窪田恭史のリサイクルライフ

古着を扱う横浜の襤褸(ぼろ)屋さんのブログ。日記、繊維リサイクルの歴史、ウエスものがたり、リサイクル軍手、趣味の話など。

歯と心身の不思議な関係―第116回YMS

2020年01月09日 | YMS情報


 芸能人じゃなくても歯は命!皆様、ご自分の歯を大切にされていますでしょうか?僕は若い頃、詰め物のとれた歯を放置しっぱなしにしたり、随分と無頓着だったと反省しています。

 さて、年も改まり、2020年(令和2年)最初の第116回YMS(ヨコハマ・マネージャーズ・セミナー)をmass×mass関内フューチャーセンターにて開催しました。

 今回の講師は、オハナデンタルクリニック関内院長の宮路早苗様。肩こり、腰痛、膝痛、頭痛、腱鞘炎まで、原因は歯から?「ストップ鎮痛剤!慢性痛は、まず歯を疑え!」と題し、歯と心身の驚きの関係についてお話しいただきました。



 歯科なのになぜ「オハナ」なのかと思っていたのですが、「オハナ」とはハワイの言葉で家族という意味なのだそうです。その名の通り、院内は患者さんにリラックスしていただけるよう、ハワイをイメージした内装で心地よいハワイの音楽が流れています。

 まず、首の痛み、肩こり、腰やひざの痛みは、ひょっとすると歯が原因かもしれないというお話。歯のかみ合わせが悪いと、それが原因で背骨が歪み、身体のあちこちに変調をきたすことは知っていましたが、宮路さんのところには、根本原因である歯からこうした異変にアプローチするため、整形外科から患者さんが紹介されることが多いそうです。

 例えば、みなさんの舌は普段、上あごに先だけでなく上面が着いているでしょうか?身体がリラックスしている時、通常舌はこの位置なのだそうです。ところが、歯並びが悪かったりすると、身体が無意識に不快感を避けるため舌を口腔内に浮かせたり、下あごにつけたりします。これは本来不正常なため、舌の筋肉が緊張します。その結果、肩こりの原因になることもあるそうです。舌が上あごに着かないのには、母乳で育てられるケースが減っていることも影響しているそうです。

 また、通常上あごと下あごがくっついている時間は1日平均わずか17.5分しかないそうです。つまり、常に上あごと下あごがくっついている人、ましてやグッと噛み締めている人も緊張状態にあると言えます。PCやスマホの普及も影響しているようです。つまり、いずれも原因が歯にある可能性があるということ。宮路さんはこれらを踏まえ舌を鍛える運動なども行っているそうです。

 さらに驚くべきは、歯の尖りが舌や頬に当たることで脳に十分な刺激が伝わらず、脳の働きが低下するために腰痛などの原因になるということもあるそうです。というのも、歯は三叉神経と呼ばれる、脳に12対ある脳神経の中で最大の神経とつながっているそうで、仮に腰痛や肩こりなどに外側からアプローチしても歯から伝わる誤った刺激に脳が反応するために、「脳が記憶している」痛みが継続してしまう可能性があるからなのだそうです。以前呼んだ『脳の中の幽霊』という本に「幻肢痛」と呼ばれる、事故などで失われたはずの肢が痛むという現象が書かれていた記憶があります。つまり、腰痛など身体の痛みと関連していた歯からの刺激が脳の記憶を呼び戻すというわけです。僕も以前、歯が痛むので歯医者に行ったところ、「その(痛む)歯には神経がない」と言われたことがあります。



 したがって、歯の治療が思わぬ身体症状の改善につながることがあります。例えば、

・歯の被せものを取ったら、膝の痛みが改善した。
・歯石をとったら、頭痛が改善した。
・虫歯を治したら、身体が楽になった。
・歯を調整したら、猫背が矯正された。



 そこで宮路さんは歯に振動を加えることで脳に正しい刺激を与え、身体の痛みの症状を緩和するという施術をされているそうです。具体的には回転する器具で歯に振動を与えるのですが、驚くべきは患者ひとりひとりの特徴に合わせ、回転数や器具を歯に当てる角度を変えているのだそうです。実際の施術の動画を見ましたが、冷え症で、四六時中歯を喰いしばっているために全身がこわばり、真っすぐ立っているつもりでも少し押されただけで倒れてしまいそうなほどバランスの悪かった女性が、歯に刺激を与えたところ見るからに改善していました。



 しかもそれを、僕自身も体験してみました。僕もペンを持つ握りが異常に強かったり、どちらかというと始終身体が緊張している方だと自覚していたのですが、事前検査の結果、僕は前後のバランスが悪いということが分かりました。普段から姿勢には気を付けているつもりだっただけに、この結果は少々ショックでした。

 ところが、上の右前歯に刺激を与えたところ、力を抜いて上の歯と下の歯を離して立っても、先ほどよりはるかに前後の押しに対して強くなったのです。身体感覚としても、丹田に重心が落ちた実感がありました。つまり、歯に力が入っているために身体のバランスが悪くなり、それが常態化しているために、立つためには歯に力が入っていなければならないと脳が記憶していたという悪循環です。それを歯に振動を与え、脳への刺激を変えることで、「実はそうではないんだよ」と脳に教えてあげます。何だか、不安障害の暴露療法のようです。

 もちろん、身体の痛みは様々な要因が複雑に絡み合っており、一つの原因を取り除けば、また別の原因が現れるというように、まるで玉ねぎの皮を剥くかのように解明していかなければなりません。しかし、「痛いから鎮痛剤」とすぐ考えるのではなく、薬に頼らなくても症状を緩和できる方法もあるのではないか、と知っておくことは重要だと思います。

 もう一つ驚いたのは、電磁波が身体に及ぼす影響。スマホを持っているだけで、持っていない時より明らかにバランスが悪くなっているのです。これは一体どういうことなのか?我々は電磁波とはもはや無縁ではいられない生活を送っているだけに、考えさせられます。合気道の達人、植芝盛平は、路面電車に乗ることも嫌がったという話を聞いた記憶がありますが、ひょっとすると電磁波により重心が狂うことを嫌ったのかもしれません。



 あまりにも身近で、普段は意識することすらあまりない歯が心身に及ぼしている影響の大きさに、新年早々驚きの連続でした。

過去のセミナーレポートはこちら

繻るに衣袽あり、ぼろ屋の窪田でした
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