろ屋の窪田でした

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エコソフィーは"シェイクハンズ"から

2012年09月24日 | リサイクル(しごと)の話
  ナカノ株式会社の柱をなす行動目標に「Ecosophy」(エコソフィー)という概念があります。Ecology(環境)とEconomy(経済)という二つの「Eco」を人の知恵(sophia)によって調和させるという意味です。私たちはお客様やお取引様と「シェイクハンズ」することにより、このEcosophyを実現すべく日々活動しております。

  そのEcosophyの事例として、地球環境への配慮に積極的に取り組んでいらっしゃる、中日本エクストール横浜株式会社 常務取締役 村岡憲二様にお話を伺いました。ナカノ株式会社は、このたび中日本エクストール横浜株式会社様の制服1,200名様分をオリジナル軍手にリサイクルするお手伝いをさせていただいております。



-今回の制服リサイクルに至った経緯をお聞かせください。

  NEXCO中日本グループは高速道路の管理・運営をしていますが、道路は建設の過程で不可避的に環境へ負荷をかけることから、グループの方針としてCSRに力を入れ、これまでも発生する生ごみの堆肥化などに取り組んできました。その中で、数年ごとに発生する制服の入れ替えに際し、循環型を重視した取り組みができないかと思ったのが、今回の取組のきっかけです。

-ナカノ株式会社を選ばれた理由は何でしょうか?

  最初にナカノ株式会社を知ったのは、ある取引先から衣類のリサイクルを主体事業としている会社があると聞いたことです。そこから始まり、ナカノ株式会社の秦野工場(神奈川県秦野市)も見学しました。そこで、制服がリサイクルされる過程や古着でつくられたという軍手「特殊紡績手袋 よみがえり」の説明を聞き、今回の取組の枠組みができました。

-できあがったリサイクル軍手の印象、お客様の反応はいかがでしょうか?

  良いですよ。特に滑り止め加工を施したのがポイントだったと思います。「使いやすい」、「汚れが目立たない」、「(色合いの)落ち着いた雰囲気が良い」、「(さまざまな制服の)混ざり具合が良い」といった声が聞かれます。今年(2012年)11月に中央道の30周年イベントがあるのですが、そこでも紹介したいと思っています。



-グループで行われた「イノベーション・フォーラム」に今回の取組をエントリーされたとのことでしたが。

  インパクトはあったと思います。やはり、リサイクルされた商品が軍手というグループの事業内容にマッチした、実用的なものであったことが良かったと思います。全エントリー78作品の中で、惜しくも最優秀賞は取れませんでしたが、努力賞を受賞することができました。

-最後に、ナカノ株式会社に一言いただけますか?

  今回、非常に建設的に話を進めることができ大変満足しております。お互いに社会的責任を果たしていけるよう、引き続きアイデアをいただきたいと思っています。

-ありがとうございました。

  繻るに衣袽あり、ぼろ屋の窪田でした
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